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ICCサミット FUKUOKA 2019 スタートアップ・カタパルトに登壇し、準優勝に輝いた T-ICU・中西智之さんのプレゼンテーション【「T-ICU」は“Doctor-to-Doctor”遠隔集中治療プラットフォームで医療格差を解決する!】の文字起こし記事をぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2019 プレミアム・スポンサーのラクスル様、プラチナ・スポンサーのIBM BlueHub様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2019年2月19日〜21日開催
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 1B
STARTUP CATAPULT
スタートアップの登竜門
Supported by ラクスル & IBM BlueHub
(プレゼンター)
中西 智之
株式会社T-ICU
代表取締役社長/医師
公式HP|STARTUP DB |LinkedInページ
T-ICUは、集中治療専門医・救急科専門医・麻酔科専門医・日本DMAT隊員の肩書をもつ医師・中西智之氏が2016年に創業した医療系スタートアップ企業。同社の遠隔集中治療プラットフォーム「T-ICU」は、日本の医師32万人中0.5%しか存在しない集中治療専門医による遠隔治療サポートを提供するDtoD(Doctor-to-Doctor)の遠隔医療サービス。T-ICUを導入することにより、集中治療専門医のいない医療機関でも心電図やレントゲンなどの患者情報をもとに集中治療専門医から24時間体制でのサポートを受けることが可能となる。遠隔ビジュアルコミュニケーションツールの「V-CUBE」、医師・医療従事者向けの医療コンテンツサービスを展開する「ケアネット」との提携により、国内における遠隔集中治療ソリューションの価値最大化を目指す。さらに同社は今後「T-ICU」プラットフォームの在宅医療、遠隔地医療、災害時医療、航空機内医療での応用や海外展開も目指すとしている。
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▶「ICC FUKUOKA 2019 スタートアップ・カタパルト」の配信済み記事一覧
中西 智之氏(以下、中西) こんにちは。株式会社T-ICUの中西と申します。
私はICU(集中治療室)の専門医です。
専門医チームを作り、一般のドクターに対して、遠隔から診療をサポートする“ドクターtoドクター(Doctor-to-Doctor)”の遠隔医療を提供しています。
70%の確率で専門医の治療を受けられないICUの現状
我々の専門領域の「集中治療」においては、診療医の不足・偏在といった問題があり、医療レベルに地域ごと・病院ごとの差がかなりあります。
我々はそれを解決します。
想像してください。皆さんが横断歩道を歩いています。
すると、車が来て、あなたは車にひかれてしまいました。
「救急車をお願いします」
やがて救急車がきて、あなたは病院に搬送されます。
「成人男性、交差点での歩行者と自動車の事故の歩行者です」
あなたはかなり重症です。
ER(救命センター)で救命措置を受けます。よくドラマで描かれるところです。
そして重症なあなたは入院が必要になります。
重症ですので、入院する場所は一般病棟ではなく、そう、ICUになります。
このICUについて、「70%」という数字があります。
70%の確率であなたは専門医の治療を受けられません。
なぜなら、そもそも70%のICUには専門医がいないからです。
なぜいないのかというと、集中治療専門医が少ないからです。
集中治療専門医がいる病院は全体の3割未満
日本には医師が32万人いますが、集中治療専門医は1,600人、つまり日本の医師全体の0.5%しかいません。
さらにその少ない専門医が偏在しています。
このスライドは都道府県別の専門医数を示したグラフですが、1,600人の専門医はそのほとんどが東京都、大阪府、愛知県などに偏っています。
和歌山県に関しては7人、鳥取県には4人しかいません。
このように東京と地方、あるいは地方でも中核都市とそれ以外、また東京においても大病院とそれ以外でかなりの偏在があります。
ですから、日本の病院は、集中治療専門医がいる300の病院と専門医がいない800の病院の2つに分かれます。
皆さん、どちらの病院に搬送されたいですか?
