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ICC FUKUOKA 2024 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇いただき5位に入賞した、ReBuilding Center JAPAN 東野 唯史さんのプレゼンテーション動画【諏訪発、地域資源の循環によるエリアリノベーションで暮らしを豊かにする「ReBuilding Center JAPAN」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。
▶【速報】元こども兵の社会復帰支援「テラ・ルネッサンス」と、思いやりをつなぐ遺贈寄付「日本承継寄付協会」がソーシャルグッド・カタパルト同率優勝!(ICC FUKUOKA 2024)
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【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ
東野 唯史
ReBuilding Center JAPAN
代表取締役
HP | X(旧Twitter)
84年生まれ。名古屋市立大学芸術工学部卒。 2014年より空間デザインユニットmedicalaとして妻の華南子と活動開始。全国で数ヶ月ごとに仮暮らしをしながら「いい空間」をつくりつづけてきた。 2016年秋、地域資源のリユースショップReBuilding Center JAPANを長野県諏訪市に設立。ReBuild New Cultureを理念に掲げ、次の世代に繋いでいきたいモノと文化を掬いあげ、再構築し、楽しくたくましく生きていける、これからの景色をデザインしていく。 2022年に株式会社すわエリアリノベーション社設立。諏訪エリアの健やかな循環のある経済圏の構築を目指す。 2018年環境省グッドライフアワード環境地域ブランディング賞受賞 2018年パッシブハウスジャパン エコハウスアワード リノベーション賞 2019年グッドデザイン賞ベスト100 2020年DIA TOP100。
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東野 唯史さん 空き家と古材で暮らしを豊かにする、地域資源のリユースカンパニー、ReBuilding Center JAPAN代表取締役の東野 唯史です。
よろしくお願いします。
短期間に大量のゴミが発生する業界に疑問
私は、名古屋の大学(名古屋市立大学芸術工学部)で、建築デザインを勉強しました。
大学では、「デザインは世界をよくできる!」と教えられ、デザインスキルを磨くため、卒業後はディスプレイデザイン会社に就職しました。
しかし、短期間に大量のゴミが発生する業界に疑問を感じ、26歳でフリーランスのデザイナーに転身しました。
地方で次々と解体される空き家
当時は、いい店ができれば、いい街になる、いい街が増えれば、いい日本になると信じ、いい空間を作るため、全国各地に住み込みでお店を作っていました。
ところが、地方に住み込みで生活していると、近所で、空き家が次々に解体されていくのを目の当たりにしました。
まだまだ使える古材が、これほど捨てられているのかと、ショックを受けました。
2018年時点の日本には、846万戸の空き家があり、空き家率は13.6%、長野県では約20%が空き家です。
また、諏訪市にいたっては、直近5年間で40%も空き家が増えました。
危機的な状況だと言えます。
引き取り手のない古材や古道具をレスキュー
空き家を増やさないために、一番効率がよい方法は、実はリノベーションではなく、解体です。
年間85,000棟の建物が解体され、138万5,000トンの産業廃棄物が出ています。
こういった処分されてしまう廃棄物を、地域の資源としてレスキューし、必要としている人々へとつなげるため、2016年に、ReBuilding Center JAPANを立ち上げました。
私たちは、人口約47,000人の長野県諏訪市に店舗を構え、地域の空き家から、ほかの業者が引き取れなかった古材や古道具を買い取る活動をしています。
この活動を、「レスキュー」と呼んでいます。
家主さんから思い出話を伺いながらレスキューし、釘抜き・清掃・値付けをして、店頭で販売します。
およそ1,000平米ある店舗の圧倒的な物量が魅力で、6時間以上も滞在する人もめずらしくありません。
レスキューした古材を加工して、オリジナルのプロダクトを制作したり、空間デザインに使用したりしています。
また、カフェを併設しているため、一般のお客様も多く、年間5万人以上の方々にご来店いただいています。
このように、私たちは、次の世代につないでいきたいものや文化を救い上げ、再構築し、楽しく、たくましく生きていける、これからの景色を作っていくため、「ReBuild New Culture」というスローガンを掲げています。
ReBuilding Center JAPANとは
改めて、ReBuilding Center JAPANの事業概要をご説明いたします。
まず、レスキューを起点に、カフェを併設した店舗では、古材や古道具を販売しています。
設計した空間に古材を使用して施工したり、加工してオリジナルプロダクトを制作したりして、事業を展開しています。
社員は13名で、全員がReBuilding Center JAPANで働くために、諏訪市へ移住してきてくれました。
さらに、ReBuilding Center JAPANのビジョンに共感してくださっている、「サポーターズ」というボランティアの方々が、毎月50名ほどご参加くださり、ReBuilding Center JAPANの活動を支えてくださっています。
売上は順調に伸びており、初年度と比較すると、全体で3倍以上となっています。
それほど多くのものをレスキューできているということですが、その理由は、スタッフの増加以外にもあります。
それは、古材が、「オリジナリティがあってかっこいい」という嗜好性の高い価値観から、「サスティナブルだからかっこいい」という普遍的な価値観に変化してきたことです。
まさに、New Cultureの兆しを感じています。
地域資源の循環を活用したエリアリノベーション
私たちは、「ReBuild New Culture」をスローガンに、このムーブメントを加速させるため、2つの取り組みに力を入れています。
1つは、諏訪で地域資源の循環をより深く体験できる取り組み、2つ目は、そのノウハウをオープンソース化して広げていくための取り組みです。
「深める取り組み」の軸となるのが、空き家や古材を活用した、「エリアリノベーション」です。
諏訪の街を一緒に歩いているつもりで、スライドをご覧ください。
JR上諏訪駅から国道沿いに歩いて5分、スペシャリティコーヒーのロースター(AMBIRD Coffee&Tea)があります。
こちらで美味しいコーヒーをテイクアウトしましょう。
皆さん、タンブラーを持ってきていらっしゃいますか?
