ICC FUKUOKA 2023 カタパルト・グランプリに登壇いただき優勝した、クアンド下岡 純一郎さんのプレゼンテーション動画【視覚的な遠隔コラボツール「SynQ Remote」で、現場業務を大幅に効率化する「クアンド」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはAGSコンサルティングです。
▶【速報】活用現場拡大!遠隔指示で働き方を変える「SynQ Remote」(クアンド)がカタパルト・グランプリ優勝!(ICC FUKUOKA 2023)
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【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 6A
CATAPULT GRAND PRIX (カタパルト・グランプリ)- 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング
下岡 純一郎
株式会社クアンド
代表取締役CEO
HP | STARTUP DB
北九州市出身。 九州大学/京都大学大学院卒業後、P&Gにて消費財工場の生産管理・工場ライン立ち上げ・商品企画に従事。 その後、博報堂コンサルティングに転職し、ブランディング・マーケティング領域でのコンサルティング業に従事。 2017年に地元福岡にUターンし、株式会社クアンドを創業。
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下岡 純一郎さん(以下、下岡) 私たちは、現場のコラボレーションツール、SynQ Remote(シンク リモート)を提供しています。
まず、この領域に取り組んだきっかけをお話しさせてください。
私の父は、この福岡で建設業を営んでいますが、一昨年、あるベテラン技術者と喧嘩をして、その彼が退職してしまいました。
理由は、とにかく彼に仕事が集中し、忙しく、その環境が一向に改善されないというものでした。
減り続ける労働者、2030年には10万人の人手不足に
しかし、この問題は父の会社固有の問題ではなく、業界全体の課題でして、この20年間で約30%もの労働者が減っており、2030年には10万人の人手が不足します。
採用しようにも、有効求人倍率は、介護職の1.8倍ほどあり、全く人が採れないのです。
建設技術者の年間コスト30%は「移動・確認」
この貴重な労働力ですが、何に時間が使われているのかを分析したところ、現場への移動や確認にかなり時間を取られていました。
定期的な打ち合わせだけではなく突発的なトラブル対応など、ひどい時には1時間かけて現場まで行くのに、10分だけ打ち合わせをして、また1時間かけて戻ってくる、そんなことが日常茶飯事でした。
なんと、彼らの時間のうち約30%がこの現場への移動や確認に取られており、100人いる部署の場合、年間で約1.89億円ものコストが充てられていることになります。
これは、非常にもったいないですよね。
でも、私はこれを知ったと同時に、こう思いました。
いやいや、それ、LINEやZoomでやればいいんじゃないの?と。
しかし実際には、現場特有の課題があったのです。
例えば、この写真が現場から送られてきて、遠隔で指示をするとします。
「このバルブを閉めてくれ、ここにこう配線を通してほしい」、これをどう伝えるでしょうか。
そうなんです、現場では、言葉だけで伝えるのは非常に難しいのです。
視覚的なコミュニケーションで遠隔でも指示を可能に
これを解決するのが、SynQ Remoteです。
では、動画をご覧ください。
SynQ Remoteは、電話帳を使って電話をかけるようにワンクリックで発信することができ、URLの発行、共有など、難しい手続きは一切不要です。
スマホのカメラの映像が共有され、マウスでクリックすると、遠隔でもポインターを出すことができるので、「ここ、もう少し見せて」と、視覚的なコミュニケーションができます。
複数人が同時に参加することができるので、1人が現場に行って、他の人は遠隔で指示することもできます。
遠隔で、任意のタイミングで写真撮影をし、その写真に絵や図をその場で記録することができるので、水漏れなどの指摘事項も残すことができます。
現場には騒音があって、電話の相手の声が聞こえないケースがよくありますが、音声文字起こしによって指示できるので、うるさい場所でも正しく指示をすることができます。
実際の図面と見比べながら、図面上にポインターを表示させることもできるので、現場で一緒に図面を見ているような体験が、オンラインで提供できています。
