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宮崎県都農町発、まちづくり×教育でUターンしたくなるまちの未来を目指す「イツノマ」(ICC FUKUOKA 2024)

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ICC FUKUOKA 2024 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇した、イツノマ 中川 敬文さんのプレゼンテーション動画【宮崎県都農町発、まちづくり×教育でUターンしたくなるまちの未来を目指す「イツノマ」(ICC FUKUOKA 2024)】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。

【速報】元こども兵の社会復帰支援「テラ・ルネッサンス」と、思いやりをつなぐ遺贈寄付「日本承継寄付協会」がソーシャルグッド・カタパルト同率優勝!(ICC FUKUOKA 2024)


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ

中川 敬文
イツノマ
代表取締役CEO
HP | X(旧Twitter)

東京都出身、関西学院大学社会学部卒業。1989年ポーラ入社。1993年新潟県上越市に家族で移住、当時国内最大級のパワー型ショッピングセンターの立ち上げと運営。 1999年UDS株式会社入社、2003年より代表取締役(2011年より社長)。 「キッザニア東京」、日本初のイエナプランスクール「大日向小学校」などの場づくり、地方自治体のまちづくり、中高生のキャリア教育を手がける。 2020年3月に社長退任して宮崎県都農町に移住、株式会社イツノマ起業。町のグランドデザイン作成、デジタル・フレンドリー戦略(2021年グッドデザイン賞ベスト100)、都農中学校にてまちづくり教育(2021年文部科学大臣表彰受賞)、こども参画まちづくり(第15回日本まちづくり大賞)を実践中。敷地5,000㎡の耕作放棄地にある2軒の空き家をリノベーション、「まちづくりホステルALA」を開業 著書(共著):『おもてなし・デザイン・パターン』(翔泳社)


中川 敬文さん こんにちは。

「過疎地の未来は自分で創る こども参画まちづくり」、株式会社イツノマの中川です。

過疎化・高齢化が進む宮崎県都農町

僕は、宮崎県都農町より参りました。

都農町は、宮崎県の中心に位置する人口が約1万人の過疎地域で、高齢化率は全国平均を10%上回る39%です。

人口推移の予測は、右肩下がりです。

ただ、こういったグラフを見ても、思考停止になりませんか?

僕は、実数で考えるようにしています。

89人、これは2024年3月に卒業する小学6年生の人数です。

10年後、そのうちの何人が都農町に住み、都農町で働いているでしょうか。

いま28歳の学年は110人いますが、現在、都農町在住で働いているのは、5人のみです。

過疎地域に、未来はあるのでしょうか?

「建物」から「人」によるまちづくりへの転換

改めて、自己紹介させていただきます。

キッザニア東京の立ち上げやMUJI HOTELなど、建物の企画・設計・運営をする、まちづくりの会社(UDS)を、20年間経営してきました。

「建物からはじめる大きなまちづくり」に取り組み、経営者となってから20年経ち、53歳の時に、残りの人生をかけて新しい挑戦をしたいと思い、「人から、はじまる小さなまちづくり」をしようと考え、グランドデザインづくりでご縁のあった都農町への移住を決意しました。

都農町グランドデザインについて(都農町)

2020年に、UDSの社長を退任し、都農町へ移住、起業しました。

東京で売上100億円規模の会社の経営から一転して、都農町で資本金100万円の会社を起業し、従業員は900人から3人になりました。

こどもへのキャリア起業/まちづくり教育を直談判

「Uターンしたくなるまち」が、僕の目指すまちづくりです。

課題は、「仕事がないこと」と「まちがつまらないこと」です。

こどもたちが自分で仕事をつくれるようになる、自分でまちを変えられるようになるための手伝いをしたいと思い、僕ができることとして、キャリア・起業教育とまちづくり教育を重ねるという提案を都農町にしました。

