「Dodici」は、伝統工芸の新しいまとい方を創出して、日本の誇るべき技術を守る(ICC KYOTO 2021)【文字起こし版】 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

「Dodici」は、伝統工芸の新しいまとい方を創出して、日本の誇るべき技術を守る(ICC KYOTO 2021)【文字起こし版】

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ICC KYOTO 2021 CRAFTEDカタパルトに登壇いただき、見事2位に入賞した、Dodici 大河内 愛加さんのプレゼンテーション動画【「Dodici」は、伝統工芸の新しいまとい方を創出して、日本の誇るべき技術を守る】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションは、ICC KYOTO 2021 プラチナ・スポンサーのMakuakeにサポート頂きました。

【速報】見た目はガラスの割れないグラス!シリコーンゴム製ものづくりに挑む「KINJO JAPAN」がCRAFTED CATAPULT優勝!(ICC KYOTO 2021)


【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICC KYOTO 2021
Session 8A
CRAFTEDカタパルト
豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Makuake

大河内 愛加
株式会社Dodici
代表取締役

1991年横浜市出身。15歳でイタリア・ミラノに移住し13年間在住。 Istituto Europeo di Design ミラノ校(ヨーロッパデザイン学院、略称IED)広告コミュニケーション学科卒業。 2016年2月に「文化を纏う」をコンセプトに掲げるD2Cアパレルブランドrenacnatta(レナクナッタ)を立ち上げ、日本とイタリアのデッドストック生地や伝統工芸品などの素材を組み合わせたアイテムを展開。2021年4月にはネクタイをメインとした着物のアップサイクルブランドcravatta by renacnatta(クラヴァッタ・バイ・レナクナッタ)を立ち上げる。現在は京都とミラノの2拠点生活。
2020年 京信・地域の起業家アワード 優秀賞受賞。
2021年 京都女性起業家賞(アントレプレナー賞) 京都府知事優秀賞受賞。


大河内 愛加さん 株式会社Dodici(ドーディチ)の大河内 愛加と申します。

“…れなくなった”素材・技術でつくるアパレルブランド「renacnatta」

弊社はrenacnattaというアパレルブランドを運営しています。

この“renacnatta”というブランド名の由来ですが、使われなくなったもの、着られなくなったもの、そして以前よりつくられなくなったもの、こういった、“れなくなった”素材や技術を使うところに由来しています。

イタリアで日本人としてのアイデンティティに気づく

ブランドの立ち上げの経緯を、私のプロフィールを含め、お話しさせていただきます。

私は15歳のときに、家族でイタリアのミラノに移住しました。

そこで現地の高校に通いイタリアの生活に慣れてくると、日本への関心が薄れていったような時期がありました。

そんな中、2011年に東日本大震災が起きます。

周りのイタリア人に母国のことをとても心配されて、そこでようやく「私はこのイタリア人たちにとって、唯一の日本人なんだ」ということに気がつきました。

そこで日本人であるアイデンティティをもっと大切にしたい、日本のことを伝えられる仕事に就きたいなと思うようになりました。

ブランドコンセプトは「文化を纏う」

そしてそこから5年後の2016年、イタリアに住んで10年目の節目にrenacnattaを立ち上げました。

日本とイタリアにある価値のあるものを組み合わせたものづくりをしたいと思ったのがきっかけです。

イタリアには最高級のシルクがあり、日本にも素晴らしい質の着物の生地があります。

せっかくなら、貴重な生地にもかかわらず日の目を見ずに眠っている生地たち、いわゆるデッドストックになっている生地を使いたいと思い、それらを組み合わせたリバーシブルスカートを展開することにしました。

renacnattaのアイテムを纏ってもらう人には、文化やものづくりの背景を感じてもらいたいという思いから、「文化を纏(まと)う」というブランドコンセプトを掲げています。

将来「作られなくなった」とならないためのものづくり

そんなデッドストックのリバーシブルスカートから始まったrenacnattaですが、2年前から私が京都にも拠点を持つようになり、過去に作られたデッドストックだけに目を向けるのではなく、今職人さんたちが必死につくり、残そうとしている伝統産業に、より直接的に貢献したいと思うようになりました。

