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ICCサミット FUKUOKA 2020 CRAFTED カタパルトに登壇いただいた、HiOLI 西尾 修平さんのプレゼンテーション動画【素材の美味しさ、生産者の想いを“カップ”に込めて。クラフトアイスクリーム工房「HiO ICE CREAM」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 プレミアム・スポンサーのLexus International Co.様にサポートいただきました。
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【登壇者情報】
2020年2月18〜20日開催
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 7B
CRAFTED CATAPULT
豊かなライフスタイルの実現に向けて(90分拡大版)
Sponsored by Lexus International Co.
(プレゼンター)
西尾 修平
株式会社HiOLI
代表取締役社長
公式HP | STARTUP DB
1980年生まれ。2003年に株式会社リクルートに入社し、人材採用コンサルティングや子会社経営企画等を担当。その後、投資ファンド運営会社、株式会社ミクシィ取締役等経て、2016年に製菓のスタートアップ企業に参画。副社長・社長として新ブランドの立ち上げ、海外展開、IPO準備等を推進。2019年4月、新たに株式会社HiOLIを設立し、クラフトアイスクリームブランド「HiO ICE CREAM」を創業。おいしさを追求するために各地の魅力あふれる素材を探し求め、素材本来の良さを引き出せるよう、ひとつひとつの作業工程毎に最適化した機械・テクノロジーを活用。マイクロバッチの製造方法にこだわった日本発のクラフトスイーツをお届けしています。
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▶「ICC FUKUOKA 2020 CRAFTED カタパルト」の配信済み記事一覧
西尾 修平さん 東京自由が丘で、クラフトアイスクリーム工房「HiO ICE CREAM」を運営する西尾と申します。
よろしくお願いいたします。
審査員の皆さまには、今、ICCのスタッフの方よりアイスクリームをお配りいただいています。
それを召し上がりながら、お聞きいただければと思います。
アイスの原料は、美瑛で出会った軽やかで濃い牛乳
私たちが作るアイスクリームの特徴は、濃厚さと後味の軽さです。
その秘密の1つは、主原料である牛乳です。
HiO ICE CREAMを創業した2019年春の約半年前から準備に取り掛かり、味に濃厚さと軽さを表現できるような牛乳探しに奔走していました。
そして北海道から九州まで、40か所以上の酪農家を訪問する中で出会ったのが、北海道美瑛町の牛乳です。
美瑛町は大雪山の麓にあり、潤沢な湧き水と栄養豊富な牧草で育てられた牛たちのミルクには、まさに濃厚さと後味の軽さがありました。
また、全国の産地をまわる中で、気候不順によって収穫量が変動することや、後継者不足によって牛を育てる環境がどんどん失われている現実を知りました。
そして、一生懸命乳牛を育てている方々の想いを背負い、製菓を通じて、次の世代を担う子どもたちに繋げていけるモノづくりをしていきたいと思うようになりました。
父親とアイスを買いに行った、幼少期の楽しい思い出
なぜ私はアイスクリームを選んだのか?
私は、小さな頃からお菓子が大好きで、忙しかった父と週末にアイスクリームを買いに行くのをとても楽しみにしていました。
成人してからは、新卒でリクルートに入社し、その後、PEファンドやIT企業などでM&A関連の仕事に携わってきましたが、私が33歳のときに父が60代で亡くなりました。
私自身、引退後60歳を過ぎてから小さなお菓子工房を開く夢を持っていたのですが、父の死がきっかけに時間が有限であることを実感し、約4年前の35歳のとき、お菓子の世界に飛び込みました。
イタリア修行で、独自のレシピと製法を開発
まずは製菓業界の別のスタートアップ企業で、約3年間経営を行った後、2018年秋からHiO ICE CREAMの創業準備に入りました。
原料となる牛乳探しと並行し、クラフトアイスクリームの在り方を模索すべく、アイスクリームの先祖にあたるイタリアンジェラートの歴史と製法を学びに、イタリアのボローニャへ渡りました。
そこで、ジェラートの師匠となる先生に、イタリアンジェラートの製法と、生クリームを加えたアメリカンアイスクリームのレシピを融合し、少量ずつマイクロバッチでアイスクリームを作ってみたいと相談しました。
その試行錯誤の結果生まれたのが、審査員の皆さまに召し上がっていただいている、「美瑛シングルオリジンミルク」のアイスクリームです。
自由が丘に「HiO ICE CREAM」の工房をオープン
そしてついに2019年4月、HiO ICE CREAMがスタートしました。
私たちの工房「Atelier(アトリエ)」は、自由が丘駅から徒歩5分の、閑静な住宅街に通じる静かな緑道沿いの一角にあります。