しかしながら、民間のヨソ者が教育現場に入るのは、簡単ではありませんでした。

町長、教育長、校長に直談判して、学校の先生と話し合いを重ねながら、4年間実践してきた活動が、本日ご紹介する「こども参画まちづくり」です。

活動①まちづくりをテーマに探求する授業「つの未来学」

「こども参画まちづくり」の4つの活動を、ご紹介します。

1つ目は、「つの未来学」です。

▶️つの未来学(都農中学校)(イツノマ)

都農中学校の総合学習として、僕らが、各学年で年間15時間の授業を担当させていただき、まちづくりをテーマに探究をしています。

僕らが都農町に提案した、グランドデザインのアクションプランから、興味のあるテーマを、中学生に自分で選んでもらいます。 

各テーマに即した都農町の方から直接、その魅力や課題を熱く語っていただきます。

その課題に対する解決策を、僕らと中学生で考え、最終的に町長や教育長に直訴します。

こちらのプログラムは、2023年度にNHK宮崎で8分半を超える特集を組んで放映していただきました。

新手法のまちづくり 主役は中学生!?(6/28NHK宮崎放映内容のサマリー)(中川敬文|まちづくり・地方創生note)

インタビューを受けた中学生は、「直接、自分たちのまちを、自分たちで考えられるのはいいなと思う」と、自分の言葉で話してくれました。

中学生から町長へ気候変動対策アイデアを提案

2021年、気候変動対策アイデア300個を中学生が考えて、町長に提案しました。

それに対して、町長は、「都農町ゼロカーボンタウン宣言」を表明しました。

中学生は、「私たちの出した案が、都農町の社会に影響ってすごくない!?」と感激していました。

こういった思いや体験をひとつひとつ増やしていくことが、「つの未来学」の目標です。

活動②ゼロカーボンを推進する小中学生チーム「Green Hope」

2つ目は、「Green Hope」で、ゼロカーボンタウン宣言を具現化するチームです。

2050年、ゼロカーボンの当事者は、僕らおじさんではありません。

今のこどもたちです。

そのため、こどもたちが政策を提言する、「ゼロカーボンU-18議会」を、都農町に創設しまし

た。

▶️ゼロカーボンタウン推進(つの未来財団)

毎週水曜日に2時間の話し合いを行って、「花とみどりを植える」という政策を決定し、現在、都農町の花のお世話もしています。

都農町に「ゼロカーボンU-18議会」創設、小・中学生選抜チームが町に提言(PR TIMES) 

2022年3月の議会では、全議員、町長に「花とみどりを植える」政策を提言し、翌年の3月には商店街の空き地への植栽費として、100万円の予算を獲得しました。

2050年、高齢化率40%の過疎地をゼロカーボンで住み続けたいまちにするのは、わたしたち10代!(中川敬文|まちづくり・地方創生note)

活動③商店街活性とCO2削減を目指す「みちくさ市」

3つ目は、「みちくさ市」です。

先ほどご紹介したゼロカーボン政策を具現化するためのイベントです。

きっかけは、「Green Hope」の小学生と、商店街住民のワークショップです。

「花とみどりで商店街を元気にしよう」と、こどもたちが名付けた、「みちくさ市」という名前のイベントが商店街の空き地で始まりました。

「(動画内音声)

Green Hopeのメンバー:商店街を明るくするという取り組みから始まって、商店街に花とかを植えたら、もっと明るくなって、CO2(二酸化炭素)も吸収できるから、どっちもいいことがあって、これから商店街をみんなでもっと明るくしていこうという考えで始まりました」

これを受けて、中町自治会長の萱嶋 孝彰さんは、「寂しかった商店街に人が集まり、多世代が交流してくださって嬉しい、ありがたい」と、全面的に応援・協力してくださっています。

「みちくさ市」では、具体的に、スイートピー1,000本のフラワーアートを皆で作ったり、都農町初の「道路アート」で、道路に大きな木(つの未来ツリー)を描いたりしています。

▶︎動画のフルバージョンもぜひご覧ください。「つのTV 花とみどりで商店街を元気に!都農町の小中学生とはじめるまちづくり」(YouTube)

