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ICC KYOTO 2022「ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 -」に登壇いただき、見事4位に入賞した、キープ・ママ・スマイリング 光原 ゆきさんのプレゼンテーション動画【「付き添い入院」する家族に物資を届け、入院中の心と体を支援する「キープ・ママ・スマイリング」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。
▶【速報】避難指示が解除された南相馬市で、自己実現のフィールドとしてゼロから街おこし「小高ワーカーズベース」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2022)
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【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ
光原 ゆき
NPO法人キープ・ママ・スマイリング
理事長
1974年生まれ。1996年一橋大学商学部卒業後、株式会社リクルート入社。在職中はウェブメディアプロデュース・人事・ダイバーシティ推進業務に従事。先天性疾患を持つ長女・次女を出産、長期間小児病棟で泊まり込む付き添いを経験。次女を育児休暇中に亡くしたことをきっかけに、2014年11月にNPO法人キープ・ママ・スマイリングを設立。子どもの早期回復のために付き添い家族の心身の健康は大切との思いから、入院中の子どもに付き添う親を対象に「付き添い生活応援パック無料配布事業」「ミールdeスマイリング事業」などの支援を行なっている。小児病棟の付き添い環境の改善、そして、病気や障害のある子どもを育てる親が笑顔でいられる社会を目指して活動中。長女と二人暮らし。
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光原 ゆきさん 皆さんこんにちは、キープ・ママ・スマイリングの光原と申します。
私たちは、入院中の子どもに付き添う家族を支援する活動をしています。
今日は、経験しないとなかなか分からない、小児病棟にいるお母さん、お父さんたちについて知っていただきたい、そして応援してもらいたいと思って来ました。
自身の付き添い生活の経験が活動の原点
まずは、私の経験からお話しさせてください。
13年前に長女を出産しました。
生まれた日に大きな病気が見つかり、救急で大学病院に搬送され、8時間に及ぶ手術をしました。
その後NICU(新生児集中治療管理室)に入り、たくさんの管がついた娘には、1日数回しか会えませんでした。
そして個室に移った際、「お母さんも一緒に泊まってください」と看護師から言われました。
「ああ、子どもが小さいと、親も一緒に泊まるのだ」と、その時初めて知りました。
これが、私の付き添い生活の始まりです。
何とか半年で退院でき、3年後、薬を飲まなくて良くなった時に2人目が生まれました。
ところが、次女は長女よりも難しい病気を持って生まれてきて、生まれてすぐに手術、またNICUに入りました。
そして、治療のためにいくつもの病院に行き、一緒に泊まりました。
残念ながら、1歳を目前にして次女は亡くなってしまい、私の付き添い生活も突然終わりました。
絶望の中、写真や動画を見て泣くばかりでした。
ですが、「この子と会えたから私が知ったことで、誰かの役に立てたなら、それが、彼女が生まれた意味になるのではないか」、そう思えて、やっと前を向けました。
その時に思い出したのが、付き添いの日々です。
小児病棟で経験して、見聞きしたこと、これが活動の原点です。
付き添いママは過酷な状況ながら自分のことは後回し
治療以外のケアを一手に引き受けるお母さんたちは、とっても忙しいです。
そして、とてもとても重要な戦力です。
ですが、お母さんたちが置かれている状況はとても過酷です。
狭くて寝返りがうてないベッド、電子音や見回りで夜は眠れませんし、病人ではないのでご飯は出ないため、子どもが寝た隙に院内をダッシュして、コンビニや売店で空腹を満たすためだけの食事をします。
スティックパン1袋で1日を過ごすお母さんもいます。
私たちの行った独自調査では、1ヶ月以上付き添っている人の7割以上が体を壊しています。
私も、3カ月目に高熱を出して倒れたことがあります。
入院期間が長くなるほど体を壊し、お母さんたちの笑顔がなくなっていきます。
それでも、苦しくて辛い治療を頑張っている子どもの方が大変だ、そう思って自分のことは脇に置きます。
自分が辛いことに気づいていないこともあります。
