【NEW】ICC サミット FUKUOKA 2024 開催情報詳しくはこちら

あらゆる産業に不可欠な化学物質の情報を、専門AIでデータ化する「ケミカン」(ICC FUKUOKA 2024)

カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式X(旧Twitter)をぜひご覧ください!
新着記事を公式LINEで配信しています。友だち申請はこちらから!
過去のカタパルトライブ中継のアーカイブも見られます! ICCのYouTubeチャンネルはこちらから!

ICC FUKUOKA 2024 スタートアップ・カタパルトに登壇いただき、見事優勝に輝いた、ケミカン 清水 俊博さんのプレゼンテーション動画【あらゆる産業に不可欠な化学物質の情報を、専門AIでデータ化する「ケミカン」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターは エッグフォワード です。

【速報】あらゆる製品の化学物質をデータ化し、企業を膨大・複雑な原料管理から解放する「ケミカン」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2024)


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門 
Sponsored by エッグフォワード

清水 俊博
ケミカン
代表取締役
HP

投資銀行、戦略コンサルティング及びプライベートエクイティ投資等を経て、株式会社ケミカンを創業。 化学物質のいわゆる”取扱説明書”である安全データシート(Safety Data Sheet)をスキャンし、危険性・有害性などあらゆる化学物質の情報を正規化することで、製造業の安全性の維持向上に貢献する「ケミカン」というSaaSプロダクトを開発し、挑戦しています。


今日の社会、産業を幅広く支える化学物質

清水 俊博さん 化学物質データを管理するSaaS、ケミカンを提供しています。

食品、自動車、電気製品、エネルギー、医薬品…私たちの現在の生活は、多様な産業に支えられています。

ここに1つ、重要な共通点があります。

それは、どの産業でも化学物質が使われているということです。

化学物質は今日の社会、そして産業を幅広く支えています。

便利だが、世界で規制強化が進む

ですが、化学物質の歴史は危険有害性との戦いでした。

便利だけど危ないのです。

例えばアスベストには発がん性がありますが、ベビー用スキンケア商品に含まれていて、大きな訴訟となり、アメリカのジョンソン・エンド・ジョンソンは1兆円の和解金を支払うことになりました。

米J&J、ベビーパウダーの原料をコーンスターチに変更へ がん訴訟受け(BBC)

例えば硝酸アンモニウムには爆発性がありますが、2020年、レバノンの港で大量の硝酸アンモニウムが爆発する事故がありました。

レバノンの爆発事故が、あれほど破壊的な規模になった化学的メカニズム(WIRED)

海外で起こるインシデントばかりではありません。

過炭酸ナトリウムは食器用洗剤に含まれる成分ですが、静岡県の工場で、この物質が原因で大火災が起きました。

水と過炭酸ナトリウムの化学反応が発火の始まり?消防士ら7人死傷工場火災【独自】(TBS NEWS DIG)

このように、化学物質のインシデント、健康被害は今日も身近に存在しているのです。

当然、どんどん規制されていっているのが現実です。

その結果、世界中で法規制が厳しくなっています。

ペナルティーも厳罰化されており、サミットなどでは、地球温暖化と同じ重要度で取り上げられています。

全製品で規制物質のチェックが必要

ちなみに、日本でも2023年、大きな法改正が行われています。

ですので、各国で使って良いもの、使用制限があるもの、ダメなもののリストが膨大になっています。

例えば規制物質・登録物質でいうと、日本で3万物質、アメリカで9万物質、ヨーロッパでは10万物質もあり、どんどん増えていっているのが現状です。

そうすると企業は、自社製品が何かに引っかかっていないか、数万物質にも及ぶリストとにらめっこしながら、すべてチェックしなければいけないのです。

つまり、原料からすべて一つひとつ確認しなければいけないということです。

これは、非常に大変です。

というのも、サプライヤーから仕入れた膨大な量の原料全てを疑うことになるからです。

膨大、難解、統一様式のない化学物質の取扱説明書(SDS)

サプライヤーを疑って全ての原料について分析していたら、時間もコストもかかり、ものづくりどころではなくなります。

どうするか。

そこでお手元のドキュメントをご覧ください。

(※編集注※ 審査員席にはSDSのサンプルが配布されました)

このドキュメントはパラパラと見ていただくものですが、これはSafety Data Sheet、通称SDSと呼ばれる文書で、化学物質の取扱説明書です。

化学物質を扱う場合、このSDSの作成と提供が、法律で義務付けられています。

サプライヤーからもらうSDSを読めば、成分が分かります。

SDSには、非常に重要なことが書いてあります。

成分、危険性、性状、排出ルール、法令などですが、パラパラと見ていただいて、いかがでしょうか?