私は絶対、集中医療専門医のいる病院がいいです。
なぜならそこに、救命率に差があるからです。
T-ICUは、集中治療専門医がいない病院をサポートする
この、300病院に偏っている専門医の時間、知識力を有効活用して、専門医のいない800病院をサポートする、それが我々の事業「遠隔ICU」です。
話を戻します。
入院となったあなたは、専門医がいないゼロ病院にいます。
そしてあなたの主治医は治療に困っています。
主治医「もしもし、T-ICUですか?」
T-ICU「はい、T-ICUの中西です。今日はどうされましたか?」
主治医「交通被害者の男性が、血圧が上がらないのです。どういう治療をしたらいいでしょうか?」
T-ICU「では、まずは心電図モニターを見せてください。」
「次にレントゲンを見せてください。」
このように、現場の病院と遠隔で電子カルテの情報、検査結果を共有して、的確なアドバイスを素早く返す、これが遠隔ICUです。
アメリカでも集中治療専門医が少なく、遠隔ICUを有効活用する必要があり、1人の専門医が30のICUを管理しています。
そのアメリカでは20年前から遠隔ICUが導入されていて、全米のICUのベッドの20%は遠隔で管理されています。
また遠隔ICUの導入後、死亡率が約26%下がったというデータが出ています。
一方で日本はまだまだこれからで、データはありません。
複数の病院と提携、厚生労働省も遠隔ICUに注目
我々は現在、4病院と契約し、2病院で無料トライアルを開始しています。
そして京都大学医学部附属病院、三重大学医学部附属病院でも、我々のシステムを使って遠隔ICUを始めることが決まりました。
この遠隔ICUですが、厚生労働省も注目しています。
去年9月の日本経済新聞の1面に、医療費抑制目的で厚労省が遠隔ICU(Tele-ICU)を進めていくという記事が出ました。
これを受けて、来年度(2019年度)の厚生労働省の予算で「Tele-ICU体制整備促進費用」として5億円が認められています。
また学会でも遠隔ICUを進めていく動きがあります。日本集中治療医学会では遠隔ICUの調査研究ワーキンググループができて、私もそこのメンバーに入っています。
この遠隔ICUを、厚生労働省も学会もいずれも推進していこうとしていますが、プレイヤーは我々T-ICUだけです。
遠隔ICUを支える強力なパートナー企業との提携
遠隔ICUは高度な知識・経験が必要ですので、誰でもマネできるものではありません。
我々は医師14万人が登録する医療情報サイトを運営している「CareNet」、ビデオ会議システムを提供している「V-CUBE」と業務提携をしています。
▶参照:日本の医療を変える!「遠隔集中治療」で変える!! T-ICUがケアネット、ブイキューブと三社業務提携(PR TIMES)
また、Beyond Next Venturesから第三者割当増資 (※) で資金調達を行いました。
▶参照:T-ICU、Beyond Next Venturesなどから第三者割当増資による資金調達により遠隔集中治療ソリューションの展開を加速(PR TIMES)
メディアにも多数取り上げられています。
月額90万円で24時間365日、病院のICUをサポート
次に収益構造です。
病院様から契約料を頂きます。月額約90万円、年間で約1,000万円となります。
これで24時間365日、カバーします。
一方、病院が24時間ICUをサポートできるよう医師を雇おうとすると、5人の医師が必要です。
1人当たり年間1,500万円〜2,000万円の人件費が必要ですので、5人の医師を雇うには7,500円〜1億円の人件費が必要になります。
我々のサービスなら、8分の1の費用で24時間、専門医がICUをサポートできます。
集中治療外の領域・医療後進国への展開も視野に
遠隔ICUの日本の市場規模は、大体100億円くらいかと考えていますが、我々は遠隔ICUをきっかけとして、遠隔×救急、在宅医療、災害医療、あるいは麻酔に展開していきます。
そして2022年には世界の遠隔医療の市場規模は4兆円に成長すると言われています。
医療後進国である海外への遠隔医療の輸出も注目されています。
そこで、我々はすでにカンボジア、バングラデシュへ行って参りました。
また先週にはネパール大使館に行き、来月ネパールにいくことが決まっています。
その他にはタイ、ミャンマー、中国からもお話を頂いています。
我々はまず、世界の市場の5%を獲得したいと考えています。
「私たちには、救える命がある」
メンバーは私とCOO、イグジット経験のあるCTO、他合計7名で会社を運営しています。
それとは別に集中治療専門医が21名、協力してシフトを組んでくれています。
そして現役の集中治療関連の医学部教授も4名、応援してくれています。
我々はまだまだスタートアップです。
今後、資金調達も予定していますので、ぜひよろしくお願いします。
私たちには、救える命があります。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/三木 茉莉子/尾形 佳靖/戸田 秀成/川村 郁
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