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「地域の魅力を最大化する街づくりの取り組みとは?」全7回シリーズ(その1)は、JR九州の小池 洋輝さんと福岡市 市長の髙島 宗一郎さんが登場。九州で街づくりに携わるふたりが、それぞれの取り組みについて紹介します。小池さんは九州全土を盛り上げるため鉄道を超えた事業を語り、髙島市長は、国内外から住みたい街と評価される福岡市のどんなところが特別なのかを語ります。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 ダイヤモンド・スポンサーのノバセル にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICCサミット FUKUOKA 2021
Session 4B
地域の魅力を最大化する街づくりの取り組みとは?
Supported by ノバセル
(スピーカー)
小池 洋輝
九州旅客鉄道株式会社
事業開発本部 まち創造担当部長
髙島 宗一郎
福岡市
市長
他力野 淳
バリューマネジメント株式会社
代表取締役
寺田 航平
寺田倉庫株式会社
代表取締役社長
西高辻 信宏
太宰府天満宮
宮司
(モデレーター)
各務 亮
THE KYOTO
Editor in Chief & Creative Director
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▶「地域の魅力を最大化する街づくりの取り組みとは? 」の配信済み記事一覧
本編
各務 亮さん(以下、各務) 本日はどうぞよろしくお願いいたします。
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各務 亮
THE KYOTO
Editor in Chief & Creative Director
2002年から中国、シンガポール、インドなど電通海外拠点を移り住み、2012年から電通京都支社へ。京都から日本ならではのグローバル価値を生み出すべく「GO ON」「太秦江戸酒場」「夕暮能」など伝統に異分野を掛け合わせた全く新しい商品、サービス、事業を多数立ち上げ。2020年6月には京都発、文化&アートのプラットフォーム「THE KYOTO」を立ち上げ、編集長&クリエイティブディレクターに。京都芸術大学非常勤講師。佐治敬三賞、カンヌライオン、D&ADなど受賞。内閣府 クールジャパン戦略推進会議メンバー、経産省 クールジャパンビジネスプロデューサー、観光庁 目利きプロデューサー、京都市 産業戦略懇談会委員、京都市 京都市伝統産業活性化推進審議会委員など歴任。
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本日のテーマは、「地域の魅力を最大化する街づくりの取り組みとは?」です。
私は「THE KYOTO」という事業で、京都の1,200年の伝統を日々伝える活動をしています。
今日は素晴らしい取り組みをされている皆さんと議論をするのがとても楽しみです。
考えている今日の流れがこちらです。
まずは街の魅力をどう発見しているのか、それらをどのように現代的にアップデートしているのか。
さらに発信する際の一工夫、そして街づくりの本質について75分間かけて議論し、学びたいと思います。
では小池さんから、今挙げたトピックに触れていただきながら、自己紹介をお願いします。
駅ビル開発を中心に九州の街をプロデュース「JR九州」小池さん
小池 洋輝さん(以下、小池) JR九州の小池です。
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小池 洋輝
九州旅客鉄道株式会社
事業開発本部 まち創造担当部長
1971年長崎県佐世保市生まれ。1996年九州旅客鉄道株式会社入社。入社以来、JR九州の大型複合商業駅ビル「アミュプラザ」、博多駅ビル「JR博多シティ」の開発、マーケティング、リーシングなどを中心に携わり、立地依存できない地方都市の駅立地を「立地創造」的な視点とアプローチで商業開発、都市開発、まちづくりを推進。現在、福岡の都市機能変革につなげる官民連携都市計画プロジェクト「博多コネクティッド」や、スーパーシティ構想などアジアのリーダー都市を目指すスタートアップ・イノベーション都市福岡のまちづくりをはじめ、九州各地における官民連携事業への提言・参画など、次代の地方創生につながる都市開発や地域プロデュースに携わる。
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JR九州は鉄道の会社ですが、私は入社した最初の年のみ駅員や車掌を経験し、その後はずっと駅ビル開発を中心に街のプロデュースを行ってきました。
写真の上段は、10年前の2011年3月に開業したJR博多シティという大きな駅ビルです。
