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ICCサミット FUKUOKA 2018の人気No.1セッションを全8回シリーズでお届けします。(その1)は、ヤフーCSO/慶應義塾大学教授の安宅さんに、私たちが「知性」と呼ぶものは一体何なのか? その正体をスライドと共に解説いただきます。会場の89.1%が“最高だった”と評価した伝説のセッションをぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2018 プラチナ・スポンサーの レノボジャパン様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2018年2月20〜22日開催
ICCサミット FUKUOKA 2018
Session 4E
知性の核心とは何か?
Supported by レノボジャパン
(スピーカー)
安宅 和人
慶應義塾大学 環境情報学部 教授 /
ヤフー株式会社 CSO(チーフストラテジーオフィサー)
石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者
北川 拓也
楽天株式会社
常務執行役員 テクノロジーディビジョン CDO (Chief Data Officer)
丸 幸弘
株式会社リバネス
代表取締役 グループCEO
(モデレーター)
尾原 和啓
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本編
尾原 和啓さん(以下、尾原) はい皆さん、知の無差別級バトルロイヤルにようこそ!
「知性の核心とは何か?」というテーマでセッションを組んでくれるビジネスカンファレンスは、世の中他にはないですよね。
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尾原 和啓
IT批評家、藤原投資顧問書生。京都大学院で人工知能を研究。マッキンゼー、Google、iモード、楽天執行役員、2回のリクルートなど事業立上げ・投資を専門とし、経産省 対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。現在13職目 、シンガポール・バリ島をベースに人・事業を紡いでいる。ボランティアでTED日本オーディション、Burning Japanに従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。著書は三作全てAmazon電子書籍で総合一位を獲得。「モチベーション革命」(幻冬舎)、「ザ・プラットフォーム」「ITビジネスの原理」(NHK出版)近著は「アフターデジタル」(日経BP, 藤井氏との共著)。Campfireでのオンライン講義も実施
*15/6/11 Kindleランキングにて、書店はABC六本木、渋谷Book 1st 6/15調べ
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本日登壇いただく皆さんには、基本的にそれぞれが言いたいことを言って頂くことが作法だと思いますし、バトルロイヤルということで“場外乱入”して頂いても全くもって構いません。
この75分間を楽しんできたいと思います。
石川 善樹さん(以下、石川) 簡単に言うと、我々がいつも居酒屋でしている話をするということですよね(笑)。
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石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者
1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がよりよく生きる(Well-being)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。 専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。近著に「問い続ける力」(ちくま新書)など。
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尾原 そうですね。居酒屋の話と未来の話は、僕たちにとって一緒ですからね(笑)。
北川 拓也さん(以下、北川) その前にまず、最前列に座っている村上さんに期待値を聞きたいのですが良いですか。
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北川 拓也
楽天株式会社
常務執行役員 テクノロジーディビジョン CDO (Chief Data Officer)
ハーバード大学で数学と物理学を専攻し、同大学院物理学科博士課程を修了。物性物理の理論物理学者として、『Science』、『Nature Physics』、『Physical Review Letters』などの学術雑誌へ20本以上の論文を出版。その後、楽天でデータサイエンスの組織を立ち上げ、現在、CDOとしてグループ全体のデータ戦略と実行を担い、インドやアメリカを含む海外拠点の組織も統括する。2017年に設立された楽天データマーケティング株式会社では取締役を兼任。データ基盤作りや科学的な理解に基づく顧客体験の提供、広告事業の立ち上げ、データによるビジネスイノベーションなどを推進している。
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村上 臣さん(以下、村上) 僕は今回、このセッションを楽しみにICCに来たといっても過言ではありません!
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村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表
大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。その後統合したピー・アイ・エムとヤフーの合併に伴い、2000年8月にヤフーに入社。一度退職した後、2012年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。2017年11月にLinkedInの日本代表に就任。複数のスタートアップの戦略・技術顧問を務めている。
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1人あたり300人くらい集客できる豪華なメンツなのに、掛け算すると何故か減る(※)というのは世の中の不思議です(笑)。
▶編集注:ICCサミットは6セッション同時進行のカンファレンスです。ピッチコンテンスト「カタパルト」などが定員300名強のメイン会場で行われるのに対して、本セッションは定員60名の小さな会場で開催されました。
これがまず謎なのですが、人の知性は深いですね。
私はこの最前列で、私の知性のなさをアピールしながら盛り上げたいと思います!
尾原 ありがとうございます(笑)。
では安宅さん、準備はできましたでしょうか。ギリギリまで資料を作って頂きました。
石川 今日の進め方はどのように進めていきますか?
