【NEW】ICC サミット FUKUOKA 2024 開催情報詳しくはこちら

日本酒が世界で愛される新時代を作るアメリカ発スタートアップ「Tippsy」(ICC KYOTO 2023)

カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式X(旧Twitter)をぜひご覧ください!
新着記事を公式LINEで配信しています。友だち申請はこちらから!
過去のカタパルトライブ中継のアーカイブも見られます! ICCのYouTubeチャンネルはこちらから!

ICC KYOTO 2023 スタートアップ・カタパルトに登壇した、Tippsy伊藤 元気さんのプレゼンテーション動画【日本酒が世界で愛される新時代を作るアメリカ発スタートアップ「Tippsy」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはノバセルです。

【速報】“直感的“と”プロが満足“を両立!ノーコードWebデザイン制作を可能にする「STUDIO」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2023)


【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門 
Sponsored by ノバセル

伊藤 元気
Tippsy, Inc
Founder/ CEO
HP | STARTUP DB | X(旧Twitter)

2009年に渡米、日系食品商社にて10年ほど日本食や日本酒のサプライチェーンやマーケティングに携わる。2018年に南カリフォルニア大学にてMBAを取得後、Tippsy, Incを創業。日本酒の情報を付加価値として届けるためのコンテンツを作成し、独自で開発したリコメンド機能でアメリカ人消費者の好みに合うボトルを提供するTippsy Sake Clubなどを強みとするTippsySake.comというEコマースを運営。日米のベンチャーキャピタルや本田圭佑氏など著名な投資家から支援を受けている。


伊藤 元気さん こんにちは、Tippsy(ティプシー)、伊藤です。

これから日本の伝統産業の話をします。

僕は、世界に日本酒を楽しむライフスタイルを根付かせ、グローバルな市場を生み出すため、アメリカでTippsyを創業しました。

日本酒はユニークで高品質なコンテンツ

僕は、日本の食品商社のアメリカ拠点で10年働いたなかで、日本酒というユニークで高品質なコンテンツが、アメリカでうまく売れないのを見てきました。

近年、日本酒の輸出が伸びていると話題ですが、実は日本酒は、アメリカのアルコール市場の0.2%しかありません。

その原因は、日本酒のコンテンツとしての価値が、現地で全く伝わっていないということでした。

説明します。

皆さん、お手元の、「出羽桜 桜花」というお酒を飲んでみてください。

このフルーティーな香りは、高度な技術が必要な吟醸酒の特徴です。

「桜花」は、80年代に品評会のためだけに造られていた吟醸酒を一般発売したもので、一大ブームを起こしたのです。

この意外とドライな味は様々な料理と合うように設計されていて、和食はもちろん、カルパッチョなどにもよく合います。

地理的表示で期待されるブランド価値向上

ちなみに、この酒蔵(出羽桜酒造)のある山形県は、ワインでいうボルドー地区のようなものです。

地理的表示(GI:Geographical Indication※)の認定をとった、日本初の都道府県です。

「地理的表示」とは(農林水産政策研究所)

今では、10種類以上の日本酒のGIが登録されています。

お酒の 地理的表示(GI) ガイドブック(国税庁)

日本酒の醍醐味はストーリーとともに料理を味わうこと

日本酒の醸造工程はワインやビールより複雑と言われ、その味や香りは地域、蔵、銘柄によって様々で、何百年も続くような酒蔵でも、毎年手作業で改良を重ねています。

その一つひとつのストーリーを料理と一緒に味わうのが、日本酒の醍醐味なのです。

どうでしょう、体験と付加価値情報が合わさると、文化としての日本酒への興味が深まりませんか?

これが、アメリカの消費者には全く届いていなかったのです。

日本酒の価値がアメリカの消費者に届かなかった理由

例えば、巨大なワイン市場では、消費者がワインに触れるタッチポイントが無数にあり、顧客購買プロセスが確立されているため、ワインを楽しむライフスタイルが根付いています。

