「KANMAKI」は、安全で環境負荷の少ない「顔料箔」で、サステナブルな塗装を実現する(ICC KYOTO 2021)【文字起こし版】 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

「KANMAKI」は、安全で環境負荷の少ない「顔料箔」で、サステナブルな塗装を実現する(ICC KYOTO 2021)【文字起こし版】

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ICC KYOTO 2021 REALTECH CATAPULTに登壇いただき、4位に入賞した、関西巻取箔工業 久保 昇平さんのプレゼンテーション動画【「KANMAKI」は、安全で環境負荷の少ない「顔料箔」で、サステナブルな塗装を実現する】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 ゴールド・スポンサーのKOBASHI HOLDINGS様にサポート頂きました。

【速報】均一構造の高分子ゲルで効果的な再生医療の実現を目指す「Gellycle(ジェリクル)」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2021)


【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICC KYOTO 2021
Session 7A
REALTECH CATAPULT
リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by KOBASHI HOLDINGS

久保 昇平
関西巻取箔工業株式会社(KANMAKI co.,Ltd.)
取締役C.O.O

1980年京都府生まれ。2005年まで舞台演劇の脚本・演出を中心に120作品以上に関わった後、2006年(財)京都高度技術研究所の支援を経て、起業。京都府デザインインキュベーションプロジェクト「KYOTO STYLE」参画等を経て、祖父が創業した関西巻取箔工業株式会社(KANMAKI Co.,Ltd.) に2012年入社、現職。西陣織の金糸がルーツである“顔料箔”に改良を加え、自動車部品をはじめあらゆる工業製品の装飾材料として採用される品質にアップデート。経済産業省「始動 Next Innovator 2018」にてピッチコンテスト最優秀賞を受賞。2021年京都市「これからの1000年を紡ぐ企業」認定ほか。


久保 昇平さん 関西巻取箔工業株式会社(KANMAKI)の久保と申します。

よろしくお願いします。

これからお話しするのは、印刷塗装業界で近い将来に起こる数兆円規模のゲームチェンジの話です。

まずその前に、私たちKANMAKIが何を作っている会社なのかご説明申し上げます。

貼って剥がすフィルム状のインク「顔料箔」

私たちはここ京都で、顔料箔というフィルム状のインクを作っています。

KANMAKIの顔料箔とは?(KANMAKI)

この顔料箔をどのように使うかと申しますと、まずデザインを表現したい基材の上に箔をセットして熱と圧力でプレスして剥がす、これだけです。

審査員の皆さん、お手元の白い箱を開けていただくと、ポケットチーフの上に銀色の顔料箔が載っていますので、ゆっくり箔をチーフから剥がしてみてください。

熱と圧力が加わった部分だけがフィルムから脱落し相手機材に反映される。

これが顔料箔の加工方法です。

お配りしたポケットチーフは広げていただくとエコバッグにもなりますので、ぜひ使っていただければと思います。

この顔料箔はいったい何に使われているのかと申しますと、主に自動車のエンブレムやスピードメーター、家電製品や化粧品ブランドのロゴマーク等に使われています。

ちなみに皆様が接種されたワクチンの注射針のメモリにも、KANMAKIの顔料箔は数多く採用されています。

市場規模は200億円といわれており、あるドイツ企業がそのほとんどを牛耳っておりますが、われわれはそこに挑戦状を叩きつけ、3年間で新規の引き合いを1,300件以上かき集めて成果を上げています、と言いたいところなんですけれども、まだそのちょっと手前というところです。

