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「スタディプラス」は、先生/学生向け教育インフラで学習意欲を向上させ、教育格差の是正に挑む(ICC KYOTO 2017)【文字起こし版】

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教育の格差はどこから来るか。様々な要因はあれど、学習の「意欲格差」が教育格差の負の循環を回します。そんな教育の現場で抱える課題を、学習意欲を高める日本最大級の学習管理プラットフォーム「Studyplus」はどう解決しようとしているのか。Studyplus 廣瀬さんが語ります。ぜひご覧ください。

ICCカンファレンス KYOTO 2017「カタパルト・グランプリ」プレゼンテーションの書き起こし記事です。ぜひご覧ください。

本記事で特集しております8分間のプレゼンテーションを行う「CATAPULT(カタパルト)」のプレゼンターを募集しております。「スタートアップ」「IoT/ハードウエア」「リアルテック」「カタパルト・グランプリ」の4カテゴリーで募集しております。ぜひ募集ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年9月5-7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
カタパルト・グランプリ

(プレゼンター)
廣瀬 高志
Studyplus
代表取締役社長

1987年生まれ。2010年、慶應義塾大学法学部在学中にスタディプラス株式会社を創業、代表取締役に就任。250万人以上が利用する日本最大級の学習管理プラットフォーム「Studyplus」を運営。App Store「Essentials」アプリ、Google Playベストアプリ選出。2016年日本e-Learning大賞最優秀賞受賞。2017年、iOS/Androidの教育カテゴリにおけるアプリのDAUがNo.1を達成(App Ape調べ)。教育事業者向け学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」を展開し、代々木ゼミナール全校生徒に導入。過疎化の進む石川県能登町の町営塾や、教育系NPO法人キッズドアへの導入を行い、教育格差是正に取り組む。教育特化型インキュベーションプログラム「Eduvation Hub」メンター。

廣瀬 高志氏(以下、廣瀬) 皆さんこんにちは。

Studyplus代表の廣瀬と申します。

本日は、先生が生徒の学習進捗を支援するプラットフォーム、Studyplus for School のご紹介をさせていただきます。

教育の課題は学習意欲の低下・格差拡大にあり

突然ですが皆さん、教育の課題とはなんでしょうか。

今の時代、教材はたくさんあります。非常に良質な映像授業が安価で手に入る時代になっています。

そのようななか、Studyplusが解決する課題は学習意欲です。

学習して、大学に進学して、就職(仕事)をする。

そのなかで決定的に重要なのが、一番初めの部分である「学習意欲」で、ここで差がついてしまうと、将来、非常に大きな差がついてしまいます。

今、この学習意欲が全体的に低下しており、さらに格差が拡大してしまっているという問題があります。

ここで、教育社会科学者で、オックスフォード大学教授の苅谷剛彦先生という方の、高校生の学習時間に関する研究をご紹介させていただきたいと思います。

これは1979年と1997年に行われた調査で、高校2年生を対象とした調査ですが、約20年間で、高校生の学習時間が26%も減少してしまっています。

次にもう一つ問題なのが、母親の学歴が高いほど子どもの学習時間が多いというところです。

かなり差がついてしまっているというのがおわかりいただけると思います。

この二つのデータをクロスで見たのが下の画像ですが、全てのセグメントで下がってしまっています。

母親の学歴によって減少幅が変わっている、かなり差がついているのがおわかりいただけるかなと思います。矢印の部分を取り出したのがこちらです。

非常に格差が拡大してしまっているというのがおわかりいただけるかと思います。

この状況を、ひと言で言うと意欲格差社会です。

すなわち、頑張ったものが報われる結果の平等というのは、われわれの社会の根本理念だと思いますが、そもそも頑張る意欲自体に大きな差がついているというのが現状です。

低い社会階層が子どもの学習意欲の低さにつながり、子どもの将来の学歴であるとか、低収入につながってしまっている、この問題の一番の元凶が、学習意欲が下がってしまっているということです。

