メルカリの「逆算思考の成長戦略」 – 先行サービス撃破の舞台裏【F17-5C #2】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

メルカリの「逆算思考の成長戦略」 – 先行サービス撃破の舞台裏【F17-5C #2】

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「急成長する『SHOPLIST』『メルカリ』の本質に迫る」【F17-5C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その2)は、メルカリ小泉さんに、「メルカリ」成長のポイントについて、時間軸と競争環境を交えながらお話し頂きました。逆算された成長ストーリーに凄みがあります。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2017年2月21〜23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 5C
「急成長する『SHOPLIST』『メルカリ』の本質に迫る」

(スピーカー)
小泉 文明
株式会社メルカリ
取締役(当時)
「メルカリ」

張本 貴雄
クルーズ株式会社
取締役
「SHOPLIST」

(モデレーター)
齋藤 剛
SMBC日興証券株式会社
株式調査部シニアアナリスト

「急成長する『SHOPLIST』『メルカリ』の本質に迫る」の配信済み記事一覧

【前の記事】

【本編】

齋藤 では早速、小泉さんから、用意して頂いたデータをベースに、どのように始められて、どのように成長してこられたのかについて、お話しして頂けたらと思います。

小泉 今日はこの一枚だけしか用意していないのですが、スライドの数値はダウンロード数です。

グラフの左端が2014年の2月で、会社を作ったちょうど1年後にあたります。

サービスのローンチから7か月後くらいで、ちょうど100万ダウンロードを超えていって、(2014年の2月時点で)150万ダウンロードに達していますね。

ちょうど2014年2月頃は、アプリを作って良いものに改善してきて、プロモーションをオンラインだけでやっていたというフェーズです。一番右がちょうど1年後の2015年の2月で、1,110万ダウンロードですね。

この1年でダウンロード数が役10倍になった成長が、達成できる会社と達成できない会社の差が激しい部分だと思っています。

メルカリ、急成長の裏側

小泉 グラフ上、この期間にメルカリが何をやってきたかについて、プロダクトとコーポレートサイドの両方から1枚のグラフにしています。

私が入社したのはグラフの1番左側に近いところで、当時、社員数が恐らく10名強くらいだったと思います。

先にコーポレートサイドの話になるのですが、弊社では「メルカリ」という事業をやりつつ、新規事業などもやっていこうという話の中で、ミッションやバリューを決めています。

私は以前ミクシィという会社の取締役をしていたのですが、唯一反省点があります。

プロダクトが成長フェーズである場合は、ミッションやバリューをあまり意識しないでも、社員が伸びているプロダクトに惚れて、それが社風になっていったり、皆の行動規範になっていったりします。

でも、(プロダクトの)ライフサイクル上、プロダクトが少し伸び悩んでくると、社内でその軸がなくなっていって、色々な思いがある中でミッションやビジョンを見失うところがあります。

ミクシィの頃を振り返って、私自身の唯一の反省点としては、経営としてもう少しミッションやバリューをしっかり浸透させていれば、もっと強固な組織を作れたのではないかということです。

ですから、この最初のタイミングで、一度「会社」と「プロダクト」を分けようという判断をしています。

それまでは、先ほど申し上げたように100万ダウンロードに達するまでプロダクト開発を必死でやってきた会社でした。

そこから徐々に「会社とプロダクトを分ける」という経営の意思決定をして、変更も含めて、ミッションとバリューを新しく作って浸透させていきました。

先行サービスを追いつき追い越すための資金調達

小泉 そして同じタイミングで、2014年1月くらいから主にファイナンス面で大きく動いています。

僕らの業界では、「フリル(FRIL)」という先行サービスがあり、彼らの方がメルカリより1年前にスタートしています。“Winner takes all”という言葉があるように、勝者が総取りで2位以下は全て負けてしまうのがこのマーケットです。

当時はフリルがかなり先行していたので、要はダウンロード数や流通で勝たないと、僕ら2位以下は全部負けだと思っていました。

当時の差であれば十分にキャッチアップできるのではないかということで、大型の資金調達に動き出し、2014年3月に14.5億円の資金調達をしています。

 

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出所: ゴールドマン・サックスからメルカリへ…CFO長澤氏が語る累計125億円ユニコーンの資金調達

