4.中古・回収素材のリメイクバックを選んで買う若い世代(マザーハウス山崎さん)

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ICC FUKUOKA 2022のセッション「『サステナブル』『ダイバーシティ』はマーケティングのメインストリームになるのか?」、全8回の④は、マザーハウスの取り組みについてす。コロナ禍をチャンスととらえ、赤字覚悟でスタートしたアップサイクルのブランドは、普段の顧客層よりも若い20〜30代を中心に売れたといいます。そのプロジェクトに込めた想いとは? ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022 プレミアム・スポンサーのリブ・コンサルティングにサポート頂きました。


【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICCサミット FUKUOKA 2022
Session 4F
「サステナブル」「ダイバーシティ」はマーケティングのメインストリームになるのか?
Supported by リブ・コンサルティング

(スピーカー)

工藤 萌
株式会社ユーグレナ
執行役員 ユーグレナヘルスケアカンパニー Co-カンパニー長

深井 喜翔
KAPOK JAPAN株式会社
代表取締役

松田 文登
株式会社ヘラルボニー
代表取締役副社長

リュウ シーチャウ
レノボジャパン合同会社
CMO マーケティング統括本部 統括本部長 / NECパーソナルコンピュータ株式会社 コンシューマ事業本部 マーケティング部長

(モデレーター)

山崎 大祐
株式会社マザーハウス
代表取締役副社長

『「サステナブル」「ダイバーシティ」はマーケティングのメインストリームになるのか?』の配信済み記事一覧


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1.「サステナブル」「ダイバーシティ」で社会に挑む企業が集結、事業を語る

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3.ユーグレナ、KAPOK KNOT、ヘラルボニー…今、注目を集めるSDGsに注力する事業

本編

ダイバーシティの観点から開発した、乳がん経験者向けバッグ

山崎 こちらはマザーハウスの事例です。

マザーハウスでは、ダイバーシティという観点からも色々な取り組みを行っています。

スライド右上の写真は、乳がんを患ったことのある方10人と一緒に作ったバッグです。

1年かけて、乳がん経験者の体に優しいバッグを作ったのです。

2012年の話なので、もう10年くらい前ですね。

ココカラプロジェクト 乳がん経験者の方々と商品開発(マザーハウス)

当時は会社の売上も3億円ほどの規模でしたし、すごくニッチだから売れないと思って、50個ほどしか生産しなかったのですが、3日で100個ほどが売れて大ヒットしました。

それで、乳がん経験者の体に優しいバッグはみんなの体にも優しいということが分かったので、その後に手がけたのが、視覚障害のある方が使いやすいバッグでした。

1年くらいかけてブラインドサッカーの選手たちと一緒に作ったのですが、汚れがつきにくいとか、彼らの手が引きやすいとか、彼らが必要とするポイントを聞きながら作ったバッグも大ヒットし、1年間で1億円ほど売れる製品となりました。

ブラインドサッカー日本代表 オフィシャルバッグ(マザーハウス)

普通に使いやすい機能、つまり商品力も問われていると思いますが、ヒット要因はメディアの力と口コミの力ですね。

「自分たちを見て、自分たちのために作ってくれた」というものであれば、口コミによって大きく広がってくれた事例です。

USEDのレザー使用のバッグに価値を感じる若い世代

山崎 もう一つ、こちらはサステナビリティ文脈で作ったRINNEというバッグです。

皆さん、コロナ禍で家の掃除をしていると思いますが、その際、要らないバッグが出てくると思います。

我々は年間10万個以上の自社バッグを売っているので、お客様は何個も要らないバッグを持っています。

そこで、要らないバッグを回収させてくださいと言うと、たくさん集まりました。

コロナ禍によって仕事がなくなってしまった修理業者を束ね、集めた不要バッグを解体してもらい、出たレザーを使って組み立て、新しいバッグを作ったのです。

USEDのレザーだけで作っていて、素材は全て回収したものなので、1個として同じバッグはないわけです。

回収したバッグから作り出した世界に一つのリメイクシリーズマザーハウス「RINNE」を販売開始(PR TIMES)

これをRINNEというシリーズで発売すると大ヒットし、『VOGUE』などでも取り上げられました。

リメイクから始める循環型経済。思い出とモノをつなぐマザーハウスの「RINNE」。【今週のサステナTips】(VOGUE)

