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「Kids Public」は24時間医師に相談できるプラットホームで、産前・産後の不安に寄り添う(ICC FUKUOKA 2023)

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ICC FUKUOKA 2023 ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 -に登壇いただいた、橋本 直也さんのプレゼンテーション動画【「Kids Public」は24時間医師に相談できるプラットホームで、産前・産後の不安に寄り添う】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください

本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。

【速報】まちなか留学で子どもたちの世界を広げる「HelloWorld」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2023)


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ

橋本 直也
株式会社Kids Public
代表取締役
HP | STARTUP DB

2009年日本大学医学部卒。小児科専門医。聖路加国際病院での初期研修を経て、国立成育医療研究センターにて小児科研修。その後、東京大学大学院にて公衆衛生学修士号を取得。妊娠、出産、子育てにおいて誰もが孤立しない社会づくりを目指し、小児科外来勤務を継続しながら2015年12月に株式会社Kids Publicを設立。産婦人科医、小児科医、助産師にLINEなどで相談できる「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」を運営。自治体の住民サービスや企業の福利厚生、付帯サービスなどBtoBtoCとして展開。現在50を超える市区町村を含め、100以上の法人に導入済み。参画する医師、助産師は190名を超える。


橋本 株式会社Kids Public代表、小児科医の橋本です。よろしくお願いします。

私たちは、スマートフォンから直接、産婦人科医や小児科医、助産師に相談ができる、「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」という事業を運営しています。

親子の表情のチェックは小児科医の重要な役割

皆さん、小児科医の役割について、どういうものをイメージしますでしょうか。

お子さんの発熱、ケガ、風邪、予防接種の対応、こういったものがすぐ思いつくと思います。

ただ、少し違った切り口での役割も、実はあるのです。

診察室に親子が入ってきたとき、小児科医はその方々の表情をチェックしています。

暗い顔をしていないか、子どもの身なりはしっかりしているか、お風呂にきちんと入れてもらっているかなど、こういった情報は、非常に重要なのです。

もし見逃してしまうと、最悪のケースでは、虐待や産後うつ、育児不安、孤立などに繋がりうる、そういう情報が詰まっています。

そのため、そういう情報を見逃さないようにしっかりとチェックする、これも、小児科医の重要な役割のひとつです。

私の経験の共有です。

10年前、私は、こども病院の救急外来におりました。

夜中に救急車で搬送されてきた3歳の女の子は、大腿骨を骨折していました。

お母さんに何があったのかを尋ねると、「私が叩きました。とんでもないことをしてしまいました。だから、大慌てで自分で救急車を呼んで飛んできたのです」と話してくれました。

そのような親子との出会いがありました。

この出会いを通じて、「病院で待っているだけでは、子どもの病気や健康は守れない。そして、子どもを守るために、決して親を孤立させてはいけない」――ということを、強く感じました。

