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ICCサミット FUKUOKA 2020 新・雑談シリーズ「テクノロジーはどこまで進化するのか?」の全文書き起こし記事を全7回シリーズでお届けします。(その2)は、メルティン粕谷さんが、何をするにも自由なバーチャル世界で見た、人間世界の再現について語ります。ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 プレミアム・スポンサーのオープンエイト様にサポートいただきました。
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【登壇者情報】
2020年2月18〜20日開催
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 11A
新・雑談シリーズ「テクノロジーはどこまで進化するのか?」
Supported by オープンエイト
(スピーカー)
粕谷 昌宏
株式会社メルティンMMI
代表取締役
千葉 功太郎
DRONE FUND 代表パートナー / 千葉道場ファンド ジェネラルパートナー /
慶應義塾大学SFC 特別招聘教授
土佐 尚子
京都大学
総合生存学館/凸版印刷アートイノベーション産学共同講座(産学共同)/特定教授
(モデレーター)
西脇 資哲
日本マイクロソフト株式会社
コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト
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1つ前の記事
1. 新・雑談シリーズ登場!テック系の4人が語る、最近驚いたことは?
本編
西脇 「STAR CITIZEN」は「セカンドライフ」の宇宙バージョンなのですね。会場の中で、粕谷さんのようにMMOゲームをやっていらっしゃる方々はいらっしゃいますか?
(会場内でちらほらと手が挙がる)
ほらね、私の予想通り、圧倒的に少ないのですよ(笑)。
バーチャルワールドでも人間性が再現される
粕谷 そんなものなのでしょうかね(笑)。
MMOゲームをしていると、人間性というものは、バーチャルワールドであっても同じように再現されるということが分かり、それが面白いと感じています。
ゲームのシステムとしては設定されていないのに、やはり暗黙の了解や文化が自然と生まれたり、悪いことをする人が出てくると、それを取り締まる人が出て来たりとかするのですよ。
例えば、警察という機能がそのゲームに備わっているわけではないのに、自動的に自警団なるものが形成され、取り締まりをしようという団体が生まれる、といったようなことです。
リアルワールドであるような法整備や文化が、ゲームの中でも同様に再現されることに面白みを感じています。
西脇 そのゲームは各自、役割やロールを与えられているわけではないのですか?
粕谷 役割はないです。
土佐 では、自分はどういう立場になるのでしょう? 神になるとか、誰かのキャラクターのアバターになるのですか?
粕谷 いえ、もう自由です。自分の顔形に似せたように作ってもいいし、自分が理想とする顔を作ってもいいし、自分とは全く違うロールを演じてもいいし、全くの自由です。
西脇 ロールというのは、例えば自分が警察官になりたいと思ってもなれるものではなく、この人は警察官に向いているなど客観的に見たとき、その人に向いているものが役割として成立すると思うのですよね。それはMMOの中ではどうなのでしょうか?
粕谷 各人やりたいものをやるといった感じです。
ゲームの中にチャットのようなものがあり、その中で同じ意見の人達がワラワラと集まって来て、では集合してそこに行こうといった感じですかね。そこにまた世界が1つ創造されたというのが凄く楽しいのです。
土佐 「セカンドライフ」は、アナザーワールドのような感じがあったじゃないですか。それとはどう違うのでしょうか。
粕谷 「セカンドライフ」は若干開発中といったようなところがあって、参加人数は多いものの、やりたいことが分散されてしまったのではないかという気がしています。
僕がやっているゲームは、宇宙というテーマが1つあり、そこに対して強いパッションを持った同じような考え方を持っている人が集まっているからこそ、そうなりやすいのかなという気もしましたね。
ゲームの中で、貿易商かつ悪人取り締まり役の粕谷さん
土佐 宇宙! 宇宙!? 銀河系とか、太陽系とか……(両手で何かをジェスチャー)。
西脇 土佐さん、ちゃんとわかるように説明お願いしますね。
(一同笑)
粕谷 (笑)宇宙ですからスケールが非常に大きいのです。
例えば、自分の服を見ると、縫い目が分かる程細かく作られているのですが、後ろに退いて見ると、全銀河系があるといったようなイメージで、それ程のレベルのディテールとスケールが両方とも存在するといった感じです。
西脇 MMOは、もうそこまでいっているのですか。
粕谷 はい。ゲームの中ではお金を普通に稼ぐもよし、隣の星に行って何かやったり、鉱石を採取してきて何処かで売るもよし、よそで生産されて販売されている製品が、こちらでは倍ぐらいの値段だからここで貿易を始めることもよし、と色々出来るのですよね。
西脇 ちなみに粕谷さんは、そこで何やっていらっしゃるのでしょう。
粕谷 僕は、そこで貿易を主にやりつつ、悪人を取り締まる警察的な役割をしていたりもしますね。
西脇 また何でそれにされたのでしょう。ご自身のお仕事はサイボーグ系で、貿易はなさっていないですよね。
粕谷 お金を貯めなければいいアイテムが買えませんので、そこで着実に稼ぐという面から貿易に手を出しているというだけで、別に特別にやりたくてやっているというわけではありません。
登壇者も興味津々、あらゆる定義を自分たちで決める世界
土佐 お金の単価はどうやって決まるのですか?
