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ICC KYOTO 2021 CRAFTEDカタパルトに登壇いただいた、WAKAZE 稲川 琢磨さんのプレゼンテーション動画【日本酒を世界酒に! フランスの自社醸造所で日本酒の概念を覆す“SAKE”造りに挑む「WAKAZE(ワカゼ)」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る`。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションは、ICC KYOTO 2021 プラチナ・スポンサーのMakuakeにサポート頂きました。
▶【速報】見た目はガラスの割れないグラス!シリコーンゴム製ものづくりに挑む「KINJO JAPAN」がCRAFTED CATAPULT優勝!(ICC KYOTO 2021)
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【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICC KYOTO 2021
Session 8A
CRAFTEDカタパルト
豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Makuake
稲川 琢磨
株式会社WAKAZE
代表取締役CEO
1988年生まれ。慶應義塾大学理工学研究科で修士課程修了。在学中にはフランス政府の奨学金給費生として2年間パリのEcole Central Parisに留学。前職はボストンコンサルティング・グループにて経営戦略コンサルタント。その後、独立・起業し日本酒D2CブランドのWAKAZEを設立。2019年からフランスに移住、パリ近郊の醸造所で造ったSAKEとしてWAKAZEブランドを 2020年にリリースし、陣頭指揮を取る。
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稲川 琢磨さん “Bonjour tout.(皆さん、こんにちは!)”
WAKAZE(ワカゼ)代表の稲川です。
フランスでお酒を造っております。
3週間前にフランスから、このICCサミットのために帰国しました。
今日はすごく楽しみにしていました。
よろしくお願いします。
クラフトの未来を創るのは、どんな企業?
早速ですが、このCRAFTED CATAPULTの会場にいらっしゃった方は、やはりクラフト産業にまつわる方が多いのかなと思うので、質問してみたいと思います。
「クラフトの未来を創るのは、どういった企業でしょうか?」
いろいろと答えがあると思いますが、私はクラフトの未来を創るのは、海外にしっかりと打って出て、グローバルで活躍し、世界に市場を創る、そして、クラフトの未来を創っていく、こんな会社ではないかと定義しています。
そんな中でWAKAZEが目指しているのは、“SAKÉ FOR EVERYONE”です。
「日本酒を世界酒に」という大きなビジョンを持って取り組んでいる会社です。
具体的には、世界に飛び込んで、現地に行って、現地で作って、現地で飲ませる、そういったことにチャレンジしている会社です。
まさにグローバルに挑戦している会社です。
こんな感じで、ちょっと暑苦しいプレゼンを最後まで続けていくので、慣れていただければと思います。
元外資コンサルと酒蔵の三男でWAKAZEを創業
WAKAZEには2人の創業者がいます。
私はもともと外資コンサル出身で、日本酒については全くの門外漢です。
一方、酒蔵の息子で三男の今井(翔也さん、取締役CTO・杜氏)は、4つぐらいの酒蔵で修行をしていて、すごく酒造りに精通しています。
私がどちらかというと異端児であり、彼が伝統。
伝統と革新のイノベーションをねらって、2人で会社を起こしました。
▶フランス発”SAKE”、WAKAZEが欧州に吹かす一陣の風 Posted on 2020/03/06(Design Stories)
われわれがチャレンジしているのは、巨大な欧州市場です。
この巨大なヨーロッパの市場に対してSAKEで切り込みます。
アプローチとしてもユニークです。
日本から輸出して現地で飲んでいただくのではなく、現地産の原材料を使い、現地(※) で生産して現地の方に飲んでいただく。
▶編集注:フランス・パリ近郊に自社醸造所「KURA GRAND PARIS(クラ・グラン・パリ)」を創立。
こういったアプローチで、チャレンジをしている会社です。
ビールとワインがほとんどの市場の中に、第3の選択肢として多様性をもたらそうと、SAKEを飲んでいただくことにチャレンジしています。
こういった革命を起こすには、やはりいくつか大きな波に乗らないといけないと思っています。
フランスの自社醸造所で地産地消のSAKE造り
3つの大きなトレンドが、ヨーロッパにはあります。
1つ目が「オンライン」です。
これは全世界一緒だと思いますが、とにかくオンライン購入が増えています。
ここに対してオンライン販売をします。
2つ目が「健康志向」です。
