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農業由来のカーボンクレジット創出で、温室効果ガスを削減し、農家に新たな収入をもたらす「Green Carbon」(ICC KYOTO 2023)

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ICC KYOTO 2023 スタートアップ・カタパルトに登壇した、Green Carbon大北 潤さんのプレゼンテーション動画【農業由来のカーボンクレジット創出で、温室効果ガスを削減し、農家に新たな収入をもたらす「Green Carbon」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはノバセルです。

【速報】“直感的“と”プロが満足“を両立!ノーコードWebデザイン制作を可能にする「STUDIO」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2023)


【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門 
Sponsored by ノバセル

大北 潤
Green Carbon
代表取締役
HP | STARTUP DB

大手広告代理店にて福岡、台湾・中国・フィリピンの立ち上げを経験。大手PR会社の子会社にて取締役を務めグループNo1企業に導く。また、新規事業として、ESG事業部を立ち上げ日本初の全上場企業のESGスコアを開発し、上場企業のESGコンサルティングを行う。現在は、Green Carbon株式会社を設立し代表取締役に就任。九州大学のフェローとして研究領域も携わる。


大北 潤さん 農業由来のカーボンクレジット(※) 事業を行っている、Green Carbonの大北です。

▶編集注:CO2などの温室効果ガスの削減効果(削減量、吸収量)をクレジット(排出権)として発行し、他の企業などとの間で取引できるようにする仕組みで、炭素クレジットとも呼ばれる。

本日はよろしくお願いいたします。

温暖化現象で普通に過ごすことが難しい

地球沸騰化、未だ人類が経験したことのない温暖化現象に直面しています。

平均気温は上がり続け、猛暑が続く日々を皆さんも体験してきたかと思います。

「地球が沸騰している時代」がやってきた 世界の猛暑・自然災害の原因は?(ELEMINIST)
世界の平均気温、3日連続で史上最高か 7月3日から初の17度超え 2023年7月6日(朝日新聞デジタル)
2024年の世界平均気温は過去最高か、記録的な気温・海水温上昇への備えは大丈夫?(ダイヤモンド・オンライン)

このままでは、普通に過ごしていくことが難しくなってきています。

また、ハワイでは山火事の影響で、多くの人々に被害が及ぶことになりました。

ハワイの山火事で古都ラハイナを焼失、気候変動がもたらす「破壊」のメカニズム(WIRED)

このまま地球環境対策をしなければ、2050年には気温が4℃上昇し、今の数倍の環境災害が起こると言われています。

2021年、国連が地球温暖化は人のせいだと断言しました。

温暖化は人間が原因=IPCC報告 「人類への赤信号」と国連事務総長 2021年8月9日(BBC News Japan)

それにもかかわらず、企業の93%がカーボンニュートラルの達成が困難だと言っています。

企業の93%が現状のままだとネットゼロ目標の達成は困難‐アクセンチュア調査(マイナビニュース)

農業由来のカーボンクレジットでカーボンニュートラル達成を支援

未来の大切な人たちが住む環境は、このままで本当に安全でしょうか?

私たちは、カーボンクレジットを使って、この問題を解決できないかと起業しました。

カーボンクレジットは排出権取引のようなもので、CO2の削減量をクレジットとして企業に販売できます。

クレジットを利用することで、企業はカーボンニュートラルの達成に近づくことができます。

その中でも私たちは農業に注目し、カーボンクレジットを創出しています。

なぜ農業かと言うと、植物自体はCO2を吸収しているのですが、農作業においては、世界の18%の温室効果ガスを排出しているからです。

排出要因は大きく3つあり、「水田」「農薬・肥料」「牛のゲップ」で、これら3つが排出量の80%を占めています。

この80%を削減していくことで、カーボンクレジットを作ることができます。

水田の水を1週間止めることがカーボンクレジット創出につながる

その中でも本日は、水田についてお話しさせていただきます。

水田で何をするかと言うと、田んぼの水を1回止めるだけです。

メタンガスは水田の水を張った状態で多く発生します。発生原因としては、土壌中にメタンガス生成菌が多く存在しており、彼らは酸素がない状態を好みます。よって水田に水を張った状態では、土壌水中の酸素が枯渇し、メタンガス生成菌が活発化するのです。逆に水を抜く状態(中干し期間)を設ければ、メタンガス生成菌の活動を抑制することができます。