バッグの世界では、こういう取り組みをしている会社はいなくて、おそらく世界初の試みです。

なぜなら、非常に面倒だからです。

サステナビリティに関する1つの課題だとも思いますが、壊れないように何かを作ると、それを壊すのは大変なのです。

ものは丈夫であることが大事ですが、丈夫であればあるほど、分解、解体しづらい。

ですから、バッグを分解するのにはすごく苦労しました。

マザーハウスのバッグの価格レンジは、3〜7万円です。

RINNEはUSEDのレザーを使っていますが、それと同じくらいの値段をつけました。

それでも売れたことに、僕は驚いたのです。

ですから、セカンドハンド(中古品)のバッグを買っているという感覚はお客様には全然なくて、むしろ値段が高くても買うのです。

なぜそう感じたかと言うと、RINNEは20〜30代の方に非常に売れたからです。

マザーハウスの通常のバッグは30~40代の方を中心に買われているので、20代の方にとっては相対的に高く映ったはずです。

それでも売れたということは、USEDであることにむしろ価値を感じたのではないかと思い、そういう時代が来ているのではないかと感じさせられた事例でした。

RINNEは今も販売していますが、すごく売れています。

リサイクルの価値やサーキュラーエコノミーを感じさせられました。

次の時代のために赤字覚悟で始めたプロジェクト

工藤 本業というか、本来売るべきプロダクトがある中で、このような新しい企画を始める時、時間やリソースがかかると思いますが、どのような意思決定プロセスをとっていますか?

山崎 すごく良い質問ですね、ありがとうございます。

実はこの製品は、最初は大赤字だったのです。

コロナ禍の緊急事態宣言で店を全部閉めたので、その月の売上は8~9割減になりました。

このままだと会社がもたないと思いましたが、逆にチャンスだと思い、その時にしかできないことをしようと考えたのです。

それで、修理業者も倒産の危機だというのを聞いた時、山口(絵子さん マザーハウス代表)と僕で「こんな時だからこそ、大赤字になってもいいから、ずっとやりたかったことをやろう」と決めました。

回収したバッグを新製品にリメイク。マザーハウスの循環型ブランド「RINNE」(IDEAS FOR GOOD)

おっしゃる通り、始まりの段階で経済性を優先すると、できないです。

また、経済性を優先して取り組むと、それはお客様に伝わってしまいます。

ですから、経済性ではなく、「次の時代のためにやる必要があるから」とやりきったところ、メディアはその覚悟を理解してくれ、取り上げてくれたのです。

実は「RINNE」の取り組みは、テレビ番組『カンブリア宮殿』でも大きく取り上げられました。

コロナでも大躍進 途上国の雇用守るマザーハウス 2020年11月5日放送(BSテレ東)

「このタイミングだからこそ、やらなければいけない」と伝えましたし、お客様にも「こういう社会を作りたいから、協力してほしい」と話しました。

オペレーション面も、トップダウンで進めました。

深井 国内の修理工場と協業したのですか?

山崎 そうです。

オペレーションがうまく回るようになってからは、海外の工場と連動させるようになりました。

今は、完全に黒字化しています。

アップサイクルにかかる手間暇

松田 オンラインでの販売では、一点物ということで、一つ一つ写真撮影をしているのでしょうか?

うちもアップサイクルの商品を販売していて、一度クレームが来たことがあったので、それ以来一つ一つ写真を撮るようにしたのです。

福祉、アートの世界にも「循環」を。ヘラルボニーの「アップサイクルアートトートバックプロジェクト」(ADF)

アップサイクルとは 基本の意味や日本・海外の例をわかりやすく解説(ELEMINIST)

山崎 すごく大事で面白い話ですが、リサイクルのバッグを作る際、色を適当に配置しているわけではないのです。

松田 えっ、すごい!

山崎 回収したレザーをきちんと種類分けをし、色の組み合わせは同じになるようにしています。

例えば、赤のレザーでも、2年使ったものと3カ月使ったものでは色が違いますので、そういった多少の色の違いはあります。

ただ、デザインの会社として、良いデザインの製品を作らなければいけないと考えていますので、「レッド系の組み合わせ」という形で販売しており、バッグ1個1個の写真は掲載していません。

ですから、個体差はありますが、色の組み合わせという点では、お客様のイメージと違うものは届きません。

それでクレームが来たことは、一度もありません。

松田 お客様に理解があるという前提なのですね。

山崎 事業の参考になったでしょうか?(笑)

深井 単純にレザーの原価はかかっていないと思いますが、逆に作る手間がかかっていませんか?

山崎 壊すほうが大変です。サステナビリティの課題ですが、作るよりも壊すことのほうが、お金がかかるのです。

リュウ こういう製品は、コストが非常に高いですよね。

良い話ですが、同様のフード製品でも、作るのにかかっているお金を聞くと結構驚きます。

山崎 では、続いて、松田さんお願いします。

(続)

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続きは 5.マイノリティ側からマスカルチャーに訴えるヘラルボニーの意見広告 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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