これが印刷の領域におけるわれわれの現在地です。

安全性の高い塗装材として、白羽の矢

さて、ここからが本題です。

KANMAKIの挑戦する次なる舞台、これは「塗装」です。

時はさかのぼり2019年5月、私たちの取り組みを日経新聞さんが取り上げてくれました。

タイトルは「関西巻取箔、膜状インク開発 車分野開拓に金箔の技」で、数日後、自動車メーカーから問い合わせがありました。

「顔料箔で車体の塗装の問題を解決できないか?」

その問題とはVOC です。

塗料やインクに含まれるアルコールやシンナーといった、いわゆる有機溶剤というものです。

VOCは、火をつければ燃えます。

人体にも環境にも良くありません。

便利ですが実に厄介な危険物です。

そんな VOCを使わずに安全に塗装を行う、これは塗装業界の長年の懸案事項です。

そのソリューションとして顔料箔に白羽の矢が立ったわけです。

製造工程でVOCを無毒化

では顔料箔が従来の塗装といったい何が違うのか、ご説明いたします。

ご覧の図は上が従来の塗装、下が顔料箔の加工プロセスを比較したものです。

塗装でも顔料箔でも元の塗料は同じです。

塗装は VOCを含む塗料で色を作って、塗って乾かすという流れで加工が行われます。

それに対して顔料箔は製造工程においてVOCを取り除き、塗料の性能を維持したまま無毒化しておりますので、ユーザーは貼って剥がすだけです。

作業時間と環境負荷を減らし、労働安全性が向上

顔料箔がもたらすメリットは以下の3つです。

1つ目は、色を作り乾燥する工程を短縮することで、作業時間を99%削減できます。

塗装では数十分から数時間かかる加工が、先ほどご説明したように、数秒で済んでしまいます。

2つ目は、乾燥工程の短縮により電気代や熱排出を大幅に減らし、環境負荷を軽減できます。

そして3つ目ですが、ユーザーの工程をすべてVOCフリーにすることで、労働環境を劇的に向上させることができます。

「塗って乾かす」から「貼って剥がす」へ。

この「塗る」から「貼る」にシフトチェンジすることで、私たちは塗装を持続可能な産業構造へ生まれ変わらせたいと考えています。

創業者である私の祖父は終戦直後の1946年、この山々が広がる京都大原の地で事業を立ち上げました。

公害の概念がまだない当時に、顔料箔の元となる製品を開発し、西陣織の錦糸や金箔を作っていた職人たちの働く環境の改善に先鞭をつけました。

「塗る」から「貼る」は、創業以来のKANMAKIの命題です。

VOCのずさんな管理が招いた爆発事故

皆様、この写真が何か、おわかりになるでしょうか?

これは2015年に中国天津で起こった爆発事故の写真です。

ここに並んでいるのは全て車です。

街が吹き飛び、数多くの命が奪われました。

VOCのずさんな管理が招いたこの大惨事は、他人事ではありません。

日本の製造業は、今人手不足、高齢化、工場の老朽化が進んでいます。

この状況が続けば……、この先は言いません。

でも、まだ間に合います。

顔料箔の無限の可能性でCo-Creationを!

私は顔料箔の可能性を信じています。

これから爆発的に増えていく半導体もRFID(※) も、液晶もセンサーも製造工程で大量のVOCを使います。

▶編集注:電波を用いてRFタグのデータを非接触で読み書きするシステム(DENSO WAVE 「RFIDとは」より)

お手元の箔はアルミニウムの金属顔料を使っていますが、例えばその金属が導電性のある銀や銅であったらどうでしょう?

例えば水溶性のフィルムに農薬をコーティングしたシートがあればどうでしょう?

雨が降ればフィルムが溶けて均等に農薬を散布することができます。

こんな話は何時間だってできます。

どこに行ったって僕は話します。

だから塗料やインクを作っているメーカーの皆さん、あなた方のノウハウと僕らのコーティング技術を掛け合わせて、新しい塗料インクの形を作りましょう

自動車や半導体分野の皆さん、塗装に関わる皆さん、公言された数値目標を達成するためには顔料箔を絶対武器に加えるべきです。

そして資本家の皆さん、「塗る」から「貼る」は、これから数兆円規模のゲームチェンジを起こします。

そのシナリオを一緒に描きましょう。

今生きている世界は未来からの預かりものです。

子どもたちのものづくりを守るため、自分たちのものづくりを子どもや孫に誇るために、僕らは必ずこの物語を完成させたい。

そのために皆さんの力を分けてください。

ご静聴ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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