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9. 世の中は「やりたくないけど、できること」に打ち込むあなたを応援している

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「最近『面白い』と思っていることを雑談!」10回シリーズ(その9)は、Drone Fundの千葉功太郎さんが“事務所の先輩”林修先生から学んだという、プロフェッショナルとしての働き方・生き方について。自分が何をすべきか分からない、今やっていることが正しいのか自信が持てない。そんな悩みを持つ方、必読の内容です。ぜひご覧ください!

▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(インターン)の募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。

本ッションは、ICCサミット FUKUOKA 2019 ゴールド・スポンサーのリンクトイン・ジャパン様にサポート頂きました。


【登壇者情報】
2019年2月19〜21日開催
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 11A
最近「面白い」と思っていることを雑談!(シーズン2)
Supported by リンクトイン・ジャパン

(スピーカー)
井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役副社長 CTO

千葉 功太郎
Drone Fund
創業者/代表パートナー

丸 幸弘
株式会社リバネス
代表取締役 グループCEO

村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表

(モデレーター)

西脇 資哲
日本マイクロソフト株式会社
コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト

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最初の記事
1.「LinkedIn」の正しい読み方とは? リンクト? リンクド? リンクトゥ?

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8.「会議よりお祈りが優先の国」に見る“人間の面白さ”

本編

 僕の周りには「数で見ていない人」がたくさんいるので、幸せだなといつも思っています。

自分が「数」を考えないで、その人と一緒にいられる、そういうことが面白いなと思うんです。

そんなことを考えるのは、僕だけですか。

千葉 分かります。

西脇 ではそんな千葉さんが「一番時間を使っていること」は何でしょうか?

林修先生に学ぶ「プロフェッショナルは何をすべきか?」

千葉 僕も人関連の話題になりますが、「2つの2象限」です。

Drone Fund 創業者/代表パートナー 千葉 功太郎さん

僕は昨年、いわゆる芸能事務所(ワタナベエンターテインメント)に所属したのですが、事務所の先輩に林修先生がいます。

林先生がテレビで授業をやっていたのですが、

「『やりたいことと、やりたくないこと』の2象限と、『できることと、できないこと』の2象限(合計4象限)があります。皆さん、『やりたくて、できること』をしたいでしょう?」ということをおっしゃいました。

西脇 それが一番いいですよね。

千葉 「でも、それはだめなんです」という授業だったんです。

一番求められているのは、「やりたくないけれど、できること」なのだそうです。

▶編集注:上記の内容は、毎日放送制作・TBSテレビ系列で毎週日曜日放送の教養バラエティ番組『林先生の初耳学』内のコーナー「林修が高学歴ニートと激突!君たちはなぜ働かないのか」で放送されました(2019年1月)。

村上 それは社会貢献ですね。

千葉 僕の場合、リアルに人の前に行くのはすごく嫌なことなんですね。

でもできるし、行けばパフォーマンスも出せます。

ただその後すごく心が削れるので、ひとり落ち込んでしまいます。

西脇 「気分は良くないけれど、できてしまうこと」なんですね。

千葉 そうです。

ICCでもこの「雑談セッション」はすごくわくわくしてやりたいと言って出ているのですが、初日の「取締役会・経営会議」のセッションは、正直「やりたくないな……」とちょっと思いました。

▶編集注:千葉さんは、この2日前に完全オフレコセッション「教えてほしい!スタートアップの取締役会・経営会議の運営と社外取締役の役割(90分拡大版)」にスピーカーとして登壇しました。

でも聴きに来ている方は大勢いるし、話をするとばっかんばっかんウケるので、「あれっ!」と驚いたんですね。

これも林先生がテレビでお話ししていたことですが、出版社から「早く頭を思考整理する10のスキル」というような内容の本の執筆を依頼されて、でも林先生は、自分が厳選した超グルメな本を書きたいと言って、結局その2冊を書いたそうです。

