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「ORANGE kitchen」は、専属の管理栄養士によるリモートケアで、国民保険の重要課題である人工透析患者の削減に挑む(ICC FUKUOKA 2021)

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ICC FUKUOKA 2021 スタートアップ・カタパルトに登壇いただき、見事6位に入賞した、ORANGE kitchen 若子 みな美さんのプレゼンテーション動画【「ORANGE kitchen」は、専属の管理栄養士によるリモートケアで、国民保険の重要課題である人工透析患者の削減に挑む】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 ダイヤモンド・スポンサーのノバセル にサポート頂きました。

【速報】スマホ養殖でサバの“生食文化”を創る!「フィッシュ・バイオテック」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICCサミット FUKUOKA 2021)


【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICC FUKUOKA 2021
Session 1A
STARTUP CATAPULT
スタートアップの登竜門
Supported by ノバセル

若子 みな美
株式会社ORANGE kitchen
代表取締役 / 管理栄養士

1989年愛知県生まれ。2011年に管理栄養士免許取得。神奈川リハビリテーション病院にて管理栄養士として勤務し、入院・外来患者の栄養指導等を行う。食を通した生活習慣病の予防、健康維持・増進などのポピュレーションアプローチを行うため、2017年に個人事業主として独立。食品メーカーや企業健保向けの減塩レシピ提案、コラム寄稿等を行う。2018年 株式会社ORANGE kitchen設立。2019年 慶應義塾大学大学院 公衆衛生専攻 進学。腎臓内科クリニックに非常勤 管理栄養士として勤務しつつ、人工透析予防特化型 重症化予防プログラム「しおみる」を立ち上げる。個人のQOL向上と医療費増加抑制を行い、日本の未来を明るくすることを目指している。


若子 みな美さん こんにちは。

慢性腎臓病の方向けに、人工透析が必要になることを予防する生活習慣改善サポート事業「しおみる」を運営しております、ORANGE kitchenの管理栄養士、若子(わかこ)と申します。

よろしくお願いいたします。

将来人工透析が必要になるリスク

突然ですが皆さん、高血圧や糖尿病をお持ちの方、心の中でこっそり手を挙げて下さい。

今、手を挙げてくれた方に、管理栄養士の私から言わせてください。

もしかしたら将来、人工透析が必要になってしまうかもしれません。

私は今も非常勤の管理栄養士として腎臓内科クリニックで勤務しながら、この事業を行っています。

週3日・1日4時間以上もかかる人工透析

人工透析とは、腎臓が機能しなくなることにより、体外で血液濾過を行う医療行為です。

人工透析をするようになると、食事制限や運動制限がかかるだけではなく、1日4時間以上、週に3日病院に拘束される生活が一生続くことで、QOLや健康寿命が著しく低下します。

なぜ人工透析が必要になるのか?

