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ICC FUKUOKA 2025 クラフテッド・カタパルトに登壇した、ヤソ 石橋 鉃志さんのプレゼンテーション動画【間伐材の商品で森の価値を最大化し、自然と共生する未来を描く「ヤソ」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはJ.フロント リテイリングです。
▶【速報】能登の酒を止めるな!全国の酒蔵との絆で能登の復活を誓う「鶴野酒造店」がクラフテッド・カタパルト優勝(ICC FUKUOKA 2025)
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【登壇者情報】
2025年2月17〜20日開催
ICC FUKUOKA 2025
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Sponsored by J.フロント リテイリング
石橋 鉃志
ヤソ
代表取締役
公式HP
1981年福岡県生まれ。株式会社ヤソ代表取締役。長野県茅野市を拠点に地域林業と連携し、精油の蒸留や商品の企画・製造・販売を展開。オリジナル商品のデザインや事業プロデュースも手掛ける。グランピング事業の株式会社バンブーフォレスト取締役、プロジェクトデザイン事業の株式会社リパブリカ代表取締役も務める。事業企画から設計デザイン、運営、プロモーションなど宿泊や商業施設のプロデュースも行っている。
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石橋 鉃志さん 皆様、こんにちは。ヤソの石橋と申します。
私たちは、廃棄されていた資源から森の香りを抽出し、森林の価値を最大化する企業です。

私たちの本社は、長野県の茅野市というところにあります。
八ヶ岳の麓で、地域の林業事業者と連携を取りながら、樹木の伐採から仕事を始めます。
幹は製材所へ運搬し、残った枝葉が私たちの商品の原料です。
チップ加工をして、5時間程度時間をかけ、水蒸気蒸留を行います。
濃縮された森の香りを抽出する工程です。
さまざまな樹木から香りを抽出しています。
そして抽出された精油を熟成し、さまざまな商品を製造・加工していきます。
お配りしている森の香りを、スプレーしてお楽しみください(※) 。
▶編集注:プレゼン中に、審査員席にアロマルームミストが配布されました。
山林の深刻な現状
創業のきっかけは、キャンプでした。

毎年計画をしてくれていた友人が、林業の関係者でした。
林業家から聞いた現状は、私が思っていたより深刻な状況でした。

手入れが届かず、どんどん荒れていく里山が増えていく。

さまざまな現場を一緒にまわり、山林の現状を体験しました。

日本の国土の67%が森林で覆われていますが、そのうち40%が手つかずの人工林と言われています。

放置された森林は、洪水や土砂崩れといった災害リスクを高めます。
気温上昇、水質低下、身近な製品価格が高騰する可能性もあります。

未来の世代に豊かな環境を残すために、今、私たちが行動する必要があります。

林業が抱える3つの課題
林業が抱える問題は、大きく3つあります。

材木需要と価値の低下、担い手不足、それによる里山の荒廃です。
当時、デザイナーとして活動していた私は、この価値の低下の部分にアプローチできないかと考え、ヤソのプロジェクトをスタートしました。

皆様、材木の価値をご存知でしょうか?
材木市場の価格表です。

1立米(※)あたりで30,000円。
▶編集注:1立米(りゅうべい)は1m × 1m × 1m=1m3。
1立米とは、この右の写真の、だいたい50年ぐらい育った赤松3本分です。
1本で換算すると、およそ10,000円にしかなりません。

廃棄処分される枝葉を日用品に変える
さらに材木市場まで持っていくプロセスは、これだけあります。
調査、伐採から枝払い、材木を集めて市場まで持っていく。
その中で、同時に発生するのが、大量の枝葉の産業廃棄処分です。
私たちが目を付けた資源は、ここの部分です。