学習意欲を高めるプラットフォーム「Studyplus」

このような学習意欲を是正して、全ての社会階層の人の学習意欲をもっと高めることが必要であると僕たちは考えています。

この課題を解決するのが「Studyplus」です。

Studyplusは貧困の連鎖を断ち切る、そのようなことに挑戦しております。

Studyplusは、学校や塾・予備校、また自学自習とあらゆる学習の局面において、一気通貫で学習意欲を高める仕組み、プラットフォームを提供しております。

では実際に、どのようなサービスなのでしょうか。

ひと言で言うと、「勉強の家計簿プラスSNS」です。

勉強の記録をつけることができて、それがグラフとして可視化され、さらに仲間と励まし合えます。

実際の画面を見ながらご説明させていただきます。

まず、自分が勉強している教材をアプリの中の本棚に登録します。

登録した教材について、何時間何ページ勉強したというのを記録することができるようになっています。

ストップウォッチの機能も中に入っています。

記録した結果がグラフとして可視化されるため、勉強を自己管理できるようになっています。

さらに学習の目標を設定して、それに対する進捗率を見ることもできます。

また、StudyplusはSNSになっていて、勉強仲間、勉強友達をつくることができるようになっています。

リアルな友達をLINEで招待してつながるとか、またはStudyplusで、同じ志望校の人と、あるいは同じ教材を使っているなどの共通点がある人と、新しく勉強仲間になることができます。

つくった友達と勉強記録を共有して、タイムラインでお互いに励まし合っていくことで、勉強を習慣化できるサービスになっております。

ビジネスモデルは大学法人・塾・予備校からの広告

サービスのリリースが2010年で、数年間サービスを提供していますが、アプリのアクティブユーザー数は、このように右肩上がりで増えております。

その結果、スマホアプリのアナリティクスツールを提供しているApp Apeさんの調べによりますと、Google PlayとApp storeを合わせた教育カテゴリアプリのアクティブユーザー数で、No.1という調査結果が出ております。

昨年、日本e-Learning大賞というイベントで、最優秀賞を受賞させていただきました。

2016年に、Google playで2年連続ベストアプリをいただいております。

また、iOSのApp storeではこういった表彰はありませんが、「Essentials=エッセンシャルズアプリ」、いわゆる代表作アプリというものに選ばれております。

朝の情報番組の『ZIP』では、東大の入学式を取材したときに、「Studyplusを利用して東大に合格した」という方のお声をご紹介いただきました。

実際、東京大学に合格した方にも数多くご利用いただいております。

Studyplusのビジネスモデルは広告です。

「勉強を頑張って大学進学を目指している高校生」という、非常に特化したユーザーに多くご利用いただいているというところをご評価いただいています。

実は、我々の一番多いクライアントは大学法人です。

特定の志望校を志望している人だけにターゲティングして、広告を出すことができます。それが強みで、今、200以上の大学法人さんとお取引させていただいています。

また、塾・予備校や通信教育など、教育系の企業様のほとんどにご出稿いただいています。

生徒の学習状況を見える化する先生向けアプリ「Studyplus for school」

このようなかたちで、2012年から約5年間、B to Cでサービスをご提供してきたのですが、同じような領域の教育系企業様も、実は困っているということがわかってまいりました。

今、塾・予備校の業界でもIT化の波が一気に押し寄せているという状況でして、今までリアルな授業であったところが、映像授業に徐々に置き換わっていっています。

塾・予備校の非常に大きなもう一つの役割として、生徒一人一人のモチベーションを上げる学習管理という部分があります。

ITを使うことによって、この部分の付加価値をさらに上げることができるのではないか、ここに大きなビジネスチャンスがあるのではないかと考え、去年の4月に「Studyplus for School」というサービスをリリースいたしました。

こちらはひと言で言うと、先生向けの学習管理のダッシュボードです。B to Cで提供しているサービスを生徒様に使っていただきまして、こちらは先生側にご提供するものになります。

具体的に画面を見ながらご説明したいと思います。下の画像のように、各生徒の学習状況がひと目で「見える化」されております。

どの生徒が勉強していてどの生徒が勉強していないのか、ひと目でわかるようになっております。

各生徒がどんな教材をどれだけやっているのかもわかるようになっていて、教材ごとや科目ごとに見ていくことができます。

さらに記録する生徒の画面と同じく、タイムラインというものもあって、こちらでイイねやコメントやメッセージを送って、励ましていくことができるようになっております。

「Studyplus for school」はSaaS型ビジネスモデル

実際の導入効果についてです。

実は、2016年の4月から代々木ゼミナール様の全校舎・全生徒にご導入いただいています。

実際にご利用いただいている立川校の先生のお声なのですが、

「今までは面談をやっていて、まず『今、どんな勉強しているの?』と聞くところから始まっていたのが、それがわかった状態で始めることができるので、ここまでわかるのかと驚いた。」

