ウェラブル、五感、インフラ、家電……4人が考えるこれからの進化とは | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

6. ウェラブル、五感、インフラ、家電……4人が考えるこれからの進化とは

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ICCサミット FUKUOKA 2020 新・雑談シリーズ「テクノロジーはどこまで進化するのか?」の全文書き起こし記事を全7回シリーズでお届けします。(その6)は、次の時代の「進化」はどういうものになるかを考えます。数値的向上の次は、何をもって「進化」と呼ぶのか。前パートから続いて明かされる、メルティン粕谷さんの”超”能力にもご注目を。ぜひご覧ください!

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 プレミアム・スポンサーのオープンエイト様にサポートいただきました。


【登壇者情報】
2020年2月18〜20日開催
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 11A
新・雑談シリーズ「テクノロジーはどこまで進化するのか?」
Supported by オープンエイト

(スピーカー)
粕谷 昌宏
株式会社メルティンMMI
代表取締役

千葉 功太郎
DRONE FUND 代表パートナー / 千葉道場ファンド ジェネラルパートナー /
慶應義塾大学SFC 特別招聘教授

土佐 尚子
京都大学
総合生存学館/凸版印刷アートイノベーション産学共同講座(産学共同)/特定教授

(モデレーター)

西脇 資哲
日本マイクロソフト株式会社
コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト

「新・雑談シリーズ『テクノロジーはどこまで進化するのか?』」の配信済み記事一覧


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最初の記事
1. 新・雑談シリーズ登場!テック系の4人が語る、最近驚いたことは?

1つ前の記事
5.評価が両極端に分かれるイノベーションは、やり抜けば絶対成功する

本編

西脇 次に、その「進化」とは何なのかということを皆さんに投げかけたいと思います。

昔は進化といえば、非常に数値化しやすかったのですよ。

例えば、クロック、メガヘルツが上がりましたとか、0.0㎜秒が0.00㎜秒になったとか、反応速度が速くなり進化したというデバイスが出てきたりですね。

他にも画素数が上がましたとか、2K、4K、8Kとなり、これは進化です、という言い方をしますし、ウォークマンなどは、小型化が進むことが進化といわれました。

そのようにして今までは進化といいますと、凄く数値化しやすかったですし、目で見て分かりやすかったのですね。

でも、本当の意味の進化とは何なのでしょう。

本日のテーマが「テクノロジーはどこまで進化するか」ということなので、周波数が凄く上がっていく、面積が凄く小さくなっていく、スピードが速くなっていく、5Gが 6G、7Gと上がっていくというレベルの話ではなく、真の進化とはどういうことなのかについて議論したいのです。

人間に近づいていく、人間の感性が分かるようになるといったことを進化だと言う人もいれば、人間の代替機能ができる人を進化だという人もいます。皆さんは進化についてどう思われますか?

次の進化とは「価値の意味が変わること」(土佐さん)

京都大学 総合生存学館/凸版印刷アートイノベーション産学共同講座(産学共同)/特定教授 土佐 尚子さん

土佐 意味が変わることだと思います。20世紀的においての進化は、数字が上がることだったと思うのですが、今は意味が変わることだと思います。

西脇 何から何にでしょう。あらゆるモノが、ということでしょうか?

土佐 価値の意味が大きく変わるということです。

人間の進化は、生物学的には霊長類で様々な他の動物と一緒ですが、それはここではおいておきましょう(笑)。

今まで20世紀的に言いますと、進化といえばコンピューターサイエンスやテクノロジーだったのが、今はサービスやソフトなど、そういうものに変わっているでしょう。

つまり、意味が変わっているのですよ。だから、その意味を見出すことが出来る人が、先を見ることが出来ると思います。

西脇 確実に、進化したなと感じることが変わってきていますよね。昔は、数字に表れて目に見えたのですが。

土佐 そうです。だから今はそう単純ではなくなってきていて、しかも世界が一つの村という時代にまで近くなってきているじゃないですか。

その中で考えないといけないことは、多様性でしょう。

多様性の中で意味が変わっていくということは、結構複雑なように見えて、これは実はシンプルなのではないかなと思います。

西脇 ということは、最新の最も進化したテクノロジーを生み出すということを考えている企業、経営者、研究者、開発者は、意味を変えていく、意味を変えていくような発明を、今後はやっていかなければいけないということですよね。

そこを伝えていかなければいけないと。千葉さん、いかがでしょうか。

改善ではなく、非連続な成長が進化である(千葉さん)

DRONE FUND 代表パートナー / 千葉道場ファンド ジェネラルパートナー / 慶應義塾大学SFC 特別招聘教授 千葉 功太郎さん

千葉 先程の質問で「非連続な成長=進化」なのではないかと思いました。

連続的な成長というのは、要は進化ではなく「改善」だと思うのです。

スピーディー支援の積み重ねによる数値改善だと思っています。

進化というのは「大きく変わること」で、土佐先生がおっしゃる通り、意味が変わるということで腑に落ちたのですが、僕の言葉では「非連続」ですね。直線や曲線の先に全くないもので、ガクンと階段のように上がる感じです。

