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泡盛粕で育てた栄養豊富・旨い藻で、人と海を未来につなぐ「Algalex」(ICC KYOTO 2024)

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ICC KYOTO 2024 クラフテッド・カタパルトに登壇いただき3位に入賞した、AlgaleX 高田 大地さんのプレゼンテーション動画【泡盛粕で育てた栄養豊富・旨い藻で、人と海を未来につなぐ「Algalex」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして 参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2025は、2025年2月17日〜 2月20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはJ.フロント リテイリングです。

【速報】サケ造りで終わらない。男鹿のまちを醸し、日本の希望の星になる「稲とアガベ」がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2024)


【登壇者情報】
2024年9月2〜5日開催
ICC KYOTO 2024
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Sponsored by J.フロント リテイリング

高田 大地
AlgaleX
代表取締役社長
ブランド公式HP

総合商社の在職時に、「養殖魚を増やせば天然魚は減る」という問題を解決すべく新規事業を展開。課題の本質である「DHA」の天然魚依存を解消すべく、筑波大学で藻類研究をリードしていた多田(現CTO)と2021年に株式会社AlgaleXを沖縄にて起業。  水産課題解決の第一歩目として、捨てられている泡盛の粕からうま味とDHAが豊富な藻「うま藻」の開発に成功。国内外の高級レストラン・小売を中心に着実に広げてきている。


高田 大地さん 沖縄から参りましたAlgaleX代表の高田と申します。

我々AlgaleXは、うまい「藻」を作るパイオニア企業だと自負しています。

本日は皆さんに、藻の不思議な世界と、なぜ我々がうまい藻を作っているのかをご紹介できればと思いますので、よろしくお願いいたします。

AlgaleXが育てる「藻」とは

我々が作っている藻は、目には見えない極小の藻で、「オーランチオキトリウム」というものです。

海藻の一種で、1mmの1/100の大きさです。

顕微鏡で見ると左の写真、乾燥させると右の写真のようになります。

普段はマングローブの葉の裏に多く生息していて、光合成はせず、水に漂うアミノ酸などの栄養素を吸収して成長していきます。

魚に必須のDHAの原点

極小の藻ではありますが、実は自然界で非常に重要な役割を果たしています。

海の魚はDHAがないと生きていけません。

そのDHAを自然界で一番初めに供給するのが、この極小の藻、オーランチオキトリウムです。

実際にこの藻をサンゴに与えると、上下で色が全然違って見えると思いますが、とてもサンゴの発色が良くなります。

動物プランクトンを、この写真のアルテミアに与えると、2時間後にはDHAでパンパンになったエビ(アルテミア)が出来上がります。

このようにして、魚にDHAが届けられていきます。

その原点にあるのが、この藻です。

藻が普及しない理由

しかし、こんなに栄養豊富な藻だったら普及していいはずですが、普及しない理由が2つあります。

1つは、生態系の原点で、非常に弱く、育てるのが難しいことです。

もう1つは、栄養豊富なものにありがちなことですが、栄養豊富ですがそのままだとあまり美味しくなく、健康食品として販売されています。

これが藻の課題です。

廃棄泡盛粕で美味しい藻が偶然出現

この藻の課題を「運」と「技術」で克服したのが我々AlgaleXです。

藻はタンクの中で育ちます。

アミノ酸と糖と酸素を吸収して指数関数的に増えます。

36時間後にはタンクの中に大量の藻が出来上がります。

我々は、捨てられている泡盛の粕をアミノ酸として活用して藻を育てたところ、普段は美味しくない藻が、たまたま非常にうま味豊富になったという発見をしました。

しかし、泡盛粕などの未利用食品の活用は、非常に困難です。

その理由は、右のグラフに表れています。

毎回ロットごとに成分値がかなりばらつきます。

ものづくりをしている方はお分かりになると思いますが、不安定な原料から安定した製品は作れません。

独自開発AIで実現した安定的な藻の生産

これを乗り越えたのが、我々のクラフテッドな技術です。

ばらつきを成育過程で補正するAIを独自に開発しました。

我々はこれを「TOUJI-24」と呼んでいます。

育ちが悪かったら酸素を「少し」足せ、DHAが少なかったらストレスを「やや」増やせなど、微妙なニュアンスを調整できるAIを活用することで、極めて安定的な藻の生産を実現しました。

