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主観でつくり、共感からファンを生み出すライフスタイルブランド「KINTO」(ICC KYOTO 2022)

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ICC KYOTO 2022 CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けてに登壇いただいた、キントー 小出 慎平さんのプレゼンテーション動画【主観でつくり、共感からファンを生み出すライフスタイルブランド「KINTO」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはMakuakeです。

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【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Makuake

小出 慎平
株式会社キントー
Chief Branding Officer 兼 KINTO USA/EU社長

1985年奈良県奈良市生まれ。2007年に慶應義塾大学卒業後、米系消費財メーカーのマースジャパンリミテッドに入社。「シーザー」「ペディグリー」などのペットフードブランドのブランドマネージャーに従事。2019年より父・美樹が代表を務めるKINTOへ入社。ドリンクウェア・テーブルウェア・コーヒーウェアなどの商品群を取り扱う同社において、チーフブランディング・オフィサーとしてマーケティングから組織開発までブランディングの司令塔として企業活動に携わる。またKINTO USA/EU社長として、KINTOのグローバル展開をリードする。


小出 慎平さん こんにちは、株式会社キントーの小出です。

キントーは、テーブルウェア、コーヒーウェア、タンブラー等の商品群を取り扱い、自社ブランドの「KINTO」を展開している会社です。

私個人は、前職で消費財メーカーのブランドマネージャーの仕事をしており、3年前に、父が経営をしているキントーに入社しました。

本日は、キントーが、これまでどのように歩んできたのかということと、キントーのブランディングのこだわりについて、お話しさせていただきます。

自身では、非常に本質的なブランディングができていると自負しております。

キントーの大いなる決断

まず、キントーの歩みです。

キントーは、今からちょうど50年前に、滋賀県彦根市に食器の卸問屋として誕生しました。

その後、ヨーロッパの食器の輸入販売や、大手小売店のOEM企画販売などを経て、ビジネスを全国に拡張して参りました。

しかしながら、2000年手前を迎える頃、社長は悶々たる思いを抱いている状態になってしまっていました。

取引先からの発注手伝いの依頼や陳列応援の依頼といった、理不尽なビジネスの慣習があったことや、大手からの御用聞きとなるような製品開発が増えてきたことが理由です。

そのような環境の中で、数年間、社長が悩み抜いて決断したのは、「もう自分たち自身が納得できるものだけを作る。そうではないものは、NOと言える会社にする」ということでした。

その結果、生まれたのが、自社ブランドの「KINTO」です。

「KINTO」ブランドを誕生させてからは、その後のキントーの顔となっていくような商品群を開発していくことが、徐々にできるようになりました。

売上に関しては、大手との取引をやめる判断をしたため、一時はピーク時の約半分にまで落ちてしまいました。

しかしながら、その後、「KINTO」ブランドとして商品を拡張すること、ブランディングを強化すること、輸出を開始することなどの手を打っていき、結果として、今では当時を大きく超える売上にまで成長することができています。

利益体質については、もはや当時とはまったく違う、非常に強固なものに変貌を遂げることができました。

キントーが大切にする3つのこだわり

では、ここからは、キントーの成長の下支えとなっている、ブランディングのこだわりについて、お話をさせてください。

まずは、ブランディングの1つの大きな柱である、製品開発についてです。

こだわりは、大きく3つです。

まず、第一に、自分たち自身の主観を何よりも大切にすることを大事にしています。

自分たちが使いたいもの、作りたいもの、自分たちが素敵だと思うものを開発することを徹底しています。

第二に、今、世の中にないもの、満たされていないものに着目することです。

そして、最後に、自分たちの主観やセンスをきちんとアップデートしてくためにも、世界中から刺激を受けることを、常々意識しています。

3つのこだわりが形になったトラベルタンブラー

例えば、2017年に発売したトラベルタンブラーです。

当時、アメリカのロサンゼルスやポートランドといった街を歩いていますと、素敵なカフェが点々とありました。

店内に入ってみると、素敵な空間が広がっていて、コーヒーもとても美味しいのです。

ふと、レジ横にある物販エリアを見てみると、大抵どのお店にも、ロゴ入りのタンブラーが置かれていました。

ただ、残念ながら、それらのタンブラーは、デザイン的にいまひとつだったり、機能がよくなかったりするものばかりでした。

日本に帰国してマーケットを眺めてみても、俗に言う水筒のようなものばかりで、自分たちが持ち歩きたいと思えるような、デザインが格好よくてファッショナブルなものは、やはりありませんでした。

