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シンクランドは、光渦レーザー技術が創る「痛くない注射針」で新たな経皮投薬を実現する!(ICC FUKUOKA 2019)【文字起こし版】

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ICCサミット FUKUOKA 2019 スタートアップ・ダイジェスト(前半)に登壇いただいた、シンクランド 宮地邦男さんのプレゼンテーション【シンクランドは、光渦レーザー技術が創る「痛くない注射針」で新たな経皮投薬を実現する!】の文字起こし記事をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2019 ゴールド・スポンサーの電通様にサポート頂きました。


【登壇者情報】
2019年2月19日〜21日開催
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 11B
スタートアップ・ダイジェスト – 注目スタートアップを一挙紹介!(前半)
Supported by 電通

(プレゼンター)
宮地 邦男
シンクランド株式会社
代表取締役
公式HP|STARTUP DB

1986年金沢大学理学部化学科放射化学講座学士課程修了。同年住友セメント(現住友大阪セメント)株式会社入社(カラーセラミックスの射出成型による時計枠の開発等に携わる)。1988年住友製薬株式会社(現大日本住友製薬株式会社)出向(人工骨「ボーンセラムP」の整形外科及び脳外科への適応に伴う拡販のため)。1992年株式会社応用光電研究室(住友大阪セメント株式会社100%子会社)出向(光通信用パッシブデバイスの量産ライン構築及びその拡販を実施)。2001年株式会社アルネアラボラトリ創業、2004年同社取締役就任、2005年同社代表取締役専務就任(非接触3次元形状計測機「Eagle3D」等、主に計測機器の商品化及び販売を実施)。2014年シンクランド株式会社創業、同年同社代表取締役社長就任。現在は医療用及び美容用としてのホローマイクロニードルの実用化に着手。

「ICC FUKUOKA 2019 スタートアップ・ダイジェスト」の配信済み記事一覧


宮地 邦男氏 シンクランド株式会社の宮地(みやじ)です。

我々は次世代型DDS(Drug Delivery System:薬物送達システム)のサービスとして、中空マイクロニードル(微小針) を使った全く新たな「痛くない注射針」を提供したいと考えています。

こちらは昨年のICCサミット KYOTO 2018で使用したスライドです。

当時は、1年後のICCサミット KYOTO 2019で「実用編」のお話をするつもりでしたが、待ちきれず今回のICCサミット FUKUOKA 2019に参加しました。

私、宮地邦男はこの場を借りて、こう宣言させていただきます。

2019年で「起業家」から「企業家」へ変わり、いよいよビジネスを展開していきます。

なぜ「痛くない注射針」を開発するのか?

次の写真をご覧ください。

あなたはこの写真を見て、何を想像するでしょうか?

私は、この子が非常に怖がっているのを感じて、胸が痛くなります。

次の写真はいかがでしょうか?

