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ICC FUKUOKA 2024 Digital Transformation(DX) CATAPULTに登壇いただき3位に入賞した、アセンド 日下 瑞貴さんのプレゼンテーション動画【運送会社と荷主を繋ぐDXで、“物流の2024年問題”を解決する「アセンド」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターは Saleshub です。
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【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 2A
Digital Transformation(DX) CATAPULT
Sponsored by Saleshub
日下 瑞貴
アセンド
代表取締役社長
HP | X(旧Twitter)
北海道出身。2016年早稲田大学政治学研究科修了。PwCコンサルティング合同会社にて、サプライチェーンマネジメント案件に従事。野村総合研究所に移り、官公庁や業界団体を中心に物流業界に関する政策提言や業界の構造分析など上流からの改革プロジェクトに従事し、物流業界の課題・動向・あるべき姿を追求。IT化の遅れ等から、社会インフラでありながら危機的状況にある物流業界の変革を目指し、2020年3月創業。運送管理システム(SaaS)「ロジックス」の提供を通じシステム、及びコンサルの両面からミッションである「物流業界の価値最大化」に挑む。2022年東洋経済すごいベンチャー100選出。論文「フィジカルインターネットによる物流課題の解決」ヤマト総合研究所 学術論文部門受賞。日本ロジスティクスシステム協会「ロジスティクスイノベーション推進委員会」委員、東京大学工学部システム創成科特別講師他。
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日下 瑞貴さん 皆さん、こんにちは。アセンドの日下です。
我々はVertical SaaS(※特定の業界に特化したSaaS)でDXを推進し、データの力で物流課題を解決することを目指しています。
物流業界にはDXを通じた産業変革が必要
まず皆さんに知って頂きたいことがあります。
「物流の2024年問題」です。
今年2024年は、物流業界にとって極めて重要な1年になります。
ドライバーの残業時間が大幅に制限されることで、これまで通りの物流を提供することが極めて難しくなってきます。
これは皆さんにも関係のある話です。
規制強化の結果、今年で14%、2030年には35%ものトラック供給が不足すると言われています。
トラック供給が不足することで、企業の生産・販売活動も停滞し、これによる経済損失は10兆円にも上ると言われています。
▶物流の2024年問題について(国土交通省)
影響は、企業活動だけに留まりません。
例えば、物流費の大幅な高騰が生活必需品の値上げ圧力になることや、遅延や誤配などが多発し、特に地方部において物流品質を大幅に下げなくてはならないことが懸念されています。
だからこそ、物流業界にはDXを通じた産業変革が必要とされています。
現場で紙やエクセルによる管理が主流となる理由
では具体的に、どのようなDXが必要とされているのでしょうか?
物流の現場では、紙やエクセルによる管理が主流であり、膨大な事務コストが発生しています。
電話やFaxで来た内容を紙に記載し、その内容を別の紙に転記し、集計する。
結果として、収支の管理も遅く、分析も遅くて粗いものにならざるを得ません。
実際、基幹業務におけるクラウド利用率は10%以下と、全産業で最低水準にあります。
また、管理会計(※経営判断に活用する社内向け会計)の実施率も50%以下であり、その品質も極めて低い状態にあります。
なぜ、このような状況が続いているのでしょうか?
