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竹のお箸で日本の心を届け、箸文化と美しい里山を未来に繋ぐ「ヤマチク」(ICC KYOTO 2024)

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ICC KYOTO 2024 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇した、ヤマチク 山﨑 彰悟さんのプレゼンテーション動画【竹のお箸で日本の心を届け、箸文化と美しい里山を未来に繋ぐ「ヤマチク」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2025は、2025年2月17日〜 2月20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。

【速報】アフォーダブルハウジング市場をつくり、母子家庭の暮らしを支える「LivEQuality大家さん」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2024)


【登壇者情報】
2024年9月2〜5日開催
ICC KYOTO 2024
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ

山崎 彰悟
ヤマチク
代表取締役CEO
公式HP | 公式X

立命館大学法学部を卒業後、大阪のIT企業へSEとして就職し、銀行の顧客管理システムの開発に従事。その後24歳の頃に家業である株式会社ヤマチクに就職。竹のお箸の製造に関わる中で、携わっている人達が働きに見合った対価が得られていないことに疑問を抱く。竹を切る切り子や、竹を材料に加工する竹材業者、そしてヤマチクで働く社員。関わる人全てが物心両面のやりがいを感じられるお箸作りを目指し、自社のリブランディングに着手。2019年にリリースした初の自社ブランドokaeriは、NY ADCやPentawardsなど国際的なデザイン賞を受賞。現在では国内のみならず海外からも多くの受注を獲得し、自社ブランドの売上比率は全体の65%にまで成長している。製造やPOP-UPでの接客販売の傍ら、ミシュランの星を獲得した一流シェフのお箸や一流企業のサスティナブルなノベルティの企画・設計も行っている。2023年11月11日に初のファクトリーショップ「拝啓」を新設し、南関町の観光地化を目指す。


山崎 彰悟さん ヤマチク 代表取締役CEO 山崎 彰悟です。

よろしくお願いします。

日本の箸のルーツは竹から始まった

「今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使いけり。」

日本最古の物語、竹取物語(※)の冒頭です。

▶編集注:竹取物語(コトバンク)