我々が今そこにいて、次が(頭上を指して)あそこにいる感じですね。

例が適切かどうか分かりませんが、僕にとっての最近経験した進化は「スマートフォン」の登場でした。

僕自身スマートフォンで色々なビジネスがやれるようになったのですが、携帯電話ではなく、スマートフォンが概念として登場したのは進化だと思っています。

スマートフォン到来のおかげで、今我々は決済まで全て行うことが出来ていますし、生活のありとあらゆるものがスマートフォンに凝縮されていて、おそらくスマートフォンをつくった人が予測した以上にスマートフォンがプラットフォーム化していると思います。

小さな例え話ではありますが、これはまさに非連続だと思っています。

西脇 全く新しいモノが登場しているという考え方ですよね。

千葉 概念が変わっています。そこから先の以前と以後で、概念が変わっている境目がありますね。

西脇 連続的成長は追いやすいのですよね。改善の繰り返しということで、経営側にとっても大変やりやすく費用も分かりますので、それをクリアさえしていけば進化できていると思ってしまいます。

でも、土佐先生がおっしゃるように、それは20世紀的な考え方ですよね。

やはりこれからは全く違う非連続的な成長が重要になってきて、イノベーションといったことが求められてきていますから、これが変わっていかないと世界も変わっていかないということですよね。粕谷さんはいかがでしょうか。

五感の拡張が進化である(粕谷さん)

メルティンMMI 代表取締役 粕谷 昌宏さん

粕谷 僕も皆さんと同じ考え方で、言い方を変えているだけだと思いますが「イノベーション 新たな要素」です。

例えば、インターネットにおいては通信速度がどんどん速くなっていますが、ただ速くなるだけでは、5秒かかっていたダウンロードが4秒になったというだけの話で終わってしまいます。

それがあるところまできたとき、例えばアバターのように本当にリアルタイムになりますと、地球の反対側に一瞬で行けるとか、全く新たな体験になっていきます。

そういったテクノロジーが次々に改良されることにより、どこかのタイミングでシンギュラリティではないですが、新たな要素が発見されるというタイミングがあるはずです。それが進化ではないかと思いますね。今までなかった新たな価値や新たな機能がそこに出現することだと思います。

サイボーグ技術で人類は結構進化するのではないかと僕は考えています。

人間は今まで目で可視光といったものが見えているわけじゃないですか。それをどんなに目をよくしたところで、感じることは同じなわけです。

これを例えば赤外線や電磁波が見えるようになったらどうなるかとか、自分としてインプットされるレイヤーが増えることによって、人間自身も進化するのではないかと思っています。

やはりどんなに新しいものがあったとしても、それを感じるのは自分の五感でしかありませんので、その五感を拡張出来たときには、そこには人間として凄いイノベーションが起きるのではないかと僕は予測しています。

西脇 その情報量を増やすための仕組みを何かデバイスとして提供できて、装着出来ることになれば、なお近道だということですよね。

枠組みを変えて描く、さらに大きな夢

日本マイクロソフト コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト 西脇 資哲さん

西脇 何となくさっきからテレポーテーション関連の話が出てきていますが、皆さん、やはり興味がおありですよね。

粕谷 夢ですかね。

西脇 夢ですよね。1年半程前、日本で作ったお寿司をネットワークで飛ばして、サウス・バイ・サウスウエストの会場でお寿司が食べれたという料理のテレポーテーションの話が出ていました。

SUSHI TELEPORTATION (OPEN MEALS)
寿司も印刷する時代 10万円で究極のパーソナライズ(日経XTREND)

粕谷 それは料理の3Dプリント的なものですか。

西脇 料理の成分データをそのまま向こうに持って行くんですよ。ピザやお肉もできるそうです。

粕谷 分子構造を何かネットワークで送って、現地で再現するのでしょうかね。

西脇 食べ物に関しては、このように徐々に出来るようになってきています。おそらく今度は生命といったことが来ると思うのですが、SFを見ていた人間から言いますと、そこまで進化してほしいですよね。粕谷さん、その可能性というのはまだ全然ないのでしょうか。

粕谷 まだありませんが、僕が生きている間には実現したいと思っています。

西脇 まだお若いのですから、大丈夫なのではないでしょうか(笑)。

粕谷 まあ、そうですね(笑)。

土佐 多分、新しいインフラと言ってもいいかもしれないですね。テレポーテーションもインフラですから、新しいインフラが出来るというのは、進化が大きく変わるきっかけになりますよ。

西脇 そうなんですよ。だから、5Gで多くの人間が繋がるとかスピードが速くなるとか、そういうレベル止まりのことを言っていないで、もう少し大きな夢を描いてほしいと正直思うのですよ。

粕谷 そうですよね。ただ速くなるだけではなく、速くなることによって何が起こるかを見たいですね。

西脇 5Gにしても、今までは速度を上げること、それもデータを転送する速度を上げることばかりを目標にしてきたのですが、我々はデータ以外にももっと転送したいものがあるわけですよね。

料理、我々の身体、思い、アバターなど、これからは大きく枠組みを広げて将来像を描いてほしいと思います。

ウェラブルで男女のエアコン問題は解決?