そのようなお声をいただいております。

また、ユニバースクール様での導入事例なのですが、「導入して2カ月たちますが、生徒の勉強記録、全員続いています」というお声をいただいております。

また、面談の時間も短縮されて、数と質が向上したということです。

お子さまからの声としても、LINE感覚で先生と生徒でやり取りできるので、イイねとかコメントが励みになり距離が近くなった、そういうお声もいただいております。

導入実績はこちらです。

代々木ゼミナール様が生徒さんとしては一番多いのですが、阿佐ヶ谷にある女子校様にもご導入いただいております。また、社会人向けの資格スクールさんなどでもご導入いただいております。

このように、(導入される企業様が)毎月どんどん増えていっております。

ビジネスモデルは生徒1人あたり月額750円というかたちで、SaaS型、ストック型のモデルとなっています。

有料生徒アカウント数も、このようなかたちで順調に伸びております。

過疎と貧困に対して取り組む

最後に、より深刻な学習意欲、格差の是正というところで取り組んでいる例を二つご紹介させてください。

一つが過疎化、もう一つが貧困です。

普通の塾・予備校だけではなくて、以下のようなところにもStudyplus for Schoolを導入させていただいております。

一つ目の事例です。こちらは石川県能登町でやっております町営塾です。

公民館でやっている塾です。

そもそもなぜ、町が塾をやるのかという話ですが、こちらは非常に過疎化が進んでおりまして、このまま放っておくと、能登高校という能登町唯一の高校がなくなってしまいそうな状況です。

高校魅力化プロジェクトというのを立ち上げて、町がお金を出して、ほぼ無料で通えるような塾をつくったという背景があります。

実はITの導入が非常に進んでおりまして、タブレットを使ってみんな勉強をしています。

そもそもの背景として、小学校から高校まで、ものすごく幅広い層の生徒さんがいらっしゃいます。

安いこともあって非常に人気ですが、先生は町の職員なので、人員を増やすことがなかなかできません。

そのような事情から、映像授業などを使いながら効率的にやっていくということに取り組んでおられました。

しかし、自学自習が中心ということもあり、モチベーションの維持というところが課題でした。それに対して、我々のサービスを使うことにより、短時間で各生徒の学習状況を把握して、個別にサポートできるようになりました。

具体的に言いますと、30人ぐらいの生徒さんに対し、1日10分で学習の支援ができる。塾に来ていない日も含めて学習支援ができるようになっています。

あと、もう一つの事例をご紹介させていただきます。

NPO法人キッズドア様にもご導入いただいております。

キッズドアは、日曜日におこなわれている貧困層向けの無料の塾です。

一般的な講義ではなく、マンツーマンの質問対応を中心として、大学生や社会人ボランティアの方が、講師を務めています。

これまで週に1回しかできなかったのが、オンラインでいつでもサポートできるようになったということで、ご好評いただいております。

教育の機会の平等を実現する教育インフラになる

このようなかたちで、都会と地方の格差とか貧困問題などを含めて、全ての人の学習意欲を向上させるべく、われわれは取り組んでいます。

結果の平等というのは、機会の平等があってこそフェアと言えるのではないかと考えています。我々は、全ての人の学習意欲を高めて、機会の平等を実現する教育インフラの構築を目指しております。

これからの日本を良くするためには、教育を変えるというのが非常にインパクトが大きいのではないかと考えています。

全ての人の学習意欲を高めることを通じて、未来の教育産業を皆様と一緒につくっていきたい。ぜひ応援をいただけたら幸いです。

ご清聴ありがとうございました。

(終)

Studyplus廣瀬 高志さんのプレゼンテーション動画をぜひご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/浅郷 浩子/本田 隼輝/平井 裕

【編集部コメント】

ボリュームゾーンのユーザー層である大学受験生などとは遠く歳が離れている私ですが、海外MBA受験の勉強でStudyplusを毎日使わせていただきました!勉強時間が可視化されるだけでこんなに学習の習慣づくりが楽になるのか、とハマってしまいました。勉強の面白かったこと・つらかったこと等を書くこともしてみると、同じ志を持った人同士、非常に親近感のあるコメントを頂けたりして、受験勉強に欠かせないアプリとなります。生涯学習の時代で、これからも色んな学習管理ができるといいなと思います!(榎戸)

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