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ICC KYOTO 2021 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇いただき、見事2位に入賞した、アグベル 丸山 桂佑さんのプレゼンテーション動画【耕作放棄地や技術承継、流通網の課題を解決し、稼げる農業をつくる「アグベル」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミットFUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 プラチナ・スポンサーのベクトル様にサポート頂きました。
▶【速報】子どもの好奇心に火をつける!新しい学び場「SOZOW」を提供する「Go Visions」が審査員号泣のソーシャルグッド・カタパルトで優勝!(ICC KYOTO 2021)
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【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICC KYOTO 2021
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト&ラウンドテーブル
Supported by ベクトル
丸山 桂佑
アグベル株式会社
代表取締役
1992年山梨市生まれ。山梨市で60年以上続くぶどう農家3代目。立命館大学を卒業後、リクルート住まいカンパニーに就職し大手不動産仲介会社に向けた広告営業を行う。2017年、父親の病気を機に山梨へUターンし家業のであるぶどう農家を継承。2018年から独自での販売や輸出などを行い、2020年、日本の果樹産業をアップデートしたいという想いから「アグベル株式会社」を創業。3年でぶどう生産量、取り扱い量共に県内トップシェアまで成長させ、アグリテックを使用した独自の栽培方法の研究や、近隣農家を巻き込み、台湾や香港などへの輸出を取り組んでいる。
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丸山 桂佑さん 「アグリカルチャーに新時代のベルを」、アグベルの丸山です。
よろしくお願いします。
高い香りと糖度が自慢のシャインマスカットを生産
私たちは、このエメラルドグリーンに輝くシャインマスカットというぶどうをメインに、生産を行っています。
本日はICCスタッフより審査員の方々へ、今が旬のシャインマスカットをお配りしています。
ぜひ食べながらご覧ください。
ぶどう生産量日本一を誇る山梨県にて、東京ドーム1個分の農園でぶどう生産を行っています。
県内生産量トップシェアを誇り、パートを含む70人のメンバーで、ぶどうの生産、包装、出荷、販売の全てを一気通貫して行っています。
山梨の土地と、60年以上続く私たちのぶどう生産の技術を活かして作られたぶどうは、味が濃く、高い香りと糖度が自慢です。
審査員席にお配りしています。お味はいかがでしょうか?
父の想いを継ぎ、ぶどう農家の3代目に
私は現在29歳で、2児の父です。
私はリクルートに入社後、2017年に家業であったぶどう農家を3代目として継承し、2020年に果樹生産にイノベーションを起こすべく、アグベル株式会社を創業いたしました。
なぜ私がリクルートを辞め、就農を決意したかと言うと、2017年春、家族からの1本の電話で、父に癌が見つかり余命が半年しかないことを知ったのがきっかけです。
私はすぐに退職を決意し、急いで山梨に戻りました。
父と過ごした最後の5カ月間、父の農業に対する熱い想いや、もっと農業を続けたかったという後悔をたくさん聞いたことを覚えています。
今は亡き父の後を、想いを受け継ぎ、農業に従事しています。
家族経営の規模からトップ生産者を目指す
2017年に就農した当時は、平均的な家族経営のぶどう農家の規模で、JAを中心とした販路で出荷を行っていました。
トップ生産者になるために、まず4つのことを行いました。
多くの生産者にヒアリングし、ぶどう生産の達人である祖父と祖母から技術を教わり、JAの構造と青果のバリューチェーンの理解、そして各畑の収益率や作業時間の可視化を行いました。
就農後に感じたさまざまな「不」
就農すると、様々な「不」が見えてきました。
生産者が稼げる仕組みが少ないこと、栽培以外にかかる手間が多いこと、また、経験や勘だよりの栽培になっており、ぶどう生産が非常に属人化されていることを感じました。
生産者の高齢化で耕作放棄地が増加
農業市場の課題は、生産者がこの20年で200万人減少し、高齢化が進んでいることです。
高齢化に伴い、耕作放棄地の増加も問題になっています。
現状の課題をまとめると、こうなります。
ぶどう産業を守り、成長させていくことを決意
多くの「不」や課題が山積みで、これ以上ぶどう産業が前に進める道が見えませんでした。
しかし、父の想いを引き継いで農業を始めた自分自身が、産業を守り、成長させていくために、JAではなくアグベルが、ぶどう産業における新しいインフラになることを決意しました。
アグベルでは、4つの取り組みを行っています。
取り組み①耕作放棄地をぶどう畑に再生
まず1つ目、このような耕作放棄地を新しい農地に再生することを始めました。
畑は1年使わないと、このような林になってしまいます。
実際に、耕作放棄地をぶどう農園に変えて、1年間で約6,000坪ものぶどう畑を作りました。
取り組み②日本初の民間選果場を設立
2つ目は、近隣農家60軒を巻き込んでアグベル出荷組合を作り、民間では日本初となる選果場を設立しました。
これにより新たな流通網を作っています。
従来、生産者が行っていた出荷や梱包などの作業を請け負い、中間のバリューチェーンをなくすことで、生産者には高いリターンを、そして最短リードタイムで全国各地にぶどうをお届けしています。
農家、小売、消費者のwin-win-winの関係を築くことができています。
取り組み③農業にテクノロジーを導入
次に、アグリテックの開発です。
画像解析により、高品質なぶどうの生産をマニュアル化しています。
また、データをもとに、高単価、高収益の農業モデルを目指しています。
ぶどうがまだ小豆ほどのサイズの際に、余計な粒を落とす作業が必要なのですが、直近では、スマホをかざすだけで摘粒箇所の自動判別できるようになっています。
長年の経験と勘だよりだった作業がスマホ1台でできるようになり、属人化していた生産プロセスの1つにおいて、マニュアルを作ることができました。
取り組み④新規就農を支援
4つ目の取り組みは、増やしてきた農地とテックマニュアルを用いた、新規就農支援の実施です。
▶アグベルへの新規就農支援(アグベル)
ぶどう生産は難易度が高く、木を育てるまでの3年間収入がなく、良い農地が見つけられない、地域コミュニティに馴染めないなどの課題がたくさんありました。
それを、アグベルが解決しています。
また、ぶどうとは真逆のシーズンの果物である、いちごの生産も開始しています。
これにより、通年雇用の長期安定化が可能になり、よりサステイナブルな農業経営を実現しています。
アグベルを中心とし、産業の底上げを実施できています。
山梨県内トップシェアの生産量を達成
取り組みの結果です。
2017年の就農時に比べて、生産量、栽培面積はおよそ10倍、スタッフ数は20倍、900円だった時給は1,200円に上がって雇用を創出しました。
JA出荷と比較し、アグベル出荷組合に属する農家の収益率改善も実現しています。
1房15,000円のシャインマスカットが台湾で完売
また、輸出など販路拡大も行っています。
台湾では、日本初となる単独プロモーションイベントを行いました。
最高峰のぶどうであることが認められ、1房15,000円で販売したところ即完売、海外でのブランディングも成功しています。
農業に新時代の鐘を鳴らす
農産業の道は非常に険しく、一筋縄ではいきません。
しかしアグベルが道を作り、業界のインフラとなり、農業に新時代の鐘を鳴らしていきたいと思っています。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸
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