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ICCサミット KYOTO 2020 カタパルト・グランプリに登壇いただいた、COTEN 深井 龍之介さんのプレゼンテーション動画【「COTEN」は、ソリューションで幸せになれない現代を、歴史データベースで革新する】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2021は、2021年2月15日〜2月18日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2020 プラチナ・スポンサーのAGSコンサルティング にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2020年9月1〜3日開催
ICCサミット KYOTO 2020
Session 6A
CATAPULT GRAND PRIX
強者が勢揃い
Sponsored by AGSコンサルティング
深井 龍之介
株式会社COTEN
代表取締役
新卒で入社した大手電機メーカーの経営企画を2年で退社し独立。新規事業立上コンサルタントとして3年働く。その後福岡でベンチャー企業取締役を2社経験し、株式会社COTENを起業。現在も複数社のスタートアップ・ベンチャー起業の取締役を兼任しながらCOTENの代表を務める。人文学・歴史・社会科学が大好き。3,500年分の世界史情報を体系的に整理し、200~300冊の本を読んで初めてわかるような社会や人間の傾向やパターンを、誰もが抽出できるように世界史の一大データベースを作成するプロジェクトを進行中。また会社の広報活動としてPodcastで「歴史を面白く学ぶCOTEN RADIO」を放送中で2018年末から開始し、2019年にはJapan Podcast Awards大賞とSpotify賞をダブル受賞。Apple Podcast総合ランキング過去最高1位を獲得。
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深井 龍之介さん 株式会社COTENの深井と申します。
今日は「歴史の叡智を、誰もが受け取れる世界史データーベース」についてご紹介します。
「歴史」と言えば、多くの人がよく分からない年号の暗記や教科書の太字の単語の暗記を思い浮かべるかと思います。
それだけでは歴史の価値はとても感じづらいです。
けれども、歴史は切り口を変えることで全く見方が変わります。
歴史の切り口を新しくして、データベースを作成
たとえば、今あなたが向き合っている深刻な課題と同様の課題を抱えていた過去の人間が、その課題にどう対処して、最後どうなっていったのか。
同じように、今、社会で起きている重要な出来事と似たような構図の過去の出来事が、どのようなプロセスで進んで、最後どうなっていったのか。
このようなことが分かれば、非常に価値があることだと思います。
我々はこのように、歴史に対しての切り口を新しくアプローチして、データベースを作っています。
歴史に「タグ」の概念を入れて整理し直す
そのデータベースで何ができるかというと、例えば世界史上、部下に殺されてしまった人たちだけを集めて、その人たちの共通点と非共通点を見るということができます。
この3人の人物は「部下に殺されてしまった人たち」ですが、抽出の仕方をご説明します。
こちらは、カエサルの年表です。
まずカエサルの人生を、スライド左側のように1行1行年表に直していきます。
その1行1行に、それがどういうことかというタグ(右側の青字)を、付けていきます。
例えば、「終身ディクタトールに選出される」とあります。
これだけでは何のことか全く分からないと思いますが、これは独裁権を強化したという意味です。
「独裁権を強化」という一段抽象化したタグでくくれば、他にも同じような経験を持っているということで、ヒトラーやムッソリーニなどと括ることができます。
このように、歴史に「タグ」という概念を入れて新しく整理し直しています。
身分、職業、才能、改革など500のタグを想定
このタグの数は意外に少なく、全部で500個ぐらいしか意味のあるタグはないと思っています。
現時点では、タグを300個作っています。
どのようなタグがあるかというと、生まれたときの身分、職業、使用言語、英才教育(を受けたことがあるか)、戦争に勝つ/負ける、昇進/降格などのタグがあります。
