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能の体験を通じて、歴代のトップリーダーが得た学びを伝える「金剛流能楽師」宇髙竜成(ICC KYOTO 2020)【文字起こし版】

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ICCサミット KYOTO 2020 CRAFTEDカタパルトに登壇いただいた、金剛流能楽師 宇髙 竜成さんのプレゼンテーション動画【能の体験を通じて、歴代のトップリーダーが得た学びを伝える「金剛流能楽師」宇髙竜成】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2021は、2021年2月15日〜2月18日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2020 プレミアム・スポンサーのLexus International Co. にサポート頂きました。

【速報】本革のものづくりに“想い“を込めて──貧困国の雇用創出に取り組む「ビジネスレザーファクトリー」がCRAFTED カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2020)


【登壇者情報】
2020年9月1〜3日開催
ICCサミット KYOTO 2020
Session 7A
CRAFTED CATAPULT
豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Lexus International Co.

宇髙 竜成
金剛流能楽師
シテ方

昭和56年生まれ。二十六世金剛流宗家・金剛永謹、及び父・宇高通成に師事。初舞台は3歳。子方時代を経て、プロの能楽師となる。舞台活動の傍ら、初心者にもわかりやすく楽しめる「能楽ワークショップ」を企画し、パリ、韓国、アメリカなど海外でもワークショップを行う。平成27年より自主公演「竜成の会」を主宰。平成29年よりYouTube「竜成の会」チャンネルで動画配信を開始し、より幅広く普及活動に努める。現在京都を中心に活動中。ホームページ:http://www.tatsushige3.com


宇髙 竜成さん 皆さん、こんにちは。金剛流(※)能楽師の宇髙竜成です。

どうぞよろしくお願いいたします。

▶編集注:金剛流とは、能の主人公(シテ)を演じる能楽シテ方五流派のひとつで、関西に宗家が在住する唯一の流儀。金剛流の芸風は、豪快でめざましい動きの中にも、華麗・優美さがあり、「舞金剛」と言われ、所蔵する能面・能装束に名品が多いことでも知られ「面金剛」とも言われる(金剛能楽堂HP)。

歴史上のトップリーダーが嗜んできた能

さて、能と茶の湯は、日本紳士の嗜みでございます。

昔から今に至るまで、多くの歴史上のトップリーダーたちが能を嗜んできました。

足利義満、織田信長、豊臣秀吉といった戦国武将たち、そして剣術家、琳派(※) を代表するようなアーティスト、財閥や文豪たちはなぜ能に魅力を感じたのか、その理由のひとつを挙げるとするならば、「一期一会」という能のコンセプトにあると思います。

▶編集注:琳派(りんぱ)とは、江戸時代を通じて栄えた装飾画の流派のこと。(コトバンク)

能における「一期一会」とは

「一期一会」というのは茶道や禅の思想で有名ですけれども、では、能の「一期一会」とは一体どういうものなのでしょうか。

こちらは、能の舞台が行われるまでの流れを表しています。

稽古の次に、申し合わせ(リハーサル)、そして本番という流れです。

基本的に稽古は1人で行います。

全員で集まって行うと、もちろんすぐに合うようになってきますが、それではもうすでにできあがったものをお客さんに披露するだけになってしまいます。

われわれは舞台上でセッションのようにせめぎあいがあって、そこで生み出されるライブ感を大事にしますので、練習は1人で行います。

そして本番の数日前に、申し合わせとして、全員が集まって最初から最後までざっと通します。

ここでは、いわゆるドライリハーサル(※) のような形で、お互いが手の内をまだ隠した状態で進めていきます。

▶編集注:放送用語で、本読みから立ち稽古までの、カメラなしで行うリハーサルのこと(コトバンク)

また、本番で能面・能装束を身に着ける主役は、この時点まではずっと着物や袴を着て行います。

そして本番当日、楽屋で装束を身にまとい、「鏡の間(※)」という少し暗い部屋にある大きな鏡に向かって、室町時代から代々伝わる能面を掛けます。

▶編集注:能舞台で、橋がかりの奥の揚げ幕のすぐ内側にある板敷きの部屋のこと。姿見鏡を置き、役者が登場直前に面(おもて)をつけ、気を統一する場所。(コトバンク)

代々の役者がずっと使ってきた、想いのこもった能面は、登場人物そのものと言っていいほど大事なものですので、必ずお辞儀をしてから礼儀を尽くして扱います。

そして本番、役者も観客も一体となって、一度きりの公演を体験していきます。

能の公演は、「一期一会」の観点から、同じ内容の公演を連続して繰り返すということは昔からタブーになっております。

そのため、その主役にとって、その曲目の主人公を演じるのは、この先10年後か30年後か、もしかしたら一生で1回になるかもしれないのです。

能体験で「先人たちの思いを受け継ぎ、次の世代に託す」人生観を得られる

そして、先ほどご紹介しましたトップリーダーたちは、能をただ見るだけではなく実際に自分で演じることによって、演者にとっても、舞台としても、不可逆の時間を使って、登場人物の人生を生きる、能の「一期一会」を体験してきました。

能には、本当に多くの主人公がいます。

能を体験することによって、トップリーダーたちは自分ひとりの短い一生に完結することなく、「昔から培ってきた、色々な人たちの思いを受け継いで次の世代に未来を託す」という長いスパンでの人生観を手に入れたのではないかと思います。

この人生観を手に入れられるような能の「一期一会」には、おそらくこのトップリーダーたちが追い求める価値観に共鳴したものがあったのだと思います。

能は「見るだけじゃなく、誰でも出来る」

ここで、今日、皆さんに僕からご提案があります。

皆さんは今日を生きるトップリーダーの方たちだと思います。

ですので、能を見るだけではなく、実際にやってみませんか?

能は、「見るだけじゃなく、誰でも出来る。」、これが魅力だと思います。

能を実際にやることによって、信長が、秀吉が、または夏目漱石が、野村得庵(野村證券の創業者)が見てきた人生観を垣間見ることができるかもしれません。

ちょうど今夜、この会場の近くにある無鄰菴にて能のイベントを開催しますので、ぜひ足を運んでいただければと思います。

どうもありがとうございました。

▶記事冒頭で、能体験のイベント写真を紹介しています。
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全ての舞台は“一度きり”? YouTuber能楽師・宇髙 竜成さんに「お能」の魅力を教えていただきました!【ICC KYOTO 2020 登壇者インタビュー】

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/フローゼ 祥子/戸田 秀成/中村 瑠李子

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