メルカリの成長を加速させた「マスを狙わない」テレビCM戦略【F17-5C #3】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

メルカリの成長を加速させた「マスを狙わない」テレビCM戦略【F17-5C #3】

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「急成長する『SHOPLIST』『メルカリ』の本質に迫る」【F17-5C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その3)は、メルカリ小泉さんとクルーズ張本さんに、サービスの成長を大きく牽引したテレビCM戦術について詳細にお話しいただきました。テレビCMを打つスタートアップが増えてきた昨今、必見の内容です。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2017年2月21〜23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 5C
「急成長する『SHOPLIST』『メルカリ』の本質に迫る」

(スピーカー)
小泉 文明
株式会社メルカリ
取締役(当時)
「メルカリ」

張本 貴雄
クルーズ株式会社
取締役
「SHOPLIST」

(モデレーター)
齋藤 剛
SMBC日興証券株式会社
株式調査部シニアアナリスト

「急成長する『SHOPLIST』『メルカリ』の本質に迫る」の配信済み記事一覧

【前の記事】

【本編】

齋藤 先ほどもおっしゃっていましたが、メルカリさんはある意味後発ですよね。

同種のサービスがかなりの数…ピーク時には恐らく20サイトくらいありましたよね。

小泉 ありましたね。主要ネット企業はほぼ全部やっていましたよね。

齋藤 それが今ではほぼオンリーワンの状態です。

それこそ(齋藤さんがかつて所属した)スタートトゥデイにも「ZOZOフリマ」というのがありましたが、決算数字を見る限りかなり厳しい状況です。

「ZOZOフリマ」終了 売り上げ伸びず

やはり後から出てきたにもかかわらず、一気にぶち抜けていった理由というのはいくつかあると思うんです。

一つはテレビCMのタイミングですよね。小泉さんが主導なさったと思うのですが、どういう判断でどういう使い方をしようと思われたのか、お聞きしてみたいですね。

小泉 テレビCMをやるにあたり、CMをやっているネット系企業を見ると、200万ダウンロードくらいないと口コミが走らないなと思いました。

要は、周りで何となく使っている人がいるとか、メディアでちょっと見たことがある、みたいな状況がないと厳しいと思っていました。

山田(株式会社メルカリ 代表取締役会長兼CEO 山田進太郎氏)とも話して、200万ダウンロードくらいまではテレビCMではなくて、オンラインでプロモーションしつつ、いいプロダクトをしっかり作っていこうと。

途中でユーザーが離脱しないようなアプリの設計をしながら、きちんといいものを作っていこうと決めました。

ですから、200万ダウンロードのところが見えてくる2014年3月のフェーズに向けて、資金調達もなるべく3月前に終わらせないと、その年のゴールデンウィークが明けた後にテレビCMができないなと思っていましたので、ここ(2014年3月)をエンドに資金調達を決めました。

齋藤 クルーズさんもテレビCMのクリエイティブが面白いなと思うのですが、(メルカリさんも)かなり面白いクリエイティブをやられていたじゃないですか。

あれは、全部小泉さんが決められていたのですか?

小泉 そうですね。

マスに訴えないテレビCM戦略

小泉 一般的なテレビCMだと、とにかくマスで、なるべく多くの人へのリーチを目指すと思うのですが、僕は結構逆の考え方を持っていて、このフェーズはまだ200万ダウンロードなので、マス層は使わないんですよ、絶対に。

メルカリでは、直接的にアプリをダウンロードしてくれる人を獲得するという狙いで、20~30代にかなりフォーカスしました。

なので、キャスティングも「テラスハウス」なんですね。

30代以上の人は、ほとんどが「テラスハウス」を知らないんですよ。

10代から20代にとっては極めて有力なコンテンツ(テレビ番組)だったので、そのキャスティングをそのまま持ってきて、彼らのイメージで僕らのアプリを上手く宣伝できたというところで、ある意味、一般的なテレビCMの考え方とは違った方法でやっていったというのが特徴ですね。

齋藤 後で触れるかもしれませんが、クルーズさんの場合は、20代の女性がターゲットなのに吉幾三を起用するというのは、僕にとってはとてもショッキングというか、すごいな、思い切ってできるなと思ったのですが、あれにはどういった狙いがあったのでしょうか?

