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ICCサミット FUKUOKA 2020 スタートアップ・カタパルトに登壇し、優勝に輝いた アダコテック 河邑 亮太さんのプレゼンテーション動画【少量の学習データで100%異常検知!AIで製造業の検査・検品を自動化する「アダコテック」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 プレミアム・スポンサーのラクスル様、プラチナ・スポンサーの日本アイ・ビー・エム様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2020年2月18〜20日開催
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 1B
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門
Supported by ラクスル & 日本アイ・ビー・エム
(プレゼンター)
河邑 亮太
株式会社アダコテック
代表取締役
公式HP | STARTUP DB
1987年生まれ。2011年に一橋大学法学部を卒業後、三井物産株式会社に入社。7年間、南米の自動車ビジネスを担当し、主に、在チリ子会社のターンアラウンド経営(社長補佐兼CFO)や数百億円規模のクロスボーダーM&A案件に従事。テクノロジー領域へ転身すべく、2018年4月から合同会社DMM.com。経営企画室にてVR領域での新規事業立案や社会人向けプログラミングスクールを営む子会社に出向してのPMI/経営支援を行った。2019年7月より「日本発の技術で日本のお家芸である製造業を変革する」という方向性に共鳴し、アダコテックに執行役員として参画。2020年4月より現職。産総研発の優れた画像解析技術と機械学習技術を武器に、製造業の検査検品を自動化するソフトウェアを提供している。
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▶「ICC FUKUOKA 2020 スタートアップ・カタパルト」の配信済み記事一覧
河邑 亮太さん(以下、河邑) おはようございます、アダコテックの河邑と申します。
我々は独自の画像解析AIを用いて、モノづくりの検査・検品を自動化するサービスを提供しています。
日本最大級の研究所である、産総研(産業技術総合研究所)の特許を活用したテクノロジーベンチャーです。
モノづくりの検査・検品、なかなかイメージがわかないと思いますので、まずはこちらの動画をご覧ください。
製造業における圧倒的人不足と「検査作業」の負担
こちらは、とある工場での部品検査の様子です。
1個あたり6秒の早さで検品するという、なかなか大変な作業です。
立ちっぱなしで8時間、1日何千個という部品に対して、数10ミクロンという小さい傷を探し続ける作業です。
非常に単調ですが、プレッシャーも強く、そして何より熟練が必要な作業です。
我々がなぜこの検査に着目したかというと、そう、圧倒的な人不足の問題があるからです。
国内でも140万人の方が検査工程に従事していると言われています。
工場従事者の実に5人に1人です。
少子高齢化によって人為的なミスも発生しており、結果として、近年では不適切検査事案が多発しています。
いわば、検査現場は限界を迎えているのです。
画像解析で不良品を「見える化」、100%の精度で異常検知
ではこの課題に対して、我々がどういった仕組みで解決していこうとしているのか、この基板部品を例にご説明します。
工場では、このように次々と流れてくる検査対象の部品を、カメラで撮影します。
撮影したものの中には、欠け、付着物、キズといった不良が含まれていますが、我々のソフトウェアを使うことで、どこが、どのくらい不良なのかを一瞬で「見える化」することができます。
つまり、簡単なものから難しいものまで、100%の精度で異常を検知するということです。
このようにご説明すると、複雑なデータベースや沢山の計算が必要なのではないかと言われることも多いのですが、実は全くその逆です。
少量データによる低コストの検査を可能にする産総研発特許技術
我々の最大の強みは、「大量の教師データが必要ない」ということです。
正常のデータ100枚のみを用いて、検査モデルを作ることが出来ます。
また、計算も10万円のパソコンで済み、ディープラーニングの弱点と言われるブラックボックス化問題についても、説明可能なロジックを用意しています。
つまり、低コストで誰にでも、精度の高い検査ができるのです。
実際の数字で見ても、競合サービスが86,000枚のデータを用いて2.3%もの見逃しを発生させているのに対し、アダコテックは200件のサンプルで見逃しゼロを実現しています。
なぜこれが可能なのか、そのロジックをご説明いたします。
産総研特許技術であるHLAC(Higher-order Local Auto Correlation、高次局所自己相関特徴)は、画像の特徴を認識する日本発の技術です。
