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「エマルションフローテクノロジーズ」は誰でもレアメタルが回収できる技術で、循環型社会の実現を目指す(ICC FUKUOKA 2022)

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ICC FUKUOKA 2022 REALTECH CATAPULTに登壇いただいた、エマルションフローテクノロジーズ 鈴木 裕士さんのプレゼンテーション動画【「エマルションフローテクノロジーズ」は誰でもレアメタルが回収できる技術で、循環型社会の実現を目指す】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022ゴールド・スポンサーの KOBASHI HOLDINGS にサポートいただきました。

【速報】燃やさないリサイクルでペットボトルの完全循環を実現「BRING Technology™」(日本環境設計)がREALTECH CATAPULT優勝!(ICC FUKUOKA 2022)


【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICC FUKUOKA 2022
Session 7A
REALTECH CATAPULT
リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by KOBASHI HOLDINGS

鈴木 裕士
株式会社エマルションフローテクノロジーズ
代表取締役社長

2003年に東京都立大学大学院工学研究科の博士課程を修了し、日本原子力研究所(現、日本原子力研究開発機構/JAEA)に入所。その後、約15年間にわたり中性子利用研究に従事。2018年度にNEDOが主催する高度専門支援人材育成プログラム(NEDO Technology Startup Supporters Academy)を受講する機会を得て、国研から創出される研究開発成果の社会実装の重要性を知る。その後、JAEA 内にイノベーション推進室を設立し、原子力分野から創出される研究開発成果の社会実装の支援を開始。その活動においてエマルションフロー開発者の長縄との出会いがありベンチャー設立に向けた支援を開始。自分は支援者であることを忘れ、エマルションフローの事業化に深入り。その結果、自らが代表取締役として、2021年4月5日にJAEA発ベンチャー「株式会社エマルションフローテクノロジーズ」の設立に至る。


鈴木 裕士さん 株式会社エマルションフローテクノロジーズの鈴木と申します。

電子機器に不可欠なレアメタルの課題

早速ですが、皆さんは「レアメタル」をご存知でしょうか?

レアメタルとは 産出地、特定の国に偏在 きょうのことば 2021年4月2日(日本経済新聞)

さまざまな電子機器に使われて、そのパフォーマンスを決める上で非常に重要な金属元素です。

今皆さんの手元にあるPCやスマホ、そういったものにも必ず含まれている元素です。

今後、スマート社会あるいは脱炭素社会、そういった未来社会を作っていく上で、非常に重要な金属元素ではありますが、現在レアメタルは供給不足の危機に陥っています。

たとえば今、電気自動車の急速な拡大により、リチウムイオン電池に使われるさまざまなレアメタルは、2025年頃から供給不足が顕在化すると言われています。

電気自動車とコバルト不足〜日経サイエンス2018年3月号より(日経サイエンス)

そもそもレアメタルは、このスライドに示すように、地政学的なさまざまな問題を抱えています。

そのために、レアメタルの供給不安というものは、国内のみならず世界中の問題になっています。

それでは、私たちが今、何をすべきなのか?

それは、レアメタルをリサイクルする、あるいは自国内の精錬(※)を強化する、それによってサプライチェーンを強靭化することが不可欠になります。

▶編集注:不純物の多い金属から純度の高い金属を取り出す過程

レアメタルリサイクルは、単にリサイクルすればいいというものではありません。

回収したレアメタルを再びハイテク産業に利用する、そんな「水平リサイクル(※)」が重要になります。

▶編集注:同じものから同じものに生まれ変わる資源の循環方法

しかしながら、そのコア技術となる「分離・抽出技術」の従来技術においては、こちらに示すような低い生産性、複雑な工程、高い処理コスト、また低い純度、こういった問題があり、水平リサイクルは非常に難しくて、いまだ採算が得られない、事業化できないのが現状です。

常識を覆す発見から画期的な溶媒抽出技術を開発

分離・抽出技術として使われるのが、ここに示す「溶媒抽出」という技術です。

この技術は、抽出剤を溶かした油と目的の金属元素を溶かした酸などの水溶液を混ぜ合わせることによって、抽出剤によって目的金属元素のみを抽出して分離するといった技術で、金属精錬の業界では古くから利用されています。

日本原子力研究開発機構では、弊社取締役CTOの長縄(弘親)を中心としまして、約30年間にわたって使用済み核燃料に含まれる元素を、溶媒抽出で高度分離する研究が行われてきました。

その研究の過程の中で、「油と水が細かくよく混ざりながらもきれいに分離する」といった、常識を覆すような新しい物理現象の発見により、この「エマルションフロー」という新しい溶媒抽出技術が開発されました。

