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ICC KYOTO 2023 ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 -に登壇した、Sunda Technology Global坪井 彩さんのプレゼンテーション動画【持続可能な井戸管理で、アフリカに安全な水を届ける「Sunda Technology Global」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。
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【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ
坪井 彩
Sunda Technology Global
代表取締役CEO
HP | X(旧Twitter)SUNDA – prepaid system for all rural water sources/SUNDA代表坪井彩|井戸プリペイドシステム@ウガンダ
奈良女子大学理学部物理科学科を経て京都大学大学院地球惑星科学専攻(気象学)を2013年に卒業。2013年にパナソニックに入社後、IT部門にてデータサイエンティストとしてBtoC. BtoB様々な事業に関わる。2017年にパナソニック社内で参加した途上国を題材にしたワークショップに参加したことがきっかけで、「アフリカ社会課題Xビジネス」に興味を持った。具体的なビジネスアイディアを見つけたいと思い、2018年にJICA海外協力隊としてウガンダの「現場」にて1年間活動。活動を通して、ウガンダ農村部の水問題に触れ、現地住民とともにソリューションである「SUNDA」を考案。パナソニックを退職し、株式会社Sunda Technology Globalを立ち上げる。Forbes Japan 2023年6月号の特集『NEXT100 -100通りの「世界を救う希望」』の100人に選出。
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坪井 彩さん 「誰もが平等に、安全な水を手に入れられる世界へ。」
我々Sunda Technology Globalは、アフリカのウガンダという国で、現在、活動しております。
現在、サブサハラアフリカ(※サハラ砂漠より南の地域を表す名称)の農村部では、安全な水へのアクセスが難しい人が、未だに3億人もいます。
井戸を維持管理するためには、水料金の回収が必須
「アフリカの水問題」と聞くと、「井戸掘り?」と思う方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、我々は、“井戸を作る”ではなく、“井戸の維持管理をする”、この仕組みづくりに取り組んでいます。
これまで、この仕組みが、アフリカにはまったくなかったため、これまで多くの井戸が設置されても、その数年後に壊れて、修理されず放置されてしまうようなことが起きてしまっていました。
この状況を変えて、できるかぎり早く、井戸の維持管理のボトルネックとなっていた、水料金の回収を、「SUNDA」(スンダ)で可能にします。
現金回収による不正や不公平感からの不払いが発生
私たちSunda Technology Globalが介入する前も、住民それぞれが水料金を支払って、水料金を回収することは求められていました。
しかし、住民自身でやろうとしても、うまくいかない状況が続いていました。
これまでの料金回収は、住民の代表が、月額定額で各世帯から現金を、人の手で集めるという、非常に大変な作業を行っていました。
しかし、この方法では、現金だからこその不正が起こってしまったり、月額定額でありながら、実際は各家庭によって水の利用量がまったく違うため不公平感を感じてしまい、払いたくない、あるいは、払わない、そういった人が出てきてしまっていました。
ただ、強制力もないため阻止することができず、フリーライダーが横行してしまっていました。
水料金を公平な従量課金型に改め、自動でモバイル決済
こういった問題を解決するために、SUNDAでは、現金ではなくモバイルマネーを使い、従量課金型にして自動型にすることで、非常に公平な仕組みづくりをして、住民が簡単に無理なく継続的にお金を払えるようにしています。
SUNDAの実際の見た目は、このような状態です。
既存のハンドポンプの井戸に設置する、オレンジ色の箱(オレンジボックス)がSUNDAのプロダクトです。