この14.5億円の資金調達の2か月後に、テラスハウスのメンバーを起用したテレビCMを制作するのですが、ここで3億円以上の投資をし、1か月で100万ダウンロード以上稼ぎ、フリルを抜き去りました。

また、そのテレビCMの直前に、カスタマーサポートの仙台拠点を作っています。

安心・安全を支えるメルカリのCS仙台オフィスをご紹介!(mercan)

自分達が成功するというのをある程度見越して、先行投資的に仙台にカスタマーサポート拠点を作り、テレビCMを打ち、そして圧倒的なポジションに駆け上がっていきました。

次の大きな転換点は2014年9月、10月あたりで、ユーザーインターフェース(以下、UI)を変えたり、アメリカでのアプリローンチをしたりしています。

このチャートで言うと、仙台が稼働する2014年4月のタイミングで、アメリカのオフィスを作ってから、半年間の準備期間を経て、2014年9月にアメリカでアプリをローンチしています。

このタイミングでアメリカに行って何が起きたかというと、ユーザーへのインタビューで、アプリがごちゃごちゃしているという反応が返ってきたのです。アジアっぽいという感じですかね。

アメリカ人からするとすっきりしていなくて文字が多く、とにかく使い勝手が悪いという反応を得て、ここで、今のメルカリに近いかなりシンプルなUIに変えています。

会社的には大幅なUI変更なのでかなりネガティブな評価が出るのではないかという風にも思ったのですが、もうこのタイミングではメルカリが圧倒的なポジションに近づいていました。

ユーザーさんからすると、多少のUI変更ではドロップしないという感じになっていたため、見事に影響なく伸びていきました。

ゴールから逆算して、打てる手を全部打った

小泉 次に、夏くらいから、アメリカでの事業をやっていくお金も必要で、ずっと売上ゼロ(手数料無料)でやっていた方針を転換して、2014年10月のタイミングで有料化(手数料課金)をしようという話をしていました。

会社としてはその有料化が成功するかどうか非常に不安でした。不安だったので、この有料化と同じタイミングで資金調達することで、有料化で失敗しても、もう一度戻せる体力を養っておこうということになりました。

有料化とタイミングを合わせて23億円くらいの資金を調達し(2014年9月)、失敗したくないので更にテレビCMを打つことで有料化を乗り越え、その後もずっと成長し続けることができています。

その後も年末に表彰されたり、1,000万ダウンロードを達成したりしつつ、2015年2月にヤマト運輸との提携を開始しています。

この提携も実は、2014年2月、スライドのグラフ上ではちょうど一番左側くらいの時に初めてお話をし、1年くらいヤマト運輸さんと交渉して準備を進めていました。

僕らの経営を振り返ると、お尻から逆算して、打てる手を全部打った上で、この1年間駆け上がってきたという感じになっています。

齋藤 今気づいたのですが、グラフは2015年2月までしかありませんね。

その後はどんな感じなのですか?

小泉 この後も順調に伸びていて、現在、日本では4,000万ダウンロードを超えている状況ですね。

ダウンロード数も特に落ちずに、ランキングは今10位から20位くらいにあるので、特に落ちることなくずっと進んできているといった感じですね。

齋藤 月間流通額は150億円くらいでしょうか。

小泉 何をおっしゃっているか分からないです(と言葉を濁す)

(一同 笑)

小泉 僕らは未上場なので流通高は公表していないのですが、月間100億円以上というのがオフィシャルな回答になっていますね。

齋藤 オフィシャルで。

小泉 オフィシャルで。

齋藤 仮に150億円くらいだとすると、

(会場 笑)

今では、ほぼZOZO TOWN並みの規模にはなっているということですよね。

B to CとC to Cとでは違うのですが、規模感としては同じようになってきているという。

小泉 そうですね。

齋藤さんは、元ZOZO TOWNのファイナンスのヘッドですけれども、ZOZO TOWNに追いつけるように頑張っているというフェーズです。

齋藤 いやもう追い抜いているという話も。

小泉 何も言えないです(笑)。

(続)

続きは メルカリの成長を加速させた「マスを狙わない」テレビCM戦略 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/Froese 祥子

【編集部コメント】

メルカリ小泉さんの話す「逆算」の精度が高すぎて、メルカリの1,000万DLまでの道のりがいとも簡単に語られていますが、こんな精度で施策を打てるスタートアップはほぼないでしょうね…(榎戸)。

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