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220年以上続いた「敷嶋」酒蔵の復活から、愛知県知多半島の魅力発信に挑む「伊東」(ICC FUKUOKA 2023)

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ICC FUKUOKA 2023 クラフテッド・カタパルトに登壇いただいた、伊東株式会社 伊東 優さんのプレゼンテーション動画【220年以上続いた「敷嶋」酒蔵の復活から、愛知県知多半島の魅力発信に挑む「伊東」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください

本セッションのオフィシャルサポーターはMakuakeです。

【速報】父から受け継いだ育てる漁業で、こどもたちの未来に食をつなぐ「Firesh®」(ふく成)がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2023)


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けてSponsored by Makuake

伊東 優
伊東株式会社
代表取締役
HP

1984年生まれ。愛知県半田市出身。一橋大学経済学部卒業後、2007年よりNTTドコモにて勤務。実家が酒蔵だったが、2000年に廃業。自身も醸造とは無縁の世界へ就職するが、2014年祖父の死をきっかけに酒蔵復活を決意。2018年にドコモを退職。鯉川酒造、長珍酒造、福持酒造場にて酒造りを経験。2020年、2021年と福持酒造場にて「敷嶋0歩目」「半歩目」を製造し、ブランドを復活。M&Aにより清酒製造免許を再取得、2021年12月より念願の半田市亀崎町にて酒造りを開始し「敷嶋1歩目」をはじめとした商品を展開。食事とお酒、それぞれの味を昇華させる、愛知らしい酒質を目指している。2022年10月旧宅が有形登録文化財に上申され、酒蔵復活のきっかけにもなった巨大な木造建造物群の活用を2023年より本格化予定。建物の一部を飲食店などに改装し、2023年夏オープンを目標に、”ここでしか味わえない空気感”を提供すべく検討中。


