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スマホ、ドラレコで道路点検! 都市インフラの課題を解決する「アーバンエックステクノロジーズ 」(ICC KYOTO 2022)

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ICC KYOTO 2022 REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変えるに登壇いただき、3位に入賞した、アーバンエックステクノロジーズ 前田 紘弥さんのプレゼンテーション動画【スマホ、ドラレコで道路点検! 都市インフラの課題を解決する「アーバンエックステクノロジーズ 」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターはKOBASHI HOLDINGSです。

【速報】長距離ワイヤレス給電で配線のないデジタル世界を創る「エイターリンク」がREALTECH CATAPULT優勝!(ICC KYOTO 2022)


【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by KOBASHI HOLDINGS

前田 紘弥
株式会社アーバンエックステクノロジーズ
代表取締役

東京大学工学系研究科社会基盤学専攻修了後、株式会社三菱総合研究所にて、インフラ関連の民間企業に海外進出支援、新規事業立案等のコンサルティング業務に従事。2020年に株式会社アーバンエックステクノロジーズを創業し、「都市インフラをアップデートし、すべての人の生活を豊かに」をミッションに掲げ、道路点検AI RoadManagerを自治体向けに展開中。2020年未踏AD事業。工学博士。


前田 紘弥さん アーバンエックステクノロジーズの前田と申します。

今日はスマホ、ドラレコを活用した道路点検AI「RoadManager」についてお話しさせていただきます。

道路損傷検知サービス「RoadManager」 連続撮影機能・手動撮影機能β版リリース ~新機能も使える無償試行利用環境を提供開始~ 2022/07/13(アーバンエックステクノロジーズ)

我々は「アーバンエックス」と言っているぐらいですので、基本的には「街の課題」、みんなが住んでいる「街の課題」を技術で解いていくことを目指している会社です。

人口減少社会の都市インフラを守る

我々が掲げているミッションというレベルで言いますと、私たちは基本的に、今豊かな生活ができていると思います。

その一部は「街」、私たちが今住んでいる「都市インフラ」というものがあるからです。

それは、人が急速に増えるという前提で高度経済成長期に作られてきたものです。

これから、例えば2050年をイメージすると、生産年齢人口が2/3で人口が3/4、そんな世界が来たときには、おそらく今と同じ街の規模を維持できないし、管理の方法も変えていかないといけないと思います。

そういった問題点が、我々の解いていきたい課題です。

我々は創業3年目ですが、道路の課題解決から事業を始めています。

「なぜ道路なの?」と思いますか?

道路ができると、街ができるのです。道路が街における一番最初の構造物です。

皆さんの産業も、道路があるから成り立っているのです。

そのため、我々は街の課題の第一弾として、道路の課題解決から事業を始めています。

道路点検のボトルネック

道路の点検は大きく2パターンで、基本的には目で見て回るか、専門の車を使うかです。

当然目で見て回るときには記録しながら走ることになるので、緊急で修繕が必要なものを記録することに注力し、細い異常は記録しないことが多いです。

一方、専門の車を使うと、mm単位で道路の状況が分かるのですが、コストが高い。そんな課題があります。

実は日本だけでも道路は120万kmあり、仮に点検コストが1kmあたり4万円かかるとすると、当然、全部の道路は現在点検できていないのです。

そもそも土木職員がいない自治体も全国で30%くらいになってしまっています。

深刻な自治体の土木系技術職員の不足 国交省が災害復旧ガイドラインで支援へ(文化放送)

私もいろいろな自治体を訪問するのですが、実際にそれは感じているところです。

こういった経緯で、私は2016年頃から東京大学の研究として、こういったことに関する研究を始めました

いろいろな自治体を巻き込みながら研究を進めていたのですが、やはり大学の研究者として行うと基本的には論文を書くことがゴールになるので、その後どうしたらいいのか、自分なりに悩んだ時期がありました。

結局は、サービスとして立ち上げて、実際に自治体の道路管理をしている人達に使ってもらえばいいのではないかと考え、2020年に会社を立ち上げて今に至っています。

道路のひび割れをAIがリアルタイム診断、東大発スマートシティスタートアップが8000万円調達(DIAMOND SIGNAL)

スマホ、ドラレコを活用した道路点検

技術としては、見た目は非常にシンプルで、車載カメラの映像(スライド左)を入力すると、道路の異常(スライド右)が検知できていく技術です。

この技術は、いろいろな自治体と共同研究しながら作ってきたものです。

我々は、こういった技術を組み込んだ道路点検AI「RoadManager」を作っています。

このような形でスマホやドラレコを載せて走ると、この中で、先ほどお見せしたような技術が動いて、自動で道路の点検ができます。

検知された異常はウェブ上で確認

異常があるときのみ、我々のクラウドサーバーにデータが飛びます。

道路を管理している方は、今まで現場に行って全部確認していたのですが、現場に行かなくても意思決定ができるようなサービスになっています。

ここには「ポットホール」といわれる穴が空いています。

見たことがありますか?