この開発と運営に8年間携わってきました。
下の「博多コネクティッド」は、博多駅周辺の半径約500mのエリアの再開発促進プロジェクトで、JR九州が事務局を司っています。
このプロジェクトは、今横にいらっしゃる髙島市長が大きく打ち出してくれたもので、30社ほどの地権者の方々と共に、10年かけてビルを建て替える計画です。
そして建て替えるだけではなく「世界から選ばれる福岡、世界から選ばれる九州」をキーワードに、中核都市として最先端の街づくりを官民連携で目指しています。
九州ローカルの魅力向上、自然を活かした取り組みも
小池 こうした大きな都市開発的な仕事が中心だったのですが、一方でローカルの仕事もかなり深堀りしてやっています。
上段の左から2つは7年前に運行を開始した「ななつ星 in 九州」で、日本一のクルーズトレインだと自負しています。
このクルーズトレインとセットで、九州地域のプロデュースを行ってきました。
緑の列車は「特急 ゆふいんの森」です。
我々は観光列車という言葉は使わずD&S(デザイン&ストーリー)列車と呼び、単なる観光ではなく「ストーリー」をつくっていこうとしています。
下段の左右にあるのは、無人駅のプロデュースや古民家の再生事業の事例です。
▶無人駅に残る旧駅長官舎、ホテルに変身 JR九州の挑戦(朝日新聞)
▶歴史的建造物を宿泊施設に JR九州 第1弾は佐賀と宮崎で(産経新聞)
中央は、佐賀の酒蔵をホテル化しようという取り組みです。
さらに最近は、都市部やローカルに加えて「自然」にも注目しています。
昨年(2020年)秋には、新しい取り組みのためにスノーピークさんと協定を結びました。
▶【スノーピークとJR九州がニューノーマル時代の新たな体験の創出】野遊びとモビリティで紡ぐ九州の魅力(PR TIMES)
このように、九州を盛り上げるために色々な活動を行っています。
各務 ありがとうございます。
では引き続き、髙島市長、お願いします。
国内外から“住みたい街”として高評価「福岡市」髙島市長
髙島 宗一郎さん(以下、髙島) はい、よろしくお願いいたします。
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髙島 宗一郎
福岡市
市長
1974年大分県生まれ。大学卒業後,アナウンサーとして朝の情報番組などを担当。2010年12月に史上最年少の36歳で福岡市長に就任。2014年、2018年といずれも史上最多得票を更新し再選、現在3期目。2014年3月に国家戦略特区を獲得、数々の規制緩和や制度改革を実現。日本のスタートアップシーンを強力にけん引し、テクノロジーで新しい価値を生み出す未来志向のまちづくりを行う。2017年、日本の市長で初めて世界経済フォーラム(スイス・ダボス会議)に招待される。スタートアップ都市推進協議会会長。
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改めまして、ICCサミットの福岡での開催、毎回ありがとうございます。
そして皆さん、ようこそお越しくださいました。
福岡がどんな街で、どんなことをしているかを簡単に説明させていただきます。
福岡は国内外から住みたい街・住みやすい都市として高評価をいただいております。
英国発のグローバル情報マガジン『MONOCLE(モノクル)』では、住みやすい都市ランキング第7位。
国連ハビタットでも、100万人規模の都市の中ではアジアで唯一、「コンパクトで暮らしやすいまちづくり」としてモデル都市に選ばれました。
▶都市と国土計画に係る国際ガイドライン(国連ハビタット福岡本部)
そしてなんと言っても、実際に住んでいる市民の皆さんの96.7%から「住みやすい」という評価をいただいています。
この数字は8年連続で95%を超えています。
人口規模で見ると、日本の政令指定都市の中では5番目の大きさで、人口増加率は東京を抜いて21大都市中1位です。
うどん・日本茶・ういろう…実はみんな福岡発祥
髙島 福岡の人は、「福岡(市)には見るところがない」とおっしゃいます。
行くとしたらこちらにいらっしゃる西高辻?さんの太宰府天満宮くらいしかないと言いますが、太宰府天満宮があるのは太宰府市です。
しかしせっかくICCで福岡に来ていただいたなら、ぜひ見ていただきたいところがあります。
例えば福岡は、うどん・そばの発祥地です。
香川には黙って譲っていますが実は福岡が発祥地で、承天寺には碑(饂飩蕎麦発祥之地碑)も建っています。
それから、日本最初の禅寺もあり、日本茶の発祥地でもあります。
そして実は、ういろうも名古屋ではなく福岡発祥なのです。
▶おすすめまち歩きルート ルート02 発祥の地コース(博多の魅力)
▶博多の豆知識 vol.75 日本初の禅寺・聖福寺はお茶の発祥地(福岡市)
おまけに言うと、体長約150mあったと伝承の残っている人魚の骨まであります!