内容が難しいのです。

しかも、仕入れた原料の数だけSDSがあるのです。膨大な量です。

さらに、サプライヤー各社でフォーマットはバラバラです。

おまけに、サプライヤーがちょっとでも配合を変えると内容も変えなければいけないので、SDSは頻繁に変わるのです。

AIで取説をデータ化、法規制の変更にも対応

ケミカンは、そんなSDSをスキャンし、データを正規化して簡単に一元管理できるサービスです。

受け取った名刺や契約書、請求書をスキャンして管理するサービスがあると思いますが、あれの化学物質ドキュメント版ですね。

単にスキャンするだけではありません、法令が変わった際のチェックもできます。

私たちの強みは、どんな形式のSDSであっても、どんなに複雑で難しくても、AIが意味を解釈し、正確にデータ化できることです。

単に文字起こしをするだけではなく、解釈して整理する仕組みが、私たちの強みです。

結果、どのSDSでもデータ化でき、簡単に一元管理できるようになりました。

私たちは現在、50万を超える膨大な化学物質のデータベースを持っています。

さらに、既に50以上の法規制データも持っています。

ある原料が法規制に引っかかっているかもしれないというモニタリングも、常時行うことができます。

ちなみに、法令以外にも、企業の独自基準もチェックできます。

グローバルメーカーは、色々な国の法規制の最大公約数となるような、独自の基準を持っています。

世の中に流通していないこのような基準も、私たちはコツコツ集めており、これらの基準に照らしたチェックもできます。

私たちの顧客の1社であり、日本化学工業協会の理事である花王様からは、「自社でここまでやるなら、数百人は必要になるのではないか」という声を頂いています。

それくらい大変な業務なのです。

これを実現するため、私たちは泥臭く、スキャンを行っています。

化学メーカーの品質保証業務経験者たちが、AIでスキャンしたデータを一つひとつ確認しています。

地道な作業です。

でも、それが唯一の教師データとなり、飛躍的にAIの精度が向上しています。

こんなニッチな領域で、専門AIを持って活用しているのは、日本で私たちだけです。

精度の高いデータが集まり、顧客が増えるループ

おかげさまで、評判になり、利用企業数が急増しています。

既に450社を超える企業に利用いただいており、その数はどんどん増えています。

そして日本を代表する、多数の大企業に導入いただいています。

ビジネスモデルについて説明します。料金は、スキャンするSDSの数に連動しています。

お客様がSDSをスキャンすればするほど、MRRが自然に拡大するモデルです。

例えば花王様は、当初は日本拠点のみでの利用でしたが、今はグループ企業を含むグローバル拠点のSDSを私たちケミカンがスキャンしています。

現在は、サプライヤーから自動でSDSを収集してくれないか、顧客にSDSを自動で配布できないか、などの機能リクエストを頂いています。

私たちはここまで自動化することで、サプライチェーン全体の化学物質を管理していくSaaSになっていこうと考えています。

このように、1拠点に導入されると、別工場や別拠点、グループ企業や取引先にまでケミカンが自然に広がっていく仕組みになっています。

お客様起点の契約拡大が、花王様だけではなく他社でも広がっています。

SDSが集まる、精度が上がる、顧客が顧客を連れてくる、という良いループが生まれています。

市場は化学メーカーだけではない

ところで、私たちのターゲットは、化学メーカーだけではありません。

化学物質を少しでも取り扱う会社全てが対象です。

農業、食品、電機電子、住宅、自動車、情報通信、医療と、多岐に渡ります。

これらの企業は日本で50万社、世界では数百万社存在しており、非常に大きな市場が存在しています。

多言語対応に着手、世界に羽ばたくサービスへ

海外企業からの引き合いも出てきているので多言語対応を急ピッチで進めており、世界に羽ばたくサービスとなります。

私たちは、世界中のSDSを集めきって勝ちます。

私は前職で、メーカーの方が地道な作業を黙々と行っているのを何度も見ました。

化学物質には危険性がありますが、私たちの今日の生活を支える欠かせないものです。

地味かもしれませんが、人知れず皆さんの毎日の生活を守り、少しでも安全安心な世界を作っていきます。

ケミカンです、ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式X(旧Twitter)をぜひご覧ください!
新着記事を公式LINEで配信しています。友だち申請はこちらから!
過去のカタパルトライブ中継のアーカイブも見られます! ICCのYouTubeチャンネルはこちらから!

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!