張本貴雄 氏(以下、張本) テレビって、視聴率がどんどん下がっていっていますよね。

視聴率が下がっていく中で、大きな資金を使ってテレビCMを打っていくとなると、一番最初に考えることは、「見られていない」ということなんですね。

テレビが見られていないということは、テレビCMも見られていないのだと。

テレビ自体が見られていない上、テレビCMの間は、多分、皆さんはトイレにいったり、コーヒーを淹れたり色々なことをされると思うのですが、そこで僕らが注目したのは、「音」なんですね。

そこで、まず弊社の「SHOPLIST!」というシェアが入ってから、その後に吉幾三さんの「あぁぁ~」という言葉が入ることによって、「何だこのCM?」「何が始まったの?」と視聴者の関心をひきつけるという流れです。

メルカリさんのテレビCMも、相当研究させて頂きました。

小泉 音は、多分そうですね。

僕らの場合、「メルカリっ!」というサウンドとロゴがあると思うのですが、あれは、このテレビCMを外に出す前にかなり色々な人に聞かせてみました。

そうすると、40代以上の人の中には、あの「メルカリっ!」が聞き取れない人が多少いるんですよ。

20代から30代の人にとっては、非常に速くて、テンポもよくて、耳に残るのですが、(40代以上には)「メルカリっ!」が「マルカリ」や「メルカソ」に聞こえるという人もいました。

逆にそれでいいかなと思っていて、そのくらい、最初は40代以上の人を対象としないマーケティングをやりましたね。

齋藤 そうすると、40代以上というのは現状ではまだ獲りにいっていない?

まだ20代、30代がユーザーですか?

小泉 今、徐々に獲りに行き始めているというのが正直なところですかね。

齋藤 最終的にはどういうレンジのセグメントがターゲットになるのですか?

小泉 僕らのサービスは、非常に簡単に使えるサービスだと自負しているので、基本的には全年代男女問わずというところではあるのですが、それをやらせるとマーケティングがどんどんぼやけていくので、比較的色々な施策をやる中で、これはこの辺、これはこの辺という風に分けてやっているという感じですかね。

齋藤 そうすると、今後はYahoo!オークションの市場を獲りつつ、新しい市場も開拓していくという感じでよいのでしょうか?

小泉 Yahoo!オークションさんとすごく比較されるのですが、Yahoo!オークションさんが強いのは、結構高額のオークションに適した商材であったり、男性で富裕層というか、僕らと結構違うセグメントかなと思っています。

多少、ファッションなどのオーバーラップする部分はあるのですが、僕らとしては簡単さ・手軽さといったところを失わずにいきたいなと思っています。

齋藤 以前何かのデータで見たことがあるのですが、メルカリさんって、ユーザーの滞在時間が結構長いじゃないですか。

そういう意味では、単なるC to C サイトとして伸びたというよりは、そこでの体験を与えたことによってこういう風に成長しているというイメージがあるのですが、それについてはいかがですか?

メルカリは「メディアとしての構造」を持つ

小泉 僕らはeコマースっぽく見られがちではあるのですが、売り手と買い手をマッチングさせているだけなので、当然在庫も持たないというモデルで、結構メディアっぽい構造をしているかなと思っていますね。

ですから、1日接触回数はかなり多いです。

ちょっと今日はデータを持って来ていないのですが、ニールセンか何かが出していたところで、マンスリーアクティブユーザー(以下、MAU)と滞在時間を掛けてコマースサイトで見ていくと、実は一番高かったという。

1,000万ダウンロード記念 インフォグラフィック 「数字で見るメルカリ」

アマゾンさんにはKindleなどが入っていて若干分かりにくくなっているのですが、他のサービスより、メルカリのMAU×滞在時間が圧倒的に高かったというところは特徴かなとは思っていますね。

齋藤 それは、最初から狙っておられたのですか?

小泉 狙っている訳ではないのですけれども、メルカリというのは見ていて楽しいといった風に、女性はウィンドウショッピングのようなノリで使って頂けています。

そういう中で今度は自分で出品してそれが売れると、その「自分の店」に対する思いというか、承認欲求に近いものが生まれて、どんどん自分のお店なり自分の商品をメンテナンスしたいとか、ユーザーさんにコメントを返したいとか、そういうSNSっぽい要素があります。

色々な要素が複合的に重なって滞在時間が長くなっているのかなと思っています。

齋藤 ちなみに、売る人と買う人の割合はどうなのですか?

売り買い両方する人が多いのでしょうか?

それとも売る人は売る人、買う人は買う人?

小泉 結構バランスよく、売るだけの人、買うだけの人、両方の人という感じですね。

両方やる人がかなり多く、そこがメルカリの特徴だなと思います。

齋藤 1万円以下だと出金するのにお金がかかるというところが効いている?

小泉 当然、それもあると思いますね。

どうぜメルカリで買えばよいということで、売ったお金を出さないでいる人も多いと思いますね。

齋藤 なるほど。

ここで一旦メルカリから離れて張本さんに話を振って、「SHOPLIST」のお話をして頂ければと思います。

(続)

続きは 急成長ファッションEC「SHOPLIST」はなぜ立ち上げ4年で取扱高150億円を達成できたのか? をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/Froese 祥子

【編集部コメント】

今後、配信予定の「日本を代表するクリエイティブ・ディレクターが語る未来像」では、メルカリ小泉さんと第一線のクリエイティブ・ディレクターがスタートアップのCM戦略について深くお話ししています。そちらの配信もぜひご期待くださいね!(榎戸)

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