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食品産業に特化したパーソナルロボットで、労働力不足の解決を目指す「Closer」(ICC FUKUOKA 2024)

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ICC FUKUOKA 2024 リアルテック・カタパルトに登壇した、Closer 樋口 翔太さんのプレゼンテーション動画【食品産業に特化したパーソナルロボットで、労働力不足の解決を目指す「Closer」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターは 慶應イノベーション・イニシアティブ です。

【速報】廃プラ活用の3Dプリント型枠で、持続可能な建設業界をつくる「DigitalArchi」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2024)


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by 慶應イノベーション・イニシアティブ

樋口 翔太
Closer 
代表取締役
HP | X(旧Twitter)① | X(旧Twitter)②

1997年生まれ、上越市出身。小学生の頃からロボット開発に取り組む。長岡工業高等専門学校卒、筑波大学大学院博士後期課程在学。2017年RoboCup世界大会優勝、Asia-Pacific世界大会でも優勝を果たす。高専機構理事長特別表彰を2度受賞したほか、孫正義育英財団の3期生認定、IPA 未踏アドバンスド事業採択など。2021年11月に株式会社Closerを創業し、自動化が進んでいない食品産業をはじめとする業界へのロボット導入を進める。


樋口 翔太さん 株式会社Closer代表の樋口です。

人手不足かつ手作業が多い食品工場の生産ライン

私たちは、実は自動化が進んでいない食品工場の中小規模の生産ラインを、簡単に自動化できるロボットパッケージで、労働力不足の解決を行っています。

皆さんもご存知のように、まさに今、少子高齢化によって深刻な労働力不足時代に突入しています。

特に我々のターゲットである食品産業は、全産業の平均と比較しても2倍近く人が集まりにくく、有効求人倍率の上昇率も高いため、この差は年々開く一方です。

テレビなどで自動化された食品工場を見る機会があると思いますが、あれはごく一部に過ぎず、スーパーやコンビニでよく見る製品も、実は多くが手作業に依存しています。

そのような繰り返し作業はやりがいも感じにくく、肉体的にも大変で、すぐに人が辞めてしまうそうです。

中小規模の生産ラインにはロボットの導入が難しい

このような中小規模の生産ラインへの既存のロボット導入は非常に難しいです。

非常に限られたスペース、大型投資は困難、多品種に対応する際の切り替えや食品独特の形状が変わる製品への対応が難しい、などが理由として挙げられます。

既存のロボットの導入がなぜ難しいのか。

それは産業ロボットの歴史を振り返ることで理解できます。

現在でも産業用ロボットのシェアは世界の半分

1968年、高度経済成長で自動車、家電の製造業を中心に、深刻な働き手不足に直面しました。

これに伴い日本ではロボット開発が盛んになり、1980年代には日本のロボットの世界シェアが88%となり、日本はロボット大国になりました。

現在では世界シェアが50%の水準にありますが、まだまだ世界に誇るべき日本の強みであると考えています。

このように、産業ロボットの産業自体が自動車、家電と共に形成されてきた背景があり、これらの生産に特化している部分があります。

そのため食品産業へのロボット導入は難しく、一部に限られています。

食品産業に特化したパーソナルロボットを実現

それがなければ自分で作ればいいということで、我々は食品産業に特化したロボットを開発しています。

我々はミッションとして、「パーソナルロボットを実現する」を掲げています。

皆さんが使っているPCは昔は大型で非常に高価で、一部の人にしか使われていませんでした。

しかしCPUの高性能化などにより小型になり普及し、ソフトウェアに付加価値が移っていきました。

産業ロボットも同じように、今は大型、高コストで、自動車、電気電子産業を中心に普及していますが、AIの進化や高度なオープンソースソフトウェアが普及している今、私たちは食品産業にも簡単に導入できる小型なパーソナルロボットの実現を目指しています。

