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ICCサミット FUKUOKA 2019 リアルテック・カタパルトに登壇し、準優勝に輝いた、メトロウェザー 東邦昭さんのプレゼンテーション【メトロウェザーは小型高性能ドップラー・ライダーで“風”を可視化し、上空の安全を守る!】の文字起こし記事をぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2019 プレミアム・スポンサーのHonda R&D Innovations様にサポートいただきました。
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【登壇者情報】
2019年2月19日〜21日開催
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 3B
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by Honda R&D Innovations
(プレゼンター)
東 邦昭
メトロウェザー株式会社
代表取締役
公式HP|STARTUP DB|Linkedinページ
2009年に京都大学のポスドクに着任後、大気レーダーを用いた乱気流検出・予測技術の開発・高分解能気象予測シミュレーションの開発を行う。民間気象予報会社において2年間の環境アセスメントの実務経験も持つ。2014年にポスドクを辞めた後、1年間の起業準備期間を経て、2015年に京都大学発スタートアップとしてメトロウェザー株式会社を同大学助教の古本淳一と創業。来たるべくドローン前提社会に向けてメトロウェザーが世界中の風況を掌握することを目指す。代表取締役。神戸大学博士(理学)・気象予報士。
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▶「ICC FUKUOKA 2019 リアルテック・カタパルト」の配信済み記事一覧
東 邦昭氏(以下、東) メトロウェザーの東(ひがし)と申します。
私どもは京都大学発のスタートアップで、一言で申し上げますと「風」をテーマにしている会社です。
我々のビジョンは単純明快で、「風を制して、空の安全を守る」ということです。
もう間もなく、上空におけるモビリティ(移動手段)革命の時代が訪れようとしています。
その時に大きな問題になるのが、風をいかに読み、可視化するかということです。
つまり「風」の情報を得ることが必ず重要になってきます。
これを解決するというのが我々の大きなビジョンです。
ドップラー・ライダーで風を測り、空の安全を守る
それをどのようにしてやるのかというのが、次のスライドになります。
我々は、風の情報を高精度に測定する「ドップラー・ライダー」を開発しました。
大気中には、 PM2.5などのエアロゾルが存在します。
人間の目には見えない赤外線を大気中に照射すると、これらのエアロゾルがわずかに反射します。
その反射光を受信して、風を計測するのが「ドップラー・ライダー」です。
現在、主軸とされている直接観測式風速計はプロペラを用いるやり方で、観測地点がその場に限られてしまいます。
一方、我々のドップラー・ライダーを使えば、三次元の風況がリアルタイムで分かります。
これを使って、世の中のあらゆる場所の「風」を瞬時に観測し、空の安全を守るために使おうというのが、我々の大きな目的です。
長年培ったレーダー技術を適用し、高精度化を実現
ドップラー・ライダーを製造している会社というのは我々だけではなく、世界中に同業他社が存在します。
それらの企業と競うために、大学での長年のレーダー研究で培った、非常に僅かなシグナルを取り出せる高精度なコア技術を積極的に投入していきます。
上記のスライドの背景写真は、滋賀県の山奥にある野球場1個分もの大きさに匹敵する大型の大気レーダーです。
私たちはこの大型レーダーを用いて、宇宙空間と呼ばれる上空およそ500キロまでの空間領域の風を、地上から連続的に計るということを長年行ってきました。
この30年の研究の積み重ねで得た技術を、先ほどのドップラー・ライダーに適用して高性能化するというのが我々の強みなのです。
これがいかに高精度な技術なのか、分かりやすく申し上げますと、例えば新大阪の駅から何かデータを発信するとします。
すると、その微妙なシグナルを東京駅で見逃さずに的確に検出できるレベルに相当するものです。
この高度な技術をドップラー・ライダーに搭載して、リードタイムを短縮し、競争力を高めていこうと考えています。
超小型化により、観測ポイントの多点展開を目指す
2015年に会社を設立し、ドップラー・ライダーの試作を重ねました。
その結果、今ようやく、スライドの一番右上の写真にある約1立方メートルぐらいの大きさまで小型化させることに成功し、商品化までこぎつけました。
これだけでもビジネスは可能ですが、我々の真の目的は、その先の「空の安全を守る」ということです。
それを成し遂げるには、これでもまだ大きすぎるのです。
今年2019年には、このテーブルの上に載るぐらいの大きさまで一気に小型化を進め、これを多点展開していこうと考えています。
ドローン社会における「風況」と「管制」を握る!
次に、我々がターゲットとする市場についてです。
言わば、風に関するすべてが我々の対象マーケットとなります。
その中で、我々は現在「防災」「風力発電」「ドローン」「航空」という4つの分野にターゲットを絞っています。
さらにこの中で着目しているのが、これから大きく分野が開けてくる「ドローン」の領域です。
これから、ドローンの飛行数が増加していく社会になります。
その時に問題になるのは「ドローンは風の乱れに弱い」「管制する人が誰もいない」という点です。
実際、「風に強いドローンをつくろう」「ドローンを管制しよう」という動きが出てきています。
我々はこれを受けて、小型化した弊社のドップラー・ライダーを多点展開することにより、街中の風をリアルタイムに把握できるようにすることを狙っています。
テーブルの上に載るほどの小型化されたドップラー・ライダーができれば、街中の電柱や携帯の基地局などの送電電塔に設置することが可能になります。
千葉市ぐらいの大きさであれば(スライド右上参照)、我々のドップラー・ライダーを40個ほど電柱や携帯の基地局などに多点展開することにより、市内地域の風況データを三次元かつリアルタイムにモニタリングしながら、データ収集することが可能になります。
ドップラー・ライダーの収集データは「宝の山」
そして実はこの「データ収集」というところが非常に大きなポイントです。
我々は、ドップラー・ライダーの製造に終始することなく 、そのセンサーを多点展開して、ありとあらゆる情報をメトロウェザーに集約させていくという次の大きな目標を目指しています。
我々のドップラー・ライダーを、東京都区内に多点展開した場合を想定してみます。
上記のムービーで示すように、ビルの屋上など様々な場所に設置します。
そして、各場所に設置されたドップラー・ライダーで風を観測します。
風が強く吹いているところを色で可視化します。
ドローンを実際に飛ばした場合、ビル風などの非常に細かな乱流は避けなければいけません。
ドップラー・ライダーを使えば、発生した乱流をリアルタイムに検知することができ、安全なところへ誘導して飛行させることができます。
これを都市部だけではなく日本中、ひいては世界中に展開していきます。
そして、日本中、世界中のありとあらゆる風況の観測を実現していきます。
最後に、我々が2025年に思い描いている未来像がこのスライドになります。
我々のドップラー・ライダーを、携帯基地局や街中の電柱に設置すると、24時間365日、リアルタイムな風況情報を入手することが可能になります。
それを、ドローンを飛ばす方、もしくは管制する方に提供することで、それが空の安全なモビリティ社会の基盤技術となります。
ドップラー・ライダーは、実は色々なドップラーをとっています。
車や人間の動きなど、移動するものすべてが、情報として集まってくるのです。
現時点では風のデータ収集に重点を置いていますが、将来はさらに領域を広げ、ありとあらゆる動くもののデータを入手して、そこから先に広がるビジネス展開をしていこうと考えています。
以上です。ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/三木 茉莉子/尾形 佳靖/戸田 秀成/小林 弘美
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