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ICC FUKUOKA 2022 カタパルト・グランプリに登壇いただき見事優勝した、フィッシュ・バイオテック 右田 孝宣さんのプレゼンテーション動画【民間初、通年採卵できるサバの種苗と「閉鎖循環型陸上養殖」で、新たな食文化の創出を目指す「フィッシュ・バイオテック」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022プラチナ・スポンサーのAGSコンサルティングにサポートいただきました。
▶【速報】ゴムの常識を変える「錦城護謨」と、サバ養殖を進化させる「フィッシュ・バイオテック」がカタパルト・グランプリ同率優勝! (ICC FUKUOKA 2022)
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【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICC FUKUOKA 2022
Session 6A
カタパルト・グランプリ- 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング
右田 孝宣
フィッシュ・バイオテック株式会社
代表取締役社長
1974年大阪生まれ。20代でオーストラリアに、料理修行のため現地寿司チェーン店に就職。24歳で工場長、その後スーパーバイザーへ。入社当時2店舗のお店を、2年間で13店舗まで拡大し成功するが、日本での可能性に賭け、26歳に帰国。2004年居酒屋「笑とり」をオープン。居酒屋で大人気だった「鯖寿司」をきっかけに、2007年さば寿司を製造・販売するさば寿司専門店『鯖や』を設立。2014年にクラウドファンディングで、さば料理専門店『SABAR』をオープン。2017年には、さばの海面養殖などを手掛ける『フィッシュ・バイオテック』を設立。
「フードロスを養殖飼料に換え、サバを育て、天然の水産資源を侵さないサステナブル養殖で世界を救う」ことを目指し、R&D(研究開発機関)として、オープンイノベーションにより、他社のノウハウをまとめ、「養殖」という市場で挑戦・商品化をしている。ICC FUKUOKA 2021 「スタートアップ・カタパルト」優勝。
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右田 孝宣さん 「サバの陸上養殖で世界を変える!」
フィッシュ・バイオテック株式会社、サバ博士の右田です。よろしくお願いします。
妻の一言から、サバ料理専門店を創業
まず最初に、我々の既存のビジネスを紹介させてください。
15年前、妻と2人で小さな居酒屋を経営しておりました。
そこで大人気だったのがサバ寿司でした。
私の妻が言った「あなたが作る料理で唯一美味しいのはサバ寿司なので、サバ一本で頑張ったら?」の一言で、とろサバ専門店「鯖や」を創業しました。
最初はサバ寿司の製造販売から始め、8年前にサバだけを扱ったサバ料理専門店SABARをオープンさせました。
現在、国内に15店舗、海外はシンガポールに3店舗を展開しております。
我々は大きなサバを「とろサバ」としてブランディングしております。
サバを卵から孵化させる完全養殖をスタート
このとろサバが年々獲れなくなり、危機感を感じて、我々の手で最高のサバを育てようと、2020年1月、和歌山県の串本でサバを卵から孵化させる完全養殖をスタートさせました。
▶ICC FUKUOKA 2021スタートアップ・カタパルト優勝! フィッシュ・バイオテックのサバの養殖研究施設を見学しました
そして2020年6月、NTTドコモさんと業務提携をし、スマート養殖で最適給餌の自動化を目指しております。
▶NTTドコモと鯖やグループが業務提携、ICT活用で新たなサバ養殖モデル確立を目指す(食品産業新聞社)
昨年、NTTドコモさんのCMに一瞬だけ出たので、共有させてください。
はい、一瞬です(笑)。
数あるリスクの中でも特に深刻な海の温暖化
我々のスマート養殖への取り組みから見えた海面養殖のリスクです。
赤潮、台風、高水温。
これらは予測できても対策ができません。
また、津波、海底噴火、寄生虫(アニサキス)などの予測はできるけれども、解決ができません。
特に地球温暖化は深刻です。
今世紀末では最大4.8℃の温度上昇が予想されます。
▶地球温暖化についてのIPCCの予想シナリオ 2015/08/24(WWF JAPAN)
このまま上昇が進めば、日本で養殖されている90%以上の魚が養殖されない可能性があります。
魚の自給率がこの50年間で59%に低下
天然魚の漁業も深刻です。
この30年間で漁獲量は半分以下に、漁業従事者は50年前から3分の1になっています。
魚の自給率も、この50年間で59%まで低下しています。
▶日本は「お魚大国」ではなくなったの? : 食用魚介類自給率は6割前後で推移(nippon.com)
SDGsの観点からも、漁業の未来は「養殖」に向かっております。
しかし、海面養殖のリスクは大きいです。
「閉鎖循環型陸上養殖」という解決策
そして、私たちは出会いました。
これらすべてを解決する閉鎖循環型陸上養殖「C-RAS(Closed Recirculating Aquaculture System)」に。