1,000年以上前に物語に描かれた竹取の翁、実は今も存在しています。

彼は切子(きりこ)という職人で、山から竹を切り出して売るのが仕事です。

成長が早い竹は、タケノコからたった3カ月で、20mを超える大きな竹になります。

世界が注目する、サスティナブルな素材です。

私たちヤマチクは、熊本県で60年間、竹のお箸だけを作り続けてきました。

お箸という漢字を、思い浮かべてみてください。

竹冠(たけかんむり)です。

日本のお箸のルーツは、竹から始まりました。

お箸は、皆さん、ご使用されていると思います。

しかし、お箸を作っているところは、ご覧になったことがないかと思います。

本日は、こちらの動画で一緒にご覧いただけますと幸いです。

こちらでは、切った竹を棒状に加工します。

こちらが、お箸の材料となります。

材料ができたら、しっかりと乾燥させます。

乾燥に使用するのは、お箸作りで出た端材です。

端材を燃やして、しっかりと乾燥させていきます。

言ってしまえば、お箸は、ただの棒です。

でも、その工程は、なんと、30工程以上もあります。

太さや形、長さをどうするか、重心はどこに持ってこようかなど、様々なことを考えながら、一本ずつ丁寧に削り出して、お箸を作っていきます。

こちらでは、30人ほど、働いています。

こちらは、磨きの工程です。

この中にお箸を入れて40分間グルグルと回して、お箸同士をぶつけてツルツルにしていきます。

こちらの工程によって、滑らかな手触りと口当たりを生み出します。

形ができたら、次は塗装です。

これは色付けの工程です。

皆様、ここまででお気づきになられましたでしょうか。

実は、ヤマチクは、女性の従業員が多いのです。

お箸を作っているのは、近所に住むお母さんたちです。

では、最後の工程に進みます。

最後は、検品とパッケージです。

お箸は2本で一膳ですから、相性を見ながら1本ずつ丁寧にパッケージしていきます。

こちらも、手仕事なのです。

こうしてできあがった竹のお箸は、年間500万膳を、世界中の食卓にお届けしています。

軽くて繊細、丈夫な竹の箸

そして、審査員の皆様のお手元のお箸について、お待たせしました、どうぞお渡ししたお箸の包みをお開けください。

▶編集注:審査員席には竹のお箸のサンプルが配布されました。

では、ヤマチクのお箸は何が違うのか、実際にご体感いただきましょう。

まずは、持っていただいたときの軽さです。

木のお箸は約17g、対してお手元にある竹のお箸は約8gと、半分以下の軽さです。

次に、お箸の先をご覧ください。

細く、四角に仕上げています。

木のお箸では、この形だと折れてしまいます。

しなる竹とヤマチクの技術がなければ、できない形なのです。

軽さ、繊細さ、丈夫さ、すべてを兼ね備えているのは、竹のお箸だけです。

日本では、食事の際に、「いただきます!」と、手を合わせます。

すべての命に感謝し、残さず綺麗に食べる、だからこそ、米粒もつまめる、魚も綺麗に食べられる、そのような竹のお箸が生まれました。

お箸を使う文化があるのは世界の約30%ですが、これほどまでにこだわるのは日本人だけです。

切子と山を犠牲にする安価な箸が主流に

しかし、このようなお箸文化は、変わってしまいました。

安価な輸入木材やプラスチックのお箸が市場の90%以上となり、そして、それらが日本のお箸文化として輸出されています。

日本の竹のお箸は、食卓から姿を消しつつあります。

材料に竹を使わなくなったために、切子(きりこ)も激減し、山も荒れ果てています。

以前、翁にこのように言われました。

「世の中が回るには、損する人も必要やけん。」

本当にショックでした。

私たちの仕事は、彼らの我慢の上に成り立っていたのです。

「何が“竹はサスティナブル”だよ。彼らの営みが続かないと、何の意味も無い。」――そう痛感しました。

竹の箸の自社ブランドが海外で評価される

「竹のお箸を、もういちど日本の食卓へ。」――竹のお箸を再び広めることで、日本のお箸文化も綺麗な里山も、そして、彼らの営みも未来に繋いでいく、そのために、自社ブランドを作りました。

ブランド名は、「okaeri」です。

竹のお箸に、もう一度戻ってきてほしいと、原点回帰を目指した、こちらのブランドお箸は、第100回ニューヨークADC(The ADC Annual Awards)のパッケージデザイン部門におけるMERIT賞など、海外のデザイン賞も多く受賞しました。

そして、それを皮切りに、Vivienne Westwoodなどの有名ブランドとのコラボレーションや有名レストランへの導入が、次々に決まりました。

そして、昨年(2023年)11月11日お箸の日に、ファクトリーショップ「拝啓」をオープンしました。

お店のコンセプトは、お手紙です。

モノに込められた思いや生産廃棄を伝える、お手紙のようなお店、また、お客様が大切な人を思い浮かべて手紙を綴るようにお買い物ができる、そのようなお店です。

観光地でも産地でもない、人口8,000人の熊本県玉名郡南関町、そのような田舎町に、毎月、全国から1,000人を超えるお客様が訪れてくださり、売上も月200万円を超えています。

廃業の危機からV字回復を果たす

このようなヤマチクですが、実は2年前、廃業の危機を迎えていました。

大手量販店のOEM商品の生産が終了し、売上の1/4を失いました。

このピンチを救ってくれたのが、ICCでした。

【速報】竹のお箸を、もういちど日本の食卓へ。伝統と竹林を守り続ける「ヤマチク」がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2022)

私たちに共感してくださった皆様から、数多くノベルティのご依頼をいただき、おかげ様で、たった1年でV字回復し、純利益率は、なんと8倍になりました。

6年前の2018年まで、OEM100%だったヤマチクですが、現在(2024年)は売上の65%が自社ブランドとなりました。

竹の買い取り価格も、従来の2倍になり、若い切子(きりこ)も増えてきています。

お箸で届ける優しい「日本の心」

あのとき、皆さんが救ってくださった日本のお箸文化を、今度はヤマチクが守り、世界に届けていきます。

すでに、韓国・アメリカ・フランス・イタリアなど17カ国に、ヤマチクのお箸が広まっています。

お箸が「Chopsticks」ではなく「YAMACHIKU」と呼ばれる、そのような世界を本気で目指しています。

すべての「あたりまえ」を「ありがとう」に変える、これがヤマチクのビジョンです。

お箸という、あって「あたりまえ」のものを作り続けてきたからこそ、世の中にある、あらゆる「あたりまえ」が、大勢の方々の「一生懸命」でできていることを知っています。

そして、その「一生懸命」に「ありがとう」が届かなければ、「あたりまえ」は一瞬でなくなってしまうことも、知っています。

このことは、ものづくりだけではなく、すべての産業に言えることです。

誰もが「あたりまえにありがとう」が言える、これがヤマチクの思う本当にサスティナブルな社会です。

2年前、皆さんが私たちに、眼差しを向けて救ってくださったように、今度は、ヤマチクのお箸を、「あたりまえ」に目を向けるきっかけとなるようにしたいのです。

ヤマチクが作り届けるのは、ただの「2本の棒」ではありません。

「いただきます」「ありがとう」といった言葉に込められた、優しい「日本の心」なのです。

お箸で社会が変わっていく、そのような景色を見てみたいと思いませんか。

そう思ってくださる方は、ぜひ、ヤマチクのお箸を使ってみてください。

そして、おもちゃやノベルティを、ぜひヤマチクに作らせてください。

世界に、そして、未来に、ともに「ニホン(日本・2本)」を届けていきましょう。

ご清聴、ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

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