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障がい者のチーム雇用で、誰もが花咲く社会を作る「ローランズ」(ICC FUKUOKA 2023)

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ICC FUKUOKA 2023 ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 -に登壇いただき、2位に入賞した、ローランズ福寿 満希さんのプレゼンテーション動画【障がい者のチーム雇用で、誰もが花咲く社会を作る「ローランズ」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください

本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。

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【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ

福寿 満希
株式会社ローランズ
代表取締役
HP

花や緑のギフトや空間装飾サービスを通じて、精神等障がいや難病と向き合うスタッフを多数雇用する花屋、ローランズを運営する。心を整えながらチームアップで働く環境を整備し、職場作りの新しい形として注目を集める。職場作りの参考事例をきっかけに多数の企業から障害者雇用についての相談を受ける機会が増える。雇用の仕組みにもチームアップを取り入れられないかと考え、2019年にウィズダイバーシティLLP(組合)を設立。2020年に国家戦略特区と連携し、企業と福祉団体が協業して障害者雇用を生み出すプラットフォーム「ウィズダイバーシティプロジェクト」を発足。障害者を共同で雇用する新しい仕組み作りに取り組んでおり、現在10社の企業や福祉団体と障害者共同雇用を実施し、輪を広げている。


福寿 満希さん 皆さん、こんにちは、ローランズの福寿(ふくじゅ)と申します。

私たちは、「排除なく、誰もが花咲く社会を作る」、東京の花屋です。

本日は、花屋の領域を超えて、日本の障がい者雇用の常識を皆さんと一緒に変えたい、その実現のために、私はここに来ました。

特別支援学校で知った子どもたちの夢

まず、私たちの取り組みと実績について、お話しします。

ローランズを設立したきっかけは、子どもたちの持つ、働く夢です。

私は、学生時代、特別支援学校で教育実習をしました。

そこで初めて、障がいや難病と向き合う子どもたちと出会いました。

「お花屋さんになりたい」「デザイナーになりたい」

子どもたちは、働くことに夢を持っていましたが、当時の就職率は15%と、夢のほとんどが叶わないと知りました。

子どもたちの働く夢を叶えられる大人に

一方、学生だった私は、「働きたくない。ずっと学生でいたい」と思っていました。

自分にとっての当たり前が、すべての人の当たり前ではないと知った瞬間でした。

「子どもたちの働く夢を叶えられる大人になる」

これが私の夢になりました。

そして、私自身も、つらいときに笑顔を取り戻すきっかけとなった花を選んで、23歳のときに自宅の一角で起業しました。

従業員の7割は障がいや難病を持つ人

10年経った今、多くのお仕事をさせてもらっています。

そして、従業員の約7割に当たる50名が、身体障がいや知的障がい、精神疾患や難病など、様々な症状と向き合いながら活躍しています。

工程の細分化で得意を生かす

職場には、多くの工夫があります。

例えば、業務分担です。

通常のフラワーギフト制作は、3つの工程で行いますが、私たちは、10の工程で分業しています。

工程を分けることにより、伝票の文字は読めないけれど、花のデザインを見て完璧に複製できるスタッフや、先端恐怖症のためハサミは持てないけれど、花束のラッピングをふんわりと美しく仕上げるスタッフなど、それぞれができることにフォーカスして組み合わせ、細分化した業務のプロ集団を作っています。

「人生で初めて自信を持つことができた」

そう話すスタッフもいます。

「1人でやらない、みんなでやる」

「1人でやらない、みんなでやる」

私はこの「みんなでやる」を、日本の障がい者雇用自体でやれないかと考えています。

私は、今まで、目の前の人の働く夢を叶える、ただそれだけで走ってきました。

しかし、私たち1社だけでは、限界があります。

そのため、私は花屋を超えて、働く幸せを得られる障がい者の数を増やす、そう決めました。

従業員数に基づく雇用義務

ただ、課題は多数あります。

その課題について触れる前に、皆さんに1つ質問です。

3年後、従業員は37名以上いるだろうという企業様、よろしければ、手を挙げていただけますか。

ICCにご参加の方々ですので、数多くいらっしゃいますね。

皆さんは、障がい者雇用が必須となる企業様です。

現在、従業員が43.5名いらっしゃいましたら、すでに必須です(※) 。

▶編集注:障がい者の法定雇用率については、厚生労働省のリーフレット「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」に記載されています。

障がい者雇用の現状

しかし、日本全体では、半数以上の企業が、その雇用を実現できていません。

令和4年障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省)

企業の障がい者雇用での一番の悩みは、社内に適切な仕事がないと感じていることです。

その結果、働くことのできる年齢の障がい者、約350万人が働けていない状況です。

企業ごとで行う障がい者雇用を変える

では、どうすればよいでしょうか。

雇用ノウハウを持ったローランズや障がい福祉団体が社内にいるような状態で、雇用に一緒に取り組めたらどうでしょう?