見たことある方もいらっしゃると思いますが、こういった穴は突然できるのです。

年間1,000件ほど、この穴が原因の事故が起きていて、管理瑕疵が問われる裁判が年間約1,000件行われています。

この穴は見つけられればすぐ直せるので、見つけることが大事です。

また、網羅的な道路評価ですが、今までは赤や黄色の箇所のみ点検していました。

けれども我々のサービスは簡単なため、誰でもデータを取れるので、全部の道路の点検ができます。

22自治体がRoadManagerを導入

現在、道路にはいろいろな管理者がいます。

例えば東京都であれば「都道」、品川区であれば「区道」という道路を管理しています。

現在、東京都、神奈川県をはじめとして、22自治体で実際にRoadManagerを使っていただいている状態です。

実はこういった業務は、今まで行政の業務になかったのですが、我々がAI道路点検の取り組みをしていく中で、国土交通省もAI道路点検に関するロードマップを策定し、取り組みを加速しています。

ロードマップとして、今年ぐらいに国道でも試験利用をしながら、来年度以降に本格的に業務にしていく動きです。

基本的に「異常を見つけること」と「異常を直すこと」の2つの業務からなるわけですが、尼崎市の事例では、実際に我々のソフトを入れていただくことで「異常を見つけること」は自動で済むため、職員のリソースを「異常を直すこと」だけに集中できました。

結果として、今までよりも3倍異常を直すことができました。

また、基本的にインフラの課題は世界共通だと思っていますので、積極的に外国にも展開していこうと考えています。

まず調査業務からですが、ミャンマー、ベトナム、シンガポール、インドネシアといった東南アジア諸国でで実際に我々のソフトウェアの稼働実績があります。

海外スマートシティ展開に関する支援策(国土交通省)

自動車保険に付帯のドライブレコーダーがデータを収集

最後に、私が今一番面白いと思っている事業のため、ぜひこちらをご紹介したいと思っています。

今年開始した事業です。

我々のソリューションは、カメラを行政の車に付けるというソリューションです。

しかし世の中にはこんなにたくさんの車が走っているし、しかもこれからカメラがたくさん付いた自動運転車が走るので、そういう車のデータを使ってインフラの管理をしていくことが、おそらくこれから普通になると思います。

それを地で行った取り組みがこちらです。

三井住友海上火災保険では、自動車保険と合わせてドラレコを提供しています。

三井住友海上とアーバンエックステクノロジーズ、「ドラレコ・ロードマネージャー」の販売を開始 2021年10月27日(日本経済新聞)

そのドラレコに、我々のソフトウェアをすでに入れています。

つまり、もう街中の点検データが、誰も走らなくてもリアルタイムに集められる体制が作れています。

文字が小さくて恐縮ですが、大阪市ですと2週間もあれば管理している道路の90%のデータが集められるため、非常に面白い取り組みではないかと思っています。

道路点検事業の拡大と横展開

今後の展望です。

我々は道路管理から事業を始めていますが、基本的には大きく2つの方向性で考えています。

1つ目は、道路は点検するだけではなくて、道路を設計して、作って、点検して、予測診断して直すという一連のプロセスがあります。それぞれステークホルダーがいて、かなりいろいろな方々が関わっています。そのため、そういった方々向けのソフトウェアツールを整備していくことに、今取り組んでいるところです。

2つ目は、現在の画像処理の技術を、他の構造物に横展開していくことです。

我々は道路点検がしたいと、会社を立ち上げたわけではありません。

街の課題は他にもたくさんありますので、いろいろな課題を解いていけるように、これから事業を横展開していきたいと考えています。

最後になりますが、街の課題は、おそらくみんなイメージすることはあると思います。

しかし考えてみれば考えてみるほど、こちらを立てたらこちらが立たないというような、そんなことばかりで結構難しいものです。

けれども、みんなの力があれば解決もできると思っているので、ぜひこれから力を貸していただけると嬉しいです。

今日は貴重な機会をありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成

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