質の面では、うま味の決め手となるグルタミン酸が、なんと±3%の範囲で安定しています。

常に羅臼昆布のうま味を超える状態を実現し、量に関しても、2024年度の全てのロットで安定生産を成功させました。

我々は「TOUJI-24」という独自のAIを使って、未利用食品の壁を乗り越えたのです。

つまり今、皆さんのお手元に配布した「うま藻」は、運と技術の粋で生まれたものです。

うま味成分と健康成分を豊富に含有

どれだけのうま味かというと、グルタミン酸が羅臼昆布のなんと1.5倍、それだけではなく貝のうま味となるコハク酸がシジミの4倍含まれています。

かつ、非常に健康的で、サバの13倍を超えるDHAやトマトの10倍を超えるGABAが含まれています。

うま藻の成分(UMAMO)

それが「うま藻」です。

カラスミを思わせる濃厚なうま味。

一振りでコクを引き出します。

「うま藻」でうま味は増加し、減塩も実現

本日、試食の1品目として、バーニャカウダを用意しております。

白いコップが「うま藻」が入っていないバーニャソース、透明のコップが「うま藻」が入っているバーニャソースです。

それぞれの違いを確かめてみてください。いかがでしょうか?

「うま藻」があるかないかで、圧倒的にうま味が違うと思います。

「うま藻」は、ある意味、天然の味の素のような使い方ができます。

濃厚でヘルシーな調味料が「うま藻」を使うと作れます。

本日2品目の試食、ポークソテーに「うま藻 醤油麹」をかけています。

味わいがとても濃厚でありながら、塩分濃度は実は醤油の半分以下です。

塩分濃度が低い分「うま藻」を使ってうま味を引き出すことで、これだけ濃厚な味を出せているのです。

それが「うま藻」の力です。

うま藻の美味しい食べ方レシピ(UMAMO)

一流シェフ、志に共感する小売り店舗が採用

「うま藻」は、一流レストランに採用されるだけでなく、我々の志に共感いただいた小売りの店舗にも徐々に普及していっています。

うま藻が食べられるレストラン情報(UMAMO)

姿を消しつつある海の生命

最後に、なぜ我々が藻を作っているのか、志についてお話ししたいと思います。

未来の海に魚を繋ぎたい、その思いでこの藻を作り始めました。

今、“僕らが見える”海の世界は姿を消しつつあります。

50年前と比べると、沖縄のサンゴは80%消失し、小魚の代名詞であるイワシは80%減少しています。

マグロは世界的に見ると漁獲枠は拡張しましたが、50年前と比べると実は80%減少しています。

それが今の海、現状です。

▶️海のめぐみって何だろう?:海のめぐみを損なう要因とは(環境省 海洋生物多様性保全戦略公式サイト)

Algalexが藻を育てる理由

その中でも、養殖は全然サステナブルではありません。

養殖魚は天然の魚を食べて成長しています。

自分たちが食べたい魚を、天然の魚を与え育てているのが今の養殖業です。

それを我々は変えたいと思っています。

天然魚からではなく、藻から魚の成長に必須のDHAを提供することでこの問題を解決する、これが会社のスタートになっています。

だから僕たちは藻を作っています。

今ある資源を使わず、捨てられる食品で藻を育てる

ただ、藻を作るために資源を減らしていたら一切意味がないので、だからこその泡盛粕なのです。

今ある資源を使わず、捨てられている食品を使うことで、この藻を育てるのです。

そのため「うま藻」は初めの一歩であり、まずは美味しい藻のマーケットを作っていきたいと考えています。

その先には、1円以下の単位を争う飼料マーケットに入っていき、魚を減らさない養殖を僕らのクラフテッドな技術で作っていきたい、それが我々AlgaleXです。

ですので、AlgaleXは“アヤシイ粉”を作っている会社ではなく、美味しさで海を未来へ繋いでいく会社だと思っていただければ嬉しい限りです。

ありがとうございました。

(終)

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/原口 史帆/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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