この仕組みで、画像の左上から右下にかけて3ピクセル×3ピクセルのマスクパターンをスキャンしていきます。
25種類のマスクパターンがあり、これがどこにいくつあるのかを数え上げることで、画像の特徴を表現する技術です。
我々のチームにも特徴があります。
創業エンジニアである、中央の伊藤と伊部が産総研ベンチャーの出身です。
また、先ほどの特許を発明した先生には、技術顧問として入っていただいています。
ですので、HLACという特許技術に関しては、我々が世界一のチームです。
14年間の研究開発を経て、技術を磨き続け、ようやく世の中の皆様にとって不可欠なサービスを提供するに至りました。
製造現場にやさしい、簡単&素早い異常検知システム
では実際のデモをご覧いただきます。
先ほど撮影した基板部品14枚、正常データのみを用意しました。
これらを学習させていくのですが、通常のディープラーニングでは、この学習プロセスだけで数時間かかることもあります。
しかし我々のソフトウェアでは7秒しかかかりません。
次に、「欠陥検出モード」へ移り、左上の枠に検査結果が出てきます。
例えば、この画像は正常なので、検査にかけると左上に緑で「正常」と出てきます。
ただ、次の例のように欠けていたりすると異常が検知されますし、当然、付着物も検知されます。
肉眼では見えにくいキズが真ん中にあっても、難なく検知されます。
要は、簡単に使えてすごく早い、これが製造現場に受け入れられている理由です。
検査結果は左下に表示されているものなのですが、定量的に検査結果の履歴を残すことができるのも特徴です。
高成長率の国内自動車部品業界から、世界33兆円市場へ
トラクションについてです。
世の中のAI事業は、PoC(Proof of Concept、概念実証)で終わってしまうものが多いのですが、我々は世界で最も基準が厳しいといわれる日本の製造業に5件導入されています。
これが、14年かけて我々が研究してきた成果です。
実例としては、自動車業界のお客様が主なユーザーとなっており、世界トップシェアを誇る自動車部品のお客様にも導入いただいています。
我々は、この市場を最初のターゲットとしています。
その理由は、非常に伸び代があるからです。
ご覧の通り、現状では半導体市場の100分の1以下の市場規模です。
従来の自動車の部品は複雑で、なかなか検査を自動化できなかったという背景があるのですが、近年では急成長しており、我々はこの成長を取り込んでいきます。
展開の方法ですが、既にTier1のお客様に多数導入いただいており、業界慣習に従い、トップダウンで国内外へ展開して行く予定です。
また、導入事例は自動車業界以外にもあります。
新幹線トンネルの検査や、駅などに設置されている監視カメラに我々のソフトウェアを使っていただくなど、非常に汎用的な技術であることが実証されています。
全体のマーケットを見ていきましょう。
冒頭で申し上げた140万人の検査人員に対して人件費がかかっていますので、結果として国内7兆円のマーケット規模となります。
価格は、一人当たりの人件費(500万円)の40%、200万円に設定しています。
アクセスできるマーケット(SAM、Serviceable Available Market)は約3兆円、国外を入れると33兆円の巨大なマーケットです。
検査をアップデートし、モノづくりの進化と革新を支える
最後に、今後の展開についてです。
我々は単に人を代替していくのではなく、モノづくり全体を変革したいと思っています。
製造業では現在、多重下請け構造の中で、何度も何度も検査が実施されています。
人が検査を実施しているので、定量的な基準がなく「検査根拠が分からない」という課題もあります。
これに対して、我々のソフトウェアを入れていくことで、定量的な基準を設けトレーサビリティを実現します。
トレーサビリティとは、例えば車でリコールが発生したとき、どこの工場のどこの工程で不良が発生したのかが、すぐに分かるような仕組みです。
また、我々がこの検査履歴を担保するので、受け入れ検査についても実施不要となり、検査の回数も劇的に減らすことができます。
ひいては、業界全体の生産性向上に貢献していけるのです。
つまり、検査は我々に任せていただいて、モノづくりをされる方にはよりクリエイティブなところに集中していただく、そんな世界をつくたいと思っています。
それが「モノづくりの進化と革新を支える。」というミッションに込めた我々の思いです。
我々は今まで14年間やってきましたが、モノづくりを変えるにはまだまだ事業も組織も強化が必要だと思っています。
ご支援のほど、よろしくお願いいたします。
(終)
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/フローゼ 祥子/道下 千帆/戸田 秀成
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