もし、忘れてしまっても、大丈夫です。
シェアタンブラーがあります。
こちらは、みんなの不要なタンブラーを、みんなで気軽にシェアする、ReBuilding Center JAPANからスタートした(ぶらぶらタンブラーという)取り組みです。
どちらへでも返却できるため、街歩きを促せます。
タンブラーを持って店を出ると、そのすぐ隣には、長屋をイノベーションした複合施設(ポータリ―)があります。
公園のように、誰でも使えるウッドデッキが魅力です。
さらに2分ほど歩くと、旧道沿いには、古本屋(言事堂)があります。
店内には薪ストーブがあり、レコードから音楽が流れています。
さらに1分ほど歩くと、緑が美しいこちらのお店は、実は、創業108年の老舗パン屋(太養パン店)です。
向かいには、このような建物があります。
こちらの建物は、どのようなお店だとよいでしょうか。
私は、お花屋さん(olde)を作りました。
パン屋の向かいにお花屋さん、素敵な街の風景だと思いませんか。
せっかくですので、お花を買っていきましょう。
お花を持って、旧道沿いを3分ほど歩くと、ReBuilding Center JAPANに到着します。
店舗内のカフェは、このような雰囲気です。
もちろん、すべて古材を使っています。
約1,000平米の店内には、所狭しと、古道具や古材が並んでいます。
諏訪市内には、空き家をリノベーションしたお店が、まだまだ多くあり、その大半が徒歩3分のエリアに集中しています。
人通りが少なく、空き家が多かった街の地域資源を活用することにより、この数年間で、私たちの日常は豊かになりました。
しかし、こういった景色が諏訪のみというのは、もったいないと思いませんか?
リビセンのノウハウを広めるスクールを開講
このReBuilding Center JAPANの取り組みとカルチャーを広げていくために、「リビセンみたいなおみせやるぞスクール」をスタートしました。
▶編集注:「リビセン」とはReBuilding Center JAPANのこと。
こちらのスクールは、参加費12万円・2泊3日の合宿形式で、初回は全国から36人が集まりました。
ReBuilding Center JAPANの店内で開催し、街中もフィールドとして、実際に諏訪でどのようなことが起こっているのかを、体験していただきます。
私たちのノウハウを余すことなく伝える、実践的な3日間です。
初回のプログラムはこのような内容です。
満足度は100%、第2回・第3回も、すでに予約でいっぱいです。
オンラインコミュニティでレスキュー促進
さらに、全国のレスキュー総量を増やすために、オンラインコミュニティ(Local Reuse Collective)を作りました。
主に、スクール経験者が参加し、日々の情報交換やお悩み相談のほか、「リビセンみたいなおみせ」を営む上での、アイデアや手法のアーカイブ、キャッチアップミーティングなどを行うことで、みんなの活動をサポートしています。
地域資源の循環で豊かな日本を
ノウハウを抱え込まずにオープンソース化し、みんなで地域資源が循環する景色を作ることができれば、きっと日本は豊かになる、それが私たちの目指す「ReBuild New Culture」です。
まずは、皆さん、諏訪へ、お配りしたマップを持って、ぜひ遊びに来てください。
そして、サスティナブルな空間作りをされたい時は、ぜひお声がけください。
ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/中村 瑠李子/戸田 秀成