では、なぜ人工透析が必要になってしまうのでしょうか。

私は最初に、高血圧や糖尿病の持病があるかお尋ねしました。

これらの生活習慣病を放置すると、少しずつ腎臓に負担がかかり、慢性腎臓病になってしまいます。

慢性腎臓病が進行して腎臓が機能しなくなると、人工透析が必要になってしまうのです。

また、腎臓は非常に厄介な臓器で、一度悪くなった腎臓はもう元には戻りません。

ですから、今の状態をキープするのが、非常に大切なのです。

腎機能を低下させる3大危険因子

腎機能を低下させる危険因子には、「肥満」「高血圧」「食塩の過剰摂取」などがあります。

我々はこの3つを測定管理しながら、生活を改善していく事業「しおみる」を作っています。

体重・血圧・摂取食塩量データを蓄積して可視化

ダイエットの手法を人工透析予防に応用して体重を測定管理、ここに血圧と摂取食塩量の測定管理を加えていきます。

摂取食塩量の測定管理は、朝1回、自宅で専用カップに尿を入れると、前日に摂取した食塩量を可視化でき、スマートフォンに表示されるIoT機器を自社で開発しています。

現在、測定技術を特許出願中です。

体重、血圧、摂取食塩量を測定管理しながら、腎臓病の進行を予防する食生活を身につけていきます。

専属の管理栄養士によるLINEでの食事指導

しかし、可視化したとしても、1人では改善できません。

そこで、専属の管理栄養士がオンラインで徹底的に伴走します。

摂取食塩量や血圧データとともに、LINEで食事の写真を送って頂きます。

エネルギーやタンパク質を数値でフィードバックしながら、コメントで質を評価します。

密なコミュニケーションをとることで、自分が食べられるものが自然に分かるようになります。

週に1回家族同席のオンラインカウンセリング

料理は家族が作っているという方も多いと思います。

そこで弊社では、ご家族同席のオンラインカウンセリングを週に1度入れています。

ご家族を巻き込むことで、1人ではなかなか難しい食事の改善を容易にします。

コロナ禍に対応し、完全オンラインにて提供しています。

既に慢性腎臓病や生活習慣病を患っている方へのサポートなので、病院との連携も重要です。

そこで、ここで得られるデータは定期的に病院にお知らせし、治療効率の向上にもつなげます。

そして、本人の費用負担なし、無料で参加できるのです。

「人工透析」は大きな社会課題

なぜこれが必要で無料かと言うと、人工透析は大きな社会課題であることが関係しています。

ご存知の通り、社会保障費や医療費は年々増加しており、社会保険料だけで賄うのは難しく、ここにいる皆さんの税金も充てられています。

なかでも、腎不全治療や人工透析にかかる1人当たりの医療費は高血圧や糖尿病とは比較にならないほど高く、約500万円以上/年かかります。

そして日本には人工透析患者が約34万人いるため、毎年およそ2兆円が人工透析のみに拠出され続けているのが現状なのです。

透析患者数は33万4,505人 日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況(2017年末)」より 2019年10月26日(一般社団法人 日本生活習慣病予防協会)

2028年までに新規透析導入患者数を10%削減する目標

厚生労働省は、この透析患者の増加、透析医療費の増加に強い危機感を持ち、2028年までに新規透析導入患者数を10%削減するという目標を掲げています。

透析患者3万5千人以下に 厚労省、腎臓病で新計画 2018年7月16日(日本経済新聞)

透析患者の平均透析導入年齢は70歳なので、透析医療費は国民保険における重要課題です。

地方自治体と「新規透析導入患者削減」に取り組む

ですから、国民保険を運営する地方自治体が、新規透析導入患者削減に向けて取り組む必要があります。

そこで我々は、将来の透析医療費増加抑制を目的に、自治体と連携して事業を行っています。

地方自治体の保健事業の一環として契約

ビジネスモデルです。

地方自治体の保健事業の一環として契約し、腎臓病を患う被保険者には「しおみる」を無料でお使い頂きます。

ここで得られる血圧、体重、食事、摂取食塩量などの推移、相関データは定期的にかかりつけ医にお知らせし、治療効率や患者満足度の向上につなげます。

「しおみる」のサポートを受けて頂く患者の20%に行動変容が起これば、費用対効果は200%になると試算しています。

それほど、人工透析の医療費が高いということです。

実際に「しおみる」のサポートを受けて頂いた方は体重減少や減塩に成功しており、自治体との連携については、今まさに東京都との実証実験を行っています(※) 。

▶編集注:2020年12月に東京都スタートアップ実証実験促進事業に採択され、1カ月の実証事業を行った。

人工透析が必要になる人を1人でも減らしたい

慢性腎臓病の患者は1,300万人で、これは国民の8人に1人です。

もう人ごとではありません。

私たちは、将来あなたが人工透析が必要になることを防ぎたい。

人工透析が必要になる人を1人でも減らし、日本の未来を明るくするために、「しおみる」を運営しています。

ご協力、応援をどうぞよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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