夜市も開催し、こどもたちはトラックをスクリーンにした映画を楽しみ、大人たちは「都農ワイン」を飲んで楽しみます。

「(動画内音声)

マイクを持った少年:盛り上がっていきましょう! 乾杯! ありがとう!」

このような感じで、楽しく行わせていただいております。

「みちくさ市」は、今週末も開催いたしますので、ぜひ、皆さん、都農町へお越しください。

活動④全国初!?中学生が部活で起業体験「まちづくり部」

4つ目は、「まちづくり部」です。

中学生の部活としては、全国初であると自負しております。

部活改革!中学生の地域クラブ「まちづくり部」をつくった4つの理由(中川敬文|まちづくり・地方創生note)

きっかけは、「つの未来学」です。

「まちづくりに興味を持った中学生と、もっとアクションを起こしたい、起業体験もしてもらいたい」という思いで、部活を立ち上げました。

現在、部員は5人で、部室は僕らのオフィスです。

目下の関心事は、「稼ぐこと」です。

「みちくさ市」では、オリジナルジュースを出店し、売上11,600円でした。

ただ、少し経費がかさんでしまい、若干の赤字となってしまいました。

挽回を期して、2回目は利益率の高いわたがしの出店に挑戦し、見事4,314円の利益を上げることができました。

東京からサントリーのSDGsご担当の方がいらっしゃった際には、サーキュラーエコノミーの事業アイデア出しを共に行いました。

有名大企業勤務のサラリーマンが都農町に集結?!〜サーキュラーエコノミーをテーマにスタディツアーを開催〜(中川敬文|まちづくり・地方創生note)

ADDressの佐別当 隆志さんがいらっしゃった際には、試作中の梅ジュースを無理やり飲んでいただきました。

過疎地ゆえに、なかなか出会えない町外の大人とも積極的に交流してもらおうと考えています。

町内の小中学校でまちづくりの授業増枠へ

過疎地だからとあきらめずに、こどもの可能性を拡げることが、「まちの未来」につながると確信しています。

都農町の人々が活用をあきらめていた空き地も、月1回、約500~700人が集まるようになりました。

現在、この場所を常設の広場にしようと、中学生たちと皆で話し合って、将来は、商店街全体を元気にしていこう、という絵を描いています。

「こども参画まちづくり」は、都農町でふるさと納税を原資とした「つの未来財団」と、都農町教育委員会、そして、僕らイツノマの3者で連携して活動しています。

累計400人の授業を行ってきた「つの未来学」は、来年度(令和6年度)より、年間15時間から25時間に増枠、また、都農町内の小学校3校においても、総合学習と図工の授業でご提案していきたいと思っています。

「こども参画まちづくり」を過疎地域へ横展開

現在、過疎地域は、全市町村数の5割を超えています。

「過疎地域」指定の自治体、初の半数超え…885市町村に 2022/03/21(読売新聞オンライン)

過疎地域を中心に、こちらの「こども参画まちづくり」を、横展開していきたいと考えています。

そのため、地方自治体や教育委員会、企業版ふるさと納税といった様々な形のご支援をお願いしたいと思っております。

都農町で働きたいと思えるまちづくり

最後に、宮崎大学医学部で行った、まちづくりの講義について、ご紹介させてください。

医学生のうち1人だけ、都農町出身の方がいらっしゃいました。

「都農町がいやで、中学から町外の学校に通っていましたが、本日の話を聞いて、現在の都農中学校であれば通ってみたいと思いました。医師免許を取得したら、都農町で働きたいです!」と、力強い言葉を頂きました。

このような言葉を、一人でも多くの方から頂くことが、僕の残りの人生におけるミッションであると考えて、頑張って取り組んでいきたいと思っております。

都農町のこどもたちに、ぜひ、会いに来てください。

「人からはじまる、まちづくり」――株式会社イツノマでした。

ありがとうございました。

▶実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/森田 竜馬/小林 弘美/正能 由佳/中村 瑠李子/戸田 秀成

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