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ICC KYOTO 2022 CATAPULT GRAND PRIX(カタパルト・グランプリ) – 強者が勢揃い – に登壇いただいた、Magic Shields 下村 明司さんのプレゼンテーション動画【転倒時だけ柔らかくなる「ころやわ」で、人を骨折から守る床材のグローバルスタンダードを目指す「Magic Shields」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはAGSコンサルティングです。
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【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 6A
CATAPULT GRAND PRIX(カタパルト・グランプリ) – 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング
下村 明司
株式会社 Magic Shields
代表取締役
2006年からヤマハ発動機にて14年間にわたり、主にバイク開発を実施。特にレース用バイクに携わり、各部品の研究開発からプロジェクトチーフまでを行う。またデザイン部門での新規事業開発を行い、デザインエンジニアとして人と機械の新しい関わり方について、コンセプトデザインを提案。一方プライベートでは、友人の事故やテロをきっかけに世界から事故や暴力を無くすことを志しし、「人を守る発明」を多数行う。その後2019年11月、株式会社 Magic Shieldsを創業。現在は高齢者の転倒による骨折を減らすため、転んだときだけ柔らかい新素材「ころやわ」を開発し、床やマットとして販売を行う。MBA、ロボット工学修士。
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下村 明司さん 株式会社 Magic Shields代表の下村です。
私たちは、高齢者の転倒による骨折を防ぐため、転んだ時だけ柔らかい床「ころやわ」を開発、販売しています。
高齢者の転倒骨折は、世界で急増しています。
寝たきり、認知症の原因になりますし、医療費、介護費も膨大で、日本でも約2兆円もかかっていると言われています。
実際、私の祖母も転倒骨折から寝たきりになり、最後には天井を見つめながら繰り返し「早く死にたい」と言って、亡くなりました。
普段通り歩けて、転んだ時だけ柔らかい床を開発
そして従来の主な対策は、写真にあるようなスポンジマットだったわけですが、マットは、踏んで転ぶことも、跨ごうとして転ぶこともあります。
また、そもそもマットの外で転んでしまったり、車椅子では使えなかったりします。
そのため、私たちは、普段はちゃんと歩けて車椅子でも使える、でも転んだ時には柔らかく、凹んで衝撃を吸収するというコンセプトの、「ころやわ」を開発してきました。
実際に導入した部屋は、このような感じです。
通常、フローリングに植木鉢を落とすと、ご覧のように割れてしまうわけですが、ころやわの上なら大丈夫というわけです。
<フローリングに植木鉢を落とした場合>
<ころやわに植木鉢を落とした場合>
そして、杖や車椅子を使って歩く際には、床は凹んだりしません。
衝撃吸収性と歩行安定性を実証実験で証明
科学的にも効果を確認しており、例えば大腿骨の衝撃試験では、畳や絨毯では骨折は防げませんが、ころやわでは防げるという結果です。
また、頭を打ってしまった場合、ころやわはフローリングの5分の1の衝撃に抑え、重症リスクも5%にまで抑えることができています。
さらに、歩行の安定性も確認しています。
医学的なバランステストで、フローリングと大差がないことも確認済みです。
広島県での実証実験や各大学との共同研究を通じて、これらの効果を大規模に確認しています。
▶転倒骨折を軽減する床「ころやわ」を開発するMagic Shieldsが、ひろしまサンドボックス「D-EGGS PROJECT」に採択され、広島県内の病院にて実証実験を開始(PR TIMES)
技術的には、“mechanical meta-material”というジャンルのもので、素材ではなく、構造体によって特殊な特性を実現しています。
普段は、構造体はこのように形を保っていますが、大きな衝撃がかかると内部構造が一気に変化して剛性が落ちるのです。
実はこれは、自動車工学の衝突技術を応用して開発しています。
400件以上の施設に導入、骨折ゼロに貢献
ころやわは既に商品化しており、既存の床の上に置くだけでも使えて、病院や居室だけではなく、レントゲン室や一般家庭でも使うことができます。
利用者の声をお聞きください。
(以下、動画中の音声)
「硬いんだけれども、倒れても骨折しないものがないかなと、ずっと探していました」
「患者様にも使ってみた時に、実際にちょっと転んでしまったこともあったんですが、患者さんご自身が『あっ、これはいいな』っていうふうに評価も得られました」
創業3年目になりますが、この1年で利用数も4倍に増え、聖路加国際病院やJR、ダイワハウス、SOMPOなど有名企業を含めて400件となり、設定体重40kg以上で骨折ゼロを実現しています。
そして経済的メリットもあるのです。
骨折をすると、色々なお金がかかります。
例えば病院や高齢者施設では、行政の負担する医療費や介護費がかかりますが、それらと、施設の経営ロスを大幅に減らすことができます。
そして在宅一般家庭においては、介護保険適用の住宅改修をすることで、2万円で歩く能力を維持することができるのです(※住宅改修費の補助の適用に関しては各自治体の判断による)。
今までの生活を続けられるということです。
転倒骨折予防のグローバルスタンダードへ
そして今、世界では超高齢化が進んでいます。スライドのうち、赤く染まっている国は高齢化が進んでいる国です。
こういった社会になっていく中で、私たちの素材はグローバルスタンダードになると確信しています。
市場規模としては、実際に骨折した人の数から考えると、世界で9兆円あると踏んでおり、世界にどんどん広めていきたいと考えています。
さらに現在は、IoTを組み込み、骨折予防につながる実証実験を行っています。
また、お年寄り以外でも、子供、スポーツ、乗り物、スマートシティなど、未来への仕込みも行っています。
創業は「人を守りたい」という思いから
最後に、創業の経緯をお話しさせてください。
私はもともとヤマハ発動機で、動画にあるようなバイクの研究開発をしていました。
この時に身につけた衝突に関する技術を今使っているわけですが、このバイクレースの事故で、私は親友を失ったことがあるのです。
それ以来、災害や事故のニュースが見られなくなってしまいました。
ニュースを見る度、色々な「人を守る」発明をしてきました。
例えば、豪雨のニュースがあった際は、人を雨から守れるようなバイクを作ってみたり、テロのニュースがあった際には、皆さんが持ち運べる、畳める盾を作ったりしてきました。
でも結局、私は誰も守れなかったのです。
挫折しました。
そして私は「ビジネスにして経済を回さなければ、皆さんに届けることができない」ということに気づいたのです。
そこでグロービスのMBAに通い、たくさんの仲間たちや支援者に恵まれ、今こうしてMagic Shieldsとして、骨折を防ぐことができるようになっています。
現在、高齢者の3人に1人が転ぶ世の中です。
皆さんにも必ず、この課題に直面する時が来ますが、でもご安心ください。
私たちMagic Shieldsが、皆さんを守ります。
そして現在、世界展開に向けて、私たちは資金調達活動を始めました。
▶転んだときだけ柔らかい置き床「ころやわ」の株式会社Magic Shieldsが、1.4億円の資金調達を実施(Magic Shields)
どうか皆さん、資金面でもご支援頂ければ嬉しいです。
どうもありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/大塚 幸