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ICC KYOTO 2023 ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 -に登壇した、地域・教育魅力化プラットフォーム尾田 洋平さんのプレゼンテーション動画【国内「越境」留学で意志ある若者を育み、持続可能な地域・社会を創る「地域・教育魅力化プラットフォーム」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。
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【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ
尾田 洋平
一般財団法人 地域・教育魅力化プラットフォーム
専務理事
HP | X(旧Twitter)
1986年島根県浜田市生まれ。島根県立浜田高等学校卒業後、2011年3月大阪大学大学院工学研究科ビジネスエンジニアリング専攻修了(工学修士)。 2011年(株)リクルート入社。2011年4月~2013年3月、自動車カンパニーにて関東エリアのディーラー営業担当(在籍中に分社化によりリクルートマーケティングパートナーズ所属)。 2013年4月にリクルートライフスタイル旅行営業統括本部(観光情報「じゃらん」)に異動。長崎、鳥取(米子)、広島などの拠点で営業担当や中国エリアの営業マネジャーとして従事。その後、業務支援領域立ち上げ担当として営業推進部業務支援MDグループのマネジャーとして従事した後、2018年6月末卒業。 2018年7月より地域・教育魅力化プラットフォームに入職。地域みらい留学の事業責任者として地域の特色ある高校に進学する【地域みらい留学】や都会の高校に在籍しながら高校2年時に地域の高校に留学する【地域みらい留学365(さんろくご)】の立ち上げを実施。事業立ち上げ推進の傍ら経営全般を担当。2022年6月に大学院大学至善館修了(経営修士)
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尾田 洋平さん 皆さん、こんにちは、地域・教育魅力化プラットフォームの尾田です。
「意志ある若者にあふれる、持続可能な地域・社会を創る」――こちらが、我々のビジョンです。
まず皆さんに、1点ご質問です。
「あなたはとある市町村の首長です。消滅危機のある市町村をどのように盛り上げますか」
地域存続に関わる高校の魅力度
我々は、高校を核とした、地方創生の活動を行っています。
離島における施設有無による人口増減率について、病院の有無は人口減少に影響がほぼないのに対して、高校の有無は、人口増減率の差で約10%以上の影響が生じています。
また、高校が魅力的であることは、地域にとっても、極めて重要です。
高校の魅力が減少すると、生徒が減少し教育環境が悪化します。
これにより、若者が流出し、さらにUIターンも減少、地域の衰退が急速に加速します。
極論ですが、高校の魅力が減少することで、若者の地域に対する意志は育たず、また、その地域は消滅へと向かいます。
人口流出を増加に反転させた島根県の離島高校
このような地方消滅の流れを止めた事例があります。
島根県の隠岐諸島に海士町(あまちょう)という自治体があります。
ご覧のとおり、人口が大幅に減り、日本全国でもトップクラスに持続可能性が低い町でした。
消滅確実地域から持続可能地域へ未来を変えたのは、島の高校でした。
▶地域で学校を育てる “隠岐島前高校の挑戦”/隠岐島前高校(リクルート進学総研)
廃校対策から始まり、島外からの生徒募集を実施し、島外から生徒が来ることを受け入れたことは、地域にとっても、高校にとっても、とてつもなく強い変化を生み出しました。
海士町へ来てくれた人にとって最高の3年間となるように、地域が一丸となって活動を始め、島が変わったのです。
島全体がキャンパスであり、手触り感のある社会や濃密なコミュニティの中で、人生の縮図体験ができる、このような地域総ぐるみで作った環境の中で、生徒は、挑戦して意志を育む3年間の高校生活を送っています。
その結果、地域内の進学率の高まりや県外からの生徒数の増加により、廃校寸前の状態から、人が集まる学校へと変わっていきました。
さらに、島全体の人口や出生率などが大きく増え、島全体が持続可能へと近づいていきます。
では、若者の意志はどのようになったのでしょうか。
意志ある若者が育まれています。
スライドにある質問項目について、該当する生徒は全国平均を大きく超える結果となりました。
教育環境を変える2つの「越境」とは
この取り組みによる、現状と変化の要諦を、整理します。
覚えていただきたいキーワードは1つで、「越境」です。
詳しく、ご説明します。
通学可能圏内の高校の中から偏差値軸で決めていた高校選択を、自分の行きたい場所、取り組みたいテーマを軸に、進路選択していくこと、また、教室内で教師と教科書から教わる教育を、地域に出て五感をフル活用して地域や地域の大人との体験・探究から学ぶこと、この2つの「越境」が重要であると思います。