粕谷 大量生産されているものは安くなっていきますし、希少価値が高いものは価格が上がっていくというように、普通に需要と供給の関係で決まっていきます。
西脇 通貨はあるのですか?
粕谷 ゲーム内通貨なるものがあり、リアルタイムに状況を反映して変動していくといった感じです。輸入しすぎてその星にその物資が溢れてしまうと、その価値が下がってしまいますね。
土佐 ルールは誰が決めるのでしょうか?
粕谷 例えば「重力がある」というようなルールはゲームのシステムの方で最初から決められていますが、他の倫理的なルールは、ユーザー側であるコミュニティ内で決まっていくといった感じです。
宇宙ステーションで悪いことをするとステーションの砲台から攻撃を受けるといったことはありますが、基本的にはユーザーが自由に自分たちでそこで自由に文化を創り上げて行くといった感じです。
(一同へぇ〜と感心)
土佐 地球人以外の惑星、宇宙人といったものを作っている人もいるということでしょうか。
粕谷 そういうことも今後実装されるらしいです。
西脇 そのMMOゲームの終わりはどうなるのでしょう? ゴールと言いますか、目的がいまいち分からないのですが。
粕谷 宇宙という壮大な設定でロールプレイして暮らす、宇宙を股に掛けて活動するというという「セカンドライフ」的な話ですね。
土佐 では、勝つとか負けるとかはないのですね。
粕谷 その勝ち負けも自分で定義するのですよ。
西脇 ゲームの中で年齢も重ねていくのですか?
粕谷 そういう要素は今のところはないですが、もしかしたら今後は出てくるかもしれません。
西脇 ちなみに、そのゲームの中で、粕谷さんご自身の名前は何なのでしょうか?
粕谷 名前という概念がないのですよ。ハンドル名はあるのですが、名前という感じではないのです。
西脇 なるほど、ハンドル名があり、アバターという自分のキャラクターがあるということですね。
アバターの外観はどんな感じになさっているのですか? MMOをなさる方は、自分に似せる方と、自分と全く違うキャラクターを演じるというストレス発散型との2通りがあると聞きますよね。
粕谷 なるべく自分に寄せてはいますね。「セカンドライフ」の時もそうでしたが、自分と同じような服を着て、同じような顔をしていました。
西脇 今日のような、全身黒なんですか(笑)?
