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大家さんが借主を選ぶ「さかさま不動産」で空き家の利活用を推進する「On-Co」(ICC FUKUOKA 2025)

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ICC FUKUOKA 2025 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇した、On-Co 水谷 岳史さんのプレゼンテーション動画【大家さんが借主を選ぶ「さかさま不動産」で空き家の利活用を推進する「On-Co」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。

【速報】司法で社会の不合理を変える!“公共訴訟”に取り組む専門家集団「LEDGE」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2025)


【登壇者情報】
2025年2月17〜20日開催
ICC FUKUOKA 2025
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ

水谷 岳史
On-Co
代表取締役
公式HP | 公式X

一般社団法人旅する学校 理事|総務省 地域力創造アドバイザー。1988年生まれ 三重県桑名市出身。
高校時代から地域活性化等のイベント企画に携わる。家業の造園業に従事しながら、空き家を活用したシェアハウスや飲食店を数軒運営。ライフデザインやコミュニティ形成に取り組み、2019年株式会社On-Coを共同創業。代表として全体運営を行う他、幅広い社外プロジェクトにも参画。社会の踏み台になるために日々挑戦中。さかさま不動産や丘漁師組合、madanasasoなど「アイデアを形にするモデル構築」を得意とする。Forbes Japan「NEXT100」に選出。未来への踏み台になるべく、日々まだない何かに挑戦中。


水谷 岳史さん 「不動産の概念をひっくり返してやる!!」という想いのもと、「さかさま不動産」というプロジェクトを運営しております、株式会社 On-Coの水谷 岳史です。

よろしくお願いいたします。

さかさまポイント①不動産を探している人の情報を掲載

まず、掲載する情報を、僕たちは、ひっくり返しています。

僕たちは、不動産を探している方の想いや背景、不動産を借りて、何に挑戦するのかを、掲載しております。

ただ、誰でも情報を掲載できるわけではありません。

お申し込み情報をもとに、1時間程度のインタビューを行って、改めて掲載者の話を伺い、寄り添いながら、壁打ちをしながら、約2,500文字にまとめております。

掲載者一覧(さかさま不動産)

インタビューを通じて信頼できる人だけを紹介

お話を、わざわざお聞かせいただく理由は、2つあります。

1つ目は、不動産を手に入れることがゴールではないからです。

言語化をお手伝いするだけでも、喜んでいただいたり、考えがまとまったと感謝されたりすることもあります。

もう1つの理由は、この方を、大家さんへ紹介して本当によいのかを確認するためです。

僕たちなりの基準をもって、掲載の可否を判断しております。

さかさまポイント②大家さんが借主を選ぶ

2つ目のさかさまなポイントは、大家さんが、借主を選ぶ、という点です。

従来、大家さんは借主に選ばれる側ですが、「さかさま不動産」は、大家さんが使う人(借主)を選ぶサービスとなっております。

このように、ウェブサイトにて借りたい人を検索することが、可能です。

こちらのスライドのように、公式LINEにて、空き家がある市町村をご登録いただくと、新規掲載者の情報が届くため、大家さんは、WEBサイトを見る必要も、不動産情報を公開する必要もありません。

大家さんのみならず、ご自身で不動産を持っていない地域の方々も、この人は良いと思う方がもしいらっしゃったら、知り合いの大家さんにお伝えして、ご紹介することができます。

さかさまポイント③手数料ビジネスにしない

3つ目のさかさまなポイントについて、おかしいとよく言われるのですけれども、借りたい想いの掲載からインタビュー、大家さんのご紹介とおつなぎを含めて、すべて無料にしております。

よくあるお問い合わせ(さかさま不動産)

手数料ビジネスとしてしまうと、従来の不動産と同じで、何も変わらないと考えたからです。

頭をおかしくしなければ、課題は解決できないのではないかと思ったのです。

また、「僕たちが取り組みたいのは、挑戦を応援することだ」という想いから、仲介は不動産屋にお任せし、収益化せず、何が不動産の課題なのか、何が新しいビジネスなのかを、探究することにしました。

さまざまな目的の事業者を大家側が選ぶ

現在、数億円の資金調達を目指している、海洋プラスチックの課題を解決する株式会社 REMAREが一番最初に借りた物件はこちらです。

海洋プラスチック問題を解決したい(さかさま不動産)

ICCサミット FUKUOKA 2024にてプレゼンテーションを行った株式会社REVIVEが運営する名古屋市のサウナ施設「KIWAMI SAUNA」は、さかさま不動産でマッチングされた物件です。

サウナやりたい!(さかさま不動産)

東京都内の南麻布という非常に地価の高い高級住宅街においても、不動産のマッチングが起こりました。

物件の情報は公開しない「さかさま不動産」で18軒目の成約〜コミュニティデザイナーによる”クリエイター拠点”への挑戦〜(さかさま不動産)

ほかにも、駄菓子を作って、子どもたちのコミュニティを形成する場所がマッチングするなど、様々な地域で、様々な目的を持った、33名の方々がマッチングしました。

CASE3 昔ながらの横丁で駄菓子屋を作りたい!(さかさま不動産)

そして、僕自身も驚いたのですが、すべての方が事業者でした。

さらに、事業継続率が、80%を超えています。

不動産の所有者、もしくは地域側が選ぶからこそ、継続率が高いのではないかと思っております。

全国の空き家率は過去最高の13.8%

次に、空き家の現状を、お伝えさせていただきます。

驚くことに、空き家の総数は、899万戸に達し、総住宅数を占める割合(空き家率)は、過去最高の13.8%となっています。

そのうち、居住目的のない空き家は、約349万戸です。

令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果 (総務省)

