【NEW】ICC サミット FUKUOKA 2025 開催情報詳しくはこちら

2.DeNAの海外展開を皮切りに、在米のスタートアップで世界に挑むPlayco大塚さん

新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!

「グローバルスケールのビジネスをいかに構築するか?」、全6回シリーズの(その2)は、Playcoの大塚 剛司さんが登場。2009年の夏にソーシャルゲーム事業をDeNAで立ち上げ、アメリカ展開に挑んだことが世界への挑戦の始まりという大塚さん。アメリカ人3人と立ち上げた、現在のPlaycoまでのストーリーと、世界がつながるインスタントゲームの可能性を語ります。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 ダイヤモンド・スポンサーのノバセル にサポート頂きました。


【登壇者情報】
ICCサミット FUKUOKA 2021
Session 11B
グローバルスケールのビジネスをいかに構築するか?
Supported by ノバセル

(スピーカー)

大塚 剛司
Playco
Co-Founder, SVP, Executive Producer

児玉 昇司
ラクサス・テクノロジーズ株式会社
代表取締役社長

十河 宏輔
AnyMind Group株式会社
代表取締役CEO

玉川 憲
株式会社ソラコム
代表取締役社長

(モデレーター)

西條 晋一
XTech Ventures株式会社
代表パートナー

「グローバルスケールのビジネスをいかに構築するか?」の配信済み記事一覧


連載を最初から読みたい方はこちら

1つ前の記事
1.グローバルに挑戦する登壇者たちが、現在進行系の取り組みを議論!

本編

インスタントゲームでグローバル市場を狙う「Playco」大塚さん

大塚 剛司さん(以下、大塚)大塚と申します。今日はよろしくお願いします。


大塚 剛司
Playco
Co-Founder, SVP, Executive Producer

石川県出身。東京大学工学部卒業。日本のモバイルソーシャルゲームの幕開けとなった「怪盗ロワイヤル」の生みの親。2005年から10年間在籍した株式会社DeNAでは、エンジニア、プロデューサー、ディレクターとして、様々な新規事業を手がけ、2,000万人を超えるユーザーを抱えた、モバイルソーシャルゲームプラットフォームMobage Platformを牽引。2011年以降は米国シリコンバレーを拠点に移し、モバイルゲームプラットフォーム展開、ゲーム開発、R&Dなどで、DeNA Westや現地スタートアップ(N3TWORKなど)で主導的な役割を担う。 Playcoには共同創設者として参画し、インスタントプレイゲームで世界中の人々をつなぐグローバル企業を設立するという彼の夢を実現することを決心。

僕は元々DeNAの出身で、2005年から2010年までは東京で仕事をしていました。

その間はエンジニアやプロデューサーとして、いろいろなECのサービスや新規事業をやっていました。

そして、2009年の夏にソーシャルゲーム事業を社内で立ち上げて、それをリードする中でDeNA自体がアメリカにあるゲームスタジオを買収することになり、2011年からは私自身がその海外展開の役割を担うようになりました。

今もアメリカに住んでいて、移住して10年くらいになります。

残念ながら、DeNAのアメリカの海外展開は途中でだいぶ縮小することになりました。

この後のディスカッションでどういうところでつまづいたかとか、どこは改善していったかみたいな話もできればなと思っています。

僕自身はその後もサンフランシスコに残って、そこにあるスタートアップに参画してモバイルゲームの事業を中心にやっていました。

その間に向こうの知人の会社を手伝ったりしていて、そのときにマイケル・カーター(Michael Carter)と友達になって、彼のやっていた会社を手伝うことになりました。

そしてその流れで、彼と今やっているPlaycoという会社を新たに設立することになりました。

3人のアメリカ人と共同創業、100億円の資金調達も実施

Playco Co-Founder, SVP, Executive Producer 大塚 剛司さん

大塚 Playcoでは、モバイルを舞台に世界にソーシャルゲームを展開して、世界中の人々を繋げていくというミッションで事業を展開しています。

これがファウンダーの4人で、僕以外の3人はアメリカ人です。

一番左のマイケル・カーターがCEOで、元々この会社を作る母体となった20、30人くらいの小さい会社をやっていた人間です。

彼はHTML5(※)などのウェブテクノロジーにこの10年くらいずっと賭けてきたエンジニアで、アントレプレナーです。

▶編集注:HTML5とは、ウェブページを作成するマークアップ言語の最新の表示規格で、複雑な処理の簡易化や、動画や音声などの埋め込みが容易などの特徴がある。
HTML5とは何か?SEOとの関係・特徴・メリットを説明(ナイルのSEO相談室)