尾原 まずは安宅さんにたくさん話して頂き、そこに対して僕らが突っ込みまくりますので、そこからみんなでワイワイ話しましょう。
丸 幸弘さん(以下、丸) 安宅さん以外、僕らは誰も資料を作っていないですからね(笑)。
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丸 幸弘
株式会社リバネス
代表取締役 グループCEO
東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻博士課程修了、博士(農学)。大学院在学中に理工系学生のみでリバネスを設立。日本初「最先端科学の出前実験教室」をビジネス化。大学・地域に眠る経営資源や技術を組み合せて新事業のタネを生み出す「知識製造業」を営み、世界の知を集めるインフラ「知識プラットフォーム」を通じて、200以上のプロジェクトを進行させる。ユーグレナなど多数のベンチャー企業の立ち上げにも携わるイノベーター。リアルテックファンドの共同代表も務める。
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石川 ところで、もともとこのセッションが企画された源流があるんですよね。
尾原 一言で言うと、安宅さんが「人工知能についてしゃべるのは飽きた」と言いだしました。
「だったら、安宅さんが本当に喋りたいテーマは何なんですか?」ということを考えて企画したのがこの「知性の核心とは何か?」です。
それではその安宅さんに、お話をいただきたいと思います!
知性の核心とは何か?
安宅 和人さん(以下、安宅) こんにちは、安宅です。
本日は「知性」についての考察を投げ込んでいきます。
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安宅 和人
慶應義塾大学 環境情報学部 教授 /
ヤフー株式会社 CSO(チーフストラテジーオフィサー)
東京大学大学院生物化学専攻にて修士課程修了後、マッキンゼー入社。4年半の勤務後、イェール大学脳神経科学プログラムに入学。2001年春、学位取得(Ph.D.)。ポスドクを経て2001年末マッキンゼー復帰に伴い帰国。マーケティング研究グループのアジア太平洋地域中心メンバーの一人として幅広い商品・事業開発、ブランド再生に関わる。2008年よりヤフー。2012年7月よりCSO(現兼務)。全社横断的な戦略課題の解決、事業開発に加え、途中データ及び研究開発部門も統括。2016年春より慶応義塾大学SFCにてデータドリブン時代の基礎教養について教える。2018年9月より現職。データサイエンティスト協会理事(スキル定義委員長)、内閣府 人間中心のAI社会原則検討会議 構成員、官民研究開発投資拡大プログラム (PRISM) 運営委員、経団連 未来社会協創TF委員なども務める。著書に『イシューからはじめよ』(英治出版、2010)。
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スライド51枚を10分で説明する予定です。
(中略)
ポイント
- 情報処理は入力・処理・出力の三要素から成り立つ…「思考」とはインプットをアウトプットにつなげること、「知性」とはインプットとアウトプット(I/O)をつなげる力と言い換えることができる
- 情報処理のバリューチェーンの大半が、川上・川中工程である「知覚」(厳密に分離できない認知を含む)…通常知性の中心と思われている判断・実行過程にあるのではない
- 「知覚」とは、様々な知覚情報を統合し対象の意味を理解すること
- 「知覚」は驚異的な情報処理であり、とてつもなく複雑
- 我々は価値を認識していることだけを「知覚」できる…大野耐一さんはアメリカのスーパーを見てトヨタ生産システムを着想
- 「知覚」は経験から生まれる…高度な知的概念だけでなく形や色ですら
- 「経験」には知的経験、人的経験、思索の3つがある
- アウトプットを生み出すのは、深い「知覚」に基づきこれが欲しいものだという感覚
- 科学者と芸術家の違いは、何を大切だと思うかの違いに過ぎない…感性も知性である
- 「意思」は生命の本質…神経の数の問題ではない
- 目的別になんらかの情報処理を自動化したものが「AI」…色や肌触りすら我々のように知覚できない
プレゼンの詳細な内容と関連する考察は、AI×データ時代に人間が生み出す価値とは 知性の核心は知覚にある(ハーバード・ビジネス・レビュー 2017年5月号) をご覧ください。
知性の核心は、知覚にある
安宅 ということは、生物における学習と機械学習と呼ばれているものは、同じ「学習」という言葉を使っていても、本質的に異質なものということが言えます。
機械学習の専門家の方々、例えば、未来に向けて仕掛ける私の同志の一人でもある東京大学の松尾豊先生などと会話をしていると「学習とは分けることです」とおっしゃいます。
松尾先生としてはスライドの左の部分を専門にやられているのでそういう回答になるのですが、バイオロジスト(ニューロサイエンティスト)である僕にとっての「学習」は完全に右の理解です。
情報のアソシエーション(連関)こそが(我々神経系を持つ生物体における)「学習」の中心であり、機械学習とは根本的に異質な概念です。
「アウトプットを目的としない経験がイミを創る」という点で、これこそが知性のベースであると。
したがって「知性の核心とは知覚にある」というのが僕の検討の1つの結論です。
これは『ハーバード・ビジネス・レビュー』2017年5月号に書いた論考のざっくりとしたアウトラインです。
以上、スライド51ページを10分でお話ししました。ありがとうございました!
(会場拍手)
尾原 ありがとうございます!石川さんがすごくメモを取っていましたが、何を書いていたのですか?
(続)
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続きは 2. AIが「君はチョコレートが食べたいよね」と渡してきても、きっと僕は、最後にその提案を断るだろう をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/本田 隼輝/尾形 佳靖/戸田 秀成
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