従来は、1950年代から全く変わらない技術として、「ミキサーセトラー」という技術が使われています。

この技術は、混合・静置・分離という溶媒抽出に必要な3つの工程すべてを工業的に実現している非常に大きな装置になります。

これに対して、私たちが開発しているエマルションフローは、下から油、上から水を送液するだけで、従来の混合・静置・分離の3つの工程を1つの工程ですべて行うことができるという非常にコンパクトで画期的な技術になります。

それゆえに、生産性は従来技術に比べて10倍、また1/10のダウンサイズが可能になり、ランニングコストも低減することができます。

そして、構造上の特徴から無臭で快適、かつ安全な作業環境を提供するだけでなく、IoT管理による24時間の無人運転によって、人件費の削減も可能にします。

そして、エマルションフローという優れた油水分離能力によって、環境負荷の低減が可能です。

この技術は、日本原子力研究開発機構から国内外に40件の特許が出願されています。

私たちは、このライセンスを受けて事業を推進しています。

また原子力機構では、すでに10社以上にこの技術をライセンスしている実績もありまして、金属精錬の業界では、この技術を使ってレアメタルの抽出等で定常的に年間10億円の売上を上げているという実績もあります。

そして私たちは、この技術をさらに高度化して従来の100倍の生産性を可能とする、「多段エマルションフロー」という技術を開発しています。

この技術は、高純度な元素の精製、またレアアースなどの非常に分離が難しい元素の精製、そういったものを可能にする、低コストで高純度レアメタルの高効率精製を可能にする唯一の技術になります。

これが、私たちエマルションフローテクノロジーズのコア技術になります。

リチウムイオンバッテリーからの回収、大型プラント開発も

私たちは今、精錬レベルの実液対応に向けて、ラボ実験を集中的に行っています。

例えば、リチウムイオンバッテリー(LIB)からのレアメタルの回収です。

こちらに示すように、リチウムイオンバッテリーから抽出したレアメタル濃縮滓を硫酸に溶かして、それをエマルションフローの装置に流して、最終的に硫酸コバルトと硫酸ニッケルの水溶液を取得します。

そういった高純度レアメタルの抽出に目途がついています。

さらに私たちは、大型精錬プラントの開発に向けて、エマルションフローのスケールアップを行っています。

これまでは、ラボで1Lレベルの実験で行っていたものを、今では100L規模のものまで実際に使えることが分かっています。

私たちはすでにエマルションフロー装置の大型化と自動化に道筋を得ています。

そして2023年度のローンチを目指し、精錬向けの商用プラントの設計を今開始しているところです。

誰でもどこでもリサイクルができる循環社会の実現を目指す

私たちは、このエマルションフローによって、新しい概念を皆さんに提供します。

まず、このエマルションフローの特徴である、「小規模設備」「安全な作業環境」「クリーンな排水」によって、各自治体における環境基準あるいは火災予防条例の適合が容易です。

さらにエマルションフローは、大きな敷地が不要で、既存工場の隣にも設置可能ですので、設置場所を選びません。

すなわち、「誰でもどこでも、レアメタルリサイクル」を可能にします。

そして、これまでの技術で非常に難しかった溶媒抽出プラントの全自動化を、エマルションフローは可能にします。

すなわち、スマート溶媒抽出の実現です。

これによって、労働環境の改善また労務低減を実現します。

このような新しい概念によって、私たちは誰でも高度なレアメタルリサイクルを実現できる世界を構築し、エマルションフローを活用して、皆さんと一緒に循環社会の実現を目指したいと考えています。

拡大するレアメタルリサイクル市場

市場規模です。

電気自動車の今後の大幅な拡大、さらにはそれに使うリチウムイオンバッテリー(LIB)の需要の拡大、そして、そのリチウムイオンバッテリーに使われるレアメタルの精錬設備の増強、そして LIBリサイクルの市場規模の拡大、このすべてが私たちエマルションフローテクノロジーズのビジネスチャンスです。

私たちはまずこの金属精錬の設備強化に向けて、プラントを供給するプラント販売事業、さらにレアメタルのリサイクルの強化に関して、私たち自らレアメタルリサイクルの業界に参入し、電池材料を供給して、レアメタルリサイクル事業を行っていきます。

私たちは、このように国内精錬事業に(ここで終了時間)

私たちは、このように国内精錬事業に展開することでプレゼンスの向上と技術の蓄積を目指し、その後、2025年頃には先行して立ち上がる海外LIBリサイクル市場に、そして、2030年前後に立ちあがるであろう国内のLIBリサイクル市場に参入します。

レアメタル資源の供給を安定させ資源紛争の無い世界を

EFT(エマルションフローテクノロジーズ)は、レアメタル資源の供給不安がなく、資源紛争の無い平和で自然豊かな世界を作ります。

以上、エマルションフローテクノロジーズでした。

ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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