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AIと専門家集団が作る労務相談SaaS「HR base」で、ホワイトな労働環境をつくる「Flucle」(ICC KYOTO 2024)

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ICC KYOTO 2024 スタートアップ・カタパルトに登壇した、Flucle 三田 弘道さんのプレゼンテーション動画【AIと専門家集団が作る労務相談SaaS「HR base」で、ホワイトな労働環境をつくる「Flucle」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2025は、2025年2月17日〜 2月20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。

【速報】廃プラと活用企業をつなぐ循環型サプライチェーンで、ごみを資源に生まれ変わらせる「レコテック」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2024)


【登壇者情報】
2024年9月2〜5日開催
ICC KYOTO 2024
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門 
Sponsored by EVeM

三田 弘道
Flucle
代表取締役
公式HP | 公式X

大阪大学大学院在学中に社会保険労務士試験に合格。 株式会社ミナジンでは労務管理支援とシステム設計、開発を行う。 300社以上の企業の労務管理支援の中で労務領域の属人化を課題に 感じ、「HRbase PRO」を開発。 全国社会保険労務士連合会 イノベーションAIプロジェクト委員。 大阪府社会保険労務士会 デジタル化推進特別部会員。


三田 弘道さん では、労務管理の課題を、AIと専門家の力で解決する「HR base」についてプレゼンさせていただきます。

私、株式会社Flucle(フラクル)の代表を務めております、三田と申します。

労務管理の専門家である、社会保険労務士です。

労基署調査での違反率は70%

さて皆さん、労務管理はできていますでしょうか?

ここにいる皆さんはきっとできていると思いますが、労基署(労働基準監督署)の調査で違反となる割合は、なんと約70%もあるのです(※) 。

▶編集注:厚生労働省の「労働基準監督署の役割」において、「監督指導は、1年間に約17万件(平成30年)実施しています。そのうち定期監督(主体的、計画的に実施する監督指導)等では、約 68%の事業場において労働基準関係法令違反が認められました。」と記載されています。

法改正増加で多くの対応が必要

さらに、労働関係の訴訟は、30年で5倍になり、対応が必要な法改正もどんどん増えています。

働き方改革関連法に関する ハンドブック(厚生労働省)

労務管理の基礎である保険手続きについて色々な良いサービスがありますが、労務知識がないとそもそも設問の意味が分からず、処理できなかったり間違ってしまったりします。

つまり、法律違反が起きやすいのです。

このままでは「ブラック企業」と言われてしまいます。

条件によってタスクが異なり複雑な労働管理

だからこそ、みんなこう思います。

「調べてきっちり労務管理をしよう」と。

ただ、これが難しいのです。

例えば、産休や育休の時に何をすればいいのか、どこで調べればよいか分かりますか?

育児介護休業法であれば厚生労働省、育児休業給付金であればハローワーク、そして出産手当金であれば協会けんぽと、問い合わせ窓口も資料がある場所もバラバラです。

運良く、良い資料が見つかりました。

育児・介護休業法のあらまし(厚生労働省)

その資料で、契約社員は育休を取れるのか見てみましょう。

こう書いてあります。

「(2) 期間を定めて雇用される労働者は、子が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了し、更新されないことが明らかでない場合は、育児休業をすることができます。」

さらに、「(2)に該当するか否かにかかわらず、労働契約の形式上期間を定めて雇用されている者であっても、当該契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、育児休業の対象となります。」

らしいですけど、皆さん、分かりましたでしょうか?

難しいですよね。

ですので、労務管理は条件によってタスクが変わり、非常に複雑なのです。

そして既存のHRテックでは保険手続きを中心にしているため、半分くらいしかカバーしておらず、他は自分で調べなければいけません。

さらに、1個のタスクに疑問が浮かぶと、それを解消しないと前に進めない。

労務管理は難しいのです。

社労士にも同じペイン

労務担当者は雇用者100人につき、1人と言われています。

2024年3月の雇用者数は原数値で6076万人、つまり60万人が労務管理に困っているという状況です。

「じゃあ社会保険労務士(社労士)に依頼すればいいじゃないか」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、実は社労士も困っているのです。