日本全体で大きくなっている課題とは

この課題は、日本全体で、非常に大きくなっています。

過去10年間で、虐待の報告数は約3倍になりました。

年間20万7千件の報告が、寄せられています。

今、妊産婦の死亡原因の、圧倒的1位が「自殺」となっています。

その背景に、産後うつがあると言われています。

産後うつ自体も、コロナ禍によって倍増したのではないかと言われています。

約30%の方が、産後うつハイリスクなのではないかという、そういう研究結果もあります。

今、これらのトピックスは、決して目を逸らしてはいけない、日本全体で、非常に重要な課題です。

既存事業もあるのですけれども、限界点があります。

外来診療では、患者一人ひとりに対する時間を、なかなか作ることができません。

一方、オンライン診療では、薬の処方に特化しがちな傾向があります。

また、自治体によるサポートは、対面や電話といった旧来の方法に依存している割合が高いです。

既存事業だけでは行き届かない、不安や孤立があるのです。

オンライン医療相談で課題解決へ

この課題解決に挑んでいるのが、「産婦人科オンライン」と「小児科オンライン」です。

強み①産後の孤立リスクを防ぐ、産婦人科と小児科の密な連携

1つ目の、私たちの強みです。

産婦人科と小児科の密な連携です。

産後の孤立の最大のリスクは、産前の孤立であると言われています。

妊娠中から産後まで、切れ目なくサポートすることが、非常に重要です。

相談カルテの内容を、全職種で共有することによって、この連携を実現しています。

強み②診療未満の不安や疑問を24時間受付

2つ目の、私たちの強みです。

外来診療よりも、あえて、手軽な相談という方法に、特化しています。

そして、相談方法は、ビデオ通話や音声通話、チャット、毎日24時間受け付けている専用フォームの相談、こうした複数の方法を提示しています。

いずれかの、自分に合った、好きな方法で相談してください、というふうに提案しています。

寄せられる相談は、例えば、「赤ちゃんの腕を強く握ってしまった」「怪我をさせていないか心配」「母乳育児に対して自信がない」、といった内容です。

このような相談は、外来診療では、なかなかできません。

「産婦人科オンライン」と「小児科オンライン」には、皆さんの心の一番奥の深いところでモヤモヤとしている不安や疑問、こういった相談が数多く寄せられています。

このようなすべての相談に対して、必ず専門家が対応する、これも私たちの強みです。

強み③190名の医療者が10万件以上の相談に対応

現在、190名の産婦人科医・小児科医・助産師が、参画しています。

そして、勤務開始後は、ユーザーからの評価を可視化し、平均点以下の医療者に対しては是正を求めるなどクオリティの均てん化(※)に力を入れています。

▶編集注:どの医療者が対応しても満足度や理解度に差が出ないよう、体制を整備し、相談の質を均一に保つこと。

2016年のサービスローンチ以降、累計で10万件以上の相談に対応してきました。

「また利用したい」という方は99%、緊急疾患の見逃しは0件、という実績です。

ビジネスモデルは、BtoBtoCに特化しています。

すべてのユーザーが、無料で利用できます。

例えば、自治体の住民向けサービスとしての展開があります。

北は北海道から南は沖縄まで、全国54ヶ所の市区町村に導入実績を持っております。

企業との連携も、進めています。

イオンさん、富国生命さん、武田薬品さん、東急不動産さんは付帯サービスとして、三井住友海上さん、小田急電鉄さんは、福利厚生として、導入してくださっています。

すべて合わせると、100以上の法人への導入実績を持っております。

政府による補助金でより利用しやすく

そして、私たちであれば課題を解決できる、その裏づけも作ってきました。

こちらは、横浜市をフィールドに、東京大学による第三者評価を受けた結果です。

▶参考:「産後うつ病の高リスク者を33.5%減」:遠隔健康医療相談サービス(産婦人科・小児科オンライン)の効果として実証〜横浜市・東京大学との共同実証事業(ランダム化比較試験)〜(PR TIMES)

市民への「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」の提供によって、産後うつのハイリスク者を3分の2に減らすことができる、そうしたエビデンスが出ています。

これほど高いレベルのエビデンスを持っているサービスを提供しているのは、国内では唯一、私たちだけです。

政府も、私たちの後押しをしてくださっています。

私たちのサービスを、市区町村が導入する際に、その費用の2分の1が国から補助されるという、この新しい補助金が、令和4年度に厚生労働省によって新設されております。

蓄積データ×自治体連携でより充実した対面サポート

私たちの将来性についてです。

私たちのもとには、10万件以上の相談データが蓄積されています。

これをもとに、より少ない医療者で、より多くの不安を解消できる仕組み作りに着手しています。

チャットボットシステム「くすりぼ by 産婦人科オンライン」は、領域を絞って、すでにリリース済みという状況です。

日本初!産婦人科医開発による「妊娠と授乳のくすり案内ボット (くすりぼ)」|株式会社Kids Publicのプレスリリース (PR TIMES)

また、私たちの手元には、どの住民が、どういう相談をしているか、どの程度の頻度で相談をしているか、こうしたオンライン上での行動データという、これまで自治体が収集できなかったデータが集まってきています。

そして、その中から、どなたがハイリスクであるか、これを検知する仕組みやノウハウも蓄積してきました。

こういったデータを自治体と連携することで、対面サポートをより充実させていくことに、貢献しています。

こちらは、すでに、東京都府中市で、実証実験を開始しております。

「手のひらに、安心を。どこに住んでいても。」――今、この国に求められる、新しいインフラの整備、これが私たちの目指すところです。

ご清聴ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/中村 瑠李子/戸田 秀成

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