二人目のジャスティン・ウォンドロン(Justin Waldron)は、Zyngaのファウンダーの一人です。

彼は、実はZynga Japanを作るときに日本にやってきまして、だから2010年くらいから僕とはずっと友達で、いろいろプライベートでやりとりしていた仲でした。

今回意気投合して、一緒に会社をやろうということになりました。

一番右のテディ・クロス(Teddy Cross)もアメリカ人で、若くて優秀なエンジニアです。

この4人で立ち上げてやっているところです。

先ほども申し上げましたが、僕らはHTML5のゲームを通じて、世界中の人々、100万、200万人というレベルではなくて、10億人、20億人がプレイするようなゲームを作るというミッションでやっています。

そのミッションを掲げている時点で、会社としてグローバルにならざるをえません。

今後来るであろう大きな勝負に備えるという意味で、去年の夏頃に100億円規模の資金調達をしています。

Playco、セコイアなどから100億円の大型調達。 日米ゲーム界のレジェンド集結(INITIAL)

「インスタントゲーム」の市場規模、可能性とは?

西條 日本だと芸者東京さんが調子がいいと聞きますが、今、HTML5のインスタントゲーム市場はどれくらいの規模になっているのでしょうか?

大塚 公表されている数字は全く無いのですが、インスタントゲームとしてはすでに何千というゲームが出ていて、その中で一番多いのは、“ハイパーカジュアル”なゲームです。

僕らはどちらかというともっとソーシャルな、人と人が繋がって初めて面白さが出てくるようなゲームを試しています。

ユーザーのリテンションもなかなか良いのですが、そこから課金するにはどうするかとか、Appleなどとの兼ね合いもいろいろあります。

でもそこをうまくやると、月々少なくとも数億円、二桁億円というレベルのポテンシャルは今見えている状態です。

西條 ライトなアプリのゲームではなくて、完全にMessengerとかの中でやるゲームの方ということですよね。

大塚 そうですね。

ユーザーからすると、今モバイルのゲームというと例えば友達から紹介されてアプリストアに行ってダウンロードして、登録してプレイするという流れですが、僕らがやっているのは違います。

友達からの紹介は、Facebookや他のソーシャルメディア上でされます。

そこから、ユーザーとしてはダウンロードをせずにリンクをクリックするだけでゲームがその場で立ち上がります。

Facebookのアプリだったら、その上でパッと5秒くらいでゲームが立ち上がります。

ビジネス的にみると、これはユーザー獲得単価を大きく抑えることができます。

ジャンルによっても違いますが、マーケティングを行ってAppleストアにユーザーを導いても、だいたい8割くらいのユーザーはダウンロードやインストールで脱落してしまいますので、そこがないというだけでもメリットになります。

そこを省くことで、普段ゲームをやらない人たちでもカジュアルに始められて人と繋がるというところで、僕らはHTML5という技術を選択しています。

ゲームに興味がない人も、ついついやってしまう仕組み

大塚 今言った話がここのスライドで、基本的に僕らの考え方は、FacebookやSnapchatやLINEなど、人が繋がっているところに“酒のつまみみたいな何か”を置いてあげるというもので、それが僕らの場合はゲームになります。

プレイヤー間で協力したり、戦ったりすることで会話が生まれたり、居場所が生まれたりということで、人の輪を広げていきたいという思いでやっています。

西條 昔ミクシィに始まって、GREEやモバゲーなどの各プラットフォームが、ウェブだとFacebookとかが、ディベロッパーを争奪するみたいなのがあったじゃないですか。

そういうのはまだ始まっていないんですか?

大塚 まだそこまでのレベルではないですね。

今の状況は、Playcoとしてはこんなゲームどうだとか、あんなゲームどうだっていうのを、主にFacebookのインスタントゲームで試している状況です。

その中で、ソーシャルで攻めていって、リテンションをしっかり高められるような仕組みにしてあげるのがいいというのが見えてきました。

そのときのユーザーの反応が、僕がちょうど10年前くらいにやっていた本当に初期のソーシャルゲーム、ミクシィGREEモバゲーでやっていた初期のユーザーの動きに本当に似ています。

ZyngaがFacebook上でやっていたFarmVille(農業シミュレーションゲーム)とか、そのときの動きとも結構似ています。

だから、僕もジャスティン・ウォンドロンも体で反応してしまって「これは来るだろう」みたいな。

ちょうど今、つぼみを見つけたというようなフェーズです。

まだそこに気づいているディベロッパーはそんなにいないのかなという状況です。

児玉 昇司さん(以下、児玉)ちょっと聞いていいですか? それは実際、どういう動きなんですか?