せっかく「サステナブルなライフスタイルを過ごしたい」「タンブラーを持ち歩きたい」と思っても、これでは選べる商品がないのでは?と思いました。

ならば、キントーで作ろうという、とてもシンプルなストーリーではありますが、キントーの製品開発は、このようにして進んでいきます。

キントーが大切にする「共感」

では、次に、このようにして作った商品を、どのようにお客さんに広げていくのか、その売り方のお話に移ります。

キントーでは、短期的な売上を追うことは基本的に悪だと考えているため、売上のターゲットやセールスのノルマなどは、一切設定していません。

プライスプロモーションも一切しませんし、広告への投資にも消極的です。

では、何をするのか。

自分たち自身と徹底的に共感し合えるような消費者や取引先、そういった方々を見つけて、その共感をさらにはぐくんでいくことに集中したアクションを皆で取っていくという方針をとっています。

キントーの営業担当やブランドコミュニケーション担当は皆、自分自身のライフスタイルや趣味に本当にこだわりがあって、自分自身がキントーのとにかくファンであるというメンバーばかりが揃っています。

そして、そういうメンバーが自分達のパッションを込めて、キントーのことを紹介していくわけです。

マスを狙っているわけではないため、初めの間口は、間違いなく狭くなります。

しかしながら、強い共感さえ得られれば、例えば今ですと、それこそクチコミやSNSなどを通じて、さらにその共感の輪が波及していきます。

その結果として売上はついてくるだろうと信じて、ブランディング活動をしています。

1つ例を挙げさせてください。

Blue Bottle Coffee が、日本に初上陸した際、キントーのコーヒーカテゴリやコーヒーウェアに非常に共感してくださって、コラボレーションしたオリジナルカップ&ソーサーを使うという判断をしてくださいました。

KINTO for BLUE BOTTLE COFFEE(KINTO)

最初はたった1店舗でしたが、ここで使っていただいたことが、多くのコーヒーファンの方々やコーヒーショップのオーナーの方々の目に留まりました。

当時、キントーはコーヒーカテゴリに新規参入でしたけれども、それが広がるきっかけになったと思っています。

主観でつくり共感をはぐくむ

この共感の輪が広がる対象は、実は、消費者や売り先だけではないことに、最近、気づいています。

最近は、幸いなことに、「キントーとぜひ一緒に仕事をしたい」と言ってくださるビジネスパートナーや、「キントーに入社して働きたい」と言ってくださる非常に優秀な方も現れてきています。

この共感が軸になった効果は、とても大きいことを実感しています。

“主観でつくって共感をはぐくむ”――こちらのスタイルで、今後もブランディングを推進していきたいと思っています。

これから取り組んでいきたいことも、まだまだあります。

例えば、海外展開について言いますと、現在、売上の約1/3を海外展開が占めています。

ただ、まだまだ、ホワイトスペースだらけなのです。

日本の中小ブランドが、世界においてブランディングを成功させる、そういったことを実現していきたいと思っています。

ほかにも、パーソナライズタンブラーサービスの「MARK IT BY KINTO」や、植物のD2Cブランドの「MOLLIS(モリス)」といった、比較的最近立ち上げた商品があります。

私自身も大好きで、さらに広げていきたい商品です。

このようなキントーの商品やサービスを届けていくことを通して、キントーが皆様の心豊かな日常に少しでも貢献できるようになれたらいいなと思っています。

本日のお話をお聴きいただいて、もしキントーに興味を持ってくださった方がいらっしゃいましたら、ぜひ繋がりを持たせてください。

ご清聴、どうもありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/中村 瑠李子

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