これらのやりとりは、グループごとに自動でフォルダに保存されるので、後からメール添付などすることなく、システム上で情報共有が完結することになります。
現場の説明業務を80%効率化、ROIは78倍以上
導入効果です。
東証一部上場の某建設会社では、現場の説明業務を80%効率化して年間7,500万円のコストが削減できており、投資額は100万円程度なので、大きなROIを達成しています。
ユーザーの声を聞くと、かゆいところに手が届く、現場に寄り添った機能が評価されています。
なぜこれが重要かと言うと、我々のお客様の100%が、Zoomなどのオフィス会議用ビデオ通話ツールをすでに使っており、それとは別にSynQを現場用に契約しています。
つまり、Zoomでは満たせないニーズが現場には確実に存在し、SynQはそれを満たせているのです。
では、どういった方々が課題を持っているのか。
例えば、世界的ロボットメーカーの安川電機では、ロボットの遠隔メンテナンスにご利用いただいており、彼らの新しい収益源になっています。
MRRはこの1Qで300%成長、約4社に1社でアップセルをしています。
なぜここまで伸びているかと言うと、エンタープライズでのアップセルが増えているからです。
大東建託は、全社導入によって1,500IDを導入してくださり、今年はパートナー企業7,500社への導入検討を開始します。
進む現場のリモート化、公共事業も遠隔で確認可能に
そして、この市場には追い風も吹いています。
国は、これまで現場の立会い必須だった公共事業の確認を、遠隔でも行えるようにしました。
このように、現場のリモート化は、公共、民間で、どんどん進んでいます。
そして今期バージョンアップする機能は、現場の前後工程も自動化します。
現場に行く前に過去の対応履歴を調べたり、作業後に報告書を作成したりしますが、これらを自動化することで、より本質的な業務に時間を充てられるようになります。
では、デモをご覧ください。
トラブルが発生した現場から電話がかかってきたシーンを想定しています。
現場の様子を映像で確認することができるのですが、そのとき同時に、過去の履歴情報、現場でのやりとりを見ることができるので、今と過去の双方の状況を見ながら、正しく指示ができます。
通話中に撮影した写真を使って、報告書を作成することもできます。
その場で簡単に作成できるので、オフィスに帰って報告書を作成し直す必要はありません。
報告書はアプリ内のチャットで共有することができます。
SynQは遠隔支援を起点に、そこで得られたデータを使って現場業務を効率化します。
その後、さらに領域を広げていく予定です。
福岡から世界を目指す
フィールドサービスマネジメントと呼ばれるこの市場、既にグローバルでは5,500億円の市場でユニコーン企業も誕生しています。
これが、2030年には3.4兆円にもなります。
一方、国内に目をやると、オフィスワーカー2,800万人に対して、SynQの対象となるノンデスクワーカーは3,900万人。
この広大なマーケットにチャレンジしていきます。
そして2022年は、マーケターの西口一希さんをはじめ、ICCサミットにもなじみのある、心強い投資家に仲間になってもらいました。
私自身もP&Gで、世界中の工場の立ち上げや生産管理を経験しています。
この福岡から、世界を狙っていきます。
多様な労働力を活かし、日本の労働力を輸出する
最後に、フューチャープランです。
SynQは現場に2つの革命を起こします。
一つは、多様な労働力の活用。
実は、技術を持っているのだけれども、活用できていない労働力が日本にはあります。
それは、高齢技術者や妊婦など、物理的な移動が制約となって現場に行けない人たちのことです。
このような人々が、遠隔で現場をサポートします。
もう一つは、現場の労働力の輸出です。
P&Gでの経験から、日本の現場力は世界でも突出して高いことを実感しました。
アメリカの木造建築の監督を、日本の技術者が日本から行う。
アジアの火力発電所のメンテナンスを、高度な技術を持つ日本のプラントメーカーが、日本から行う。
ITエンジニアやデザイナーのように、ダイレクトに現場の労働力を提供できれば、日本の強みを活かした新しい産業が生まれると思っています。
サービス名であるSynQの由来は英語のsynchronized、「同期」を意味する言葉です。
現場の人々が持つ知識が、時間や空間、言語の壁を超えて繋がり、同期することで価値を生む、そんな現場のコラボレーションプラットフォームを目指していきたいと思っています。
現場をもっとスマートに、クアンドでした。
(終)
編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成