この工房で、食品企画、開発、製造、販売までの全てを行っています。
食品業界を見渡すと、クラフトビールの 「よなよなエール」や「COEDO」、チョコレートの「Minimal」など、クラフトアプローチのブランドが数多く活躍しています。
こういったアプローチは、マスアプローチや、限られた範囲での職人の手仕事とは異なり、需要と供給のバランスが取れた範囲で拡大・再生産を目指していく3つ目の流れになるだろうと確信しました。
また、製菓市場自体は2兆円、その中でもアイスクリーム市場は5,500億円もの規模があります。
典型的な装置産業であるからこそ、クラフトアプローチで新たな価値を創造できるのではないかと感じ、私自信が大好きなアイスクリームを切り口に挑戦することに決めたのです。
3つのクラフトアプローチで、新たな価値を創造する
私たちが考えるクラフトアプローチには、3点の特徴があります。
1つ目は、香料、着色料、保存料といった合成添加物に頼らず、素材本来の良さを引き出すこと。
2つ目は、手間を惜しまず、少量ずつのマイクロバッチで特徴的な味を目指すこと。
最後に、加工者の我々だけでなく、原料生産者の想いも一緒に発信していけるような、“顔の見える”モノづくりをすること。
これまでに開発したフレーバーは50種類以上あり、試作は500回を超えます。
産地をひたすら歩き回り、何度も試作を繰り返して今に至ります。
これまで、世界各国60か所以上の生産者のもとへ伺い、甘いものはその甘さを、酸っぱいものはその酸味を生かしながら、その場所で穫れた素材の良さを引き出す努力をしてきました。
また、可能な限り素材のシングルオリジンにこだわり、特徴的な味を磨き上げることに注力しています。
商品販売チャネルやタッチポイントを拡大中
現在の販売チャネルは、工房に併設しているスクープショップ(販売店)の他、ECギフトショップ、そして毎月2種類の味がご自宅に届くサブスクリプションサービス「Pint Club(パイントクラブ)」などを展開しています。
また、2020年春からは、私たちのシグネチャーフレーバーであるミルク味など、ある程度量産が可能なプロダクトをエントリーモデルとして、高級スーパーなどの小売店への販売を開始する予定です。
▶HiO ICE CREAM、ナチュラルローソンにて4月28日より販売開始(HiOLI Inc.)
マイクロバッチでしか作れない旬のフレーバーは、引き続き、自社の直接販売できるチャネルで、その生産背景などのストーリーと合わせてお届けしてきたいと考えています。
さらに、2020年と2021年は、関東、関西の中心部で、体験型店舗の出店も計画しています。
大変ありがたいことに、お菓子激戦区と言われる自由が丘で、世界的トップパティスリーと並ぶ高いレビュースコアをいただいています。
また2019年1年間で、100を超えるメディアに取り上げていただき、クラフトアプローチのコーヒーブランドであるブルーボトルコーヒーさんとのコラボレーションでは、フロントメニューに弊社のアイスクリームを採用いただきました。
工房併設の実店舗では、顧客のブランド体験を重視
工房併設の実店舗では、お客さまにブランドの価値観を体験していただくことに重点を置いています。
店舗では、アイスクリームのテイスティングがし放題です。
また、実際にフルーツの生産者にお越しいただきその場でフルーツも販売するなど、様々なイベントを通じて、HiO ICE CREAMの価値観を体験していただいています。
私たちのブランドに共感していただけるお客さまと一緒に、地に足をつけた成長を目指していきたいと思います。
スタッフの手描きラベルで、商品とお客様をつなぐ
また、ハンドメイドかつマイクロバッチでアイスクリームを製造しているという、“人が介在する価値”をお伝えする工夫もしています。
モノとヒトとの間にある心理的な障壁を下げるために、例えば、アイスクリームを入れるパイントカップのシールは、それぞれのフレーバーごとにスタッフが手書きしお客さまにお届けしています。
HiO ICE CREAMのスタッフが手作りしたことを、少しでも感じていただければ幸いです。
地球環境に優しい包装で、エシカルな消費にも配慮
次の世代のために、地球環境に配慮した商品にも取り組み始めています。
その一例として、保冷の発泡体にはプラスチック製のものではなく、再生可能な紙製発泡体「ワンダーエコ」を採用したり、二酸化炭素を固めたドライアイスではなく、食塩を使いマイナス18℃以下になると凍結するスーパー保冷剤を使用しています。
父親として、次世代を担う子どもたちに残すモノづくりを
私が小さな頃から大好きだったアイスクリーム。
今度は自分が父親となり、次の世代を担う子どもたちに何を残していけるのかを考えています。
フードロスや地球環境といった社会問題への取り組み、そして素材の良さを引き出しおいしさを追求するクラフトアプローチで、これからもモノづくりにコミットしていきたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/フローゼ 祥子/SNOWLIGHT/戸田 秀成
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