ヨーロッパでは、スシや和食は健康的な食事として、今すごく注目を浴びて普及してきています。
そこに対してわれわれはお酒を提供していきます。
3つ目が「サステナブル」です。
やはりなんと言ってもヨーロッパは、エコロジー、サステナブルという文脈がすごく大事ですので、WAKAZEはそういった文脈の中で地産地消をねらって、トレンドに乗っかっているという形です。
フランス産の原料と日本の伝統製法で造るSAKE
WAKAZEは、4つのブランド価値を提供しています。
1つ目が「伝統製法」です。
日本の酒蔵で学んだ人間がしっかりと伝統的な技術を持って、クオリティの高いお酒を造っています。
2つ目と3つ目が、「フランス産」であり、「現地の原材料」を100%使っています。
具体的に言うと、米と水と酵母を、すべてフランス産のものを使うことで、現地産で地産地消をうたって、サステナビリティをブランディングしています。
4つ目が「1/3の価格」で提供していることです。
現地に普及している日本酒はすごく高くて、日本では1,500円で買えるお酒が4,000~5,000円と、すごく高く売られています。
これに対してわれわれは、2,000円ほどでお酒を提供しています。
それによってハードルをグッと下げ、多くの人に飲んでいただくようにしています。
こういったブランド価値を提供しています。
営業はせずオンライン販売を中心に売上を伸ばす
販売先としてはオンラインが7割です。
基本的にはD2Cですので、オンライン中心でブランディングをして、マーケティング費用もほぼ100%オンラインにあてる形でやってきました。
このコロナ禍の中でしっかりとオンラインの売上が伸びたということもあるのですが、実店舗でも、フランスに500店舗を持つワインショップNICOLAS(ニコラ)や寿司のキオスク Sushi Daily、こういったところの100店舗にも展開をして、フランス全土合計500店舗で、われわれのSAKEを販売しました。
営業は全くしていません。
基本的にはデジタルでブランディングすることによって、向こうから声がかかるという形で、B2Bも開拓してきました。
こうしてわれわれは、日本からフランスに輸出されている日本酒の3分の1の出荷本数を、月間ベースでもうすでに達成することができています。
1年間でこれだけ大きなマーケットを新しく創出しています。
フランスへの日本酒の輸出額は減っていないため、つまり新しいマーケットを創っているということだと思います。
この結果をもって先日、VCのジャフコさん、そしてこの場にいらっしゃるマクアケさんからも資金調達を3.3億円させていただいて、成長投資をしています。
▶パリに醸造所を立ち上げ、日本酒D2Cブランドを世界展開するWAKAZEが3.3億円の資金調達を実施。フランスからヨーロッパ全土への展開とアメリカ進出を目指す。(PR TIMES)
パリの期間限定イベントでSAKEファンを創出
どういった飲まれ方をしているのかというところですが、先日(2021年7月)POPUP(期間限定店)をパリで開催しました。
約1カ月間開催していたのですが、すごくいいイベントになりまして、1日で100名を超える方々がファンになってくれました。
来店者が1日で100名を超える日もあって、合計で数百人という方々がいらっしゃったのですが、ここで何よりうれしかったのが、飲んだ瞬間に、「なんだ、これは」と、こんなにおいしいのがSAKEなんだということを知っていただいたことでした。
この感動した驚きの顔は忘れられません。
結果として40%の方々が実際にボトルを買って帰ってくれました。
そういったことで、パリという場所からSAKE革命を起こせているのではないかなという実感が持てています。
「多様性」からSAKEに新しい価値を生み出す
それ以外にもチームとして今チャレンジしているのが、「多様性」です。
われわれはビール、ワインに次ぐ、多様性のあるSAKEというものを提案していきます。
第3の選択肢を造っている会社ですので、しっかりとチームも多様でなければいけないと考え、1年間で6カ国籍のメンバー、フランス人、日本人、イタリア人、タイ人、台湾人、そしてチェコ人を迎えました。
こういったパワーとダイバーシティを私は信じていて、多様性がしっかりと新しい価値を生んでいくと思っています。
Slackやミーティングなども全部英語で行っているので、正直マネージメントは相当難しいのですが、多様性という面でもチャレンジしています。
フランスから「CRAFT SAKE革命」を起こす
最後に、われわれは新しいCRAFT SAKEの革命をフランスを中心にして起こしていきたいと思っています。
これを本当に実現するには、やはり皆さんからの応援が不可欠だと思っています。
資金調達やコラボレーションなど、いろいろな可能性があると思いますが、ぜひ日本から応援、サポートをいただいて、これからもCRAFT SAKE革命をリードしていきたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美
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