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ICC FUKUOKA 2024 クラフテッド・カタパルトに登壇した、友安製作所 友安 啓則さんのプレゼンテーション動画【「友安製作所」は“描く・作る・見せる・売る”を全て行うものづくりで、技術力を発信する製造業を目指す】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはJ.フロント リテイリングです。
▶【速報】古民家宿でその土地に根差した職人技と文化を継承する「LOOOF」がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2024)
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【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Sponsored by J.フロント リテイリング
友安 啓則
友安製作所
代表取締役社長
HP | X(旧Twitter)
高校1年からアメリカへ留学、City University of Seattleにて経営学修士 M.B.A.を取得。 大学在学中から商社で働き、友人とともに車のパーツを輸入販売する会社を立ち上げる。2004年に帰国、父親が営む線材加工製造業の友安製作所へ入社し、インテリアの輸入商材を販売する新事業を立ち上げる。2005年にWeb事業部を立ち上げ、オンラインショップでの商品販売をスタート。 2016年2月に代表取締役社長に就任。 東京浅草橋と大阪阿倍野、福岡博多にて、インテリアとDIYとカフェの融合をコンセプトにした「友安製作所Cafe」を運営し、リアル店舗での販路拡大やDIYワークショップを行う。経済産業省「ダイバーシティ経営」「はばたく中小企業300社」受賞。2023年に地域の共創コミュニティである中小企業コンソーシアム「みせるばやお」の代表理事に就任。
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友安啓則さん よろしくお願いいたします。友安製作所です。
本日はプロダクトの話だけではなく、そこに至った思いの方も聞いていただきたいと思い、まず簡単に会社紹介をさせてください。
元々は“限界町工場”と言われたネジやカーテンフックの製造工場
友安製作所はライフスタイルカンパニーとして、インテリア商品の販売だけでなく飲食事業や工務店事業、キャンプ場の運営など、大きく分けて6つの事業をしている会社です。
ですが、元々はネジやカーテンフックを製造する町工場でした。
ちょうど和室文化から洋室文化に変わる中で、私の祖父は鉄製のカーテンフックの製造などで成長しましたが、1995年あたりからプラスチックの安い樹脂製のカーテンフックが海外から入ることによって需要が激減。
30名いた従業員も2004年にはたった5名になると、債務超過ということで売り上げも綺麗な右肩下がりになっております。
いわゆる”限界町工場”と言われる状態になっていました。
家業を継ぐ決心をしたきっかけ
もともと家業を継ぐ気が全然なかった私は、高校、大学、大学院とアメリカに行っておりまして、大学院を卒業後、現地の商社で働いており、アメリカで順風満帆な生活を送っていました。
そんな折、私の母から1本の電話がありました。
父親が倒れたという電話です。
その時、あの毎日元気よく働いていたかっこいい父親の姿や、幼少期に私が「後継ぎ、後継ぎ」と呼ばれていたことなど、すごくいろいろな思いが錯綜して…、ひとつの決心をいたしました。
それが、おやじと一緒に働きたいという気持ちです。
ところが、病から回復した父は、私の入社に大反対。
アメリカまで行かせて、せっかくMBA(経営学修士)まで取らせて、なんで町工場に入るんだというのが彼の意見だったんです。
でも、どうしても入りたかった私は、父を説得し3つの条件を飲んで会社に入りました。
入社の条件は「新規事業」、「半年で結果」、「30万円」
それは、既存の事業ではなく新しい事業を起こすこと、半年以内に結果を出すこと、元手は30万円、そこで私が取り組んだのが装飾性のあるカーテンフックの製造です。
今までは隠していたカーテンフックにデザイン性を加えて、「魅せるカーテンフック」として問屋に持って行きました。
結果は全く相手にされませんでした。
メーカーである私たちが問屋に持って行っても、シャッターが降りたというか、全く相手にされず、簡単な判断ではなかったのですが僕はものづくりを諦めました。
インテリアの輸入販売で結果を出し、その後も成長を続ける
そこで、僕がやったのが中間事業者を省いたインテリア商材の輸入販売です。
海外のメーカーから商品を買いつけ、「Colors(カラーズ)」というブランド名をつけ1人でトラックに積み込み、日本全国を行脚し半年で結果を出しました。
その後インターネット通販に移行し、今では商品点数約4万点に迫り、売り上げも順調に推移しております。
また全てが繋がっている6つの事業を多角的に展開し、カフェ事業、工務店事業、レンタルスペース事業、メディア事業などブランディングにも注力。
▶︎カフェ事業「友安製作所カフェ&バー」
▶︎工務店事業「友安製作所工務店」
▶︎レンタルスペース事業「カシカシ」
▶︎メディア事業「トモヤスタイムズ」「ホームパーティー推進委員会」
つくることを諦め、売るということに振り切った結果、売り上げが20倍に、従業員も140名以上おります。
来社するお客様が注目した意外なもの
私たちの自社ビルやカフェにはたくさんの人に来ていただくのですが、そんな中、ここで予想外のことが起こりました。
インテリアやデザインよりも、お客様が注目するものがあったんです。
それは工場の隅で動いていたカーテンフックの工作機でした。
これを見た時に、立ち止まって考えるきっかけになりました。
友安製作所という名前なのに、何も作っていなくていいんだろうか。
僕たちがこれから作る価値って何だろう?