空き地所有者の土地情報公開への意向

次に、こちらは空き地などの所有者の意向です。

多くの方が、情報公開に否定的です(※) 。

▶編集注:円グラフは土地の売却・賃貸等のために土地の情報を提供することについてのアンケート結果で、「友人・知人等の関係者に限って情報を提供する」が15.1%、「自治体の内部に限った利用であれば情報を提供しても構わない」が18.2%、「自治体や信頼できる団体(自治体の認定団体等)の内部に限った利用であれば情報を提供しても構わない」が16.7%、「広く一般に提供してもよい(不動産仲介業への情報提供等)」が15.6%、「情報の提供は一切行わない」が34.4%。

2017年の国土交通省のアンケート調査(空き地等に関する所有者アンケート結果(速報版))によると、空き地の情報を、一般に流通させてもよいと考える所有者は、わずか15.6%に留まっています。

空き地等をめぐる現状について(補足)平成29年3月2日(国土交通省)

空き地所有者の土地の利活用への意向

一方で、公園やまちづくりのための利活用に関する意向では、7.6%が無償で貸してもよい、さらに、45.8%の方が条件次第で貸してもよいと、回答しています。

合計すると、53.4%となります。

このデータは、空き“地”ではありますが、この結果を、空き“家”所有者に置き換えてみますと、情報公開に積極的な方は15.6%ですが、53.4%の方が無償または条件付きで、貸し出す意向を持っていると考えられます。

つまり、「さかさま不動産」であれば、約3倍もの大家さんにリーチすることが、可能です。

不動産情報の流通を前提にしない不動産活用は可能

会場にいらっしゃる皆さんの中にも、大切な思い出が詰まった家をお持ちの方がいらっしゃるかと思います。

「誰でも構わないから貸したい」というふうにお思いになりますでしょうか。

空き家問題が深刻化する中、活用希望者は増えておりますが、流通している物件が不足しているといった声を、多く耳にします。

空き家はあるけれど、貸してくださる方がいらっしゃらないのです。

不動産情報を流通させることを前提にするのではなく、「この方であれば、お貸ししたい」と思っていただくことができれば、眠っていた空き家を、価値のある不動産へと変えることができるのです。

自治体、企業、地域団体と連携

次に、こういった考えを、どのように広げるかについて、お話しさせていただきます。

まず、自治体とは、固定資産税納税通知書への「さかさま不動産」のチラシの折込や広報誌との連携、ワークショップや空き家バンクとの連携、市町村との包括連携協定の締結などを進めております。

固定資産税納税通知書を利用して空き家の活用促進へ~貸す人を選べる”さかさま不動産”チラシを同封~(さかさま不動産)

JR東海管轄の120駅において、ポスター掲示や、駅構内などの遊休スペースの利活用に向けた、実証実験を実施中です。

さかさま不動産とJR東海が共創「駅の空きスペース」を活かした地域活性化の実証実験を実施(さかさま不動産)

なお、昨年のICCサミット KYOTO 2024 ソーシャルグッド・カタパルト優勝者(岡本 拓也さん)の株式会社 LivEQuality大家さんのポスターも、JR名古屋駅に掲示する予定となっております。

「大家×NPO×ファイナンス」で、シングルマザーの課題を住まいから解決する「LivEQuality大家さん」(ICC KYOTO 2024)

地域で活動するまちづくり団体へは、ノウハウを提供し、どのようにすれば挑戦を応援できるまちになるのか、議論を続けています。

2年前(2023年)に始めた、地域団体との連携は、現在、全国に22拠点あります。

広く理解を得るための取り組み

社会的な信頼を得るために、挑戦者と大家さんの行動変容を促すためのメディア露出をし、様々な自治体・企業の方々に、お話を聞いていただけるよう、省庁のアワード受賞も目指しました。

日本パブリックリレーションズ協会主催のPRアワードグランプリ2023では、共創の起きる設計が評価され、大手代理店や企業を抑えて、審査員の満場一致で、グランプリを受賞することもできました。

日本パブリックリレーションズ協会「PRアワードグランプリ2023」にて満場一致のグランプリを受賞しました(さかさま不動産)

メディアやアワードなど、取り組めることは、すべて行います。

新しい仕組みでは、こういったことを行わなければ、理解していただくことがむずかしいからです。

すべては、「さかさま不動産」という考え方を広げるために行っております。

さかさま不動産に自治体、事業者が資金提供

では、ビジネスについて、お話しさせていただきます。

驚くことに、先ほどご紹介させていただいた連携は、すべて自治体や企業の方々より、お金を頂いて行っております。

なぜそのようにご協力いただくことができているのか、僕自身もわかりません。

さかさま不動産の活動を広げるために、事業者の方々が、資金をご提供くださっています。

非常にありがたく思っております。

ご覧いただいているスライドのとおり、多数の自治体・事業者が、僕たちのサービスを待っていると、考えております。

きっかけは大家さんに直接想いを伝えた経験

「さかさま不動産」が生まれたきっかけについて、お話しします。

元々、僕は庭師として働いており、空間作りを学びながら、空き家活用に一生懸命に取り組んでおりました。

大家さんに直接想いを伝えることによって、「さかさま不動産」のきっかけを作りました。

大家さんに選んでもらうという選択肢を、作りたいと思っております。

ぜひ、皆さん、ご協力ください。

ご清聴ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/中村 瑠李子/戸田 秀成

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