(一同笑)
▶観光スポット 冷泉山 龍宮寺 人魚の骨があるお寺(博多の魅力)
福岡はこのように、長い歴史を誇る街なのです。
福岡の中心にエンジニアとスタートアップの拠点を
髙島 京都は歴史の街というイメージがあって観光もできるのに、なぜ福岡はできないのか?
歴史的なもの・由緒あるものが「点」としてあっても、それらを「線」としてつなぐ道や街並みが整備されておらず、「ストーリー」が「ストリート」でつながっていないことがあげられます。
そこで、「博多旧市街」と大きな括りでまとめて、誰もがわかりやすい案内板で「街のストーリー」を伝え、石畳風の道路や情緒豊かな街灯を整備して「ストリート」でつなぐという、素晴らしい資源を結ぶ道づくり、資源を可視化する街並みづくりに取り組んでいます。
▶福岡市 『博多旧市街プロジェクト』着実に進行中!!(福岡市)
また本日のトピックのひとつである、街の魅力をどう発見し、それらをどのように現代的にアップデートしているかについては、具体例として写真左の赤煉瓦文化館についてご紹介します。こちらは図書館の分館でしたが、1日の訪問者数が数人とほとんど使われていませんでした。
ここを、国指定の重要文化財だからこそ真逆の価値を組み合わせてエンジニアの拠点「エンジニアカフェ」として活用しています。
これから世界でエンジニア人材の奪い合いが予想される中で、エンジニアの拠点・聖地として、福岡のアイコンにしたいという思いがあります。
また福岡市内で最古の小学校をスタートアップの拠点にすべく、その校舎を「Fukuoka Growth Next」という日本最大級のスタートアップ支援施設として活用しています。
▶福岡のスタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」がリニューアルオープンから2周年。FGNの今を示すインフォグラフィックを公開
福岡市では、航空法で規制されていたビルの高さ制限を「国家戦略特区」を使って緩和して、中心部の民間ビルの立て替えを誘導するプロジェクト「天神ビッグバン」を進めております。天神交差点を中心とした、このプロジェクトでは、70棟ものビルが建て替わる見込みで、ちょうどスタートアップ支援施設が西のゲートに、エンジニアカフェが東のゲートになっています。
スタートアップが生み出す新しい価値と、エンジニアが生み出す新しい世界観が切磋琢磨するように、福岡都心にこうした拠点を埋め込んでいます。
新型コロナを追い風にした再開発プロジェクト
髙島 そして新型コロナは、福岡にとってはチャンスであると考えるようにしています。
先ほど小池さんが触れた博多駅周辺の「博多コネクティッド」、今申し上げた「天神ビッグバン」、九州大学箱崎キャンパス跡地の「FUKUOKA Smart EAST」など、多くの再開発プロジェクトが福岡市では進んでいます。
これらプロジェクトを進めていたところ、コロナ禍がやってきたので、それなら逆に、再開発に合わせて世界のどこよりも感染症に強い街「感染症対応シティ」を世界最速で創り上げるべく、感染症対策をしたビルの建て替えには、容積率緩和のインセンティブをつけるなどしています。
▶福岡市、コロナ対策ビルは容積率優遇 天神ビッグバンも2年延長(西日本新聞)
コロナが発生しなければ、単に都市開発が首都圏に比べて10年遅れて進むだけだったのですが、「ピンチをチャンス」に変えるという発想で、このように世界に先駆けた感染症に強いまちに生まれ変わろうとする取り組みを進めています。
海と山が近距離の“コンパクトシティ”を強みに
髙島 さらに、新型コロナで自然への注目が高まっている昨今ですが、福岡は都心から海と山が近いことが魅力です。
「Work Hard, Play More Hard」〜よく働き、より遊ぶ〜をキャッチフレーズに、さらに魅力を高めるべく、海沿いの道路は無電柱化したり、歩道をきれいにしたりしています。また、今ソロキャンプが話題になっていますが、山間部にある自然豊かな憩いの施設の整備を進めしたりしています。
民間の力も借りながら、こういったアップデートの取り組みを行っています。
各務 ありがとうございます。
では他力野さん、お願いします。
(続)
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続きは 2. 歴史的建造物の「保全」と「マネタイズ」を両立させる観光街づくり をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/尾形 佳靖/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸
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