未来に繋ぎたいことはなんだろう?
一度諦めた、ものづくりへの再挑戦
そこで僕はひとつの決心をしました。
「ものづくりをもう一度」──といっても針金製品をまた作るのではありません。
武器は「技術」と「クリエイティビティ」の両方
友安製作所には新しいものづくりのために活かせる武器がありました。
工作機そのものを作る、鉄の高い加工技術を多角化したことにより、たくさんのクリエイティビティ溢れるスタッフが入ってくれたことです。
そこで、私たちのクリエイティビティ溢れるスタッフがデザインをし、それを今までの機械工が作るというビジネスを立ち上げました。
そして今回、さらにそれを体現する商品を作ってきました。
“空白”を生み出す掃除道具「BRUSHUP」
それが、「BRUSHUP(ブラッシュアップ)」です。
BRUSHUPは、6種類のホウキとチリトリです。
コンセプトは「つくる人のためのそうじ道具」で、新しいものをつくるには物理的にも心理的にも空白が必要です。
頭を整理し、アイデアをブラッシュアップすることで身のまわりをそうじするためのそうじ道具、玄関、ワークスペース、デスク、本棚など6つのシチュエーションに対応するもの、例えばこの「TRIANGLE」は、こういうふうに玄関に置いていただいて、カチッとはめて、また置いておける。
このようにBRUSHUPはすべての製品が、直さずにそのまま置いてインテリアアイテムとなるようになっています。
また、「CAN」は書斎でこういう形で使っていただいた後、ゴミ箱としても使っていただけます。
この独特のフォルムも当社が培ってきた技術がないと作れないデザインです。
どうでしょうか?
そうじがワクワクしてきましたでしょうか?
ものづくりは「つくる」と「売る」の組み合わせ
それが、これからのものづくりだと思っています。
そうじを楽にするそうじ道具ではなく、そうじがしたくなるそうじ道具。
安いから買うのではなく、欲しいから買う。
さらに、これらのデザインには高い技術がないとできません。
このコンセプトが認められてまだ販売4カ月ですが、国内外のたくさんのショップに対応されています。
まとめますと、祖父が「つくる」を極めた時代から、私がものづくりを諦め「売る」ことに特化した時代、実はものづくり会社が一番苦手なのは、この売るというところなのですが、2018年にものづくりをもう一度、「つくる」と「売る」を組み合わせたことでさらに友安製作所は成長しました。
でも、まだそこまでで終わりません。
ものづくり企業が一丸となって「見せる」にも取り組む
ものづくりをその先へ、私たちはオープンファクトリーとしてものづくりの現場を見せる取り組みを行っております。
こちらでBRUSHUPの工程などを見ていただくことによって、その商品の良さをさらにお客さんに知っていただき、ファンになっていただくとともに職人のモチベーションを上げる運動を行っております。
またそれを個社ではなく“集”ということで地域の企業と組み、83社が加盟するオープンファクトリーイベント「FactorISM(ファクトリズム)」をプロデュースし、ものづくり企業の技術力の高さをたくさんの人に証明していっております。
また、さらに自治体として2025年大阪・関西万博に唯一出店している八尾市のものづくり企業を取りまとめ、展示・空間設計などを友安製作所が行います。
▶︎八尾市が自治体で唯一、2025年大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」へ出展(八尾市HP)
万博を契機に地域のものづくりの主張を、海外に展開していきます。
描く、作る、見せる、売る、全てをするのがこれからの製造業だと思っております。
今回のBRUSHUPは私たちのものづくりを体現するプロダクトです。
BRUSHUP、どうぞよろしくお願いいたします。
(終)
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編集チーム:小林 雅/森田 竜馬/浅郷 浩子/正能 由佳/星野 由香里/戸田 秀成