大塚 そんなにゲームに興味がない人もやってしまうということです。

そんなにゲーム自体には興味がないんだけど、友達がやっているからついつい、という感じです。

例えば自分の領土があって、そこを突かれるとします。

そうすると思わず反応してしましますが、10秒もあれば仕返しが出来たりします。

そのようにしてメッセージに反応していくと、どんどん楽しくなっていって、しまいには自分の領土をケアするようになったり、資源を獲得するために自ら動くようになっていくと。

普段ゲームをやらない人たちでも、友達がやっていて、突かれることでついついハマっていく、ちょっと言葉が強いですけれど、そういう動きが見てとれます。

それは、ハードコアになりつつある最近のモバイルゲームではなかなか見れなかった動きなので、そこが新しいチャンスかなと思っています。

西條 そのゲームというのは、プラットフォームを超えて交流はできるのですか?

例えば、LINE上でゲームをして、そのゲームをSnapchat上でもやるとか。

大塚 いずれはそうしたいと思っていますけど、今のところはプラットフォーム独自で展開するという考えですね。

西條 はい、ありがとうございます。

グローバルなチームで、来たるべき短期決戦に挑む

大塚 最後のスライドです。

元々アメリカにあった会社をベースにしていて、現在スタッフが85人くらいで、このスタッフが世界中にどのくらいいるかという割合がこの数字です。

例えば、アメリカは約64%、ヨーロッパに約13%、日本を含むアジアに約17%、アフリカや南米に約6%という割合になっています。

僕らの基本的な考え方としては、優秀な人であればその人がどこにいようと構わないとしていて、全世界を採用マーケットとして見ています。

そういう考え方で組織を作っています。

西條 シリーズAで約105億円、1億ドルくらい集めて、いきなりユニコーンになったじゃないですか。

その100億円はどのくらいの期間で投下していくのか、どのくらいのスピード感でやるものなのですか?

大塚 割と短期勝負だと思っています。

2010年から2012年頃のソーシャルゲームの競争を思い起こすと、すごく短期間でチームを作って、マーケティングを行ってユーザーを獲得するという戦いが確実に起こると思っています。

それが今年の春からなのか冬からなのかは分かりませんが、それが始まったらすごく短期的に、まずはM&Aも含めたチームビルディングのところですね。

あとは、うまくいくゲームが見つかったら、そこに数十億円ベースで使っていこうかなという感じです。

プラットフォーマーとの関係値を大切に

西條 過去のソーシャルゲームの戦い方や勝者を見ていると、やはりプラットフォームのインサイダーというか、関係値が近い会社の方が先にいろんな仕様の情報を知っていたりしますよね。

古くはiモードがそうでした。

そういう意味で、グローバルでの経験値やネットワークがありそうな人がいると、世界中のプラットフォームのかなり近いところで戦えるし、またプラットフォームの方からも「もっとゲームを作ってくれよ」って言われるようなポジショニングが取れるのかなと思います。

大塚 そうですね。そこはすごく大事にしているところです。

結局はユーザーさんにプレイしてもらわないと始まらないので、やはりプラットフォームと夢を一緒にして、どうやったら良い仕様が作れるをゼロベースで話していける関係というのは、非常に大事だと思っています。

まだ発表はしていませんが、元々Facebookでずっとモバイルアプリのアド(広告)の仕組みを作ったり、インスタントゲーム・プラットフォームの運用をリードをしていた人が入ってきてくれています。

PlaycoのCTOになる予定ですが、そういうことも含めて、プラットフォームとの関係値をどんどん縮めていくのを大事にしています。

西條 勝ち筋を押さえた体制でチャレンジできているという感じですね。

大塚 そうですね。やるべきことはやって、後はいろいろな不確定要素があるので、どうなるか結果を見ようという心構えです。

西條 なるほど、ありがとうございます。では、ラクサスの児玉さん、お願いします。

(続)

次の記事を読みたい方はこちら

続きは 3.アメリカ市場に挑むラクサス児玉さん、東南アジアでサプライチェーンのDXを推進するAnyMind十河さん をご覧ください。

新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!

編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/浅郷 浩子/戸田 秀成/SNOWLIGHT

他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

更新情報はFacebookページのフォローをお願い致します。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!