▶参考:「入院中の子どもの家族の生活と支援に関する実態調査」結果概要 (PR TIMES)
付き添う親を笑顔にしたい!とNPO法人を設立
そして子どもは、親の顔をよく見ています。
一緒にいるお母さんやお父さんの笑顔が、何よりも安心材料になり、薬になるのです。
子どもが元気に退院するためには、一緒にいる親が元気でいることが何よりも大事だと思いました。
付き添いの親へのサポートは病院にはないので、娘が亡くなった年に、私はNPO法人を設立し、付き添う親にフォーカスして直接支援をする活動を始めました。
私が一番辛かったのはご飯でした。
そこで、美味しいご飯を届けて応援するという活動からスタートしました。
そこから5年で、3,000人の方に美味しいご飯を届けて応援してきました。
コロナ禍で小児病棟の付き添い交代が禁止に
「さあ、もっと多くの病院に美味しいご飯を届けよう」、そう思っていた2020年、新型コロナウイルスが広がり始めました。
院内感染を防ぐために、多くの病院で、面会禁止、付き添い制限が始まりました。
小児病棟においては、付き添いの交代が禁止となりました。
それまでは、付き添い期間が長い場合、お父さんやおばあちゃんと交代して何とかやり過ごし、たまに家に帰って、お風呂に入ったり、足を伸ばして寝たりできていましたが、それができなくなったのです。
院内の付き添いのお母さん同士の交流や、コンビニに行く回数や時間も制限されました。
結果、多くのお母さんが院内で軟禁状態になっています。
何カ月も家に帰れず、家に残してきた他の子どもにも会えず、お母さんたちはどんどん精神的に追い込まれていきます。
付き添い生活に必要な食品などを無償配布
そこで私たちは、そんなお母さんたちを応援するために、「付き添い生活応援パック」という、食品、衛生用品、付き添いに必要な生活用品を詰め合わせた支援物資を、直接届けることにしました。
ここに商品があります。皆さんのお手元にもお配りしています。
▶編集注:会場の審査員席ではここで、「付き添い生活応援パック」のサンプルが回覧された。
ウェブから応募いただき、お母さんたち一人ひとりに無償で、郵送でお届けしています。
多くの企業に商品を寄付していただき、私たちが心を込めて梱包し、お母さんたちにエールを込めて届けています。
本当に、たくさんのご支援をありがとうございます。
そして、受け取ったお母さんたちからの声です。
「親のことを応援してくれているのが嬉しい」「一人じゃないと思えた」「先が見えないけど心が支えられた」など、心の支援もできていると思います。
▶参考:付き添い入院を経験したママたちの知恵とエールが集まる日本初のクチコミサイト「つきそい応援団」をオープン (PR TIMES)
まだまだ、支援が必要な親に届けられていない…
全国の病院に広報のご協力もいただき、これまで約3,000名の方にお届けできました。
支援くださる企業も、50社を超えました。
ですが、入院している子どもの数は年間20,000人と言われています。
私たちはまだまだ、支援が必要な親にリーチすることができていません。
また、商品も潤沢ではありません。
そこで皆さんにお願いです。
この付き添いパックに入れる、お母さんたちを応援する物資を是非、ご寄付、ご支援ください。
本当に疲れているお母さんたちは、消灯後にやっとゆっくりできます。
その時に食べるお菓子や癒しグッズ、生活用品、食品など、メーカーの方は滞留在庫の活用法としても、考えていただけたら嬉しいです。
また、送料など経費がかかりますので、マンスリーサポートなどのご寄付もご検討ください。
付き添い環境=社会課題という認知を広げたい
最後に、この問題は30年以上変わっていません。
私たちは、この環境自体も変えたいと思っています。
実際、たくさんのお母さんが付き添っているのに、本来は医療従事者のする仕事となっており、制度上、付き添い者はいないということになっています。
そのため、付き添い者の実態が把握されておらず、そもそも付き添いがどうあるべきか語られてもいません。
私たちは、これを改善していきたいと動き出しました。
この問題が社会課題だという認知が広がることで、私たちは強く背中を押してもらえます。
是非、今日の話を誰か一人にでも話していただきたい、また、話す場所を提供いただけると嬉しいです。
病気の子どもたちとその家族に応援を
最後に、私はここに、応援団に会いに来ました。
何か寄付できるかも、何か一緒にできるかもと思ったら、是非、お気軽に声をかけてください。
是非一緒に、全国の病気の子どもたち、お母さんたち、お父さんたちを応援していただけたら嬉しいです。
よろしくお願いします、ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/大塚 幸