▶C-RAS 閉鎖循環式陸上養殖とは|C-RASをご存知ですか?(JASURAC)
簡単に、このC-RASを説明させてください。
水道水さえあれば水替え不要で、ビルの屋上でも、駅ナカでも、砂漠でも、魚が養殖できる技術です。
陸上養殖になると、海洋環境の問題、アニサキス、感染症の問題、労働環境の問題、これらが解決します。
アニサキスに関しては、感染経路がゼロになります。
労働環境は、100歳まで続けられる漁業が実現します。
民間初! 通年採卵で高成長のサバを生産
我々のビジネスモデルです。
サバの陸上養殖のプラットフォームを、R&Dしております。
種苗(※養殖用の稚魚や卵)、餌、水槽設計、育成システム、これらすべてを一気通貫、パッケージ化していきます。
2021年、我々は20万尾のサバの種苗を生産しました。
▶人工種苗の予約受付開始|さば陸上養殖(フィッシュ・バイオテック)
特徴としては、いつでもサバが卵を産むことができる「通年採卵」の技術を持っています。
通常サバは春先に卵を産みます。
我々の技術では、早く卵を産むこともできれば、遅く卵を産むこともできます。
これは民間では初の技術です。
また 2022年は、5世代選抜に続いて「6世代の選抜育種」 を進めていきます。
これにより、高成長で病気に強いサバを育てることができます。
これも民間では初です。
そして陸上で採卵、陸上で養殖することにより、アニサキスフリーを実現します。
我々は現在、大阪、和歌山、埼玉の3拠点で研究開発をしております。
こちらは、大阪の陸上養殖のラボです。
駅から1分、雑居ビルの1階で陸上養殖の研究開発をしております。
このような形で複数の水槽を保有し、日々サバの研究開発を進めております。
こちらは岩谷産業さんとNTTドコモさんとの共同研究の水槽になります。
スマートフォンで養殖を管理
次に、遠隔でサバの養殖の動画を見ていただきます。
右下の白いところから、自動給餌で餌が出てきます。
このような形で、いつでもどこでも、サバの養殖の様子を見ることができます。
将来的には、これらすべてをスマートフォンで管理し、サバを育てながら海外旅行に行ける、そんな未来を創りたいと思っております。
陸上養殖市場を拡大しサバの「生食文化」を創りたい
陸上養殖の市場規模です。
直近5年で国内260億円、海外は7,400億円まで拡大します。
我々は前澤ファンドに応募した約4,330社の中から採択された13社のうちの一社です。
「狙うはサバの生食需要」、サバの生食文化を創ります。
昨年、23万人にアンケートを取りました。
「サバを生で食べたことがありますか?」
64%以上の方が、「まだ食べたことがない」と答えています。
そのほとんどが「食べてみたい」と答えております。
「サバ」も「サーモン」と同様のブランディングが可能
ここで突然ですが、皆様、サーモンが刺身で食べられるようになったのは、いつからだったかご存知ですか?
1980年、天然の鮭はアニサキスがいるため、生で食べることができませんでした。
加熱するか、もしくはスモークサーモン、ルイベ(※) で食べておりました。
▶編集注:サケやマスなどの魚を冷凍させてから、解凍させないまま刺身にして食べる郷土料理(農林水産省 うちの郷土料理)
そして1995年前後、ノルウェー、チリから安全で生食できるサーモンが入ってきました。
そこで鮭と区別してブランディングすることで、お寿司屋さん、小売店で定着しました。
1980年、マーケットがゼロだったのが、この40年間で3,000億円までマーケットが広がっています。
私どもは、サバのマーケットも昔のサーモンに似ていると思っております。
今、天然のサバにはアニサキスがいて、生で食べることができません。
加熱するか冷凍して食べています。
我々のC-RAS、そして完全養殖の技術では、「アニサキスフリーで生食できるサバ」を育てることができます。
天然のサバと区別してブランディングすることで、寿司屋、小売店で定番化すると、私は信じております。
全国2万店以上の寿司店がポテンシャルマーケット
ポテンシャルです。
全国には2万店舗以上の寿司店があります。
ここで1日20皿の生サバの握りを出すことによって、現在養殖されているサバの13倍以上の数になります。
ある大手の回転寿司のバイヤーが言っていました。
全国数百カ所の漁港を回って、魚のプロが口を揃えて「一番おいしい魚はサバだ」と答えているらしいです。
サバに人生を賭け、サバの進化を支えていく
2007年、妻の一言でサバへの飽くなきチャレンジがスタートしました。
2010年、サバの伝道師として、サバの魅力を発信しています。
2017年、居酒屋からサバ養殖へのチャレンジ。
2020年、スマート養殖に参入。
そして2022年、海から陸へ、アニサキスフリーを実現します。
サバ一筋、サバに人生を賭けて15年、これからもサバの進化を支えていきます。
「サバの生食文化をつくる」「陸上養殖のプラットフォーマー」、フィッシュ・バイオテック株式会社でした。
皆サバ、養殖サバを食べましょう!
おつかれサバです。
(終)
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美
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