利用方法としては、まず、こちらの青いIDタグを各世帯に1枚ずつ配布します。
青いIDタグをオレンジボックスに挿入すると、ID認証されて水が汲める仕組みになっています。
住民は、水を各自で汲み、支払いはモバイル上に決めた金額をデポジットすることで、水を汲んだ分だけ残高から差し引かれます。。
IDタグを挿入している間だけ水が出る仕組み
実際の様子が、こちらです。
先ほどもご説明しましたが、こちらのオレンジボックスがSUNDAのプロダクトです。
オレンジボックスの前面に付いている挿入口に、青いIDタグを挿入します。
こちらはハンドポンプのため、パンピングすると、水が出てくる仕組みになっています。
ハンドポンプでパンピングをしている間でも、青いIDタグを取り出すと、水が止まる仕組みになっています。
ユニット代金と運用収入で株式会社として活動
私たちは、ノンプロフィット(非営利)ではなく、株式会社として活動しております。
我々の収入源は2つあり、1つはアフリカの国や地方行政にSUNDAユニットを買っていただく、ユニット代の収入です。
もう1つは、運用収入としてSUNDAを通して住民から回収された水料金の一部を頂き続ける、この2つの収入があります。
現在、150基を導入して、5万人の方々に利用していただいております。
また、これまでJICAのODAの技術協力プロジェクトにおいても、トライアルを行い、SUNDAの効果が実証されました。
▶村落地方給水維持管理・衛生改善プロジェクト(JICA)
また、今後、ウガンダ全土への普及を加速するために、ウガンダ水環境省ともMOU(基本合意)を結んでおります。
将来的には、こちらをできるかぎり早く進めたいと考えており、今後10年で、アフリカ全土に展開して、この水問題を解決していきたいという目標を立てております。
ウガンダ人エンジニア2名と日本人とで共同創業
非常にチャレンジングな目標ですが、なぜSunda Technology Globalがこれをできるのか、理由のひとつは、チームにあります。
Sunda Technology Globalの共同創業メンバーには、ウガンダ人のエンジニア2名がいます。彼らは、私と同じくパッションを持っていて、非常にクリエイティブで優秀なエンジニアです。
彼らと、これまで、ウガンダで一緒にものづくりをしてきました。
実際、アフリカでは、日本では考えられないような様々なことが起こります。
例えば、盗難があったり、色々ないたずらがあったり、物が雑に扱われたりと、様々なことがあるのですが、それらひとつひとつに対応したものづくりが必要で、デザインが必要になってきます。
これが非常に難しいのです。
ただ、我々は、現地で、現地の人と一緒に作り上げてきましたので、そういったことが可能なのです。
また、今後、こちらのハードウェア(SUNDA)をアフリカ中に広めていくことになりますので、量産化という点も非常に重要となってきます。
量産化や製造技術支援については、日本のものづくりの企業と連携をしており、現在、京都試作ネットと協業しております。
手を握って助けを求める人々に応えたい
最後に、なぜ、私が今このSUNDAをやっているのかについて、少しご説明させていただきます。
ある時、私は、アフリカでのソーシャルビジネスに興味を持ち、実際に取り組むには、現場に行かなければ始まらないと思いまして、2018年に1年間ウガンダに行ってきました。
その間、色々な村を訪問して、住民の方との会話を重ねてきました。
その際、やはり、「井戸はあるが、修理ができず使えない」という声がありました。
しかし、修理のための料金回収が本当に大変で、「悪夢(ナイトメア)のようだ」という表現をされていました。
そして、手を握られ、「なんとか助けてほしい」と言われました。
こちらの方が、そのときの1人です。
こういったことが、どうにかしないといけないと責任感を持って、SUNDAに取り組むきっかけとなりました。
SUNDAの普及でアフリカの水問題を解決
住民にとっても、行政にとっても、あらゆる方になくてはならない、SUNDAです。
これを普及させ、関係者の皆さんを巻き込んで、アフリカの水問題解決を世界でリードしていきたいと思っております。
これまでも、大勢の方々にサポートしていただき、ここまで来ることができました。
ここから、さらに加速して、新しいチャレンジをしていきたいと思っておりますので、今後とも、皆さん、応援よろしくお願いします。
ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/星野 由香里/正能 由佳/中村 瑠李子/戸田 秀成