しかし日本酒は、ジャパニーズレストランですら1、2種類しか置いてない上に、情報収集のタッチポイントが欠落していて、購買プロセスが寸断されています。

このプロセスを確立したいのですが、日本酒メーカーは中小、零細企業が多く、リソースが足りない。

彼らの売り先である商社は、数ある商材のうちの一つでしかない日本酒に、そこまで手をかけられない。

トレンド発信地アメリカで日本酒Eコマースを創業

もし、世界のトレンド発信地であるアメリカで、日本酒を楽しむライフスタイルが根づけば、巨大なグローバル市場を作れるはず。

僕は、抜け落ちていた情報収集のピースを追加し、購買プロセスを1つのチャネルで完成させられるEコマースというモデルでTippsyを創業しました。

まず、初めて日本酒を体験する人が様々な味を試すことができるミニボトルセットや、独自のアルゴリズムによるリコメンド機能を開発し、新規顧客ベースを作っていきました。

ソムリエも引用する英語の日本酒情報ソースを構築

次に情報ですが、アメリカではみんなラベルすら読めません。

わずかな英語情報は、同じ単語でもソースによってこんなに表記が違うので、日本酒の付加価値が全く伝わらないのです。

そこで、Tippsyは英語表記のガイドラインと厳格な校閲プロセスを整備して、言語バリアを排除し、現地消費者の価値観に合わせ、魅力的なコンテンツを効果的なデザイン、動画、写真で見せるため、エディトリアルとクリエイティブに大きなリソースを投入しています。

こうして、購買プロセスの土台を築き、Tippsyは売上5億円の、全米最大の日本酒Eコマースになりました。

年間数十万円使うコアファンも、半数が、Tippsyで初めて日本酒を買った人たちです。

5億円は売上としてはまだまだですが、英語で日本酒について調べると、必ずTippsyにたどり着き、世界中の同業者やソムリエも引用する、英語の日本酒情報ソースになっています。

ポテンシャルしかないアメリカのアルコール市場

酒蔵や政府からも信頼され、彼らとともに海外市場での活動を広げています。

次の5年は、立ち上げフェーズで築いた三つ巴の競合優位性をもとに、シリーズAへ進み、一気にスケールして売上100億円を目指します。

ポテンシャルしかない市場です。

アメリカの巨大アルコール市場は年間5%の成長率で成長していて、新カテゴリがたった数年で2兆円を超えるようなことも起こります。

参考:アメリカで話題のお酒「ハードセルツァー」(食品開発ラボ)

和食はアメリカでも大人気で、レストラン数は過去12年で1.6倍に急増。

そして世界は和食ブームで、日本酒の輸出も急増中です。

オフラインのタッチポイントで日本酒ファンを増やす

今後の戦略の柱は、「オフライン戦略」と「グローバル展開」です。

まず、よりリアルな体験を提供するオフラインのタッチポイントを作り、アメリカにおける購買プロセスを循環させ、受け皿のEコマースに潜在顧客を誘導します。

この冬(2023年)に開始する酒蔵ツアーは、Tippsyのコアファンと日本の酒蔵との、エモーショナルレベルの深いコネクションを作っていきます。

その後、全米主要都市に日本酒Barをオープンし、エヴェンジェリストたちがリアルな体験をコンテンツとして発信、共有して日本酒ファンを増やす拠点とします。

コアファン、醸造家、飲食業関係者によって築かれた強力なコミュニティが、日本酒を楽しむ文化だけではなく、現地のクラフトSake文化を活性化させ、アメリカの日本酒業界に革新を起こします。

海外の日本酒ファンと聖地日本をつなぐ

日本国外での酒造りが拡大することで、聖地日本の伝統的な日本酒の価値が高まっていきます。

Tippsyは、海外の日本酒ファンと聖地日本のつなぎ役として、日本酒の購入、体験、学びなど全てワンストップでアクセスできるプラットフォームを確立します。

その競争力を活かしたグローバル施策として、Tippsyのウェブコンテンツを世界各国に展開し、購入チャネルとして現地の販売店を紹介するマネタイズモデルを導入します。

既に、アメリカ、イギリス、ブラジルなどから依頼が来ています。

100億円はチャレンジングですが、世界における日本酒業界の未来を、ここまで具体的に見据えているのは僕らしかいません。

今後は、海外需要が日本酒の未来を創っていきます。

ワインのように世界中で愛され、人と人をつなぎ、文化を醸す、そんな日本酒の新時代をTippsyが作っていきます。

どうぞ応援よろしくお願いいたします。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式X(旧Twitter)をぜひご覧ください!
新着記事を公式LINEで配信しています。友だち申請はこちらから!
過去のカタパルトライブ中継のアーカイブも見られます! ICCのYouTubeチャンネルはこちらから!

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!