間伐(※)等によって発生する大量の枝葉を、加工できないか?
▶編集注:森林の成長に応じて樹木の一部を伐採し、過密となった林内密度を調整する作業。

お金を払って廃棄される枝葉を、日々の生活で使う商品に変えていく。
ヤソのコンセプトが決まりました。

ハーブティーやアロマオイル、コスメを販売
私たちの商品をご紹介します。

まずは、赤松のお茶、白樺のお茶で、葉っぱを乾燥、焙煎した山のハーブティー(八十茶)です。

もともと漢方薬として飲まれていた赤松の効能が近年見直され、注目度が高まっています。
輸入に頼る香木を使わずに赤松100%で作られたお香、蒸留した精油をベースに、アロマオイル、ルームスプレー、虫除けなどを販売しています。


昨年(2024年)発表した、山から採れた天然香料をベースとしたコスメシリーズ(アポセカリー)です。

マルチバームやヘアオイル、ハンドソープなど、もちろん全て自然由来の原料で作られており、とても人気が出ています。



森林資源を再生し、500倍の価値を生み出す
幹は建材、燃料、お香。
葉先はお茶に。
残った枝葉は全て蒸留してフレグランスに展開しています。

幹だけではなく枝葉を全て使うことで、価値を最大化するというのが私たちの強みです。

赤松1本から換算できる価値ですが、皆さんがよく見る薪で利用すると、およそ1本3,300円です。
建材として使える条件の良いもので、10,000円となります。
そこにプラスアルファとして枝葉を加工するヤソの商品化を行うことで、葉先をお茶にすると100万円、残った枝葉を蒸留しルームスプレーに加工すると、なんと500万円以上の価値を生み出せます。

森林資源を香りの素材として再解釈し、生まれ変わることで、幹だけで1本10,000円だったものが500倍もの価値に跳ね上がっていきます。


森の未来が変わります。

私たちが、それを実行していきます。

企業の商品や施設開発をサポート
では、どうやって広げていくのか。

私たちには、3本の事業の柱があります。
自社のプロダクトのオンライン販売や卸、そしてOEMとしてさまざまな企業の商品開発をプロデュース。
さらに、コンセプト型の建築デザインや施設開発もサポートしています。

卸販売の展開ですが、昨年、大幅に店舗数が増え、現在50店舗以上に拡大しています。

東急リゾート、蔦屋書店、無印良品など、大手の取引先も増えています。
東急ホテル、ふふなどホテルのウェルカムドリンクとしても採用いただいており、毎月何千パックという販売につながっています。

ホテル、オフィスのデザインをプロデュース
自社商品の販売以外で急拡大している事業が、OEMと施設プロデュースです。

実は私にはもう一つの顔があります。

ホテルや商業施設、オフィスなどの事業企画、デザインを行うプロジェクトデザイナーでもあり、REPUBLICAという会社の代表です。
東急不動産のTENOHAのプロデュース。


その他、多くのホテルのデザインプロデュースを行っています。


間伐材を利用したオリジナルアロマを共同開発
ヤソとREPUBLICAが連携することで、施設開発から商品開発へつなげ、新たな地域産業の創出をどんどん行っています。

こちらは、東急リゾートとリゾート内の材木を使って共同開発したオリジナルの商品になります。

▶【東急リゾートタウン蓼科】カラマツの間伐材を活用したオリジナルアロマ商品の販売を開始(東急リゾートタウン蓼科)
また、真鶴のホテル(HOTEL FARO manazuru)では、オーナーが持つみかん畑の柑橘からオリジナルブランドの開発を行いました。

ホテルと連携することで、プロダクトアウトにならず、明確な流通を定めた商品開発が可能です。

消費が広がることによって、地域資源の価値が向上し、森林の価値をどんどん再生していくことができます。

ヤソの成長が日本の森林再生につながる
ヤソが大きく成長することが、日本の森林を再生することにつながります。

私たちの目指す未来は、森を守ることが特別な活動ではなく、日常の選択の中で自然に行われる社会です。

森林価値を最大化し、自然と共生する未来をデザインする会社、ヤソのプロダクトが、香りとともに皆様を森に連れていきます。


ぜひ、私たちが提案する森の可能性を体験してください。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成