社労士にも、法改正の情報を顧問先に送れていなかったり、資料を調べるのは今説明したことと同じことをしているので、時間と手間がかかったり、業務が属人化したりといった課題があります。

つまり、社労士にも同様のペインがあるのです。

社労士向け労務相談SaaSを立ち上げ

だから私たちはまず、社労士向けに「HRbase PRO」というサービスを作っています。

法改正などの最新情報を分かりやすく記事にまとめたり、先ほどのようなバラバラの情報をまとめて業務をマニュアル化したり、分かりやすい資料を独自で作ったりと、労務管理のデータベースを作っています。

質問に対して根拠を示し回答する「労務相談AI」を開発

さらに、それでも調べるのがめんどくさいという方のために、今年(2024年)の4月に私は、AIを用いた「労務相談AI」を作りました。

こちら、実際の画面をご覧ください。

使用は簡単で、質問を入力するだけです。

そうすると、AIによって回答が作成されます。

この回答は、公的機関や私たちの作った根拠のある資料から作った回答なので、基本的には正確なものです。

さらに、文章中に[*]があり、クリックすると、この文章の参照元を確認できます。

この資料のこのページを元にしている、というところまで分かります。

質問に関連する資料も抽出してくれます。

このような、国が発行しているリーフレットや裁判例などを検索して、確認することができます。

ゆくゆくは社会保険労務士と企業をマッチング

この機能によって、顧客が激増しまして、約4カ月で1.5倍にまで増加しました。

私たちは今、労務情報や労務相談AIを社労士向けに提供しています。

社労士が使うことで、どんどん学習データがたまっています。

AIが賢くなったら、企業にも展開しようと考えています。

勿論、企業に展開することで、社労士の仕事を奪うわけではありません。

社労士と企業をマッチングすることで、専門家とAIによって企業をサポートします。

労務管理を代行するAIエージェントを開発中

今後の展開です。

それでもやっぱり労務管理はめんどくさいという方のために、私たちは労務管理特化のAIエージェントを作ります。

つまり、AIが労務担当者の仕事を行うのです。

具体的なイメージはこちらです。

例えば、AIに「この人が妊娠した」と言うと、必要なタスクを洗い出してくれます。

私たちはマニュアルを持っているので、これができます。

さらに、タスクの中で疑問があれば、その疑問にAIが答えてくれます。

もちろんテキストではなく、図表を使って答えてくれます。

そして、従業員へのヒアリングや従業員対応も行ってくれます。

私たちは、従業員向けの書式や計算シートを持っているので、こんなこともできるのです。

最後に、システム操作までできるようにしたいと思っています。

タスクが明確だからこそ、様々なHRテックを操作する、つまりRPA(ロボットによる業務自動化)的なことまで行うことができれば、労務担当者の代わりができると思っています。

マーケットについては、社労士市場は小さいかもしれませんが、企業向けだと6,700億円、最終的には労務担当者市場3.6兆円を狙ってまいります。

半数以上が社労士や労務管理経験者の専門家集団

「いや、でも、本当にできるの? 難しいよ?」

できます。

なぜなら私たちは今20人強の組織ですが、半数以上が社労士や労務管理業務の経験者だからです。

そして、3年以上かけて築き上げてきた、オリジナル資料や業務マニュアル、そして社労士のネットワークがあります。

つまり、ただのIT企業にはない、専門家にしかない資産を築き上げているのです。

労務管理の問題が引き起こす現実

最後に、このサービス誕生の原点について、お話しさせてください。

私が社労士として活動していた際、ある企業から相談がありました。

「従業員から訴えられたのだけど、どうしよう」と。

顧問先の企業ではなかったので、時すでに遅しで、結局は従業員に対して多額の賠償金を払うことになりました。

賠償金を払った後、社長がこう言ったのです。

「もう人を雇うの、しんどいよ」と。

悲しいじゃないですか、せっかく雇用して、事業を大きくしたのに、労務管理がずさんなせいでこんな思いをさせてしまう。

その時に私はこう思ったのです、「雇用を止めてはいけない」と。

だから私は、このサービスを作りました。

労務管理を簡単にできるようにすることで、当たり前のようにホワイトになっていく世の中を作りたいと思います。

皆さん、ご清聴いただきまして、ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成

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