私たちは2種類のロボット、主に食品工場の包装箱詰め工程を自動化するロボットを展開しております。

先ほど挙げた既存のロボットの課題であるスペース、コスト、多品種への対応の課題を解決しています。

ロボットは1台約1,000万円程度からで、2〜4年で回収ができ、文句を言うことなく働き、他の作業の効率化にもつながります。

早速デモをご覧ください。

こちらは調味料などの小袋を包装する「PickPacker™(ピックパッカー)」というロボットです。

ミールキットを包装している様子になります。

人と同程度のサイズ感で導入することができます。

このようにモジュール化されていますので、既存の生産ラインにそのまま導入することができ、ラインを大幅に変更する必要はありません。

また、似たような商品であれば、簡単に同じロボットで生産することができます。

移動もセットアップも簡単なダンボール積み上げロボット

次に、ダンボールを積み上げるロボット「Palletizy™」です。

工場への最終工程で、倉庫やトラックに積み込む前に行う作業ですが、非常に重労働な作業を現在は人が行っています。

日によって大きさの違うダンボールを生産する時も、切り替えが簡単にできます。

このように簡単に現場に持っていき、セットアップをして立ち上げることが可能です。

ソフトウェアの内製で低コストロボットを実現

我々は食品現場に特化したソフトウェアを一気通貫で開発する技術力で、このロボットを実現しています。

ハードウェアはロボットメーカーのものを使わせていただき、我々のソフトウェアプラットフォームを適用することで、食品現場に合ったロボットを実現します。

従来のロボットは、ロボットに加えてカメラやタッチパネルなど、別々のメーカーからそれぞれの要素を購入する必要があります。

そもそも、それぞれ自動車、電気電子産業向けに作られていることもあり、食品産業への適用が難しく、メーカー製でブラックボックス化しているので、食品向けに作り込むことも困難です。

各要素で利益が乗るのでコストも大きくなります。

一方、Closerはソフトウェアを一気通貫で内製しているため、食品向けのソフトウェアの作り込みができ、低コストなハードウェアでロボットを実現することができます。

これらの技術により、人と置き換える形でロボットの導入を実現します。

複数台のロボット導入契約を達成

我々のロボットの面白いところは、1つの工場に1台のロボットではなく、1つの工場に人のいる分だけ、多いところでは数十から100レベルの導入ポテンシャルがあります。

実際に最近の受注では、1つの工場に3台のロボットの導入が決まっています。

今まで明治やカップ味噌汁の製造工程で、PoC(実証実験)を進めてきました。

【筑波大発AIロボベンチャー】Closer、明治アクセラレーターにおいて工場ラインの省人化を目指すロボットシステムの実証実験を実施(PR TIMES)

筑波大発ベンチャーCloserがカップ味噌汁の製造工程を自動化、「PickPacker™(ピックパッカー)」を導入へ(PR TIMES)

他にも製麵工場などへのテスト導入を進めており、先月(2024年1月)には複数台の導入契約を達成しています。

その他、国から億単位での研究開発資金の助成を頂き、開発を進めています。

産業ロボットから再び世界で戦える産業を創る

私は小学生の頃からロボット開発に没頭し、RoboCup(ロボカップ)というロボットの国際大会で世界一になりました。

幼少期からロボット開発、筑波大発ベンチャー起業の25歳・樋口翔太さんの素顔 長岡高専時代にロボカップ世界大会優勝果たす(東洋経済オンライン)

以前、トマトの自動収穫の研究を行っていた時、農家さんからの「労働力不足で人が本当に集まらない。自動化したいけど、ちょうどいいロボットが存在しない」という言葉から、労働力不足という大きな課題を得意のロボットで解決できないかと強く思ったのが、起業したきっかけです。

高度経済成長期の深刻な働き手不足に陥った時、自動車メーカー、電気電子メーカーとロボットメーカーの協力的な活動、努力により、自動車やロボットで日本は世界一となりました。

今、日本は当時と同じように少子高齢化で、深刻な働き手不足にあります。

しかし今、高度経済成長期のように皆さんで協力し、日本に大きなポテンシャルのある産業ロボットという領域から、再び世界で戦える産業を創っていけると信じています。

しかし、これを実現するには我々の力だけでは難しいです。v

少しでも興味を持った方、一緒に何かできそうだと思った方、お話しできると嬉しいです。

株式会社Closerでした。

ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

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