すると自己啓発の本は10万冊売れる大ヒットとなり、一方のグルメ本は全然売れず、大赤字を出してしまったそうです。

『すし、うなぎ、てんぷら ~林 修が語る食の美学』(林 修/著)、宝島社、2015

要は「やりたいことで、できること」というのはかなり少ないという話で、プロフェッショナルが一番価値を出すのは「やりたくないけれど、できること」、それが社会から求められているのだという話でした。

つまり第三者が自分を見て評価してくれて、「あなたはこれをやるといいのではないか」というのを大事にするべきということです。

西脇さんも、ラジオ番組はやりたいからというより、求められるからやっているんですよね。

西脇 求められるからですね。

千葉 だから僕が最近一番時間を使って考えているのは、さきほどの4象限に「時間軸」を足した時に「過去にやりたかったことで、今できること」「未来にやりたいと思っていて、今できること」「未来にやりたくないけれど、今できること」のうち、いったい何をやるべきなのかをずっと考えているんです。

かつ、そこに「相対座標」が入って来るわけですけれども。

 千葉さんは完全に4Dの世界に生きていますね(笑)。

千葉 そうなんです。だからすごく難しくて、ずっとここ半年間時間を使っているのは「僕は何なんだろう?」ということです。

 「人とは何か」ですよね!? 「人」ですね!

千葉 僕はいったいどこにいて、何をやるべきなんだろう?と、禅問答に入ってしまって……。

 そこですよ。やはり同じ場所に行き着きましたね。

「やりたいことで、できること」ではダメなのか?

西脇 千葉さん、4象限のところで質問させてもらっていいですか。

「やりたいことで、できること」は誰もが率先してやるし、パフォーマンスもいいので周りからも評価もされますよね?

千葉 はい。でも「本当に評価されているのかな?」とも思います。

もしかしたら評価しているのは目の前の人だけで、社会的には全然評価されていない可能性があります。

 千葉さんの「やりたいことで、できること」は飛行機に乗って飛ぶことだけれども、評価されているのかなということですよね?

千葉 「評価なんて求めていないよ」と一応粋がるのですが(笑)、それでは飯が食えません。

西脇 人間としては逆をどうできるかがポイントで、「やりたくないけれど、できること」をやったほうがよいという話でしたよね。

「やりたくないのに、やらなくてはいけない」だと、モチベーションが必要になります。

そこで大事になってくるのが「やりたくないけれど、やったら『上手い』と言われた。だからだんだんやりたくなる』というシナリオですよね。

千葉 そう、変化していくわけです。

僕たちには「時間」という軸があるので、4象限自体が微妙にオーバーラップしながら動いていくわけです。

あとは、社会が求めることを「今はやりたくない」と思っているけれど、社会がだんだん変わってきくれば自分の興味もそちらにずれてくるので、3年後は「やりたいこと」と「できること」がピタッと一致することもありえます。

自分にとっての「エアモビリティ」がそういうことなのではないかと思います。

 分かります、それ。僕も本当はファンドはやりたくない、嫌いなんです。

千葉 ですが丸さんは日本有数の投資家です。何社投資していますか?

 全部合わせると80社以上やっているにもかかわらず、やりたくないんですよ。

西脇 やりたくないけれど、できてしまうんですよね。

 できているみたいなんですが……。

千葉 かつ社会から求められているんです!そこがすごく深いなと思います。

なぜやっているかというと、求められているし未来から逆算すると、今それをやっていたほうが結局「やりたいこと」に一致してくるわけです。

井上 それが見えるから、多分やるんでしょうね。

千葉 そういうことを飛行機に乗って考え始めると、ずっと深く入り込んでいってしまって……。

井上 僕たちと一緒じゃないですか!(笑)