一見分かりにくいのですが、注射器や注射針が乱雑に置かれている場所です。

この周辺を子どもたちが裸足で歩き回っています。

2年前に、1型糖尿病という不治の病にかかっている5歳の男の子のお母さんから1本の電話が入りました。

このお母さんは子どもを押さえつけ、その子のお尻にインスリン注射を打っているとのことでした。

その方から「御社の痛くない注射針はいつできるんですか?」と言われました。

このことが「痛くない注射針」開発の強いモチベーションになっています。

こうした課題、ニーズに応えるアプリケーションにおいて我々はNo.1であり、絶対最適なものを提供できると考えています。

光渦レーザー技術を基本技術とした「真皮まで到達する微小針」

「痛くない注射針」は、我々のコア技術である光渦(ひかりうず)レーザーをベースに作られています。

上記スライドにあるように、金属にレーザーがドンと当たると針ができます。

もともと千葉大学大学院 尾松孝茂教授の技術ですが、このような作り方をしているのは我々だけです。

独占実施権の許諾を得て実施しています。

▶以下の動画にて微小針の形成過程をご覧いただけます。

パルスを何発も当てていき、出来上がった白いものが“針”です。

真皮に到達させるほど針を高くするには諸条件がありますが、パルスをたくさん打つことで高さを出すことができます。

そしてついに我々は、真皮に到達する理想の高さを実現することができました。

実物はとても小さいのでこの拡大写真で見ていただきたいのですが、上記スライドの青丸部分に複数の微小針が形成されています。

従来の注射針は見るからに痛い感じがしますが、「点」で打つのと「面」で打つのは大きな違いがあります。

さらに拡大すると、針の孔(あな)が空いているのが見えます。

このような高さで、貫通孔をもつ中空マイクロニードルを作ることができるのは世界中で我々だけです。

さら我々は、シリコーンゴム製の人工皮膚を用いたin vitro試験も進めており、有効性を確認できました。

NEDO SCA助成事業によるパートナー企業との共同開発

この事業が発展するうえで、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成金が大きなポイントとなります。

我々は、2016年にSTS(シード期の研究開発型ベンチャー)を対象としたNEDOの助成事業に採択され、投資を受けました。

さらに2018年度には「ホローマイクロニードルによる次世代型医療用DDSの実用化開発」というテーマにて、NEDOのSCA(企業間連携スタートアップ)助成事業に採択されました。

本件ではシミックCMO株式会社を主事業主として7,000万円の助成金を受け、共同研究をしております。

▶︎参考:シンクランド、NEDO事業に採択決定(最大7,000万円の助成金) ― シミックCMO等との共同研究により次世代型医療用DDSの実用化を目指す(PR TIMES)

こうした事業会社様とコラボレーションすることにより、一気に事業化が進んできています。

日本コルマー株式会社ミサワ医科工業株式会社もパートナーとなって進めています。

STSをスタートしたときは針の高さが20ミクロン(μm)でしたが、現在は20倍の400ミクロンになりました。

これにより、DDSとして必要となる「真皮に届く高さ」が実現しました。

微小針を「経皮薬」として展開し、次なるステージへ

我々のビジョンは「投薬における痛み・恐怖・負担から人々を解放する」です。

注射薬に痛み・恐怖を感じている方のほか、嚥下機能が低下して経口薬を飲むことができない方の負担も解決していきます。

そのために、我々は中空マイクロニードルを経皮薬に展開していきます。

喘息の薬の1つに「ホクナリンテープ」という経皮薬があります。

このテープ剤は、上市されるや否や“メプチンブランド”と呼ばれる既存薬を一気に追い抜いてしまいました。

こうしたテープ剤は薬が皮膚の角質を通過しないと効果が出ません。

しかしほとんどの薬が角質を通過することができていません。

そのため、真皮まで薬を届けられる我々の針がクローズアップされてきているのです。

無痛で安心、経口薬を経皮薬に変更可能、さらに貼っていることが見てわかるため、第三者の投薬管理が容易になります。

製薬会社は、特許の切れた先発品のジェネリックに対抗するような形で収益確保ができます。

我々の開発ロードマップです。

現在は中空マイクロニードル、インジェクタの開発が完成し、動物実験もスタートして量産化に向けて進んでいます。

このような流れで、いよいよ次のステージに向かおうとしています。

これがさきほどのSCAのスキームです。

日本コルマーさんには、針を形成するための機材を作っていただき、ミサワ医科工業さんと共に月に1億本の針を量産してまいります。

ミサワ医科工業さんは、先ほどのスライドでお示ししたキャップ構造体も作ってくれています。

ここまで開発が進み、今後はシミックCMO社と共に製薬会社へ提案に行くというスキームです。

適応例として想定するのは、インスリン、麻酔薬、抗がん剤などすべてです。

最後に、簡単に我々の会社概要をお話しします。

2014年2月にスタートし、従業員12名のうち技術系5名、今後2名増員します。

資本金は1憶1,450万円です。

次回のICCサミット KYOTO 2019で報告させて頂けるのであれば、もう少し増額している予定です。

冒頭にもお話ししましたが、いよいよリアルビジネスの時間です。

次回のICCサミット KYOTO 2019では、いよいよ「活用編」をお話しできると思います。

是非ご期待ください!ありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/三木 茉莉子/尾形 佳靖/戸田 秀成/小林 弘美

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