運送業界は中小企業が多く、投資体力も限定的です。
SaaSを導入しようにも業務パターンが複雑で、汎用化も困難です。
現場の顧客は、必ずしも ITに強い方たちだけではありません。
その結果、未だに煩雑なアナログな業務と、経験と勘に依存した経営判断が残り続けてしまっています。
受注から配車、請求書まで、煩雑なデータ管理をDX
このような問題を解決するため、我々は運送業特化のオールインワンSaaS「ロジックス」を
提供しています。
ロジックスは、業務の効率化と経営の高度化を同時に実現します。
製品デモをご覧ください。
ロジックスには、案件の受注から配車、請求にいたるまで、現場で利用する業務が網羅的に用意されています。
まずは、荷主から受注した内容を取り込みます。
取り込まれたデータは、配車表と言われるトラックのシフト表に自動で連携され、デジタル上で配車が完結します。
配車が完了したデータは、請求書や各種帳票に自動で連携されていくため、現場の担当者は、二重、三重の転記作業やアナログなデータ管理から完全に解放されます。
導入効果です。
現場の事務作業は半分に短縮され、年間で約1,000万円のコストを削減しました。
ROIにして、8倍以上の投資対効果になっています。
データ活用を促進し収益性改善に貢献
ロジックスの導入は収益性の改善にも貢献します。
業務を通じて取得したデータは、自動でダッシュボードに連携されるため、リアルタイムにデータを確認することができます。
営業所・部門別の収支管理はもちろん、車両別・乗務員別の収支管理も実現しています。
さらに、いつ・どの車が・どれくらい稼働しているのかといった車両の稼働状況の分析や、顧客が荷主との運賃交渉を実施するためのレポートも作成することが可能です。
事例を紹介します。
北関東のある顧客では、ロジックスから出力したレポートをもとに運賃交渉を実施し、4,000万円の売上改善を実現しています。
また、都内のスーパー配送を行う顧客においては、顧客ポートフォリオを見直し、車両の粗利率を20%以上改善しています。
このように、正しくデータを集め、正しくデータを活用することで、我々は運送業界のDXを実現しています。
リリース以来3年間、解約は0件
トラクションです。
既に見込みのCARR(Committed Annual Recurring Revenue)は1億円を超え、MoMで120%、YoYで800%と堅調に成長しています。
スケールの秘密は、データモデルを含むプロダクトの柔軟性にあり、中小からエンタープライズまで、車両台数は10台から1,000台まで、幅広いお客様にご利用いただいています。
また、荷物や輸送形態も、多種多様なパターンに対応しています。
SaaSにおいては成長率もさることながら、顧客のサクセスが何よりも重要です。
我々は、3年前のシステムリリース以来、「解約0件」を継続しています。
40%の顧客でアップセルを実現し、結果として、NRR(売上維持率)は180%を越えています。
運行管理の専門資格を持つカスタマーサクセスが導入に伴走
強いサクセスの理由は、開発および導入における徹底した顧客志向に尽きます。
我々の開発体制は、フロントエンドやバックエンド、開発言語といった「技術カット」では
なく、一人一人のエンジニアが業務領域を持ち、仕様決定から実装・保守までを担当する、「プ
ロダクトエンジニア」という体制をとっています。
これにより、業務仕様を深く理解した実装を可能としています。
カスタマーサクセスは、全員が運行管理の専門資格を持ち、業務理解が深い人間が顧客に伴走することで、お客様と深い信頼関係を築いています。
信頼関係があることで導入までのコストは下がり、チャーンのリスクも当然のように検知することができています。
つまり、「良い製品を、正しくつくり、良い製品を、正しく導入する」。
SaaSの当たり前のプロセスを徹底的にやり切るところに、我々の強みがあります。
荷主企業向けロジックスを2024年4月提供開始
今後の展望についてです。
我々は物流データを軸に、運送会社と荷主を繋ぎ、物流全体の最適化を執行していきます。
初めに、現在提供している運送管理SaaSにおいて、荷物から車両・ドライバー管理に至るまで、業務の“面”を取りにいきます。
次に、運送会社に提供している機能を荷主側へと転用し、サプライチェーン全体へと領域を拡大していきます。
荷主企業向けロジックスについても、本年(2024年)4月から提供を開始します。
我々はコンパウンドスタートアップ(複数事業を併せ持つスタートアップ)として、この領域における、全ての機能を提供していきます。
荷主と運送会社が繋がることで、荷物・車両・ドライバーといった物流におけるコアデータが、プラットフォームに蓄積されます。
これらのデータを活用することで、デジタルブローキングや、ダイナミックプライシングの提供、あるいは3PL(※) によるデータの共同活用など、今までなかった、データによる物流サービスが実現可能になります。
▶編集注:3PL(third party logistics)とは、荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行すること(国土交通省参照)。
政策提言、普及・啓発活動に積極的に関与
加えて我々は、業界のルールメイキングにも、積極的に関与しています。
内閣府や国交省の国家プロジェクトへの参画、政治家・行政・業界を巻き込んだ政策提言、全国各地での普及・啓発活動は、何度もメディアに取り上げて頂いています。
物流業界の価値を最大化する
我々が挑戦している物流業界は、20兆円の巨大市場です。
SaaS事業のTAMは2,000億円、プラットフォーム事業のTAMは2兆円にも上る巨大な市場です。
海外ではUber FreightやTRANSFIXのようなユニコーン企業が、複数生まれている市場ですが、日本での勝者は未だ不在の状況です。
我々は、Vertical SaaSでDXを推進し、物流のデータプラットフォーマーを目指していきます。
我々が目指すのは物流業界全体のDX、産業インパクトの創出です。
「物流業界の価値を最大化する」
アセンドでした。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成