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「ファン作りとユーザーの資産化」【K16-2A】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その5)は、良品計画 濱野さんに無印良品が大切にしてきたブランド概念と、消費者の声を聴く商品開発についてお話し頂きました。事前人気投票で1位に輝いたセッションです。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016 「ICC SUMMIT」
Session 2A
「ファン作りとユーザーの資産化」
(スピーカー)
青木 耕平
株式会社クラシコム
代表取締役
佐渡島 庸平
株式会社コルク
代表取締役社長
長見 明
スターバックスコーヒージャパン株式会社
マーケティングコミュニケーション本部 デジタル戦略部 部長
濱野 幸介
株式会社良品計画
Chief Marketing Technologist(当時)
*現在はプリズマティクス株式会社 代表取締役
(モデレーター)
守屋 彰人
株式会社ディー・エヌ・エー EC事業本部長 (当時)
*現在はダイソン株式会社 Head of Direct
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【前の記事】
【本編】
守屋 良品計画さんでは、数百ページのマニュアルを用意されて画一的な店舗のオペレーションをされているそうですので、濱野さんにご紹介頂ければと思います。
濱野幸介 氏(以下、濱野) 良品計画Web事業部の濱野と申します。よろしくお願いします。
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濱野 幸介
株式会社 良品計画
Chief Marketing Technologist
2000年、アクセンチュア株式会社入社。主に小売・流通業のIT戦略策定、業務改革、基幹・CRMシステム導入等のプロジェクトに従事。2009年、株式会社リヴァンプに入社後、小売・流通業の基幹刷新・マーケティングシステム導入を推進。2013年、同社CTOに就任、MUJI passportの企画・開発・運営を担当。2015年、株式会社良品計画CMT(Chief Marketing Technologist)に就任、現在に至る。
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資料にボリュームがあるので、スキップしながら今のお話に触れさせて頂きながらお話をしていきたいと思います。
私は技術屋なのですけれども、今日は技術抜きのお話をさせて頂こうと思います。
西友のプライベートブランドとしてスタート
良品計画は、西友のプライベートブランドだった「無印良品」から始まりました。
最初は約40品目で始まりましたが、現在では約7,000品目までに拡大し、衣食住全てをカバーするほどになりました。
年商は、良品計画グループ全体で約3,000億円、良品計画単体で約2,000億円です。
店舗数は国内400、海外340と、海外が逆転するような状態になってきているブランドです。
イメージでいうとこのような感じだと思うのですが、こちらはニューヨークのタイムズスクエアなのですが、こちらでも同じような形で展開しています。
(画像割愛)
見て頂いたら分かると思うのですが、ポップ等が全くありません。そのようなところにも弊社のブランドポリシーが反映されていますので、これからご紹介したいと思います。
皆さんが抱く無印良品のイメージは恐らくこのようなものだと思いますが、
実は家(無印良品の家)も売っています。
また、実はキャンプ場も運営していまして、南乗鞍や津南などにキャンプ場を持っています。
無印良品のブランド概念
「生のマッシュルームは丸いのに、なぜ缶詰では端の部分がないの?」という疑問が、無印良品のブランドの概念を端的に説明してくれます。
(画像割愛)
本来は栄養価も変わらないのに、形を整えるために、実は約10パーセントにあたる(マッシュルームの)端の部分が捨てられているんですね。
でも、選別する手間や捨てる手間を考えると、実はコストも結構かかってしまっているんですよね。
そこで、例えば全部切り刻んだものをランダムな形で販売したらどうだろうと考えて生まれたものが、「ランダムスライスマッシュルーム」という商品です。
▶ 参考資料:無印良品アーカイブ「1980年 マッシュルーム(ランダムスライス)」
布団も同じですね。80年代くらいだと柄物の布団が多くあったと思うのですが、無印良品の布団はこういう形になっていると思います。
(画像割愛)
加えて、手間やコストを省いて、「わけあって、安い」というキャッチコピーも生まれました。
▶ 参考資料:無印良品アーカイブ「1982年 掛けふとん 敷きふとん」
その精神的支柱になっていたのは、20世紀を代表するグラフィックデザイナーの田中一光さんでした。
売り手企業の論理ではなく、生活者の論理
(画像割愛)
クリエーティブディレクターとして、無印良品で20年来活躍して頂いた方なのですけれども、このような言葉を残されています。
▶ 参考資料:田中一光と無印良品
89年代、90年代にこういう言葉を残されているなんてすごいなと、見ると震えてしまうのですが、他の表現として、例えば「ステーキを食べたり、フォアグラを食べたりして、もう飽食になった時に、『ああ、お茶漬けはうまいな』というような感覚が、無印良品です。」というようなものがあり、こういった感覚を2000年よりも前の段階で唱えておられたような方です。
つまり、無印良品が目指していたのは、売り手企業の論理ではなく、生活者或いは自然の論理に沿ってやるんだよ、ということなのです。
ですから、単純に安売りしましょうとか、大量に作って売るんですとか、そういう話ではなくて、むしろ無印良品というブランドは思想やライフスタイルそのものだという考え方が色濃く残っています。
これが、ユーザーとのコミュニケーションにもかなり落ちてきています。
これは1990年のポスターなのですけれども、消費者の要望に耳をすませ、顧客との「声のキャッチボール」に最大の努力を払うというメッセージが表現されています。
(画像割愛)
実際に、ネット時代の前から、無印良品では「オブザベーション(観察)」という手法で商品開発を行ってきました。
3人1組くらいで消費者のお宅を訪問し、リアルな暮らしの中で商品がどのように使われているかを「観察」させて頂くことで課題を見つけ、商品開発のヒントとするというのが原点になっています。
ネット上でも「モノづくりコミュニティー」というのを2000年から始め、それをリニューアルした形で「くらしの良品研究所」の中の「IDEA PARK」が生まれました。そこでは、「こういう商品が欲しい」や「こういう商品を再販して欲しい」といった消費者の声を受け付けています。
その「モノづくりコミュニティー」の中で実際にお客様とのインタラクションを通して生まれた代表的な商品が、「体にフィットするソファ」です。
(画像割愛)
これを拡大販売することになったのも、お客様の声がきっかけでした。
Twitterで投稿された方がいらっしゃいまして、これがかなり拡散して、結果的に「体にフィットするソファ」が2014年から2015年にかけて爆発的に売れるという現象が起きました。
実は「体にフィットするソファ」自体は昔から販売されているんですよね。
先ほどちらりと出ましたけれども、「持ち運べるあかり」は、(本体が)充電器の上に乗っていて持ち運べるようになっているものです。
(画像割愛)
この「持ち運べるあかり」が2001年に、そして「体にフィットするソファ」が2004年に、それまでもコンスタントには売れていたのですが、ソーシャルメディアで「こういう使い方をしたらものすごく楽しいよ」といったコメントと共に拡散して頂いた結果、爆発的に売れるという現象が起きています。
(続)
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/Froese 祥子
続きは リアルとネットの対立構造を覆す無印良品のデジタルマーケティングの進化 をご覧ください。
【編集部コメント】
続編(その6)では、良品計画 濱野さんに無印良品のデジタルマーケティングについてお話し頂きました。是非ご期待ください。感想はぜひNewsPicksでコメントを頂けると大変うれしいです。
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