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ICC FUKUOKA 2023 スタートアップ・カタパルトに登壇いただいた、MizLinx野城 菜帆さんのプレゼンテーション動画【従来製品の約3割価格、水中環境のモニタリングデバイスで養殖業の生産性向上に貢献する「MizLinx」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはノバセルです。
▶【速報】ゲノム編集技術による水産業革命で、世界の“タンパク質危機”を解決する「リージョナルフィッシュ」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2023)
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【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 1A
ICCサミット FUKUOKA 2023 1A STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門
Supported by ノバセル
野城 菜帆
株式会社MizLinx
代表取締役CEO
HP | STARTUP DB
慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。大学院ではシミュレーションによる月面探査車の運動解析の研究に従事。在学中に長期インターンにてIoT製品の試作業務に従事。2021年8月、大学院在学中に株式会社MizLinxを設立、代表取締役に就任。(独)情報処理推進機構 2021 年度未踏アドバンスト事業採択、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)2022年度「研究開発型スタートアップ支援事業/NEDO Entrepreneurs Program(NEP)」タイプB採択。(株)リバネス主催マリンテックグランプリにてスポンサー賞、内閣府主催S-Booster2021にてスポンサー賞、(公財)みんなの夢をかなえる会主催みんなの夢AWARD12にて準グランプリ受賞。
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野城 菜帆さん よろしくお願いします。
「水中IoT技術で 海の課題を解決する!」、MizLinx(ミズリンクス)の野城 菜帆です。
海の課題を色々なつながりで解決していきたい
私たちは、海の課題を人と技術の力で解決する会社です。
MizLinxという社名の由来は、Miz(水)+Links(つながり)で、水、特に海の課題を、人と人、モノとモノ、データとデータ、色々なものをつなげることで解決していきたい、そんな思いを込めて名づけました。
現在は海の中でも、養殖業向けのソリューションに特化しています。
チーム紹介です。
私たちは、機械系、情報系のエンジニアが集まったチームです。
平均年齢24歳、合計15人のチームで日夜開発中です。
きっかけは技術的好奇心から
この事業を始めたきっかけは、技術的な好奇心でした。
海で使える機械を作りたい、そう思って開発に勤しんでいたのですが、せっかくものづくりをするなら誰かの役に立ちたい、そう思って色々な業界の人に話を聞きに行きました。
その中で出会ったのが、水産業の方々でした。
現場で漁師さんと色々な話をしたり、時には自分たちで漁を行ったりすることで、この世界にのめり込んでいきました。
給餌量、突然死は養殖の課題
ここからは、具体的にどのようなことをしているのかを説明します。
私たちが飛び込んでいる養殖という世界は、世界的に伸び始めています。
しかし、まだまだたくさんの課題があります。
例えば、餌やりです。
餌代は養殖のコストの7割程度を占めますが、最適化されているとは言い難い状況です。
餌は、やりすぎるとコストの無駄になりますし、環境にも負荷をかけてしまいます。
一方で、餌が不足しても、魚の成長を阻害してしまいます。
また、自然相手ですので、魚が死んでしまうことも起こります。
ひどい時には、地域の3〜4割の魚が死んでしまうという話も聞きます。
水上から海中をモニタリング
私たちは、漁業者の方々が遠隔で海の様子をモニタリングできれば、これらの問題を解決できるのではないかと考えました。
そのために、この海洋観測システムMizLinx Monitorを開発しています。
左側は生け簀の足場に設置するタイプで、右側は海面に浮かべるタイプです。
この2種類のデバイスで、魚や海藻、貝など、色々な養殖場に対応することができます。
水温、酸素、塩分、pHなど水中の環境情報を可視化
また、このように水中にカメラモジュールやセンサーモジュールが伸びており、映像や水温、酸素などの環境情報を取得できます。
それらのデータが、手元のスマートフォンやPCなどのデバイスに送られてきます。
実際のウェブアプリの画面です。
このように、水温など環境情報のグラフや動画などを見ることができます。
複数のデバイスに対応しているので、様々な情報を一覧表示することもできます。
動画から魚の状態を判断し餌やりを調整
事例紹介です。
まずは、餌やりの効率化についてです。
魚の養殖業者は主に動画を見て、例えば魚の動きの活発度やお腹の膨れ具合を見ることで、満腹か空腹かを判断し、餌やりの調整に役立てていただいています。
魚の突然死の原因特定に活用
また、魚の突然死の対策にも使われています。
私たちが今取り組んでいるプロジェクトでは、地域で年間1億5,000万円程度にあたる全体の3割程度の魚が原因不明で死んでいます。
この原因を究明するために、私たちのMizLinx Monitorが使われています。
実際に、地元の研究者が仮説を立て、それに対して私たちのデバイスで水温や酸素、流れの速さや向きなどの情報を取得して、確認していただくことで、仮説を検証して原因を特定しています。
水温に敏感なワカメの突然死を予防
また、魚だけではなく海藻にも使っています。
これはワカメの事例ですが、ワカメは水温に非常に敏感で、ある一定のラインを超えるとすぐに死んでしまいます。
そのような事態を防ぐために、リアルタイムかつピンポイントの情報をいつでも見ることができるので、危険だと判断すれば、ワカメを吊り下げているロープを、水温の低い水深の位置まで下げて、対策しているという事例です。
「今まで見たことがなかった水中の映像や情報が見られるようになって、業務改善が進んだ」「リアルタイムかつピンポイントの情報を得たことで、今まで気づけなかったことに気づけた」などという声をたくさん頂いています。
従来製品の3割程度におさえた価格設定
私たちの製品の価格は、本体の定価が75万円、アプリの利用料が月々2万円です。
これらは従来製品の約3分の1程度の価格で、導入費用が半額になる補助金制度にも採択されています。
▶編集注:一般社団法人マリノフォーラム21 水産業のスマート化推進支援事業 助成対象機械(助成率1/2〜2/3、補助上限額1,000〜1,500万円。共同利用タイプの場合は助成率1/2、補助上限額100万円)として登録中。詳細はこちら。
私たちが価格にこだわる理由は、「既存の機器は高くて買えない、導入できない」という養殖業者の声が非常に多かったからです。
将来的は世界の養殖市場へ
ビジネスモデルは、漁業者、漁協、自治体に直接販売するモデルと、地元に強い営業網を持つ、漁具メーカーのような代理店を通して販売するモデルがあります。
私たちが狙っている市場は、34兆円の、世界の養殖市場です。
ゆくゆくは、漁船漁業や、他の海の産業にも進出していきたいと考えています。
養殖業の生産性向上に貢献し、持続可能な水産業の実現へ
私たちは、養殖業の生産性向上を通して、持続可能な水産業の実現を目指していきます。
海の課題を人と技術の力で解決する、MizLinxでした。
ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成