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中身ありきの脇役から主役へ。最上級の技術と企画で桐箱の可能性を広げる「増田桐箱店」(ICC FUKUOKA 2023)

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ICC FUKUOKA 2023 クラフテッド・カタパルトに登壇いただき、2位に入賞した、増田桐箱店の藤井 博文さんのプレゼンテーション動画【中身ありきの脇役から主役へ。最上級の技術と企画で桐箱の可能性を広げる「増田桐箱店」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターはMakuakeです。

【速報】父から受け継いだ育てる漁業で、こどもたちの未来に食をつなぐ「Firesh®」(ふく成)がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2023)


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Sponsored by Makuake

藤井 博文
株式会社増田桐箱店
代表取締役
HP

1987年生まれ 普通高校を卒業後、台湾へ語学留学へ。留学の最中に祖父が訪台し事業を継がないかと話をうけ2007年帰国後増田桐箱店へ入社。2010年同社副社長へ就任2012年代表取締役社長へ就任。就任後2工場を統合し、2013年古賀市青柳町へ新社屋を建設移設へ2014年桐箱の加工技術をいかした「kirihaco」ブランドを立ち上げBto事業へ、その後海外展開などを含め今にいたる。


藤井 博文さん 増田桐箱店の藤井です。よろしくお願いいたします。

手作業で1日約6,000箱の桐箱を製造

皆さんは「桐箱」を知っていますでしょうか。

当社は、創業1929年の桐箱メーカーで、人間国宝の作品を入れる箱や、国立博物館の収蔵品を入れる箱を製造しております。

特に、原材料にはこだわっており、丸太の状態で、国内外から買い付けを行い、四つ割りで5年、さらに板の状態で1年乾燥させて、使用しております。

高価な桐箱だけでなく、お酒やお菓子などの安価なギフトの箱も生産しており、1日に約6,000箱を手作業で製造しております。

この動画に出てくる機械はとても古く、私より年上の機械もまだ現役で活動しております。

なぜそんなに長く使えるかは、後ほど説明します。

桐箱の作り方は、木を切る、木を組み立てる、仕上げる、の3つの工程から成り立っており、木を切る工程はある程度ロボット化や機械化ができつつありますが、組み立てる、仕上げるは、未だに人の手で作業をしております。

また、印刷も自社で行っております。

よく見る、お酒の外箱の銘柄のスクリーン印刷や、念珠やお線香などの外箱に入れる金箔文字のプレスは、木を切ったその隣ですぐにしております。

なぜ組み立てが手作業なのかと申しますと、桐という素材はとても柔らかく傷がつきやすいため、自動化、機械化するよりも、人の手で作業した方が、正確にモノ作りができるからです。

我が社では、手作業で工業製品並の量を作っておりますので、手の工業製品ということで、「手工業製品」と呼んでおり、年間で約120万箱を出荷しております。

桐箱は、季節によっても、温度や湿度によっても伸びたり縮んだりするので、その都度、仕上げ方を工夫しております。

また、地域によっても、蓋の甘さや硬さなどの好みがあり、同じサイズであってもお客様のご要望に合わせた板の厚みで仕上げたり、面の取り方など細やかに対応したり、一つ一つをオーダーメイドで作っております。

先ほどの、なぜ機械が30年以上も持つのかという話ですが、桐という素材が非常に柔らかいため、機械への負荷が少なく、また、他の木材に比べて、刃物の研磨回数も圧倒的に少ないため、昔ながらの機械が現役で活躍しています。

数を作りながらも、きちっと良いものを作るのがこだわり

動画のこの工程は、桐箱の最後の仕上げの工程です。

ペーパーで桐箱の表面を研磨し、蓋を調整し、180°ひっくり返しても蓋に段差がつかないよう、一つ一つを丁寧に仕上げていっております。

特に、当社としてこだわりのある、文化財や人間国宝の作品を入れる箱は、数十年しっかり保管するということが大切であり、今ベストな箱は勿論ですが、数十年経っても蓋がしっかり閉まり、歪んだり変形したりしないよう、職人の手で最後に仕上げていきます。

動画のこの工程が、職人の手直しです。

職人の感覚で、一つひとつ面を取り、ペーパーで磨き、蓋をかぶせ、音を聞きながら、しっかりと蓋が閉まっているかを確認します。

数を作りながら、きちっと良いものを作る、これが当社のこだわりの技術です。

祖父の事業を引き継いだ3代目

改めまして、増田桐箱店の3代目、藤井と申します。

私は、祖父から事業を引き継ぎました。

当社の業務ですが、全国の工芸品や日本各地の特産品を入れる桐箱を年間で約120万箱生産しており、オーダーメイドの一点物から数十万個単位まで、安価なギフトの箱から最上級品まで作ることができます。

受注生産ゆえのドン底な経営状態

しかし、私が事業を引き継いだ時には、ドン底な経営状態でした。

「仕事が暇なときと忙しいときに、なぜこんなにバラつきがあるのか」と先代である祖父に尋ねると、「うちらは受注生産やけんねー」と言われました。

非常に憤りを感じました。

私たちは、手作りなのに量産ができ、最上級の桐箱も作れる。

中身ありきの脇役から、主役という名の商品になりたい。

桐の特性を生かした商品開発を米びつからスタート

そこで始めた商品が、この桐の米びつです。

桐の防虫効果と調湿効果を生かして開発した米びつは、最初に出展した展示会でとにかく必死に売りまくり、約1万個弱を販売できました。

すると、自分たちの商品がメディアに取り上げられ、社員が家族に自慢できる商品作りがスタートしました。

自社商品に自信を持ったことで、おうちの形したブックエンドや桐のパン箱書類入れなど、どんどん企画開発が進んでいきます。

自社開発の米びつ、ブックエンドは海外へ

すると、米びつは海外へ。

最初はアメリカ、台湾からスタートし、「米びつ」ではなく「food stocker」と名前を変え、アメリカではナッツ、台湾ではお茶やコーヒー向けに利用されました。

また、先ほどのブックエンドも中に入れ子式にすることで、輸送費の問題を解決し、ニューヨーク近代美術館でも販売されることになりました。

繊細な大川組子の量産化に成功

さらに、プロダクトだけではなく、箱作りをもっと発展させようということで、大川の組子細工と増田桐箱店の量産技術によって、大川の組子箱を量産することに成功しました。

これにより、短納期かつ価格を抑えることができ、ホテルのアメニティボックスとして、現在、国内外5箇所以上に納品をしております。

組子箱(増田桐箱店)

東京に直営の「ハコタス」を開店

そんな増田桐箱店の組織は、役員の平均年齢が38歳と若いですが、100年続く会社を目指し、日々変化を楽しみ、事業を行っております。

今後の展望としては、2022年夏に東京の直営店「hacotas(ハコタス)」を開店し、一昨年、家具の会社をM&Aで買収したので、小さな箱から大きな箱まで作っていきたいと考えております。

東京にサテライトショップを2022年6月4日にオープン(増田桐箱店)

「待ち工場」から「町工場」に

最後に、中身が売れてからくる仕事は「待ち工場」であり、従来の我々はそうだったと思います。

しかし、私たち増田桐箱店が目指す未来は、自分たちの商品を売っていく、そんな「町工場」になりたいです。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

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