粕谷 いえ、これは登壇用の特別な服装で、いつもはこんなにパリッとした格好はしておりません(笑)。
ゲームの中でもタスクをこなす日本、自由な設定の海外
西脇 MMOゲームは、聞いていらっしゃる皆さんにお勧めできますか? 人間性が見えますよね。
粕谷 お勧めできるか? 実は僕自身、海外のゲームの方が結構好きで、日本のゲームは何故か好きになれないのですよ。
西脇 千葉さん、何か言われてますよ。日本のゲーム、好きになれないって(笑)。
千葉 頑張ります(笑)。
▶編集注:千葉さんは、2009年のコロプラの創業に参画し、取締役副社長に就任後、上場を経て2016年7月退任しています。
粕谷 開発の方に聞いたことがあるのですが、日本と海外のゲームには明確な違いがあるといいます。
日本のゲームはどちらかと言うと、これをやりなさい、あれをやりなさいというタスクを順当にこなしていくもので、海外のゲームは何をするのも自由な設定になっていると。
海外では「STAR CITIZEN」のように、ゲーム内で何をやってもいいという箱庭型と呼ばれるゲームが人気だと言われており、そこにコミュニティ性といったものがあると思っています。
海外の人は、自分でやりたいことが明確にあり、それを自分のクリエイティビティで構成してやっていくことを好みます。
一方、日本人は言われたことを指示通りにやっていくことに喜びを感じることが多いです。
その人間性の違いが出ているから、君は海外の方のゲームの方が好きなのではないかと言われ、なるほどと思ったのですね。
西脇 いや、確かにそうですね。私が今、ゲームについて目的やゴールは何ですかとお聞きしたじゃないですか。私達日本人は、結構こういうことを聞きがちですよね。それをやっている意味ってなんですか?と。
粕谷 目的やゴールは自分で作ればいいじゃないか、というのが海外のゲームの趣旨なのですよね。
西脇 そうですね。それが海外のやり方ということで凄く分かりやすいです。
アートもゲームも自分へのヒーリング
DRONE FUND 代表パートナー / 千葉道場ファンド ジェネラルパートナー / 慶應義塾大学SFC 特別招聘教授 千葉 功太郎さん
千葉 僕はずっとゲームを作る側だったのですが、ゲームは社会だと思っており、今おっしゃった目的が明確なRPGの世界も、やはり社会なのです。
目的が明確で、レベルアップしてボスキャラクターを倒し、そしてまた新しいドラゴンが出てきて倒す、というのも社会ができてきます。
ギルドでチームを作って、内戦があって、同じ時間に声かけて皆でパーティで集まり、今日の強敵のドラゴンを倒すぞと。
そこにはおっしゃる通り、自分に似せた「自分」を操っている人達もいるし、自分とは違う「自分」の人達もいます。
何故ゲームをするのかということを運営会社としても考えていたのですが、おそらく自分の日常と違う「セカンドライフ」的なもう1人の自分の人生を創りたい、その人生を楽しみたい、これが究極のモチベーションなのではないかなと、やっていてずっと思っていました。
西脇 ゲームの空間の中でそれを創りたいということですね。
千葉 そうです。日常のリアルの第一階層の自分、そしてバーチャル空間でのもう1人の自分、ここはまたキャラクターも違っていたり、活躍の仕方も違ったり、褒められ方も違ったりするのですよね。
何故ゲームに課金するのだろうと、そういうことをずっと考えていたのですよ。
粕谷 そうですね、やはりリアルワールドで出来ないことをゲームで実現したいというのはその通りだと思います。
僕は、趣味で映画を制作したりもするのですが、やりたいことがリアルワールドでできないから、映像でそれを描いてみたいという願望と同じことだと思います。
千葉 自己実現の場なのでしょうね。
粕谷 そうだと思います。
西脇 確かに、映画もアートもそうですよね。
土佐 でも私は、本当は「現実で」やった方がいいと思いますけどね。
(一同笑)
西脇 ゲームなんかしてるなと(笑)。
土佐 私はそう思いますね(笑)。私がゲームを好きになれない理由はそれで、時間がもったいないと思うところが否めないのですよ。面白いのは分かるんですよ、分かるんですが。
西脇 千葉さんの目が(笑)。
(千葉さん笑)
土佐 面白いのは分かるのですが、本当は現実でかなえたい出来事でしょう?と思ってしまうのです。でも、実はアートもゲームと似たようなところがあり、要は自分に対するヒーリングなのですよね。
西脇 違う空間を持っているということは凄く救いになりますし、何か自分で出来るのではないかというモチベーションにもなりますので、悪いことではないと思いますよね。
土佐 その通り、悪いことではありません。
西脇 その空間があることで救われている方はかなりいらっしゃると思うのですよね。
では、そんなゲームを作っていた、まるで大学生のように紹介された千葉君、次、お願いします。
(続)
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続きは 3.宇宙には何で行く? モハベ砂漠でDRONE FUND千葉さんが見た、驚異の飛行訓練 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/蒲生 喜子
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