「やりたくないけど、できること」に気づくために

株式会社リバネス 代表取締役 グループCEO 丸 幸弘さん

 でも「やりたくないけど、できること」は自分で気がつかないですよね。

それを引っ張り上げてくれたのは、やはり仲の良い人たちです。

永田さん(※)たちが「一緒にやろうよ」と言ってくれたんです。

▶編集注:株式会社ユーグレナ取締役副社長の永田暁彦さん。永田さんと丸さんは、リアルテックファンドの共同代表を務めています。

村上 「社会から求められている、自分ができること」というのはいわゆる“他者評価”ですよね。

だから、どのようにして質の高いインプットを得られる環境に身を置くか、その環境をつくり上げるか、メンテナンスをするかということがすごく重要だと思います。

千葉 僕が永田さんと初めて出会った頃、彼が丸さんと出会った頃の話を聞きました。

「丸さんはすごく面白くて、この分野では有名だけれど、社会的にはマイノリティだ。だからデビューさせたいと思ったんだ」ということでした。

僕は何を言っているのかよく分からなくて、いちゃいちゃしているなと思いながら聞いていました。

村上 だいたい丸さんの周りはいちゃいちゃしていますからね(笑)。

千葉 大事なのは、丸さんは「デビューさせたい」と第三者に思わせているんです。

そしてその第三者は丸さんをデビューさせるために、丸さんをイベントに登壇させたり取材を受けさせたりする。

一方、丸さんはそれがすごく嫌なわけです。でも、丸さんには着実にそれが向いている。

 まあ結果は出てきていますね。

誰しも、誰かにプロデュースされている

千葉 それで結局、やりたいことに近づいているはずなんですよね。

自分が「やりたくて、できること」だけをやっていたら最短距離になっていないのです。

 きっと、誰かは誰かにプロデュースされているんですね。

千葉 全員が全員ね。

西脇 その論理で言うと、幸せな人というのは「やりたくないけれど、周りから求められていること」に気づいているということなんですよ。

求められていることに気づいているから、頑張ろうと思えて、そして結果が生まれます

だから「誰かに何かを求められている」ということに気づいている人は、すごく幸せなんですよ。

でも、ほとんどの人は気づいていません。

「しょうがないからやっている」「好きだからやっている」この2つを選択しているのです。

千葉 あとは「やらなくてはいけないと思うから、やっている」とかもありますね。

西脇 初日のセッションに出るのを千葉さんは「嫌だな」と思ったけれど頑張ったわけですよね。

▶編集注:千葉さんは、この2日前に完全オフレコセッション「教えてほしい!スタートアップの取締役会・経営会議の運営と社外取締役の役割(90分拡大版)」にスピーカーとして登壇しました。

千葉 いやいや、そこまで「嫌だな」とは思っていないですけれど(笑)、登壇者が豪華な顔ぶれだったので「自分がガバナンスを語ってもな……」と思ったんです。

2日前のセッションでの千葉さん

でもいざ登壇したら、自分の中では普通の話をしただけなのに、それがすごくウケて「えっ?」という感覚で、「それをメモするんだ」と思いながら話していました。

西脇 それが心地良かったんですね。

千葉 僕は本当は、飛行機やエアインジケーターの話をしたいのにそういうのは全然ウケないわけです。

村上 そこは求められていないんですよ。この会場で僕だけですからね(笑)。

西脇 意外に求められていないことにも気づいていないんですよ。

求められていないのに、やってしまっているんですよね。

「人の冬眠」が研究発表される超異分野学会とは?

 そう考えると研究者は「好きで、できること」をやっているんですよね。

井上 幸せな生き物ですよ。

千葉 だからこそ、サイエンスブリッジコミュニケーターのような、それを翻訳して社会実装する人間が必要になりますよね。

井上 そういった人材が求められているのは確かです。

でも僕たち研究者も「面白がってもらおう」と思っています。

結局、自分の分野だけをやっていると近視眼的になってしまいます。

それで僕たちは「超異分野」というものをやっていますが、尖った人たちがぶつかると、また面白いことが起こります。

株式会社リバネス代表取締役副社長 CTO 井上 浄さん

その時に、一緒に面白がってくれるサポーターのような人がいる、そんなオープンな場所をつくるために3月8日、9日と新宿で……

村上 番宣、番宣ですよ。「超異分野学会」(笑)。

千葉 どうなんでしょうね、これ(笑)。

井上 僕は「超異分野」としか書いていないですよ。

でも今「超異分野」がとてつもなく重要です。

第8回 超異分野学会 本大会(2019年3月8〜9日)