よって、我々は、「越境」をキーワードに、ビジョン実現を目指します。
全国110高校が地域みらい留学生を受け入れ
このような未来を全国へスケールアウトするために、我々は、「地域みらい留学」という全国唯一無二の事業を行っております。
都市部の子どもたちが、地方の特色ある高校に進学し、充実した3年間を過ごす、生徒が都市部から地方に越境することをきっかけに、地元の生徒にとっても、よい教育環境を作り、全国各地で意志ある若者を育成します。
2018年に立ち上げた「地域みらい留学」は、34校からスタートし、6年目となる本年(2023年)は、110校まで拡大しました。
中学校3年生の選択肢を広げること、高校や自治体から参画金を頂くビジネスモデルの観点から、参加高校数は非常に重要な指標です。
2022年は5,000人が合同学校説明会に参加
我々は、地域みらい留学合同学校説明会という、都市部の中学生と地域の高校のマッチングの場の提供を行っています。
合同学校説明会の来場者数は、5年間で5倍の5,000人に増えました。
地域で学ぶ、地域で挑戦するなどの価値が、少しずつではありますが、広がっていることを実感しています。
ユニークな特色ある受け入れ高校
「地域みらい留学」は、地方のユニークな高校ばかりです。
合同学校説明会の様子を、少しばかりですが、皆さんにもおすそ分けさせていただきます。
北海道の大自然の中で農業を学ぶ、生徒の顔も、牛も生き生きとしています。
佐賀県の有田焼や滋賀県の信楽焼など、その土地の伝統文化である工芸が学べる高校も複数あります。
こちらは、実際に私が撮影した、愛媛県の高校(愛媛県立長浜高等学校)です。
全国で唯一、高校の中に水族館が存在し、水族館部が運営しています。
全校生徒の約半数が水族館部に所属しており、全国から生き物好きの生徒が、こちらの高校に集まり、魚を育て、地域の方々とイベントを開催しています。
先日、訪問させていただいた際、「『地域みらい留学』を作ってくれて、本当にありがとうございました」と、生徒から涙ながらに伝えられ、最高に嬉しく思い、この事業を立ち上げて本当に良かったと、改めて実感しました。
また、北海道の礼文島から沖縄の久米島まで、全国にある離島の高校で、地域内留学を受け入れています。
こちらの絶景は、やはり人気です。
このような、五感をフル活用する中で学ぶ3年間は、非常に意味のあるものだと確信しています。
生徒の意志を育むには最高の環境
先日、訪問させていただいた高校の生徒も、「周りとの比較や競争ではなく、自分がやりたいことや挑戦したいことが認められる環境だ」と語っていました。
まさに“地域”は、意志が育まれる最高の環境です。
現在、高校1年生の生徒では、744人がこのような「地域みらい留学」を行っています。
「地域みらい留学」の生徒を対象にしたアンケートにおいても、該当の質問にイエスと答える生徒が、ほかの諸国や若者よりも多く、生徒の意志が育まれていることがわかります。
地域みらい留学を当たり前の選択肢に
我々は、このような「地域みらい留学」を、日本における当たり前の選択肢としていくことを、目指しています。
「地域みらい留学」を当たり前の選択肢としていくために、直近3年間の目標は、「地域みらい留学」の生徒数が、日本の高校生が海外に留学する生徒数を超えることです。
3年後には、年間1,500人の地域みらい留学生を、毎年生み出します。
そのために、地域の特色ある受け入れ高校の最大化も必要です。
「一億総越境時代」実現を目指す
しかし、我々のゴールは、「意志ある若者にあふれる、持続可能な地域・社会を創る」ことです。
1,500人という人数では、まったくあふれていません。
「越境」をテーマに、意志ある若者にあふれる社会を目指します。
最終的に目指す社会は、全ての若者が手触り感のある地域を舞台に一歩を踏み出す、「一億総越境時代」の実現です。
高校2年生の1年間だけ留学できる「地域みらい留学365」
そのために、我々は、「越境」の選択肢を広げます。
2020年に、国内初の国内単年留学「地域みらい留学365」を立ち上げました。
今後は、例えば、高校1年生は島根県、2年生は沖縄県、3年生は北海道といったように、3年間で3か所に通学できるコースや、短期で越境できるコースなど、200の受け入れ地域とともに、様々な「越境」の選択肢を最大化していきたいと思っています。
高校、地域、企業がつながって、意志ある若者を育てよう
「一億総越境時代」の実現のために、我々が実現したいのは、「日本を丸ごと一つの高校に」です。
日本全国の高校や地域、企業がつながり合って、場所やテーマ、時間に捉われない、高校時代の「越境」という選択肢を作り、一歩を踏み出す、意志ある若者を育成します。
皆さん、ぜひこのビジョンをともに実現しましょう。
ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/星野 由香里/正能 由佳/戸田 秀成/中村 瑠李子