そこで新しい取り組みとして、伝統を継承している職人さんたちとタッグを組んだものづくりを展開しています。

将来そういった産業が「つくられなくなった」とならないように、日本に帰ってきてから、これも一つのrenacnattaの形だと気がつきました。

西陣織でつくる「一生着られる」ウェディングドレス

いくつかアイテムを紹介させていただきます。

まず西陣織でつくる「一生着られるウェディングドレス」です。

一生着られるウェディングドレス IIをリリース

西陣織は、この約15年間で関連企業が半減。

事業者の方達は高齢化。

そして自分の代で転廃業を決めているという方も年々急増しています。

このままでは、今でさえ貴重な西陣織はもう二度とつくられなくなる幻の織物になってしまうかもしれません。

そこで、西陣織を新しいカタチで纏う機会を提供したい、そう考えてつくったのが、この「一生着られるウェディングドレス」です。

このドレスはセットアップになっているので、スカートやトップスだけで着ていただくことができます。

挙式の後も人生の大切な節目においてずっと長く着てほしいという思いを込めて、「一生着られるウェディングドレス」というネーミングにしています。

こちらは昨年(2020年)3月にMakuakeで発表し、700万円以上の売上になりました。

文化を纏うブランド「renacnatta」が伝統工芸の新しいカタチを世界へ発信

コロナ禍の職人を支えた西陣織マスクの発注

また、コロナ禍では西陣織でマスクもつくりました。

文化を纏うマスクができました(note)

審査員の皆様のお手元に配っています。

ポリエステルの糸で織っているので、取り扱いもとても簡単です。

現代に生きる西陣織を感じていただけたらうれしいです。

このマスクは1カ月で約5,000枚受注し、売上にして1,750万円になりました。

メディアでは『Forbes JAPAN』やお昼の番組『ヒルナンデス!』で大きく取り上げていただき、とても反響がありました。

お客様からも「西陣織をこんなに身近に感じることができてうれしい」というお声をたくさんいただきました。

そして何よりうれしかったのが、このコロナ禍にもかかわらず、職人さんたちに通常の何倍もの生産をお願いすることができたことです。

昨年だけで西陣織のドレス、ネクタイ、そしてマスクを生産したことで発注した量は広幅(※普通の反物より広い幅)で790m、売上にして3,530万円になりました。

コロナ禍でも職人さんの手を止めずに済んだことを織元(※織物の製造元)さんたちから感謝されたときは、やってよかったなと思ったとともに、弊社の役割を改めて認識した瞬間でした。

イタリアのシルク×日本の「金彩」が生んだイヤアクセサリー

そしてもう一つ紹介したいのが、金彩イヤアクセサリーです。

「金彩」は友禅の着物に金箔を施す技術で、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて確立した伝統的な工芸です。

しかし西陣織同様、着物離れとともに職人さんの数が激減しているという現状があります。

renacnattaでは、着物の上ではなくイタリアのシルクの上に、そしてイヤアクセサリーという気軽に身につけてもらえるアイテムに落とし込んだことで、金彩をぐっと身近に感じてもらえるアイテムになりました。

「そもそも金彩を知っている人が少ない中でrenacnattaのイヤアクセサリーで金彩の存在をたくさんの方に知ってもらえて、『こんなに美しい伝統工芸があったのか』とお客さんに言ってもらえたときは本当にうれしいです」(金彩作家・職人 上田 奈津子氏)

世界に誇るべき日本の伝統を残していきたい

最後に私のモットーで締めさせていただきます。

“Meglio tardi che mai.”

イタリア語で「遅くともなさざるに勝る」

つまり「遅くてもしないよりは、まし」という意味です。

伝統工芸の世界は日々衰退しています。

数年後、数カ月後に今の仕事を続けられるか分からない、そんな現状を生きている職人さんたちがたくさんいます。

なくなってしまってから、その大切さや文化の大きな損失に気づくのでは手遅れです。

私は、何もしないよりは今、たとえ遅かったとしても何かしたい。

そんな思いで日々伝統工芸の方たちとお仕事をしています。

これは古いものを、古くから残るものを大切にする文化が根付いているイタリアでの生活で学んだことでもあります。

イタリアをはじめヨーロッパでは、家具でも建築でもジュエリーでも、古くから残るものにこそ価値があるとされています。

日本にも何千年何百年と残る、世界に誇るべき技術が存在します。

その技術を、着物離れをした私たちの世代でなくならせてしまうのは、あまりにももったいないです。

私は先人がずっと受け継いで守ってきた普遍的な価値を、これからも日本に残していきたいです。

ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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