千葉 ネーミングがいいですね。

井上 英語で言うと、「Hyper Interdisciplinary」です。

 シンガポールやマレーシアでも学会を開催していて、海外のほうが「HIC」といって流行っていますよ。

井上 僕は免疫の研究者で、今度一緒に登壇するのは「人を冬眠させよう」と思っている研究者です。

(壇上口々に「ヤバい」「ヤバい」の声)

井上 いや、本当にヤバいんですよ。

どうやって人を冬眠させるかと考えると、食べ物はどうするかとか腸内細菌はどうだ、起こす時どうするのか、絶食すると免疫細胞が減るのでどうやって増やすのか、(組織の)リニューアルはどうするのかというような話を、それぞれの分野で今分かっていることをベースにして議論して未来を創るんです。

そこで新しい研究が出てきて、さらにその研究をサポートしたいという人が出てくればいいなと考えています。

だって、冬眠が必要なのは間違いないじゃないですか。

僕らが宇宙空間のどこかに飛んでいくのであれば、何万光年飛ぶわけですから。

 動物は冬眠できているのだから、人間ができない理由はないです。

井上 そうなんです。ネズミはね……。

あっ、またネズミの話に。

村上 だいたい浄さんの話しはネズミばっかりですからね(笑)。

井上 ネズミも冬眠はしないけれど、冬眠状態に入るステータスを出している状況に追い込むことはもうできています。

西脇 どうやって追い込むのですか?

井上 それはちょっと言えないです。

西脇 研究上の秘密ですか?

井上 ……それは3月8日に(笑)。

▶編集注:第9回超異分野学会本大会は、2020年3月6日〜7日に東京での開催を予定しているそうです!

リバネスの活動は「10年後の仲間」をつくるために

 研究者はこうやって外に出てくるのは得意ではないけれど、僕らがリバネスをつくった時に、僕たちの「やりたくないけれど、できること」の1つが、サイエンスブリッジコミュニケーターでした。

サイエンスブリッジコミュニケーター®とは(リバネス「サイエンスブリッジリーダー育成プロジェクト」より)

なぜかというと、僕らがそれを学術のところでやっていたら、すごい誹謗中傷があったんですよ。

「あいつら、研究をやめたんだろう」と言われて、あの時はつらかったけれど、世の中は求めていると思っていました。

例えば色々な企業の方や投資家、ビジネス業界の方は、本当はもっともっとサイエンスを知りたいと思っているけれど、研究者側、学術側はみんな閉じているわけです。

だから僕らは求められていた、だからやらなくてはいけない。

でも、そういうことをしていると「リップサイエンティスト」と言われました。

リバネスにはネットラボも化学のラボもロボットのラボもあるのに「サイエンスの話をしているだけで、サイエンスを辞めた人たち。リップサイエンティストだ」なんて言われてしまうんですよ。

でもICC、「Co-Creation」の場でこうやって登壇させてもらっているということは、多分今、サイエンスやテクノロジーが求められているということなんです。

井上 必要とされているなと思うし、あと面白そうじゃないですか。

実際、無茶苦茶面白いし、必要なんですよね。

だからこれをどう実現するかを一生懸命考えていて、その答えの1つとして、僕は研究を進めるためにはやはり、仲間をつくらないといけないと思っています。

僕が実験教室をリバネスで立ち上げた理由は「10年後の仲間」をつくるためです。

今やっている研究を若い人たちに話しに行って、彼ら彼女らがそれを「面白い」と思ってくれて10年後に全員研究者になっていたら面白いと思ってやっています。

その延長で研究費や研究を大きく広げるための活動を進めていくためには、このサイエンスを「『超異分野』で、今から新しい研究が始まります。一緒にやりませんか」と言っていかなければいけない。

そう思って、僕も一生懸命登壇するようにしています。

(続)

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続きは 10. 目指せ!「チャラ&リアル」で生まれる新たな“Co-Creation”【終】 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/尾形 佳靖/戸田 秀成

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