西脇 同じような感覚で言いますと、ウェアラブルもどんどん進化していると思いますが、サイボーグに携わっていらっしゃる粕谷さん、これはどこまでいくと思われますか。

粕谷 ウェアというと「着る」というイメージなので、その人間の上から羽織るという状態が多分今後も続いていった上で、どこかのタイミングで身体の中に入ってくるというフェーズが出てくるのではないかというのが僕の予測ですね。そういう方向に僕自身、持っていきたいと思っています。

土佐 先日、ダイキン工業研究所の方とお会いしたのですが、将来はエアコン機器自体がなくなり、冷暖房を「着る・ウェアになる」という可能性も考えていらっしゃいました。

西脇 それは非連続で新しい発見ですし、数値ではないものですね。

土佐 既に今はもうヒートテックなど、テクノロジーとして製品化されているわけですから、これは夢物語でも何でもありませんよね。

そもそも空間全部を冷やしたり温めたりするのはエネルギーの無駄で、SDGsを考慮しない企業は企業ブランディングにもかかわると言われている時代でもあるじゃないですか。そういうことを考えると、地球を守るエコとも繋がってウェアラブルは飛躍的に変わっていくと思います。

西脇 確かにこの会場にしてもこんなに空調されていて、もったいないですよね。

粕谷 人間がいないスペースの方が明らかに大半を占めていますからね。

土佐 大抵、男性はエアコンをかなり低い温度で設定して部屋をキンキンに冷やし、女性は寒すぎると言って温度を上げ、それで喧嘩になるじゃないですか。空間を一律の温度に設定してしまうと、そういうことが起きるのですよ。

でも冷暖房を「着る」ことができれば、各々が心地いい温度を保っていられます。

食洗機の動作音から数値を感じる

粕谷 話がややずれてしまうかもしれませんが、僕はこの事例は食洗機に結構近いと思いました。

こびり付いた鍋を洗う時、最初に水を張っておいたりするじゃないですか。こびり付き部分は、鍋の表面だけであるにもかかわらず、鍋の容積の大半に入っている大量の水は全く不要で、これは実にもったいない水の使い方をしているわけですよね。

食洗機はどうやっているかと言うと、いきなり洗うのではなく、水を蒸気にして、食器の表面に付着するようになっています。空間を無視して汚れの部分だけ水を付着させる食洗機と、空間全体を冷やして温めるのではなく、対象物だけを温めたり冷やしたりする、今のエアコンとウェラブルの話は似ていると思いました。

西脇 今まで食洗機をそんな視点から見たことありませんでした(笑)。ドバーッと水が噴射されて洗われるとだけ思っていましたので。

土佐 よく見てますね(笑)。

粕谷 食洗機は、相当進化しているのですよ。今の鍋洗いの事例のように、手洗いよりも食洗機の方が、大幅に水の節約が出来るのです。

千葉 なるほど。そんなふうに思ったことはなかったです(笑)。

粕谷 僕はディズニーランドとかに行っても、これはどう動かしているんだろうという目でつい見てしまうのですよ(笑)。それはそれで楽しいのですが。

(一同あっ気ににとられる)

西脇 粕谷さん、その食洗機の中で、数値も見えたりするんじゃないですか(笑)。

粕谷 ええ、まあ、その噴出圧力とブームの回転する速度の関係とか、そういったことを食洗機がザワーッ、ザワーッと作動している音から感じたりするのですよ。結構面白いですよ。

土佐 凄いですね。

西脇 食洗機もそんなイノベーションがあったのですね。家電では、結構そういう無駄なものが多いと思いますね。

例えば、私も浴室乾燥機を使っていますが、1枚のシャツを乾かすだけなのに、翌日浴室全てが温まっており、非常にもったいないですよね。そのように考えると、家電はもっと進化して個別化出来ると思います。

土佐 絶対出来ますよ。私は今、三菱電気総合研究所さんと一緒に共同研究を行っているのですが、その電磁波を電子レンジで見えるように可視化したらどうでしょうかと提案したのですが、却下されてしまいました。やめて下さい、見えたくないですと。

粕谷 宇宙線を可視化できる霧箱というものがありますが、そういうものでしょうか。

見えないものを”見る”方法 〜霧箱の製造販売を行う有限会社ラドさん〜(ひだ宇宙科学館 カミオカラボ)

土佐 方法論はそんなに考えていなかったのですが、電磁波そのものを可視化するのはやめてくださいと言われましたね。企業側でも色々な考え方があるようです。

ですからそういう意味では、イノベーションは、人間拡張やウェアラブルもそうですが、そこに沢山シーズがあるなと思いますね。

西脇 非連続、化ける、違うものに概念が変わる等、進化するには色々な定義があるとのお話をいただきましたが、今年2020年、もしくは2021年、そんな概念をもとに一番進化するものは何だとお考えになりますか。

どんな分野、技術、業種でもいいですから、一番進化するもの、何に注目しているかをお聞かせください。

(続)

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続きは 7. 直近ではこの技術、分野が進化する! 2020〜2021年のテクノロジーを大予想【終】をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/蒲生 喜子

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