田んぼはずっと水を張っているイメージがあると思うのですが、その水を1週間止めていただくだけで、カーボンクレジットを創出することが可能となります。

このように、カーボンクレジットを創出するためには、水田の水を止めるというクレジット削減のノウハウを農家に提供し、水を止めたという写真を撮ってもらい、カーボンクレジットを申請します。

先ほど水を止めるだけと言ったのですが、私たちはエビデンスを持つため、大学とも共同研究を行っています。

研究内容は、どのタイミングで水を止めると生産量に影響がないのか、温室効果ガスがどの程度減るのかなどで、日本、オーストラリア、フィリピン、ベトナムの大学と共同で研究を行っています。

ちょうどこれからお米の収穫時期ですが(※プレゼンは9月上旬)、農家からは、収穫量にも影響がなく、ボーナスみたいなものだという声を頂いております。

煩雑なカーボンクレジット申請から販売まで完結するプラットフォームを提供

次に、カーボンクレジットの申請です。

クレジットの申請は、とても複雑です。

この通りフローも多く、大変そうに見えるかもしれません。

クレジットを作って販売するためには、大きく9つのフローが必要となります。

その中でも特に、色を変えている、方法論の確定、クレジット申請、クレジット登録、クレジット販売、農家への収入還元が、複雑な作業です。

例えば、方法論の確定では、実際に行っている農作業からのCO2の排出量を算出し、今回の取り組みによるCO2削減量を算出する必要があります。

見づらいですが、スライド内の赤枠で囲っているような計算式がたくさん出てきます。

また、申請書も50〜100ページほどにわたる書類作成が必要になります。

クレジット登録をする際、実際に行った取り組みを農家ごとに集め、それをデータベースで管理しなければなりません。

最後に、販売できたクレジット収入を農家に戻す必要があります。

当社の「Agreen」というサービスでは、これらを一気通貫で管理でき、水田の場合はたった4項目を入力していただくだけでCO2削減量を算定し、田んぼの基本情報と水を止めた写真をアップロードするだけで、申請することが可能となります。

また、販売プラットフォームと連携し、できたクレジットをそのまま販売することも可能となります。

初期コストなしで農家に新たな収入源

農家は、これらのサービスを無料で利用することができ、ただ水を止めるだけで、完全成功報酬で収入を得ることができます。

農家からすれば、農作物以外の新たな収入源となりますので、コンタクトをとった約90%以上の農家と契約ができています。

農家の規模にもよりますが、当社が契約しているうち一番大きい農家の場合、今年、カーボンクレジットで266万円の利益が出る予定になっています。

これらを行ってきた結果、当社は、水田の稲作プロジェクトに関しては、日本第一号としてクレジット登録をすることができています。

現在、15都道府県で導入していただき、4カ月で合計7,000haの水田農家と契約し、約2億円の売上を予定しています。

農家からの契約の問い合わせ数は日々伸びており、このままのペースで進むと、来年には7.5億円、2026年には40億円の売上予定となっています。

フィリピン、ベトナムなど海外8カ国に展開

さらに、海外展開にも力を入れており、フィリピン、ベトナム、カンボジア、インドネシアなど、現在8カ国に展開しております。

海外でも、20,000ha以上の水田を確保し、約1億円の売上予定となっております。

さらに、海外市場での売上は、2025年に20億円、2026年に60億円を想定しています。

植物という生命の力を活かし温室効果ガスを削減

マーケットサイズです。

水田だけでも、アジアで1.6兆円のマーケットがあり、農業全体では30兆円、全産業となると150兆円のマーケットとなっております。

当社は2028年に900億円を、このボードメンバーで目指していければと思っています。

私、大北はもともとESGコンサルティングの仕事をしており、共同創業の萩原(惇允)はAIゲノム編集を経験しています。

また、CFOの高野はPEファンドでの経験があり、IPCC等の代表執筆経験のある九州大学の馬奈木教授を迎え入れ、業務委託者を含め、25名の組織で運営しています。

「生命の力で、地球を救う」、植物という生命の力を最大限活かすことで、温室効果ガスを減らし、地球を救いたいと思います。

皆さん、一緒に未来のある社会を創っていきませんか。

ぜひ応援のほど、よろしくお願いします。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

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