タグはタグ同士で掛け算をすることもできます。
例えば、生まれたときの身分が平民で、職業は軍人、前半生は全然活躍できずに戦争に勝てなかったけれども、後半生になったら急に戦争に勝つようになって昇進していき最後に位が変わった。
このような検索の仕方で、当てはまる人は誰かという検索ができるようになります。
また土地情報とも結びつけているので、「いつ」「どこで」誰が生まれたのか、何が発明されたのか、どのような戦争が起こったのかをマップ上に表示させることもできます。
あとはGDP、気象情報、人口情報などと掛け算をすると、例えば「寒くなると人々が南下して戦争が起こりがちだ」とか、「王朝が交代するときに人口が減少しがちだ」という傾向も一目瞭然になります。
テーマや課題に沿って歴史情報を獲得できる
このように、自分たちが定めたテーマや課題に沿って歴史の情報を獲得できるという、いわば探求型のデータベースを、我々は作っています。
データベースの利用シーンは、世界中で使われることを想定しています。
例えば、ウェブ上の動的な歴史資料集を作って、それが歴史の教育現場で使われることはもちろん想定しています。
また、コンテンツの制作者、例えば映画を作ったり、小説を書いたり、漫画を描いたり、記事を書いたりしている人たちが参考にすることもできます。
歴史の人物占いなどの非常にカジュアルな使い方のほか、社内教育、人事考課制度にも活かせると思っています。
探求型世界史データベースの本当の価値とは
けれども、我々が考えている世界史データベースの本当の価値は、そのレベルではありません。
その社会的意義について、今日お伝えしたいと思います。
現代は、ソリューションだけでは幸せになれない時代になったと思います。
これは歴史を見ていて、非常に現代の特徴であると思います。
すでに先進国の人たちは皆、ローマ皇帝よりもいい暮らしをしています。
けれども、幸せでない人はたくさんいます。
ですから、これ以上世界を良くしたり、足りないものを補ったりしても、必ずしも幸せになれないと思っています。
そのときに大切なのは、世界を変えるという視点だけではなく、自分の捉え方を革新していくほうにベクトルを向けていくことだと思っています。
歴史の本当の価値は実はそこにあり、「世界や物事の捉え方を新しくすること」に一番歴史が機能します。
メタ認知を変えられることが、歴史の一番の価値
「歴史はすごく古いのに、世界や物事の捉え方をなぜ新しくすることができるのか?」と思われるかと思います。
歴史を見ていくと、「自分とは全く違う価値観」や「自分が置かれている状況と全く違う状況」にたくさん出会います。
この「全く違う」ということが非常に大切で、例えると1回も日本から出たことのない人が実は日本のことを分からないように、現代の概念から1回も出たことのない人は、実は現代のことを全然分かっていないのです。
例えばチンギスカンの国家観は全然私たちと違いますし、イスラム帝国の奴隷が置かれている状況は私たちの想像を絶する全く違う状況です。
そのような全く違う価値観や状況は、遠ければ遠いほど鮮明になるのですが、「過去の全く違う価値観や状況」と「自分の価値観や状況」を対比して初めて自分がどういう考え方や価値観を持っているのかがポジショニングできます。
ポジショニングができて初めてメタ認知ができ、メタ認知ができて初めて捉え方が変えられます。
つまり、メタ認知を変えられるところが、歴史の一番の価値だと思っています。
ソリューションより、「捉え方を変える」に投資したい
けれども世界はまだソリューションにばかり時間とお金、人のリソースがいっていて、なかなかこうしたところにリソースがいかないと思っています。
世界を変えるのではなく、自分たちの捉え方を変えることに僕は投資したいと思っています。
そのために、データベースを作って、1人ひとりに価値ある形で歴史を切り出してもらい、歴史ともっと触れ合う接点を、個人や法人の色々なサービスにデータベースを使ってもらうことによって増やしていきたいと思います。
そして結果的に全人類の捉え方のメタ認知レベルを上げていく、これが今我々の考えていることです。
ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/フローゼ祥子/戸田 秀成/小林 弘美/中村 瑠李子
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