伊東 優さん 伊東株式会社、伊東 優と申します。

私は、酒蔵を営む伊東家の9代目として生まれました。

ただ、酒蔵は2000年に廃業してしまったため、私は2007年に、普通に一般社員としてNTTドコモに入社いたしました。

そんな私が2018年にNTTドコモを退職し、何も知らない酒の道に進み、2021年、酒蔵を復活させることになります。

今回は、私の生き様のピッチです。

よろしくお願いします。

220年以上続いた実家の酒蔵が廃業

酒蔵は天明8年、1788年創業です。

酒蔵は、愛知県の知多半島、半田市亀崎にあります。

作っていた清酒は「敷嶋」という銘柄でした。

大正12年には、東海4県、新潟県、長野県で製造量トップになるほどの、中部地方を代表する酒蔵でした。

ただ、清酒需要の低下から平成12年に休業、そして廃業となってしまったのです。

そのため、私は普通に一般企業に就職しておりました。

自分の使命は酒蔵を復興させること

転機となったのは、祖父の死です。

私の地元では、葬儀までろうそくの火が消えないよう、寝ずに番をする風習がありました。

私が番をしている時に、昔の敷嶋を飲んだのです。

それがとても美味しくて、五臓六腑に染み渡るような味でした。

それと共に考えました。

「自分が生きている意味は何だろう?」と。

もちろん、父と母がいて私がいますし、父と母にも両親が存在します。

酒造りという営みが続いて9代目。

9代目である私は、何をすればいいのだろうかと考えました。

そして結論として、酒蔵を復興させるという使命だと僕は思ったのです。

魅力ある古い建物を未来に繋げたい

それに至るまでの理由は、2つあります。

1つは、古い建物が残っていたことです。

築200年の本宅や、元銀行の事務所などの魅力的な建物が残っていました。

ただ、これらを良いデザインでリフォームしたところで、上っ面だけのものになってしまうのではないかという懸念もありました。

この建物を繁げたい、そのためにはまず営みを復活させる必要がある。

これが酒蔵復興の1つ目の理由です。

地元亀崎にもう一度営みを

2つ目は、地域です。

蔵がある亀崎という町は、かつて醸造で栄えた町でした。

しかし営みが一つ、また一つと減っていく中で、日中、人が誰もいないような空間になっていました。

「昔はすごかったんだ」と、年配の方はよく言います。

ただ、それが本当に悔しかったのです。

昔はすごかった、でも今はどうなんだ。

僕らにとって、昔とは何か、何の意味があるのか、本当にそう思いました。

悔しい、だから亀崎にもう一度営みを復活させたい、これが酒蔵復興の2つ目の理由です。

酒蔵の復活に2つの課題

酒蔵の復活には、大きな課題が2つありました。

まず1つは清酒製造免許がないこと、2つ目は僕が酒造りを全く知らなかったことです。

清酒製造免許に関しては、酒税法の関係で、今、新規の発行が全くありません。

そのため、免許を持っている会社を買い取ることのみが、新たに清酒製造免許を取る方法でした。

NTTドコモ時代からこっそり探していたのですが、亀崎に移転できる案件はほとんどありませんでした。

そのため、非常に難航しました。

2つ目の酒造りについては、有給休暇を使いながら、ご縁のあった、山形県の鯉川酒造に学びには行っていました。

ただ、それを続けた結果、当然ですが、有給休暇がなくなりました。

そのため、私は2018年6月にNTTドコモを退職することになります。

退職後、酒造りの道に一直線

その後、私は酒造りの道に一直線。

2018年度には愛知県の長珍酒造、2019年度、2020年度には福持酒造場にお世話になりました。

ここで、酒造りの心構えや技術を学びました。

ただ、長珍酒造でお世話になった時に強く思ったのは、「このままでは、免許の取得には一切進まない」ということでした。

そのため、福持酒造場ではまず、委託醸造という形をお願いしました。

それで、「 敷嶋」のブランドをまず復活させようと思ったのです。

具体的には、タンク1本分の酒米を買い、自身の範疇で酒を造らせてもらいました。

そして、酒販免許を持った会社を設立して酒屋に売っていくという形を、まず取りました。

これが、功を奏します。

SNSの発信から縁が生まれ酒蔵が復活

SNSで発信を続けた結果、InstagramのDMで、東京の飲食店「ぽんしゅ屋」から、酒を置かせてほしいとお願いされました。

そのお店で酒を飲んだ男性が、「美味しい、手伝いたい」と言ってくれたのです。

ちょうどその時、進めていたM&Aの案件がダメになったところで、彼から、「一緒に探してあげる」と言ってもらったのです。

1カ月後、本当に電話がかかってきて、いくらまでなら出せるかと聞かれました。

伝えた金額がそのままOKとなり、M&Aが成立しました。

つまり、アドバイザーなどは一切入れず、個人でM&Aを成立させました。

この後はどんどん進み、酒を造るところもなかったので、土地や建物も買い戻し、製造に必要な道具を揃え、2021年12月、製造開始にこぎつけました。

皆様のお手元に配らせていただいたのは、2期目のお酒となっています。

▶編集注:ここで審査員席に敷嶋の試飲が配布されました。

ミッションは、「心に届く酒を創り『食の時間』の価値を上げる」こと。

「1(食)+1(酒)を3にするお酒」ということを胸に酒を造っています。

歴史を感じる空間で「食と飲み物のマリアージュ」を提供

これからの歩みです。

酒造りに関しては、無事にクリアできました。

次のミッションとして、古い建物を維持しての活動を今、手がけています。

こちらは建物全体像です。

見ても分からないと思いますが、5,000平米を超える、木造建築物の類となっています。

非常に大きいです。

そのため、順を追って開発を進めていこうと思っており、2023年8月に第1弾オープンの予定です。

スライドの右にイメージを載せていますが、非常に不思議な空間なのです。

今のような昔のような、という空気がそのまま残っているのです。

その空気の中で、「食と飲み物のマリアージュ」というコンセプトで、今、店作りを行っています。

軸は「仕込み水」、うちにしかないオリジナリティを出しながら作っているところです。

これらは、建物の写真です。

正直、写真では一切伝わらないと思っています。

実際に来ていただけると、非常に嬉しく思います。

体感していただきたいです。

食の魅力あふれる愛知県知多へ来てください!

この空気の中で味わっていただきたいのが、愛知県の食です。

実は愛知県は、食に関して非常に魅力的なところなのです。

特に知多半島は、醸造業が非常に盛んな地域です。

愛知県の食を楽しんでいただきながら、知多半島の半田にオーベルジュを楽しみに来てください。

ぜひ、一度来ていただければ幸いです。

ご清聴ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

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