企業に眠っている、当事者が活躍できる仕事を掘り起こせるかもしれません。

「1社でやらない。みんなでやる」

企業や団体ごとに分断されていたのをやめて、一緒に雇用に取り組みませんか。

障がい者雇用を作る組合を結成

そのために、私たちが作った新しい仕組み、ウィズダイバーシティプロジェクトを、ご紹介します。

こちらは、企業の皆さんが、ローランズや障がい福祉団体と組合を結成して、ワンチームで一緒に雇用を作る仕組みです。

今まで、それぞれで行っていた雇用や業務作りを集約して、全社で障がい者雇用に取り組みます。

組合内で雇用人数の通算が可能

この仕組みは、行政とも協力しています。

東京都と、今まで埋もれていた「算定特例制度」(※) を掘り起こして適用しています。

▶編集注:障がい者の雇用機会の確保(法定雇用率=2.0%)は事業主(企業)ごとに義務づけられているが、一定の要件を満たす場合に複数の事業主で実雇用率を通算することができる。制度として「関係会社特例」、2009年に創設の「関係子会社特例」と「特定事業主特例(事業協同組合等算定特例)があり、ウィズダイバーシティプロジェクトでは「特定事業主特例」を活用している。

この適用によって、例えば、ローランズの雇用が1増えると、チーム全体の雇用が1増えたと、行政上でも認められます。

まさに、障がい者雇用促進の運命共同体です。

6ジャンル・50種以上の中から業務を選択

具体的に、企業にどのように取り組んでいただくかと言いますと、まず、ローランズや障がい福祉団体が提供する花や緑、ITや物流など、6ジャンル・50種以上のサービスから、障がい当事者に依頼したい業務を選んでいただきます。

そして、業務の遂行に必要な工程管理や採用は、私たちが担当します。

企業は、本当に必要な業務のために、雇用を作ることができます。

働く当事者のモチベーションも上がります。

2倍の雇用を創出する企業も

実際の企業の導入事例です。

ICCにもご参加の寺田倉庫様は、祝い花や植栽管理、複数の種類で仕事を作り出した結果、必須雇用数の2倍の雇用を創出しています。

このように、チームであれば、多くの雇用を作ることができます。

ほかの企業事例では、広告運用のサービスを、協業して立ち上げました。

配属された当事者の分析力が生かされて、楽天市場のショップでの売上が6倍になりました。

「障がい者雇用は、コスト」

そんなことは絶対に言わせません。

どの会社も、専門スキルのある社員の雇用とほぼ同額で、チームの雇用に取り組み、プラスの価値を生み出しています。

2024年には15社で80名の雇用を予定

2022年実績では、8社で、4,000万円分の仕事を集め、13名の雇用を作りました。

来年(2024年)には、なんと、15社で2億円の仕事を作り、80名の雇用が生まれることも決まっています。

2023年4月からチーム雇用が全国に適用

私たちは、日本で唯一、チームでの障がい者雇用を実現させました。

その成果が認められて、これまで東京圏域でしか認められていなかったチーム雇用が、今年(2023年)の4月から全国で活用できることが、臨時国会で決定しました。

働きたい…障害者の夢を花開かせた東京・原宿の「ローランズ」 特区活用し中小企業と連携 全国初の試みも 2023年1月10日(東京新聞 TOKYO Web)

そして、新聞の一面トップにも取り上げていただく経験をしました。

排除なく、誰もが花咲く社会を作る

企業の枠を超えて、協力して雇用を作る。

取り組む企業が増えて、この取り組みが広がれば、分断された障がい者雇用の常識が変わり、たくさんの「働く幸せが、花咲く」ということ。

「排除なく、誰もが花咲く社会を作る」

働く選択肢を増やし、働く夢がたくさん叶う未来を、一緒に作りませんか。

少しでも興味を持っていただけましたら、この後、ぜひ、お声がけください。

雇用の常識を、一緒に変えていきましょう。

ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成

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